検証65

本ページで取り上げるサイトはいずれも仮想通貨取引所 (暗号資産交換業者) に該当すると思われますが、いずれも日本の金融庁が公表している暗号資産交換業者の登録リストに該当がありません。ここで検証するサイトの多くは日本語対応しており、さらに少なくとも一部のサイトについて日本人に向けた勧誘や被害報告が確認されていて単に無登録の違法業者であるというだけでなく、詐欺目的のサイトである疑いが極めて濃厚と考えられます。

▼本サイトでの検証は名誉棄損に当たらないと考えます。→ 雑記1

このページでは「検証63」「検証64」に続いてマッチングサイト (出会い系サイト) などで中国系美女、イケメン男性の画像を使った勧誘が行われていると思われる仮想通貨案件とその関連案件について検証します。「検証66」「検証67」「検証68」「検証69」「検証70」「検証71」「検証72」「検証73」「検証74」「検証75」「検証76」「検証77」「検証78」「検証79」「検証80」「検証81」「検証82」「検証83」「検証84」「検証85」「検証86「検証87「検証88」「検証89「検証90「検証91「検証92「検証93「検証94「検証95「検証96「検証97「検証98「検証99「検証100「検証101「検証102「検証103「検証104「検証105「検証106「検証107「検証108「検証109「検証110「検証111「検証112」「検証113」「検証114」「検証115」「検証116」「検証117」「検証118」「検証119」「検証120」「検証121」「検証122」「検証123」「検証124」「検証125」「検証126」「検証127」「検証128」「検証129」「検証130」「検証131」「検証132」「検証133」「検証134」「検証135」「検証136」「検証137」「検証138」「検証139」「検証140」「検証141」「検証142」「検証143」「検証144」「検証145」「検証146「検証147」にも続編があります。勧誘の手口に関する説明は「検証63」の冒頭にあります。次々とサイトを立ち上げて短期間で閉鎖するということを繰り返していると思われ、入金してしまうとお金を取り戻すのは非常に困難となる可能性が高いです。


●Wellbtc (www.wellbtc.vip/)

●AKSO [Aksoコイン] (www.akso.bz/#/)

●Woopay (www.woopay.app/)

●STbit (h5.shengtang24.com)

●BYFINEX (バイファイネックス www.byfinex.com/#/HomePage)

●NEWFBX (www.newfbx.com/#/)

●ZDNCOIN (www.zdncoin.com/)


それでは検証を始めます。

●Wellbtc (www.wellbtc.vip/)

●AKSO [Aksoコイン] (www.akso.bz/#/)

これは「検証64」で検証したCoinTen (コインテン)の検証をしている過程で偶然発見した以下のTwitterアカウントから知ることになった業者です。Akso Coin (Aksoコイン)という仮想通貨が詐欺であることを注意喚起する為のアカウントとなっており、このアカウントからの最初の投稿は2020年3月28日付になっています。

個別の投稿も幾つか引用します。

2020年5月16日投稿

これらの3件の投稿によればやはりTinderというマッチングサイトで女性による勧誘が行われているようです。それらの女性は母親などの家族がX Bankという会社のExecutive Officer (執行役員)という幹部職にあるので特別な情報を知っていると称しているようです。X Bankと聞くと「検証42」で検証対象にした日本のX Bank (http://xbank.tech/ ) という仮想通貨関連の企業がまず思い当たりますが検索してみると他にもX Bankという会社が海外にもあるようでどれがTinderで勧誘している女性の言うX Bankなのかどうかは不明です。そして本項目の標題にあるwellbtc.vipというサイトで取引されているAkso Coinという仮想通貨に投資することを勧められたようです。

3つ目の投稿にはreddit.comというサイトの掲示板へのリンクがあります。以下にスレッド最初の投稿のキャプを示しますが友人から勧誘されたとなっており、マルチ商法での勧誘が行われている可能性も考えられます。そしてここに表題にもしたAksoコインの公式サイトへのリンクがあります。当然このAksoコインのサイトも検証対象にします。

