検証70

本ページで取り上げるサイトはいずれも仮想通貨取引所 (暗号資産交換業者) に該当すると思われますが、いずれも日本の金融庁が公表している暗号資産交換業者の登録リストに該当がありません。ここで検証するサイトの多くは日本語対応しており、さらに少なくとも一部のサイトについて日本人に向けた勧誘や被害報告が確認されていて単に無登録の違法業者であるというだけでなく、詐欺目的のサイトである疑いが極めて濃厚と考えられます。

▼本サイトでの検証は名誉棄損に当たらないと考えます。→ 雑記1

「検証63」「検証64」「検証65」「検証66」「検証67」「検証68」「検証69で検証してきたTinderを始めとするマッチングサイト (出会い系サイト) やSNSで外国人による勧誘が行われているという共通点がある一連の詐欺仮想通貨取引所のサイトについての検証8ページ目です。「検証71」「検証72」「検証73」「検証74」「検証75」「検証76」「検証77」「検証78」「検証79」「検証80」「検証81」「検証82」「検証83」「検証84」「検証85」「検証86「検証87「検証88」「検証89「検証90「検証91「検証92「検証93「検証94「検証95「検証96「検証97「検証98「検証99「検証100「検証101「検証102「検証103「検証104「検証105「検証106「検証107「検証108「検証109「検証110「検証111「検証112」「検証113」「検証114」「検証115」「検証116」「検証117」「検証118」「検証119」「検証120」「検証121」「検証122」「検証123」「検証124」「検証125」「検証126」「検証127」「検証128」「検証129」「検証130」「検証131」「検証132」「検証133」「検証134」「検証135」「検証136」「検証137」「検証138」「検証139」「検証140」「検証141」「検証142」「検証143」「検証144」「検証145」「検証146「検証147」にも続編があります。勧誘の手口の説明は「検証63」の冒頭を参照してください。再びYahoo知恵袋に出てきた投稿に登場した以下のサイトを検証していきます。 


●LUCKJUPITERCOIN.COM (ラックジュピターコインドットコム www.luckjupitercoin.com/)

●VSSCoin (VSSコイン www.vsscoins.com/web/index.html#/)

●Ontimcm (www.ontimcm.com/web/index.html#/login/login)

●garmacn (www.garmacn.com/h5/#/)

●GHV Coin (GHVコイン www.ghvcoin.com/#/home/home-pc)

●OvalEx [MICコイン] (オーバルEX www.coinoval.com/pc/pages)

●ICE (www.icejy.com/#/)

●XL (www.xlbex.net/#/)

●Bitmoon (ビットムーン www.bitmoon.me/#/)

●BST (www.baishitecoin.net/)


まず以下を検証します。

●LUCKJUPITERCOIN.COM (ラックジュピターコインドットコム www.luckjupitercoin.com/)

2020年7月にYahoo知恵袋に出てきた以下の質問投稿で知ることになった仮想通貨取引所のサイトです。

出会い系サイトで知り合った中国系美女による勧誘というパターンは「検証63」以降これまで検証してきた多くのサイトで報告されているパターンと同じです。但しこの質問投稿にあるリンク

>https://www.luckjupitercoin.com/register.html?inviteCode=k7734g

には最後に[inviteCode=k7734g]というアフィリエイターのIDと思われる部分が付いています。アフィリエイターを使って手広く勧誘を展開するとなれば被害が拡大する危険性を感じざるを得ません。とにかく投稿にあったリンクからサイトにアクセスしてみました。以下がサイトの冒頭部のキャプです。

左下のキャプに示した言語選択のプルダウンメニューは脚注にあって英語、中国語、日本語、韓国語での表示が選択出来るようになっています。

一方で連絡先情報は右上のキャプに示したようになっています。

>Mailbox: luckjupitervip@gmail.com

>Address: 188 Salima Commercial Street, Malta

電話番号はなく、メールアドレスは無料で取得出来るgmailのアドレスでマトモな取引所のメールアドレスとは思えません。そして住所は地中海に浮かぶ島国のマルタになっています。表示対応言語が英語の他は中国語、日本語、韓国語とアジア圏の言語が並んでいるのに地中海のマルタに本拠があるという点には違和感を感じます。またマルタの「188 Salima Commercial Street, Malta」という住所をGoogle Mapで調べると「Commercial Street」という通りが確認出来ないという結果が出ます。電話番号がないことと併せ、連絡先情報には疑問があります。

