検証28

このページでは以下の3件を検証します。

●Fine Coin (ファインコイン finecoin.io/)
●ONEm [mCoin mコイン] (www.onem.com/mcoin/japanese/mcoin.global/japanese/)
●Vestarin (ヴェスタリン www.vestarin.io/jp)


まずファインコインの検証から始めます。

●Fine Coin (ファインコイン finecoin.io/)

Youtubeに多数の英語勧誘動画がアップされていて日本語での勧誘は殆ど見つからないのですが何故か日本から公式サイトへのアクセスがかなり多いようなので検証することにしました。

上のサイトの冒頭部のキャプに見られるように「Europe's Finest CryptoCurrency」とあって欧州に投資するという説明なのですがアクセス状況を解析出来るサイトで見るとアメリカ、日本、インド、カナダと上位4位までが欧州以外からのアクセスで、5位にようやくイギリスが入っています。日本からのアクセスは訪問者の17.5%、ページビューの12.6%とかなりの割合を占めています。

サイトのWho Is情報を見るとサイトの開設日(Creation Date)が2017年12月9日と非常に新しいことが分かります。登録者名はName Cheapというドメイン取得業者になっていて本当の登録者名については隠されています。

公式サイトやダウンロード出来るホワイトペーパー(事業計画書)を見ても連絡先情報は全くありません。FAQの中に以下の様な項目があります。

>Where can we find information about the team?

>We will publicly introduce our team members as well as other information about the company, its headquarters and details of the project in the short-term future. This is because certain members of our team work only for a short timeframe and it would be wise to present to you only the team members that form the core of the team. At this moment your trust and willingness of participation is what will reward you in the best possible way.

要約としては「会社の経営・開発陣に関する情報は何処にあるのか?」という質問に対し、経営・開発陣の情報や会社情報は近い将来に開示するとなっています。何故かと言えば経営・開発陣の何人かは短期間だけ会社と関与しているので核となるメンバーだけを紹介するべきと考えているからとか書いてありますけど全く納得出来ません。何故経営陣や会社の所在地、電話番号を含む連絡先情報を明らかに出来ないのでしょうか?

それ以外に唯一連絡先情報に繋がりそうなものとしてはFacebook、Twitter といったSNSのアカウントが記されています。

そこでまずTwitterのアカウントを見ると左のキャプで赤枠で囲んだところに所在地がバルト三国の1つであり、IT技術先進国と言われるエストニアであるような記述があります。しかしこれ以上の詳しい所在地情報は見つかりません。

一方でFacebookのアカウントを見ると下のキャプに示すように「基本データー」というところにGoogleマップが示されています。このマップを拡大するとどうやらオランダのアムステルダムの地図のようです。確かに欧州の中ではありますが、エストニアとオランダでは全く異なる場所であり、適当にごまかしているとしか思えません。

連絡先情報の開示は明らかに不充分で信用出来ません。

そしてホワイトペーパーを見るとファインコインを持っていれば開発した「trading bot (トレーディング・ボット=トレード用のソフト?)」によって利益を出して配当を払うなどと書いてあります。投資の対象は不明確ですが仮想通貨ではないかと思われます。

さらにコインを保有しているだけで得られる具体的な投資利回りとして初年度は100%以上、2年目は30~60%、3年目と4年目は15~20%になるだろうといった記述がホワイトペーパーにあります(右のキャプ参照)。

>Staking earnings wil be more than 100% in the first year, 30-60% the second year and 15-20% the third and forth year.

一体何を根拠にこんな途方もない利回りが得られるというのか、開発したトレーディング・ボットの実績や売買の対象に関する情報が何もないのに信用する気には全くなりません。

さらに矛盾するとしか思えないのですがホワイトペーパーには右のキャプに示すようにファインコインの販売で得た資金の55%を宣伝目的に使用するとも書かれています。

また誰かを勧誘することで得られるレファレル・ボーナスも直接紹介で得られる最低の5%から多くの人を勧誘することで報酬率が上昇して最高は以下のキャプに示すように40%に達するとなっています。

資金の過半を宣伝広告に使ってしまう上に高額の販売報酬を出すのにどうして年間に100%を超えるような配当が可能だというのでしょうか?常識的に考えてこれは到底有り得ない話としか思えません。