まずTwitterの投稿にあったリンクから仮想通貨取引所であるWellbtcのサイトに行ってみました。以下がそのサイトの冒頭部分のキャプです。英語のTwitter投稿で発見したサイトなのですがキャプ右上の言語選択に見えるように英語、韓国語に加えて日本語表示にも対応しています。

Yahoo知恵袋やTwitterの日本語投稿などにこのサイトやAKSOコインの投資勧誘に関する投稿がないか探してみましたが2020年5月半ば現在では見つかりません。しかし何しろ日本語対応のサイトですからこれから日本人に向けた勧誘が行われていく可能性は高いものと思われます。

まずWellbtcのサイトで連絡先情報を探しましたが全く情報がありません。口座を開設すれば何らかの情報が開示されるのかもしれませんがこれは論外だと思います。わずかに法的通知という項目には以下のキャプに示すようにシンガポールの法律に従うとあります。

シンガポールに本拠があることが示唆されますが、だとすればシンガポールの公用語である中国語やマレー語での表記に対応せず、対応言語が英語、韓国語、日本語だけであることに違和感があります。とにかく情報開示は到底適切とは言い難いです。

とにかくこのWellbtcのサイトを見ると確かにAksoコインのUSDT建てのチャートがあります。以下のキャプに示すのは日足チャートですが「検証63」「検証64」で検証してきたこの案件と同様にマッチングサイトで女性による投資勧誘が行われている幾つかの仮想通貨の場合と同様に不自然なほどに一本調子で右肩上がりのチャートになっています。詳しく見ると2020年3月16日に上場初値0.0730 USDTで上場され、この検証を書いている2020年5月半ば現在で1.62 USDTほどで取引されています。約2ヶ月で22倍に高騰したことになります。また毎日の出来高も他の事例と同様に不自然なほどに変動が少ないです。違和感を感じざるを得ません。

次にAksoコインの公式サイトとホワイトペーパーについてです。以下は公式サイトの冒頭部のキャプで表示言語は英語のみです。新型コロナで注目が集まっている感染症防御と関係のある仮想通貨らしく防護服姿の医療関係者と思われる人たちのイラストが使われています。また下のキャプの左下にはホワイトペーパーへのリンクが見えます。

まず連絡先を探しましたが、公式サイトにもホワイトペーパーにも全く見当たりません。しかし経営陣については公式サイトにもホワイトペーパーにも紹介があります。但しこの経営者情報がデタラメとしか思えないものなのです。まずホワイトペーパーでCEO (最高経営責任者) として紹介されているRyan Costaという人物の画像と略歴を下に示します。


一方で左のキャプは公式サイトにあるCEOの画像です。またこのCEOの写真に添えられている紹介文を以下に転記します。

>He graduated from the University of Munich with a master’s degree in finance. He has worked in finance for many years. He once served as the general manager of German Albert fund management company and took the lead in many large projects. 

2つのCEO紹介を見ると名前や役職が同じであるだけでなく、ミュンヘン大学のファイナンス専攻で修士学位を得たといった経歴も似ているのですが、この2つの画像を見る限り到底同じ人物とは思えません。さらに画像検索してみると公式サイトのCEOの画像は下に示したHoward Simmsという人物のLinked Inアカウントにある画像と一致することが判明しました。このHoward Simmsという人物はイギリスのオックスフォード大学を卒業して現在はApadmi Ventures (www.apadmi.com/) という会社のCEOであるとなっています。このLinked Inアカウントにも経歴があって現在は投資関係の仕事をしているとはありますがAksoコインを含む仮想通貨に関係するような記述は出てきません。

同様にCOOという肩書で経営陣紹介の2番目に登場するMark Woodという人物についてまずホワイトペーパーの紹介を以下に示します。

次に公式サイトにあるCOO、Mark Woodの画像と経歴です。

>Graduated from Bradford University School of management, one of the top management schools in the world, and obtained a bachelor’s degree in business management research. He has worked as a writer and analyst in a number of financial group companies.