次に取引されている仮想通貨のリストには12種類の仮想通貨が載っています (右のキャプ参照)。ビットコイン (BTC)、イーサリアム (ETH)、リップル (XRP)、イオス (EOS)、ダッシュ (DASH)、ジーキャッシュ (ZEC)、ライトコイン (LTC)、ビットコインキャッシュ (BCH)、イーサリアムクラシック (ETC)、トロン (TRX)、ネオ (NEO)といった仮想通貨データーベースのCoinMarketCapで時価総額上位に入るような仮想通貨が並んでいますが、1つだけLAKEという聞きなれない、CoinMarketCapにも情報が見つからない仮想通貨が含まれています。

そこでこのLAKEという仮想通貨のチャートを確認しました。以下はLAKEのUSDT建て日足チャートです。

2020年6月23日に取引が始まったばかりでまだ1ヶ月ほどしか経過していないのですが、基本的に右肩上がりのチャートになっています。そして最近は1日当たり20万枚を超えるような出来高があることになっています。同じLAKEのUSDT建てチャートを5分足で見ると非常に頻繁に取引があることが分かります。

現時点でのLAKEの相場は70円程度。5分間の出来高は数百枚からせいぜい2000~3000枚程度。1枚70円で2000枚の出来高とすれば14万円ということになります。5分足チャートで上ヒゲ、下ヒゲも確認出来ることから少なくとも4回以上の取引が成立しているということになると1回の取引の金額は大半が数万円以下でしょう。よほど多くの人が取引に参加していなければこうしたチャートにはなりませんが、アクセス状況を解析出来るサイトで調べてみると殆どアクセスがありません。このLAKEという仮想通貨のチャートは実際の取引を反映しているものではない、架空のものである可能性を疑わざるを得ません。

結論としてこのラックジュピターコインという仮想通貨取引所は信頼出来るものとは思えません。特にLAKEという実体不明の仮想通貨の取引を勧誘されたら非常に危険です。厳重な注意が必要と考えます。


※付記

2020年9月にラックジュピターコインドットコムのサイトが閉鎖されていることを確認しました。また下で検証しているBST(www.baishitecoin.net/)「検証77」で検証しているBit-unlimited (ビットアンリミテッド www.bit-unlimited.com/)。GVCOIN / GLOBAL VILLAGECOIN.COM (GVコイン/グローバルビレッジコイン  www.globalvillagecoin.com/)、Okeylife (オーケーライフ www.oklifecoin.com/)Gudecoin (Gudeコイン www.gudecoin.com/)はラックジュピターコインドットコムと同じグループによるサイトである可能性が濃厚です。それらの関連サイトに関する詳しい説明は「検証77」を参照してください。


●VSSCoin (VSSコイン www.vsscoins.com/web/index.html#/)

これもYahoo知恵袋に出てきた以下の2つの投稿で知ることになった仮想通貨取引所です。

2020年6月13日投稿

両方ともSNSで知り合った中国人にビットコインを送金してVSSコインという仮想通貨を購入するよう勧誘されたということで本サイトで検証してきた詐欺と一致する部分があるので調べてみました。まず以下がサイト冒頭です。大半の情報はログインしないと見られない設定になっているようです。表示言語は右端のプルダウンメニューに見えるように中国語、英語、韓国語、日本語から選択出来るようになっています。

その他、この検証を準備している間のここ数日の間に削除されてしまったようですが、数日前までこれ以外に見ることが出来た情報としては以下のキャプに示したメールアドレス (support@vsscoins.com) と

>2018 EUROPEAN SINO UNION LIMITED

という2018年に開業したEUROPEAN SINO UNION LIMITEDという会社が運営していることを示す記述がありました。

そこでこのEUROPEAN SINO UNION LIMITEDを検索してみるとイギリスでの法人登録が見つかってきました (下のキャプ参照)。設立は2019年4月20日となっていて上のキャプにあった2018年設立という記述と合致しませんがとりあえずこれ以外に情報がないので掘り下げてみました。

この法人登録情報を見ると既に書いたように2019年4月20日設立という新しい会社なのに設立1年後の2020年4月19日までに提出されるべき書類が提出されておらず、一番下の赤枠で囲った部分に書いてあるように既にDormant Company (休眠会社) となっています。住所は

