検証60

このページではリップルアルファ、ウェルネストークン、MBSコインという3つのアルトコインに関連した以下のサイトを検証します。

●坂本よしたか 巨大利権公募プロジェクト (sakamoto999.com/kyodairiken/lp2/)

●坂本よしたか 巨大利権公募プロジェクト (sakamoto999.com/kyodairiken/fn1/)

●Ripple Alpha Association (リップルアルファ協会 ripplealpha.com/)

●IMO仮想通貨取引所 (www.imoex.top/)

●リアル資産100倍サロン (sakamoto999.com/100challe/lp2salon/)

●坂本よしたか 100チャレプロジェクト (sakamoto999.com/100challe/fn1/)

●Micro Blood Science (マイクロブラッドサイエンス www.microbs.jp/)

●WELLNESS TOKEN (ウェルネストークン wellness-token.com/)

●AYANASU (アヤナス www.ayanasu.co/)

●MBS COIN ICO (MBSコインICO https://mbsico.com/)


まずリップルアルファというアルトコインの案件を検証します。

●坂本よしたか 巨大利権公募プロジェクト (sakamoto999.com/kyodairiken/lp2/)

●坂本よしたか 巨大利権公募プロジェクト (sakamoto999.com/kyodairiken/fn1/)

●Ripple Alpha Association (リップルアルファ協会 ripplealpha.com/)

●IMO仮想通貨取引所 (www.imoex.top/)

これは項目名にあるように坂本よしたかと名乗る人物が主催者あるいは広告塔役を務め、2019年の12月頃から勧誘が行われているリップルアルファというアルトコインの投資案件です。坂本よしたかという人物は以前に「検証54」で検証した「億の坂道プロジェクト」 「新時代ベーシックインカムプロジェクト」 さらには「検証52」で検証対象とした「JAM Program (JAMプログラム)」という案件の関連で紹介した「Change The World (チェンジ・ザ・ワールド)」というせどりの案件、「Power of Dreams (パワーオブドリームス) 」という仮想通貨関連案件で主催あるいは広告塔的な役割を担っていた人物であり、組織的な繋がりがあるものと思われます。さらには本ページの以下で検証しているウェルネストークンというアルトコインの案件、「検証62」で検証したプランスゴールドという仮想通貨アービトラージの案件でも坂本よしたかが関与していることが確認されます。そしてこれらの内、少なくとも「Change The World (チェンジ・ザ・ワールド)」については集団訴訟の呼びかけが行われているようです。それぞれの検証を併読してください。

表題の最初の2つはいわゆるランディングページです。実はこれ以外にもう1つ同じ案件のランディングページ (sakamoto999.com/kyodairiken/lp1/)の存在を確認しましたが、殆ど情報がないのでここでは取り上げません。

まず1つ目のランディングページの冒頭部を以下のキャプに示しましたがこのランディングページを見ても単に誰でも大儲け出来る、資金が10倍~1000倍以上に増えると主張しているだけで「巨大利権」の中身が全く分かりません。

ちなみにこのランディングページには300人限定の申し込み枠というカウンターがあって最初は左下のキャプに示した残り枠73人から始まるのですがしばらく放置しておくと下の中央に示した様に15人まで減り、そこでまた急に残り枠が73人に戻ることが繰り返されるようです。残り枠が少ないと焦らせるのが狙いのこの手のランディングページでしばしば見るインチキとしか思えません。本当に300人の枠が存在しているかどうかも疑問でしょう。

そしてこのランディングページには特定商取引法のページがあります。以下がその特定商取引法の記述内容です。

>販売事業者名(社名・商号・屋号) 株式会社ライトニングプレミアム

>運営責任者販売事業者所在地 愛知県名古屋市中区栄3-15-27いちご栄ビル9階

>販売事務局 TEL.052-746-9458 受付時間12時~17時(土日祝休み)

>代表者または運営統括責任者 坂本よしたか

>代表者または運営統括責任者(フリガナ サカモトヨシタカ

>連絡先/ホームページ http://lightning-premium.com/

>連絡先/TEL 052-746-9458 受付時間12時~17時(土日祝休み)