名前や肩書は同じでBradford University卒業といった経歴は矛盾がありませんが画像はやはり同一人物と考えるには無理があります。この公式サイトの画像についても画像検索してみるとやはりLinked Inのプロフィール写真に一致するものが見つかってきました。以下はAgenda Mediaという企業でManagerの役職にあるAdam Rowlandという人物のLinked Inアカウントの冒頭です。プロフィール画像はAksoコイン公式のCOOの画像と同じものでしょう。

少なくともCEOとCOOの2名についてはどちらが本名なのか、どちらが正しい経歴なのかあるいは両方とも虚偽なのかさらには実在の運営陣であるかどうか極めて疑わしいと考えざるを得ません。さらに調べてみるとこれらの人物たちの画像は以前に別の仮想通貨案件でも使われていたことが判明しました。以下はICOHOLDER (https://icoholder.com/ja)という仮想通貨のICO (新規上場) に関する情報を集めたサイトで見つけたBidooh (DOOH) という仮想通貨に関する情報の概要部分と運営陣の紹介の抜粋です。広告関連の仮想通貨のようです。

上のキャプに出ている9人の運営陣の内、まず左上にChairmanという肩書でMichael Edelsonという人物の画像がありますがこれはAksoコインのホワイトペーパーでCEO (最高経営責任者) のRyan Costaとして出ていた人物の画像と同じものでしょう。

またAksoコインの公式サイトでCEOのRyan Costaとして紹介されていた人物がこのBidoohという仮想通貨案件ではLinked InのアカウントにあったHoward Simmsという名前で登場しています (3段目中央)。Aksoコインの案件では同じ名前と肩書を名乗っていた2人の人物がBidoohの案件では別の名前と肩書を持つ別個の人間として登場していることになります。最後にAksoコインの公式サイトでCOOのMark Woodとして出ていた男性の画像がBidoohの案件ではLinked Inアカウントにあったのと同じAdam Rowlandとして出てきています。非常に怪しげな状況としか思えません。

そしてこのBidooh (DOOH)という仮想通貨について調べてみると仮想通貨データーベースのCoinCapMarketに情報は見つかるものの現時点での相場とか時価総額など基本的な情報が何もありません。どうやらBidooh (DOOH)という仮想通貨はかつては上場されていたこともあったと思われますが現在は上場廃止になっているのだと思われます。CoinMarketCapの情報にあるリンクからBidoohの公式サイト (bidooh.io/)にも行ってみましたが以下のキャプに示したようにunder development (準備中)とあるだけで何も情報がありません。

また以前はこれ以外に別のURLアドレスでBidoohの公式サイトが存在していた形跡も見つかります。例えば検索でBidoohのLinked Inアカウントが見つかります。情報を抜粋して以下のキャプに示します。

このLinked InアカウントにあるURLアドレス (www.bidooh.com) はCoinMarketCapにあったURLアドレス (bidooh.io/) とは明らかに別個で既に閉鎖されています。閉鎖は比較的最近のことであったらしく、以下はGoogleのキャッシュに残っていたサイトの冒頭部のキャプです。人間の性別や年齢などを認識して表示内容を変更する双方向電子看板 (インタラクティブサイネージ) に関する事業をやっていたようで事業資金を仮想通貨 (?) の発行によって調達していたのではないかと思われます。

またイギリスのマンチェスターが所在地となっているので以下に示したイギリスの法人登録を探してきました。この法人の経営者はMichael EDELSONとなっているのでこれがここで取り上げているBidooh社であることは間違いないでしょう。しかしこの法人登録を見ると法人登録を維持するのに必要な書類の提出がなかったということで法人登録取消寸前の状態になっています。ちなみに登録取消が出た後の2020年5月4日にマンチェスターから移転しているようです。

情報を集めてみるとBiodoohの事業は既に破綻していると考えざるを得ません。そしてこのBidoohという仮想通貨を破綻させたと思われるグループがAksoコインの運営にも関与している可能性が高いということになります。上場しているWellbtcという取引所も信頼出来るものとは思えません。Aksoコインへの投資は到底推奨出来ません。尚、AksoコインやBidoohに関与していると思われるグループは以下で検証しているWoopayという案件にも関与している可能性が高いです。併読してください。