>Room519. Sketch House, 36 Clifton Terrace, London, England, N4 3JP

となっていますが、この法人登録にある経営者情報を見ると (以下のキャプ参照) Secretary (秘書?)という役割で経営陣の一方として登録されているTINGHE INTER LTDという法人の住所と部屋番号まで同じであることが分かります。このTINGHE INTER LTDという法人について調べてみると現時点で63のイギリスに登録がある法人の経営陣として名を連ねていてしかもその半ば以上の法人はTINGHE INTER LTDと同じ「Room519. Sketch House, 36 Clifton Terrace, London, England, N4 3JP」という住所を法人登録上の所在地としています。どうやらTINGHE INTER LTDはオフショア会社の様なものである可能性が高く、この住所にEUROPEAN SINO UNION LIMITEDの事業実体が存在する可能性は低いように思います。

さらにEUROPEAN SINO UNION LIMITEDのもう一方の経営者は上のキャプの後半に記されているLU, Jinhuという中国国籍、イギリス在住の人物になっています。肩書はDirector (社長)となっていますから、この人物がEUROPEAN SINO UNION LIMITEDおよびVSSコインの運営者であると考えられます。

さらにオフショア会社と思われるTINGHE INTER LTDの法人登録も調べてみると経営者が以下のキャプに示したWANG, Tiankuoという中国国籍、中国在住の人物になっています。

つまりEUROPEAN SINO UNION LIMITEDおよびVSSコインは中国人によって運営されていると思われます。逆にこれだけ強い中国との繋がりがEUROPEAN SINO UNION LIMITEDについて示されたことでこのイギリスに法人登録されているEUROPEAN SINO UNION LIMITEDがVSSコインの運営者であることで殆ど間違いないものと思われます。

さらにこれも削除されてしまったあるいは非公開になってしまったようですが、数日前まではVSSコインのサイトには「ヘルプセンター」という項目がありました。このヘルプセンターにあった項目から引用します。

まず右のキャプに見える情報からビットコイン (BTC) やイーサリアム (ETH) 、イオス (EOS)といったメジャーな仮想通貨に加えてVSSという仮想通貨が取引されているらしいことが分かります。一応、仮想通貨データーベースのCoinMarketCapでVSSに関する情報を探してみましたが見つかりません。名称からしてもこの取引所独自の取引所コインと思われます。

「ヘルプセンター」には他にも以下のキャプに示したような記述がありました。日付は2019年8月15日あるいは16日となっています。

意味がよく分からないのですが2019年8月の時点では取引所の名前がBATコインでBATコインという取引所独自の仮想通貨を発行していた可能性があるのではないかと思われます。しかしVSSコインのサイトのWho Is情報を見るとサイトの開設日 (Creation Date) は下のキャプに示したように2020年5月22日になっていてBATコインを名乗っていた時期よりもずっと後です。以前運営していたBATコインというサイトを閉鎖してVSSコインを立ち上げた可能性が当然考えられます。

総合的に判断して到底信用出来るサイトとは思えません。取引は避けるべきと結論します。


●Ontimcm (www.ontimcm.com/web/index.html#/login/login)

●garmacn (www.garmacn.com/h5/#/)

これら2つのサイトは上で検証したVSSコインのサイトと酷似しており、同じグループによるサイトと思われます。まとめて検証します。いずれもYahoo知恵袋に出てきた以下の質問で知ることになったサイトです。

2020年8月31日投稿 (Ontimcm)

早速これらの投稿で出てきたURLアドレスにアクセスしてみました。

この2つのトップページは表示言語選択のプルダウンメニューとログインあるいは登録の入力窓しかありませんが明らかに同じテンプレートから作られています。また上で検証したVSSコインのサイトとも明らかにテンプレートを共有しています。つまりこれら3つのサイトは同じグループによるもので間違いないでしょう。表示選択言語は3つのサイトで共通して中国語、英語、韓国語、日本語の4つになっています。