またファインコインの売り出し価格は以下のようになっています。

2018年1月20日 Pre-ICO 0.45ドル

2018年1月25~29日 First ICO 0.5ドル

2018年1月30日~2月3日 Second ICO 0.8ドル

2018年2月4~8日 Third ICO 1ドル

2018年2月9~13日 Forth ICO 1.2ドル

欧州の会社のはずなのに何故か売り出し価格はドル建てというところにかなりの違和感を感じます。そして0.45ドル~1.2ドルで売り出すコインの価格がホワイトペーパーの「ロードマップ」の項目によれば2018年2月には25ドルを目指し、2018年4月には70ドルを目指すと書いてあります。

ホワイトペーパーにはコインの価格は需要と供給で決まるとも書いてあるのに何を根拠にこんなべらぼうとしか思えない値上がりが期待出来るという主張が可能なのでしょうか?

総合的に考えてこんなに高い投資利回りやコイン相場の急激な値上がりは夢物語としか思えません。積極的な証拠はなくてもポンジースキーム(自転車操業方式の詐欺)を疑わざるを得ません。さらに「検証24」で取り上げたビットコネクト等の例に照らしてこういった配当を出す仮想通貨は金融商品として規制されるべきものでしょう。

そして実際に公式サイトにはこの検証の材料を集め始めた当初にはなかった以下の様な声明が最近出てくるようになりました。おそらく同様に配当を出す仮想通貨のビットコネクトなどが法的に規制されたことを反映してかと思われますがコイン購入者の9割以上が合法性を求めているという投票結果が出たのでホワイトペーパー、公式サイトや勧誘動画の改訂を行い、事業を法律に沿ったものにすると書かれています。

さらに声明文は2018年2月9日頃に改訂され、希望者から15万枚のファインコインを平均0.53ドルで買い戻したといったことが書いてあります。

さらにホワイトペーパーも改訂されたと書いてあるので確認しましたが配当利回りについては若干変更されているものの改定後のホワイトペーパー(version 2)でも最初の半年は(年利回り?)100%といった到底信じ難いような高利回りの配当を出すという記載が確認されます。

明らかに不充分な会社情報の開示、到底信用する気になれない高配当、合法性にも大きな疑問があることなどを考えるとこの件への投資は全く推奨出来ません。


ネットで日本語のバナー広告を見かけたことから検証対象にしてみました。

バナー広告だけでなく公式サイトにも日本語版が存在していて日本からの投資を期待していることが分かります。

さらに日本語のプレスリリース記事も出ています。上のキャプにもあるように「インターネットなしで利用できる世界初の仮想通貨」としてmコインという仮想通貨を売り出すようです。

この企業には公式サイトらしきものが2つ(www.onem.com/mcoin/japanese/mcoin.global/japanese/)ありますが2つのサイトは基本的に同じに見えます。これらプレスリリース記事、公式サイトと英語版しかありませんがPDFファイルでダウンロード出来るホワイトペーパープレゼンテーション用の資料を主な検証対象にします。

まず例によって会社の所在地情報ですが、公式サイトやホワイトペーパーを見てもそれらしき情報が見当たりませんでした。但し例えばホワイトペーパーの7ページ目にCompany Profileという項目があって

>ONEm was established in 2012 in the United Kingdom. It is headquartered in the City of London's financial district and neighbouring Tech City.

「ONEmという企業は2012年に英国で創立され, 本社はロンドンの金融街、テック・シティの近くに位置する。」といったことが書かれています。そこでイギリスの法人登録を見ることが出来るサイトで「ONEm」という企業名を検索すると以下のキャプに示す法人登録を確認しました。

「ONEm」という社名だけでは他に「ONEM CONSUTING LIMITED」という法人の登録が見つかりますが、こちらは創立が2011年でホワイトペーパーにあった「2012年会社創設」という記載と一致しませんし、2014年7月に「Dissolved (解散)」になっています。

これで法人登録上の住所(80-83 Long Lane Long Lane, London, England, EC1A 9ET)が判明しました。住所の一部(Long Laneの部分)が重複しているのは何かの間違いでしょうか?