●Woopay (www.woopay.app/)

これは上で検証しているAksoコインの案件について調べていて見つかってきた案件です。すなわちAksoコインと同じグループによる仮想通貨関連案件と思われます。まず以下がサイト冒頭のキャプです。キャプの右上に表示言語選択のプルダウンメニューが見えますが選択肢は中国語と英語のみで日本語表示には対応していません。検索してみましたけどこの検証を書いている2020年5月半ばの時点で日本でこの件について勧誘が行われていることは確認出来ませんでしたが今後勧誘が行われる可能性はあります。キャプの一番下には英語版しかありませんがホワイトペーパーへのリンクを確認出来ます。

54ページもあるホワイトペーパーを読破するつもりにはなれないのですが、ざっと見る限りは単に決済システムとしての普及を目指しているようです。発行枚数などについては公式サイトの「Development Plan」の項目、あるいはホワイトペーパーの37ページに以下の記述があります。以下はホワイトペーパーの抜粋です。

緑色の下線で強調したところに書いてあるように7億枚のトークンを発行してその内の1000万枚だけをICOで販売するとなっています。そして赤い下線で強調したところにあるように最初はイーサリアムのシステムを利用したERC20トークンとして発行し、後に独自のブロックチェーンに移行すると書いてあります。そこで「検証64」のFSチェーンの検証でも利用したEtherscan (etherscan.io/) というサイトでWoopayを検索してみましたが右のキャプに示したように該当がありません。

次に連絡先情報を探しましたが公式サイトにもホワイトペーパーにも全く見当たりません。但し経営者情報については公式サイトに経営陣6名の紹介、ホワイトペーパーには7名の紹介があります。そしてこの経営陣紹介が大問題です。以下は経営陣紹介で創業者兼CEO (最高経営責任者)として紹介されているKris Marszalekという人物の画像と画像に添えられている簡単な紹介です。

アメリカのペンシルベニア生まれで同じくアメリカのスタンフォード大学でコンピューターエンジニアリングを専攻し、Google社に2005年~2012年まで勤務していたとか、リーマンブラザーズとかバークレーなどの投資銀行で勤務していたこともあるなどと書いてありますが、この画像はどう見ても上で検証したAksoコインのホワイトペーパーでCEOのRyan Costaとして紹介されていた人物の画像 (下に再掲) と同じです。同時にやはり上で登場したBidoohの案件ではChairmanという肩書のMichael Edelsonという人物の画像とも同じです。

もう1度この画像の人物について3つのプロジェクトでの情報をまとめると以下のようになります。

▼Aksoコイン

氏名:Ryan Costa

役職:CEO

学歴:ドイツ・ミュンヘン大学で修士学位

▼Bidooh

氏名:Michael Edelson 

役職:Chairman

学歴:不明

▼Woopay

氏名:Kris Marszalek

役職:CEO

学歴:アメリカ・スタンフォード大学卒業

名前が異なるだけでなく、役職や学歴も全く異なるのに同じ画像が使われているというのはあまりにも異様です。いずれの情報も全く信用出来ません。さらにWoopayの運営者情報で2番目に出てくるのは以下のキャプに示した共同創業者のSean Rachという人物です。

改めて指摘するまでもないと思いますがこの画像は上で検証しているAksoコインのホワイトペーパーでCOOのMark Woodという名前の人物の画像として出てきた画像と全く同じです。こちらもキャプを以下に再掲します。

ちなみにAksoコインのホワイトペーパーではイギリスのブラッドフォード大学卒業となっていましたが、Woopayのホワイトペーパーではアメリカのオハイオ州生まれでプリンストン大学卒業となっています。どう見ても同じ画像なのに名前も経歴も全く異なることになります。こういった状況ではどちらかが正しいという可能性より両方ともデタラメという可能性が高いように思われます。

Aksoコインへの投資と同様にWoopayへの投資は全く推奨出来ないという結論にならざるを得ません。


●STbit (h5.shengtang24.com)