販売事業者は株式会社ライトニングプレミアムとなっており、「検証54」で検証した「億の坂道プロジェクト」の運営会社と全く同じです。坂本よしたかという人物が共通して関与しているだけでなく、同じ法人が関与している案件ということになります。住所は愛知県名古屋市で法人登録上の住所も同じですが「検証54」でも指摘したようにこの住所はFabbit Sakae (fabbit.co.jp/facility/sakae/) というシェアオフィス/バーチャルオフィス業者の住所の住所と一致します (右のキャプ参照)。この住所に株式会社ライトニングプレミアムが実在するかどうかは極めて疑問です。

ライトニングプレミアム社は投資を募っている、具体的には最初に述べたようにリップルアルファというアルトコイン (仮想通貨) を発行していますが、金融庁のサイトで公表されている金融商品取引業者のリスト仮想通貨交換業者のリストには該当がありません。違法性が強く疑われます。ちなみにライトニングプレミアム社のサイトには事業内容という項目がありますが以下のキャプに示した様に経営コンサルタントなどとなっていて投資関連、仮想通貨関連の事業は見当たりません。

1つ目のランディングページには投資対象に関する情報が全くないと書きましたが、検索して見つかってきた2つ目のランディングページにも相変わらず左下のキャプに示した様に巨大利権とあるだけで投資対象に関する記述はありません。

しかしこの2つ目のランディングページに埋め込まれている右上に示した1時間25分もあるYoutube動画を見るとようやく投資対象に関する情報が出てきてこの巨大利権と称する案件がRipple Alpha (リップルアルファ)というアルトコインの投資案件であることが判明しました。またリップルアルファで検索すると内容は重複していますがもう1つの坂本よしたかが出演している勧誘動画や勧誘サイトも見つかってきました。以下の検証ではこれらを主な検証対象にします。

【爆速インサイダー情報シェア(Youtube動画、投稿者:坂本よしたか)

仮想通貨はニルにお任せ:Rippleα(リップルアルファー)はアリよりのアリ??

Digital Journal :IMO クリスマス、感謝キャンペーン!一人最大$1000分のエアドロップ

さらに表題の3つ目に挙げたリップルアルファのサイト (ripplealpha.com/) とリップルアルファのサイトにあったホワイトペーパーのPDFファイルも情報量はかなり貧弱ですが一応検証対象にしています。

実はこれ以外にも「坂本よしたか 巨大利権公募プロジェクト」で検索するとこの案件に批判的なサイトが多数見つかってくるのですが、それらの多くはこの案件を叩くことによって別の怪しげな案件を勧誘する目的があるものと思われるのでここではリンクしません。

ともかく坂本よしたかが出演する2つの勧誘動画を見ていくとこの案件はビットコイン、イーサリアムに続き、仮想通貨の時価総額第3位であるリップル (XRP) の新しいバージョンを新たに立ち上げて販売するという投資であるという説明になっており、リップルの運営元であるリップル社が運営費用を稼ぐ為にリップルを市場で販売したり、企業との提携に伴って放出されたリップルが市場に出ることでリップルの相場が低迷している状況を打破するのが目的であるとしています。そしていわばリップルが発行された当時、仮想通貨の相場が大幅に吹き上げた時期より前の時期に戻ってリップルを購入出来るも同然の非常に有望な案件であると主張しています。

単に新しい仮想通貨に投資して値上がりを期待するだけの案件を「巨大利権」などと呼んでいる時点で日本語として極めて強い違和感がありますが、この説明には幾つもの疑問点があります。疑問点を以下にまとめます。

まず第一にリップルのような中央集権型、つまり発行元が帳簿管理を行うタイプの仮想通貨では帳簿管理の責を負う運営が運営の費用を仮想通貨の販売によって得るシステムでリップル社が継続的にリップルを市場で販売するのは帳簿管理の費用を賄う為に必然のはずです。リップルアルファでも以下のキャプに示した様に明確な管理主体としてリップルアルファ協会なる組織が管理主体であるとされており、