これら2つのサイトではこれ以上の情報を見るにはログインが必要になるようでログインなしで見られる情報は全くありません。一応はWho Is情報を確認してみました。

サイトの開設日 (Creation Date)はそれぞれ2020年7月8日と7月1日となっています。上で検証したVSSコインは開設日が2020年5月となっており、既に閉鎖されているのでOntimcmやgarmacnはVSSコインの後継的な形で用意されたサイトの可能性が高いです。いずれにしろこれらのサイトは全く情報開示がされていない上に互いに酷似したサイトが複数あるという状況からして到底信用出来るサイトとは思えません。これらのサイトでの投資は絶対に避けるべきと考えます。


●GHV Coin (GHVコイン www.ghvcoin.com/#/home/home-pc)

これもYahoo知恵袋に出てきたサイトです。上で検証しているVSSコイン、Ontimcm、garmacnという3つのサイトと似ている部分があるようなのでここで検証します。断言は出来ませんが同じグループによるサイトの可能性があるということです。まず知恵袋に出てきた投稿を引用します。

2020年9月3日投稿

Tinderで出会った中国人女性から勧誘されたという経緯は「検証63」以降で検証している一連の中国系の詐欺グループによる詐欺の典型例と思われました。この投稿にあったURLから調べてみると携帯電話用のサイトとパソコン用のサイトが存在していてかなり見かけが違うことが分かりました。さらにログイン画面も見つかってきました。以下にまずURLアドレスを示します。

携帯電話用トップページ:http://www.ghvcoin.com/#/home/home-phone

パソコン用トップページ:http://www.ghvcoin.com/#/home/home-pc

ログイン画面:https://www.ghvcoin.com/web/index.html#/

最後のログイン画面のURLアドレスは暗号化されていることを意味する「https」からURLアドレスが始まっていますが携帯用、パソコン用のトップページはいずれも暗号化されていないことを意味する「http」で始まっています。この時点で既に危ういサイトと考えざるを得ません。次に上記の3つのページについて冒頭部のキャプを示します。まず順序が逆ですが最後のログイン画面のキャプです。

表示言語の選択肢は中国語、英語、韓国語、日本語の4つです。このログイン画面は上で検証しているVSSコイン、Ontimcm、garmacnという3つのサイトのログイン画面とかなり似ています。下に再掲したOntimcmのログイン画面と比べると背景色は白と青で違いますが、右上に表示言語の選択肢 (中国語、英語、韓国語、日本語の4つ)がプルダウンメニューで示される形式、右側のログインあるいは登録を選択する窓などの類似性は偶然とは思えません。左側のイラストも雰囲気がかなり似ています。同じグループによるサイトである可能性は充分に考えられます。

次に携帯電話用のサイトをパソコンで見た場合のキャプとパソコン用のサイトのキャプを順に示します。携帯用のトップページとPC用のトップページはかなり見かけが違い、一見すると同じサイトとは思えません。

パソコン向けのサイトではこの冒頭部に続いて以下のような世界地図のイラスト付きで世界的に展開しているという説明が出てきます。

この世界地図のイラストで気が付きましたが上で検証し、既に閉鎖されているVSSコインのサイトにも似たようなイラストと説明がありました。左はVSSコインの検証からの再掲で残念ながらキャプの範囲に一部しか入っていませんけど同じとしか思われない世界地図のイラストが使われていたことが確認されます。このVSSコインのサイトでもグローバルな展開を説明する為の世界地図だったことが分かります。

GHVコインはやはりVSSコイン、Ontimcm、garmacnといったサイトと同じグループによるサイトの可能性が高いものと考えられます。


さらに既に閉鎖されているサイトなのですが、GHVコインと同じグループに属すると思われるサイトが少なくとももう1つは存在していたことが分かってきました。それが「検証63」にあるHOExの検証でも引用した「Scam Hunter」というサイトで取り上げられていたCHOTE Coin (CHOTEコイン chotecoin.com/)というサイトです。以下がその「Scam Hunter」のページからのキャプですがChoteコインのサイトがGHVコインのパソコン向けのサイトと酷似していたことが分かります。

「Scam Hunter」の記述によればこのCHOTEコインというサイトについてはマッチングサイトのTinderで周佳佳とかNicole (ニコル)と名乗る中国系の女性によって勧誘が行われ、CCTという仮想通貨の購入を推奨していようです。これは「検証63」の冒頭で説明した中国系の詐欺グループによる典型的な勧誘の手口に合致するものです。 