2020年5月にYahoo知恵袋に出てきた以下の質問で知った仮想通貨取引所です。出会い系アプリで知り合った中国系の美人に勧誘されたという経緯はまさに「検証63」「検証64」から検証してきた多くの取引所に共通した経緯と言えると思います。

この質問投稿にあったリンク先がSTbitという仮想通貨取引所のサイトになっています。以下はサイト冒頭のキャプですが「世界をリードする仮想通貨取引所」と書かれています。

しかしSTbitが本当に「世界をリードする仮想通貨取引所」であるかどうかは疑問です。まず右のキャプはSTbitのサイトのドメイン情報ですが登録年月日 (=サイトの開設日)が2020年4月7日とこの検証を書いている時点で2ヶ月も経過していません。そしてアクセス状況を解析出来るサイトで調べてみると以下のキャプに示したように1日の独立訪問者数が約45人という結果になります。

そして例によって連絡先情報を探しましたが殆ど情報がありません。このサイトにはメニューバーがなく、代わりに左側にサイドパネルが出てくる非常に分かりにくい形式のサイトなのですが、そのサイドパネルの一番下、「Contact us」の下に薄い活字で非常に見にくいですがメールアドレスだけ書かれていることに気が付きました (右のキャプ参照)。

>stbitbank@gmail.com

しかもこれは無料登録出来るgmailのメールアドレスです。これ以外には住所、電話番号などの連絡先情報とか運営者情報、さらには金融ライセンスに関する情報などは全く見当たりません。少なくともログインせずに閲覧出来る範囲で情報は開示されていないようです。これは論外の状況としか思われません。

そして以下はSTbitで取引可能な仮想通貨ペア、7種類のリストです。

全てドルペックのステーブルコインであるUSDTとの取引となっており、BTC (ビットコイン)、ETH (イーサリアム)、ZEC (ジーキャッシュ)、DASH (ダッシュ)、XRP (リップル)、EOS (イオス) といった仮想通貨データーベースのCoinMarketCapで時価総額メジャーな仮想通貨が並んでいますが、3番目にあるYGBという仮想通貨についてはCoinMarketCapを見ても情報がありません。また仮想通貨取引所であるはずのSTbitも同様にCoinMarketCapに登録がありません。

このYGBという仮想通貨の日足チャートを以下に示します。

このチャートによれば2020年3月5日に初値 5.9 USDT (=5.9ドル)ほどで上場され、その後は上場初値を1度も上回ることなく下落傾向を示して2020年5月下旬現在で4.6 USDT (=4.6ドル) 近辺で取引されていることになっています。しかし上で書いたようにSTbitのサイトが開設されたのは2020年4月7日ということになっています。それより1ヶ月も前にYGBコインの取引が始まっているというのはどういうことなのでしょうか?チャートは別の取引所でのチャートなのでしょうか?YGBコインが取引されている仮想通貨取引所が他にもあるのでしょうか?

さらにこのチャートで最も違和感を感じるのは毎日の出来高です。毎日安定して170万枚ほどのYGBが取引されていることになっています。現在の4.6ドルほどの相場で考えても780万ドル、約800億円ほどの取引が毎日行われていることになります。さらに以下は5分足チャートです。

5分足チャートでもローソク足チャートが間断なく描かれているということで5分単位で区切ってみても何度も取引が繰り返されていることになるはずです。しかし上で書いたようにSTbitのサイトへの毎日の独立訪問者数は約45人という結果が出ているのですから本当にこれだけ頻繁に毎日このYGBコインだけで800億円ほどの取引があるなんて到底考えられません。訪問者の全てがYGBコインを取引したとしても1人当たり17~18億円ほどの取引をしているということになってしまいます。

このチャートが他の取引所での取引データーによるものである可能性も考えられないことではありませんが、既に書いたようにこのYGBという仮想通貨を取引出来る取引所は他に確認されていません。

総合的に考えてこのSTbitという取引所の信用度は高く評価できません。冒頭で紹介した知恵袋の投稿で出会い系アプリで中国系の美人に勧誘されたという経緯があったことも含めて詐欺の為に立ち上げられた事業実体のない幽霊取引所の可能性を疑わざるを得ません。取引は絶対に推奨出来ません。