>リップルアルファ協会が大量のリップルアルファを保有しており、毎年少しずつ市場に放出することで運営資金を確保している

と説明されています。

しかし一方でリップルアルファの相場上昇が期待出来る根拠の筆頭としてリップルアルファではリップルで行われているような運営による継続的な売りが発生しないという説明がなされてもいるのです (以下のキャプ参照)。説明が矛盾しているとしか思えません。運営コストを何らかの方法で抑制することは出来るかもしれませんが、「継続的な売りは発生しない」という説明は中央集権的な管理を行う以上、有り得ないはずです。

第二にリップルアルファの運営主体であるとされているリップルアルファ協会 (世界) の実体に関する説明が極度に不足しています。勧誘動画には以下のキャプに示した様にアジアオセアニア、中国、ロシア、ヨーロッパ、アメリカ・カナダ、中南米、アフリカという地域をカバーする7つの協会が存在するという説明が出てきます。

7つの地域協会の中でアジアオセアニアを統括するのが坂本よしたかとライトニングプレミアム社なのかもしれませんが、他の6つの地域については誰が担当しているのか、世界的組織の統括をしているのが誰なのか記載が見つかりませんし、動画でも言及がありません。さらに検索しても全く情報が見つかりません。以下は表題の3番目に掲げたRipple Alpha Association (リップルアルファ協会 ripplealpha.com/)のサイト冒頭ですが、キャプの右上に見えるように言語選択は日本語、英語、中国語、韓国語の4つだけです。

ロシア、ヨーロッパ、中南米などに協会があって世界各国をカバーしているという説明が事実ならば少なくともロシア語とか中南米で広く使われているスペイン語、ポルトガル語などへの対応は不可欠のはずです。そしてこのサイトにも世界を統括する責任者が誰なのか、7つの地域をカバーしている組織の名称や所在地情報など全く記述がありません。リップルアルファ協会のサイトで公開されている情報は極めて限定されており、本当にリップルアルファ協会なる組織が実在するのかさえ疑問に感じるのです。

第三の疑問はリップルとリップルアルファの関係性です。勧誘動画を見ていくと以下のキャプに示した表が出てきます。

タイトルが「ハードフォークCoin一覧」となっていてビットコインとビットコインキャッシュ、イーサリアムとイーサリアムクラシックといったハードフォークした仮想通貨の組み合わせと並べて説明されているのですからリップルアルファはリップルからハードフォーク (枝分かれ)した仮想通貨という解釈をするのが妥当と思われます。ブロックチェーンを上流に遡っていくとハードフォークした仮想通貨、例えばビットコインとビットコインキャッシュのブロックチェーンは繋がるはずです。

しかしリップルアルファについてはこの点について大きな疑問があります。すなわちリップルアルファがリップルから枝分かれした仮想通貨であるのならばハードフォークした時点でリップルアルファはリップルを保有していた人たちに自動的に無償で配布されるべきものではないのかという点です。例えばビットコインからビットコインキャッシュがハードフォークした際にはビットコインの保有者に同じだけのビットコインキャッシュが割り当てられていたはずです。以下は仮想通貨交換業者・DMMビットコインのサイトにあるビットコインキャッシュに関するコラムの抜粋ですがビットコインの保有数に応じてビットコインキャッシュが割り当てられたことが確認出来ます。

そしてビットコインキャッシュがビットコイン保有者に割り当てられたことで多数のホルダーが一挙に生まれたのですからビットコインキャッシュの普及に大きく貢献していることは間違いありませんし、同じブロックチェーンからの分岐であることでビットコインキャッシュの信頼性獲得にも繋がっていると思われます。この例から考えてもリップルアルファがリップルからのハードフォークで生まれた仮想通貨ならリップルの保有者に割り当てられるべきでしょう。

また中央集権的にリップル社が管理しているはずの仮想通貨・リップルが仮に何かの必要性、合理性があってハードフォークするとなればリップル社の承諾を得ずに勝手にハードフォークをすることなどおよそ考えられませんがリップル社の公式サイトを見てもハードフォークとかリップルアルファに関する記述は見つかりません。検索するとリップルの相場が低迷していることについて不満を持っている人がハードフォークの可能性を論議しているといった記事が見つかってきますが実際にハードフォークが実現しているような情報は確認出来ないのです。そもそもリップル社からすればいわば分家が出来て自分たちの管理を外れるとなれば不利益しかないでしょう。特別な理由がなければハードフォークを許すのは著しく不合理ではないかと思われます。