そこでこの法人登録上の住所を調べてみると「Company House Data」というサイトによれば以下のキャプに示すように116もの企業が登録されていることが分かります。

そこでこの住所をさらに調べるとこの住所にはCarbon Accountancyという公認会計事務所があることが分かりました。

この住所に多数の法人が登録されているのはこの会計事務所が法人登録業務を行っている為ではないかと思われます。つまりこの住所にONEm社を含む多数の法人は実在していない可能性が高いです。

そこで再度ONEm社のサイトを見直すと見落としていた所在地情報があることに気が付きました。ロンドン、アラブ首長国連邦のドバイ、ルーマニアのブカレストの3つの住所が記されており、ロンドンに本社があることになっていますがロンドンの住所は法人登録にあった住所と全く異なります。

>London HQ Office

>60 New Broad Street, 1st Floor, London EC2M 1JJ, United Kingdom

>Tel: +44 203 691 7136

>Dubai Office

>B-209 DSO HQ Bldg., Dubai Silicon Oasis. Dubai - UAE

>Tel: +971 4 371 2806

>Bucharest Office

>Str. Stirbei Voda, Nr. 114-116, Partea B, Etaj 2, Sector 1, Bucharest - Romania

早速ロンドン本社の住所を調べてみましたが、この住所にも法人登録を確認出来るサイトで住所検索してみるとかなりの数の事業者が存在していることになっているようです。またこれは「Target Space」というバーチャルオフィス業者の住所と一致するようです。

つまりこの法人登録と一致しない住所にも「本社」が実在するかどうかはかなり疑問です。ONEm社の本拠がロンドンに実在しないのではないかと疑いたくなる根拠は他にもあります。上で引用した法人登録にはOfficer (役員)に関する情報があって現役役員として以下の3名がリストされています。

>IBRAHIM, Hatim Eltahir

>Correspondence address PO Box 341305, B208, Dso H. Q., Dubai Silicon Oasis, Dubai, Dubai Silicon Oasis, United Arab Emirates, 1105

>Role ACTIVE Director

>Date of birth February 1965

>Appointed on 25 June 2012

>Nationality Sudanese

>Country of residence United Arab Emirates

>Occupation Coo (最高執行責任者)

>RICHARDSON, Christopher Robin

>Correspondence address 80-83 Long Lane, Long Lane, London, England, EC1A 9ET

>Role ACTIVE Director

>Date of birth May 1956

>Appointed on 25 June 2012

>Nationality American

>Country of residence United Arab Emirates

>Occupation Ceo (最高経営責任者)

>TIEN, My-Hoa

>Correspondence address 80-83 Long Lane, Long Lane, London, England, EC1A 9ET

>Role ACTIVE Director

>Date of birth October 1989

>Appointed on 30 October 2014

>Nationality British

>Country of residence United Kingdom

>Occupation Cco (チーフコンテンツオフィサー?)

3名の役員の内、最も上位と思われるCEO (最高経営責任者)のRichardsonという人物はアメリカ国籍で居住地がアラブ首長国連邦、連絡先はロンドンの法人登録の住所です。ポジション的に2番目と思われるCoo (最高執行責任者)のIbrahimという人物はスーダン国籍でやはり居住地がアラブ首長国連邦、連絡先もアラブ首長国連邦になっています。そして3番目のTienという人物のみがイギリス国籍でイギリス在住、連絡先住所は法人登録の住所です。

役員の上位2名がアラブ首長国連邦在住なのに会社がイギリスに存在していることになっていて、しかもそのイギリスの住所がバーチャルオフィスの住所と一致しているという状況には首をかしげざるを得ません。

またこのONEmという企業は2012年創立なのにこれまで何をやってきたのか調べてもよく分かりません。インターネット接続が難しい国、地域で携帯電話にインターネットに近い環境(Internet-Like System, ILS)を提供するといった事業が説明されているのですが私個人に技術的な知識がないにしても概念的な説明だけで具体的に何を販売して収益源にしているのか全く理解出来ません。これは機器や設備を売るハードの会社なのか、それともシステムなどを開発しているソフトの会社なのかさえも把握出来ません。

さらに例えばONEmの公式サイトにはアメリカの巨大電話会社であるAT&TとONEm社が提携してAT&T社のユーザーにサービスを提供するという2017年6月付の記事があるのですが、この提携について確認することが出来ません。