●BYFINEX (バイファイネックス www.byfinex.com/#/HomePage)

これもYahoo知恵袋に出ていた質問で知ることになった仮想通貨取引所です。勧誘された経緯の詳細は不明ですが、勧誘してきた友人は日本人だったそうです。

以下は「byfinex」を検索して見つけてきたサイトの冒頭です。メニューバーの右端に「English」とありますが表示言語の選択肢は他に用意されておらず、英語表示だけの様です。

まず連絡先情報を探しましたが何も見つかりません。少なくともログインしない状態ではメールアドレスさえ開示されないようです。ライセンスとか経営者情報も全く見つかりません。以下のキャプに示したWho Is情報を見るとサイトの開設日 (Creation Date) が2020年4月24日と非常に新しいことが判明しました。この検証を書いている時点で1ヶ月ほどしか経過していないことになります。

サイトが公開されてからまだ間もないので当然なのでしょうけどアクセス状況を解析出来るサイトで調べてみると以下のキャプに示したように殆どアクセスがありません。

次にBYFINEXで取引されている仮想通貨のリストを以下のキャプに示しました。ドルペックのUSDTとの取引で8種類、ビットコイン(BTC)との取引で3種類が上場されているようです。

ビットコイン (BTC)、イーサリアム (ETH)、DASH (ダッシュ)、EOS (イオス)、LTC (ライトコイン)、ADA (エイダ)、XRP (リップル)といった時価総額上位の仮想通貨が並んでいますが、ただ一つ、DCDBという耳慣れない仮想通貨が取引されているのが気になります。このDCDBという仮想通貨については仮想通貨データーベースのCoinMarketCapで探しても該当がありませんし、Googleで検索してもそれらしき情報が出てきません。さらに取引所としてのバイファイネックスもサイトが立ち上げられたばかりで当然かもしれませんがCoinMarketCapの仮想通貨取引所のリストに該当がありません。

とにかくこのDCDBという仮想通貨の日足チャートを見ると (以下のキャプ参照) 2020年5月8日上場に上場初値 0.2002 USDT (=0.2002ドル)で上場された後、右肩上がりで価値が上昇し、現在は7.3000 USDT (=7.3ドル)で取引されていることになっています。わずか1ヶ月弱で36倍以上の暴騰です。

一方で気になるのは出来高です。以下はDCDB-USDTの出来高の推移ですが、上場3日目には28万枚以上が取引されたものの上場1週間ぐらいで出来高が激減しています。

これだけ上昇率が大きければ出来高も膨らんでくるのが自然だと思うのですが、逆に出来高はどんどん細っているというのは解せません。さらに不自然なのが以下に示した1分足のチャートです。

1分足チャートで見ても毎分取引が成立していて1分毎の出来高が12~20枚程度で殆ど一定しているというのはどういうことなのでしょうか?数枚程度のかなり小口の取引ばかりが毎分繰り返されていることになり、非常に不自然です。既に指摘したようにバイファイネックスのサイトへのアクセスは非常に少なく、DCDBコインが他の取引所で上場されていることも確認出来ません。

このチャートは実際の取引を反映しているとは到底思えません。バイファイネックスは悪意を持って用意された幽霊取引所ではないかと疑わざるを得ず、取引は全く推奨出来ません。特にこのDCDBという仮想通貨の取引は絶対に避けるべきでしょう。


●NEWFBX (www.newfbx.com/#/)

●ZDNCOIN (www.zdncoin.com/)

これらもYahoo知恵袋に出ていた投稿で知ることになった仮想通貨取引所です。知恵袋に投稿が出てきた時期にはかなりずれがありますが明らかな相同性があり、同じグループによるサイトと考えられるのでまとめて検証します。まずNEWFBXについては2020年5月に2件の投稿が出ています。

2020年5月13日投稿 (NEWFBX)

ZDNCOINについては2020年9月に出金出来なくなったという投稿が出ています。さらにこの質問投稿への回答としてやはりZDNCOINから出金出来なくなったという報告が出ています。以下にかなり長いですがキャプを示します。