一体リップルアルファ協会はどういう経緯でリップルアルファを販売しているのか不審を感じざるを得ません。リップルアルファは坂本某が説明しているように本当にリップルのハードフォークによって生み出された仮想通貨なのでしょうか?それともリップルを勝手に名乗っているだけなのでしょうか?仮に後者だとしたらリップルの保有者に割り当てられることもなく、別個の最高責任者さえ不明の組織によって管理されるリップルアルファがリップルと同等の信頼性、市場性を獲得するのは容易なことではないはずです。

勧誘動画によればリップルアルファは1枚=0.2円で販売されるようです (左下のキャプ参照)。そしてリップルアルファの相場がリップルの史上最高値に達すれば、あるいは時価総額で同等になればといった仮定の話が実現すれば大きな値上がりになるといった主張が展開されています (右下のキャプ参照)。

リップルアルファがリップルのハードフォークによって生まれた仮想通貨であったとしてもこうした仮定の話が実現するかどうか、特に仮想通貨ブームによって生じた史上最高値に達するような可能性があるかどうかは極めて疑問ですがリップルアルファが勝手にリップルの名前だけを使っているだけで実際には無関係なのだとすればこうした主張には何の説得力もないと思います。リップルアルファへの投資を仮に考えるのならばリップルアルファとリップルの関係性について例えばリップルの管理を行っているリップル社に問い合わせるなどして確認することは必須だと考えます。

さらに勧誘動画からの引用を続けますが、上場予定には2020年2月頃となっており、左下のキャプに見えるように「世界の大手取引所4つに上場予定」となっています。しかし4つの取引所の内、3つについては具体名は開示されていません。唯一「現在中国マネーが大量に流入しているIMO取引所」という中国系 (?) のIMO取引所に約2円で上場することが予定されているとなっています。そして0.2円で買っておけば2円で上場することが決まっているのだからその時点で資産が10倍になると主張しています。

しかしこの説明には強い違和感を感じる点が幾つもあります。まずIMO取引所というのが「世界の大手取引所」と言えるかどうかが疑問です。IMO取引所については「Digital Journal」という勧誘サイトの記事にリンクがあったので確認してみました。これが表題の4つ目のサイトです。まず仮想通貨のデーターベースとして有名なCoinMarketCap (coinmarketcap.com/ja/) にある仮想通貨取引所のランキングを確認しましたが2020年1月現在で307の取引所がリストされているもののその中にIMO取引所は該当がありません。日本語表示に対応していて日本居住者も顧客として受け入れていると思われますが、金融庁のサイトで公表されている仮想通貨交換業者の登録リストにも該当がありません。違法な無登録業者と考えられます。またIMO取引所は勧誘動画の中では中国マネーが流れ込んでいるなど中国系の取引所であるような説明が出てきます。ちなみに表示対応言語は中国語、英語、日本語、韓国語の4つです。確かに一見すると中国系の取引所の様に見える部分もあるのですが注意して見るとむしろ日本人が作ったサイトではないかと思われる部分が出てきます。例えば以下はIMO取引所のサイトのメニューバー部分のキャプで上から日本語、英語、中国語表示を選んだ場合ですが、日本語表示ならメニューバーに9項目あるのに英語表示では7項目、中国語表示では5項目しかないことが分かります。どうやら「操作方法」とか「ニュース」といった項目は日本語サイトにしか存在していないようです。中国系の取引所なら中国語表示で最も手厚い説明があるのが当然だと思うのですが、中国語表示で最も表示項目数が少ないというのは非常に違和感があります。

さらにサーバー情報を調べてみると右のキャプに示したように東京にあるという結果が出てきますし、アクセスを解析出来るサイトでこのIMO取引所のサイトへのアクセスを調べてみると、下のキャプに示したように日本からのアクセスが54.7%と半分を超えており、以下はナイジェリアとベネズエラからのアクセスがそれぞれ10%ほどという結果になります。中国からのアクセスはどれほど多くてもナイジェリアとベネズエラより少ない10%未満と思われます。