こうして調べてくるとGHVコインは既に複数の詐欺サイトを使って詐欺を繰り返してきた中国系のグループによるサイトの可能性が濃厚となりました。当然ですがGHVコインでの仮想通貨投資は絶対に推奨出来ません。また今後も同じグループによって似たような詐欺サイトが立ち上げられる可能性は充分にあるものと思われます。厳重な注意が必要です。


●OvalEx [MICコイン] (オーバルEX www.coinoval.com/pc/pages)

これも2020年7月にYahoo知恵袋の質問に登場した仮想通貨取引所のサイトです (以下のキャプ参照)。出会い系サイトのTinderで知り合った外国人に勧誘されたという「検証63」以降で検証している詐欺目的の仮想通貨取引所の多くと同じパターンで勧誘されたようです。

この取引所サイトでMICという仮想通貨を購入することを勧められたということでとりわけMICという仮想通貨について重点的に検証する必要があるものと思われました。とにかく以下が知恵袋の質問投稿にあったURLアドレスからアクセスしてみたオーバルEXのサイトの冒頭部分です。

表示言語の選択肢は英語、日本語、韓国語で中国語には非対応です。しかし表示される日本語はかなり不自然です。上のキャプに見えるようにMICという仮想通貨をPublic Offering (売り出し中) ということが書いてあります。さらにメニューバーには「白書」という項目があります。英語表示では「White Paper (ホワイトペーパー)」という表示になります (以下のキャプ参照)。

MICコインのホワイトペーパーが用意されているのだと考えて早速この「白書 (White Paper)」という項目をクリックしてみたのですが、ダウンロードされるファイルは壊れていて、意図的な破壊である可能性もあり、修復しようとすると危険であるという警告が出てくる、つまり悪意のあるファイルの可能性があるということでホワイトペーパーの内容を確認することが出来ず、MICという仮想通貨について情報を得ることが出来ません。まだMICについてはこの取引所で売り出しが始まったばかりと思われるので当然なのかもしれませんが仮想通貨データーベースのCoinMarketCapで探してもそれらしき情報が見つかりません。MICという略号の仮想通貨としてはMindexcoinという仮想通貨が見つかりますがMindexcoinが現時点で0.13円ほどで取引されていることになっているのに対し、以下のキャプに示したオーバルEXで取引されている22種類の仮想通貨リストを見るとオーバルEXで取引されているMICは1.87ドル=190円ほどで取引されていることになっていて全く相場水準が異なるので同じものとは思えません。

ついでにオーバルEXで取引されているMIC以外の仮想通貨を見るとビットコイン (BTC)、イーサリアム (ETH)、リップル (XRP)、ライトコイン (LTC)、ビットコインキャッシュ (BCH)、イオス (EOS)、イーサリアムクラシック (ETC)、ビットコインSV (BSV)、トロン (TRX)、ダッシュ (DASH)といったメジャーな仮想通貨も含まれていますが、CoinMarketCapで探しても何の情報も見つからないものがMIC以外にも幾つかあるようです。具体的にはFAGH、VEN、HPC、TD、BDの5つは略号が一致する仮想通貨の情報がなく、BTHとWBCは略号が一致する仮想通貨があるものの上場廃止されてしまったのか現時点では上場されていないという結果になります。さらに例えばDGDという略号の仮想通貨としてDigixDAOという仮想通貨が出てくるのですが、この検証を書いている時点での相場は6300円ほどであり、オーバルFXで2ドルほどで取引されているDGDと同じものとは思えません。結局オーバルEXで上場されている22種の仮想通貨の半ば以上は由来不明の実在が疑われるようなものということになってしまいます。

次にMICのチャートを確認してみました。まず以下は日足チャートですが1週間ほどの期間のチャートしか出てきません。しかも次の日まで待って確認してみましたが、日足チャートが表示されるのは常に一週間になっているようで翌日になると8日前の情報が削除されてしまうようです。

さらにビットコインの日足チャートも確認してみたところ、日足チャートの足が以下のキャプに示した様に常に2本しか出てこないようです。24時間以上前のデーターが削除されてしまう設定になっているのではないかと思われます。何故こういった設定になっているのか分かりませんがマトモな仮想通貨取引所のチャートとは思えません。

次に連絡先情報を探してみましたが例によって殆ど開示されていません。以下に示した脚注の一番右側にメールアドレスが2つあるだけです。しかもこれは無料登録出来るHotmailのアドレスです。マトモな取引所の連絡先情報とは思えません。