AT&Tの公式サイトで「ONEm」を検索しても全く情報が出てきませんし、

Googleのニュース検索機能をつかってONEm社とAT&Tの間での業務提携(?)のニュースなどを探してみましたが全く確認出来ないのです。ONEm社は2017年の後半以降に始まったと思われる仮想通貨発行事業以外に本当に実体のある企業なのでしょうか?何やら非常にモヤモヤしたものを感じます。この件への投資には慎重な情報収集と判断が必要と結論せざるを得ません。

●Vestarin (ヴェスタリン www.vestarin.io/jp)

右のキャプにあるバナー広告を見て検証対象としました。細かいことかもしれませんがビットコインと別の仮想通貨のはずなのにビットコインの画像が広告に使われていることに違和感が感じます。海外からのICO案件ですが公式サイトには日本語版が用意されており、アクセス状況解析サイトで見ると公式サイトへのアクセスの内、日本からのアクセスが訪問者数の22%余、ページビューの25%を占めて最も多いようです。

日本語での勧誘サイトも幾つか確認され、これらのサイトも日本からのアクセス増に貢献しているものと思われます。

Crypto Currency News

Crypto Coin Portal

ICO爆上げ情報

まず例によって連絡先情報を探しましたが公式サイト、ホワイトペーパー(PDFファイル化はされておらず公式サイトの一部でしかない。)を見ても連絡先情報は全く見当たりません。何処の国の企業なのかさえ不明です。

そこでリンクされているSNSの類を調べてみるとヴェスタリン社の公式Twitterアカウントには何も連絡先情報がありませんが、Facebookアカウントの「基本データー」という項目にメールアドレスだけ見つかりました。しかしこれはフリーで取得出来るgmailのアドレスです。マトモな企業のメールアドレスとは思えません。

さらにCEO (最高経営責任者)となっているSaid Radzhabovという人物について調べるとVestarin社のFounder (創設者)という肩書を持つSaid RadzhabovのLinked Inのアカウントに居住地(?)としてロシア モスクワ市と書かれています。

最高経営責任者がロシア・モスクワ市を居住地としているならばヴェスタリン社もロシアの会社である可能性が高いように思われますが、所在地も電話番号も明示されておらず、メールアドレスがフリーのgmailアドレスという状況では情報開示は全く不充分、信用度を高く評価することは出来ません。

さらに経営陣について少々調べてみました。以下は公式サイトの「Team」という項目にあるCEO(最高経営責任者)のSaid Radzhabovという人物および2番目に挙がっているJana Alievaという人物のキャプです。

CEOの画像を検索するとこの人物はSaid Radzhabovではなく、Said Energizerと名乗ってなにやら音楽活動(?)をしたり、さらに格闘技みたいなことをしたりしている動画をYoutubeにアップしていることが分かりました。説明がロシア語の場合が多いので何をやっているのかよく分からないのですが「last.fm」というサイトにはSaid Energizer氏がこれまで発表した楽曲のリストがありますし、以下に示すのはYoutubeにSaid Energizer名義でアップされている動画の1つのキャプですがタトゥーだらけのSaid Energizer氏の後ろで物憂げな表情の女性はVestarin社の経営陣のNo.2に名前が挙がっているJana Alievaという女性なのではないかと思います。

これ以外にもSaid Energizer名義で投稿されている動画のリストを見るとCEO本人と思われる人物がボクシングとプロレスを組合わせたような格闘技に興じる動画や露出の高い女性の動画ばかりが並んでおり、

Said Energizer名義のインスタグラムにも半裸の女性の画像ばかり並んでいます。また投稿者は別ですが、Said Energizer氏の格闘技の試合動画もあるようです。これらを見るとSaid Radzhabov/ Said Energizer氏のLinked Inのアカウントに書いてある金融関係の企業を渡り歩いてきた経歴(下に引用)が真実であるかどうかかなり疑いたくなります。

>キャリアサマリ

>Serial Entrepreneur, was a Chief executive officer at CryptoAngels trading company. Early adopter of blockchain technology with genuine interest in fintech and new technology. Founder of Vestarin platform, a unique venue for all your blockchain needs.

ロシアでは金融や仮想通貨の専門家がプロの音楽家、格闘家としても活動し、半裸の女性を周囲に侍らせることが特に特別ではないのかもしれませんが会社情報が極端に秘匿されていることと併せ、運営グループの信頼性にかなり疑義があると判断します。この件への投資は推奨しません。