こういった結果を見るとこのIMO取引所は勧誘動画の説明にあった「現在中国マネーが大量に流入しているIMO取引所」という坂本よしたかの主張は事実とは思えません。日本人が中国系のサイトを装って作ったサイトである可能性を疑わざるを得ません。

そもそもリップルアルファ協会の下に世界で7つの地域組織 (アジアオセアニア、中国、ロシア、ヨーロッパ、アメリカ・カナダ、中南米、アフリカ) があるという説明がありましたが以下のキャプに示したように世界中でプレセールが行われて既に売り切れになっているとされています。つまり中国でもプレセールが行われていたはずでおそらくプレセール価格は中国でも日本と同様に0.2円ほどであった可能性が高いと思われます。但し日本以外で実際にプレセールが行われていた形跡は検索しても見つかりませんし、プレセール全体で何枚のリップルアルファが販売されたのか当然開示されているべき情報がありません。

一応坂本よしたかが主張するように中国でもプレセールが行われて売り切れになっていたと仮定するならば2020年2月になってIMO取引所に1枚2円で上場された時にプレセール価格よりも10倍も高い価格でそれを誰が買うのか、既にプレセールで0.2円で購入した人たちが売り抜けようとして相場が予定されている1枚=2円という売り出し価格よりも大幅に下落する可能性はないのかという疑問が当然出てきます。

一応こうした疑問への回答のつもりなのかIMO取引所ではIMO (Initial Model Offering)という仕組みで上場するという説明が勧誘動画には出てきます (右のキャプ参照)。

要するに少しずつ売り出すからいきなり大きく下落するようなことにはなりにくいという主張なのですが、既にプレセールで一般に販売した部分についてはかなりの売り圧になる可能性大でしょう。プレセールで購入した人たちが直ぐには売却できないロックアップ期間を設けるという話しならばプレセールの段階でロックアップについて説明するべきでしょうがそんな説明は出てきません。またこのIMO方式での仮想通貨上場は既に7回行われて全て成功しているという主張が出てきます。

勧誘動画では7回行われたというIMOのそれぞれについて販売された仮想通貨の名称とプレセール開始価格、現在価格が紹介されています。

▼第一弾:Health Care Ecosystem (HCE)

▼第二弾:IMO Ecosystem (IMO)

▼第三弾:World Business Token (BTE)

▼第四弾:Multi-Decentralized Domain Name System (MDNS)

▼第五弾:XRG subscription on the IMO wallet

▼第六弾:Crypto Commonwealth (COMM)

▼第七弾:DESKCOIN (DESK)

ここで7つ全てについて細かく触れることは避けますが第一弾は以下のキャプに示したHealth Care Ecosystem (HCE) という仮想通貨でプレセール開始価格が4.38円で現在価格が31.23円と7倍以上になっていると主張されています。

そしてこのHCEという仮想通貨について検索してみると幾つかの日本語勧誘サイトの他に公式サイトらしきサイト (hcep.io/jn/index.php ) も見つかってきました。以下がその公式と思われるサイトの冒頭部のキャプで対応言語は中国語、英語、日本語の3つです。

ここでこのHCEという仮想通貨について深く検証するつもりはないのですが、このHCEという仮想通貨が現時点で取引されていることを何故か確認出来ません。仮想通貨データーベースのCoinMarketCapで検索してみましたが該当がありませんし、IMO取引所でも上場されていることを確認出来ません。IMO取引所で取引されていることが確認されるのはBitcoin (BTC、ビットコイン)、Ethereum (ETH、イーサリアム)、Litecoin (LTC、ライトコイン)、Bitcoin Cash (BCH、ビットコインキャッシュ)、Ethereum Classic (ETC、イーサリアムクラシック)、Ripple (XRP、リップル)など多くはメジャーな仮想通貨です。