総合的に判断してオーバルEXは信頼出来る取引所とは到底思えません。詐欺目的で立ち上げられた取引所の疑いが濃厚ですし、MICという仮想通貨にも信頼できる要素が見当たりません。投資は絶対に避けるべきと判断します。


●ICE (www.icejy.com/#/)

●XL (www.xlbex.net/#/)

●Bitmoon (ビットムーン www.bitmoon.me/#/)

これら3つのサイトは同じグループによる兄弟サイトと思われるのでまとめて検証します。まず検証の端緒になったICEというサイトから検証を始めますが、これもYahoo知恵袋に質問投稿のあった仮想通貨取引所のサイトです。以下に示したのがそのYahoo知恵袋への投稿ですが友人に勧誘されたとあるだけで「友人」の素性については全く情報がありません。

さらに検索してみるとbitcointalkという英語の仮想通貨関連掲示板の中に同じサイトに関する質問投稿を見つけました。一部を抜粋引用します。まずは質問者による最初の投稿です。

Jason(ジェイソン)と名乗る質問者は「友人」から紹介されたサイトでレバレッジを掛けたビットコインの投資をやっていたが200ドルを2回出金した時には何の問題もなかったのに5000ドルあるいは1万ドルを出金しようとしたところマネーロンダリングの疑いがあると称して出金を拒否されたということです。

この投稿に対して使っていた取引所について問う回答が寄せられたことで質問者からその取引所のURLアドレスが示されました。

>Sure. Here is the site (https://www.icejy.com/#/). I cannot find any information that either verify its authenticity or flag it as scam. 

これはまさに本項の検証対象であるICEのサイトのURLアドレスです。このスレッドでもサイトを紹介した「友人」の素性については語られることがありませんでしたが、正当とは思えない理由で出金拒否に遭ったということですから危険性を感じないわけにはいきません。そこで調べてみるとこのサイトにはこれまで検証してきた中国系と思われる詐欺サイトとの類似点があることが分かってきたのでここで検証対象とすることにしました。

まずとにかくこれらのネット投稿にあったリンク先に行ってみました。以下のキャプがサイトの冒頭部でプルダウンメニューから選択出来る表示言語は中国語、英語、韓国語、アラビア語、日本語となっています。日本語はかなり不自然です。

そしてサイトを見て直ぐに既視感を感じました。「検証63」以降で検証してきた一連の中国系と思われるサイトと雰囲気が似ているのです。さらに連絡先情報を探すと以下のキャプに示した脚注の最後にメールアドレスが1つあるだけです。

>カスタマーサービスメールボックス: icekf02@yeah.net

このメールアドレスのドメイン名「@yeah.net」を調べてみるとこれは中国のネット関連企業である網易という会社が提供しているフリーメールアドレスであることが分かりました。さらに提携企業のリストと思われるものがありますが (以下のキャプ参照)、明らかに中国系と思われるロゴが並んでいます。

住所とか運営者に関する情報が何もなくてもこれは中国系のサイトとしか思えません。さらにこのサイトには以下のようなパソコンでもスマホでも取引可能であるということを説明する部分があります。

この画像と説明を見て「検証69」で検証したMotivated (モチベーテド)のサイトにあった以下の図を思い出しました。

同じ画像ではありませんが、パソコンでもスマホでも取引出来て複数のOSにも対応しているという説明の趣旨は同じです。さらに上のMotivated (モチベーテド)のサイトの画像を画像検索に掛けると同じ画像を使っている多数の兄弟サイトの発見に繋がったことを思い出し、ICEのパソコンとスマホの画像も同様に画像検索に掛けてみると予想したようにICEの兄弟サイトと思われるサイトが見つかってきました。以下はGoogleの画像検索の結果ですがICEのサイトを含め、4つのサイトが同じ画像を使っていることが判明しました。

但し上の検索結果の2番目にあるLINKBEX (https://www.linkbex.com/)というサイトは「HTTP Error 502 Bad gateway」というエラーメッセージが出てアクセスすることが出来ません。そこで残りの2つのサイト、XLとBitmoon (ビットムーン)を調べてみることにしました。これらが本項の表題の2、3番目のサイトです。まずICEも含めた3つのサイトの冒頭部を並べて比較してみます。