必ずしも情報が明確ではありませんがネットで知り合って仮想通貨投資を勧誘されたという経緯は「検証63」以降で取り上げている一連の中国系の詐欺グループによると思われる詐欺案件と似ているようです。とにかくNEWFBX、ZDNCOINで検索して出てきたのが表題の2つのサイトです。以下はそれら2つのサイト、順にNEWFBX、ZDNCOINの冒頭部のキャプで明らかに互いに酷似しており、いずれも中国語、英語、日本語、韓国語での表示に対応しています。

2つのサイトが互いに似ているのはこの冒頭部だけではありません。例えば冒頭部に続いてはサイトの特長をイラスト付きで3項目にまとめている部分があります。以下順にNEWFBX、ZDNCOINの特長を説明する部分のキャプを並べてみましたが互いに区別出来ません。

この2つのサイトは同じグループによるサイトと考えて間違いないと思われます。次に連絡先情報を探すと「About Us」のページに以下の記述を見つけました。2つのサイトの記述と最初の文章を書きだしたものを並べます。まずNEWFBXの場合です。

>NEWFBX Cryptocurrency Perpetual Contract Exchangeはオーストラリアに本社を置き,ニュージーランド,フィリピン,香港に3つの主要な運用センターがあり,世界中に市場サービスが広がっています。

次にZDNCOINの場合です。

>zdncoin Cryptocurrency Perpetual Contract Exchangeはオーストラリアに本社を置き,ニュージーランド,フィリピン,香港に3つの主要な運用センターがあり,世界中に市場サービスが広がっています。 

要するに2つのサイトの記述は業者名が入れ替わっているだけで全く同じです。オーストラリアに本社があるとなっていて他にニュージーランド、フィリピン、香港に運用センターがあるとなっています。具体的な連絡先情報は脚注の部分にメールアドレスとオーストラリアの住所が1つだけ記されています。まずNEWFBXの場合です。

>SKYPE:newfbxserver@gmail.com

>メールボックス:newfbxserver@gmail.com

>Address: Tower 1 35 100 Barangaroo Ave Barangaroo NSW 2000

次にZDNCOINのサイトの脚注にあるメールアドレスとオーストラリアの住所です。

>メールボックス:zdncoinservice@gmail.com

>Address: Tower 1 35 100 Barangaroo Ave Barangaroo NSW 2000

オーストラリアの住所は両者で同じ住所になっています。そしていずれの場合も電話番号がありませんし、ニュージーランド、フィリピン、香港の拠点については全く情報がありません。さらにメールアドレスはいずれも無料登録出来るgmailのアドレスです。仮想通貨取引所の連絡先として論外でしょう。さらに両者で一致しているオーストラリアの住所を検索してみると以下のキャプに示しましたがServcorpというバーチャルオフィス業者の拠点の住所と一致するようです。この住所にNEWFBXやZDNCOINの事業実体があるかどうか極めて疑問です。名目だけの架空住所の疑いが濃厚です。

さらにオーストラリアの法人登録をAustralian Business Registerのサイトで探してみましたがNEWFBXについてもZDNCOINついても以下のキャプに示した通り、該当が見つからないという結果が出ます。

オーストラリアに本社があるという主張は全く確認出来ないという結論になります。ちなみに経営者情報は全く開示されていません。オーストラリアに本拠があるという主張は疑わざるを得ませんがNEWFBXのWho Is情報には所在地に関して断片的な情報が見つかります。以下のキャプの一番下の赤枠で囲った部分が問題です。

>Registrant State/Province: Fujian

>Registrant Country: CN

これは登録者の所在地が中国の福建省であるという意味になります。やはりこれらのサイトの運営元はオーストラリアではなく中国にある可能性が高いように思います。

総合的に判断してNEWFBXやZDNCOINを仮想通貨取引所として信用することは難しいです。最初に引用したYahoo知恵袋への投稿では出金出来ないという証言も出てきていますし、これらの取引所での取引は絶対に避けるべきと判断せざるを得ません。