メニューバーの項目とか配色、表示言語選択のメニューバーなど3つのサイトで明らかに共通している部分がありますが、特に2番目のXLのサイトと最後のビットムーンのサイトは左上のロゴ以外、全く同じに見えます。

次に連絡先情報ですが、XLやビットムーンでもICEと同様に脚注にメールアドレスがあるだけです。

3つのサイトのこの脚注部は記載内容も書式も明らかに同じであり、連絡先情報はメールアドレスが1つあるだけです。ICEのメールアドレス (icekf02@yeah.net)が中国のネット関連企業である網易が提供するフリーのメールアドレスであることは既に指摘しましたが、XLのメールアドレス (xlbex01@163.com)も同じ網易が提供しているフリーメールのアドレスのようですし、最後のビットムーンのメールアドレス (8153117@gmail.com) もGoogleのフリーメール、gmailのアドレスです。マトモな仮想通貨取引所の連絡先とは思えません。繰り返しになるだけなので省略しますが3つのサイトには他にも明らかな共通点があり、3つのサイトが同じグループによる兄弟サイトであることは間違いありません。

言うまでもありませんがこれらのサイトは到底信用出来るとは思えません。取引は推奨出来ません。


●BST (www.baishitecoin.net/)

これもYahoo知恵袋に質問が出てきたサイトです。以下にその質問のキャプを示します。

情報はこれだけで勧誘してきた人物の素性も分かりませんがネットで知り合った人らしいことは分かります。とにかくこの投稿にあるリンクからサイトを訪問してみることにしました。以下がサイトの冒頭部のキャプです。表示言語の選択肢は英語と中国語のみです。

連絡先情報を探しましたが開示されている情報は以下のキャプにあるシンガポールの住所とメールアドレスだけで電話番号はありませんし、経営者情報もありません。

>Official website: www.baishitecoin.net

>Mailbox: bestserves118@gmail.com

>Address: Oue building, Singapore Financial Center

メールアドレスは無料で使えるgmailのアドレスでマトモな仮想通貨取引所のメールアドレスとは思えません。住所も検索してみましたが明らかに不完全な住所でしかも実在の住所かどうかも分かりません。「Oue building」は入居している建物の名称かと思われますが、シンガポールには「Oue downtown」という似た名称の高層ビルがあることは確認出来るもののこれが「Oue building」と同一かどうかさえ判断が付きかねます。

次に右に示したのはBSTで取引されている仮想通貨のリストですがビットコイン (BTC)、イーサリアム (ETH)、イオス (EOS)、リップル (XRP)、ダッシュ (DASH)、ジーキャッシュ (ZEC)といったメジャーな仮想通貨が並んでいますが、最後のHPBという仮想通貨が問題です。

仮想通貨データーベースのCoinMarketCapでHPBという略号の仮想通貨を調べるとHigh Performance Blockchain (HPB)という仮想通貨が見つかるのですが相場水準が全く異なります。すなわちHigh Performance Blockchain (HPB)はこの検証を書いている2020年の8月時点で1枚が18円程度で取引されています。これに対してBSTで取引されているHPBは下の日足チャートに見えるように1枚当たり3ドル弱、300円ほどで取引されているので別のHPBとしか思えません。

このBST取引所独自としか思えないHPBという仮想通貨の日足チャートを見ると上場初日と思われる2020年5月25日に3.6~3.7ドルほどで取引されていたのですが翌日にギャップダウンして2.6ドルほどになり、その後は徐々に上がっているというチャートになっているようです。そして気になるのは出来高の推移です。上場2日目から連日およそ100万枚の出来高が記録されているようで出来高の安定は異様と思えるほどです。特にアクセス状況を確認出来るサイトで調べてみるとサイトへの訪問者数は検出限界以下で非常に少ないという結果になります。このチャートが示すだけの取引が実際に行われているかどうか疑問です。

このサイトでの取引も推奨出来ないという結論にならざるを得ません。


※付記

2020年9月にBSTのサイトが閉鎖されていることを確認しました。また上で検証しているLUCKJUPITERCOIN.COM (ラックジュピターコインドットコム www.luckjupitercoin.com/)「検証77」で検証しているBit-unlimited (ビットアンリミテッド www.bit-unlimited.com/)はBSTと同じグループによるサイトである可能性が濃厚です。詳しい説明は「検証77」にあるビットアンリミテッドの検証を参照してください。