上のキャプにIMOEX取引所に上陸とあるのでIMOEX取引所というIMO取引所とは別の取引所があってそちらに上場されているのかと思って検索してみましたがIMOEX取引所を見つけることが出来ません。またアクセス状況を解析出来るサイトでHCEの公式サイト(hcep.io/jn/index.php )へのアクセスを調べてみると以下のキャプに示した様に殆どアクセスがありません。既に2019年9月に上場が完了しているとしてもサイトへのアクセスが検出限界以下という状況には強い違和感を感じざるを得ません。

とにかくこのHCEという仮想通貨について坂本よしたかという人物が主張するような上場成功例と言えるかどうか確認することは出来ません。

結論としてこの案件には数多くの疑問点があります。特にリップルとリップルアルファの関係性については疑問点がとても多いです。リップルのハードフォークによってリップルアルファが生まれたという主張について全く確認出来ません。またIMO取引所が「現在中国マネーが大量に流入しているIMO取引所」と言えるかどうかについても相当に疑わしいです。そもそも1枚=2円という価格で充分に買い手が付くと予想されるならば1枚=0.2円というプレセール価格はいわば不当に安すぎると感じます。2円でも充分に売れる見通しがあるのならばどうしてわざわざ10分の1の価格でプレセールを行って集められる資金をみすみす放棄しているのでしょうか?また坂本よしたかという人物は2020年2月まで持っていれば間違いなく10倍の価格で売却出来るというリップルアルファを手放なさずにそのまま自分で持っていれば得られるであろう巨額の利益を何故放棄するのでしょうか?非常に不合理な判断としか思えません。

さらにこの検証の冒頭でも触れましたが坂本よしたかおよび株式会社ライトニングプレミアムについては信頼性を高く評価することは到底出来ません。既に書いた様にライトニングプレミアム社はレンタルオフィス/バーチャルオフィス業者の住所を所在地としているような企業であり、坂本よしたかは「検証54」で検証した「億の坂道プロジェクト」 など怪しげな案件に関与し、集団訴訟呼びかけの対象にもなっているような人物です。本案件への投資は全く推奨出来ないという結論にならざるを得ません。


●リアル資産100倍サロン (sakamoto999.com/100challe/lp2salon/)

●坂本よしたか 100チャレプロジェクト (sakamoto999.com/100challe/fn1/)

●Micro Blood Science (マイクロブラッドサイエンス www.microbs.jp/)

●WELLNESS TOKEN (ウェルネストークン wellness-token.com/)

●AYANASU (アヤナス www.ayanasu.co/)

これは上で検証したリップルアルファの案件と同様、坂本よしたかという人物により、勧誘活動が行われていたウェルネストークンという仮想通貨の案件です。坂本よしたかについては他にも多数の怪しげな案件の勧誘役として関与が確認されています。坂本よしたかの関与した他の案件については上のリップルアルファの検証の冒頭部を参照してください。

まず暁台の5つのサイトの内、最初の2つのサイトが坂本よしたかによるランディングページ、残りの3つのサイトは発行元とその親会社、さらに仮想通貨発行の協力会社(?)のサイトです。上で検証したリップルアルファの項目で取り上げた「巨大利権公募プロジェクト 2020」と題する勧誘動画の中で以下のキャプに示した様に最近の実績、成功例として取り上げられていたことで案件の存在を知ることになりました。

上のキャプに見えるようにウェルネストークンは2019年12月16日にBitForex (ビットフォレックス)という仮想通貨取引所に上場された仮想通貨であり、上場直後に244倍まで噴き上げて投資した人たちは大儲けした大成功案件であるというのがリップルアルファ勧誘動画での主張です。つまり2019年12月に勧誘が開始され、2020年2月に上場予定というリップルアルファよりも以前の、既に完了した (?) 案件ということになりますが現在も海外の仮想通貨取引所に上場されて取引可能の状態ですし、坂本よしたかという人物の信頼性評価という意味も含めて検証対象にすることにしました。

まず検索して見つかってきたのが2つのランディングページで右は1つ目のランディングページの冒頭部のキャプです。「1万円が100万円に増える!?」とか「資産を10倍から100倍に増やしたい人はコチラ」などと書いてありますが、この1つ目のランディングページには投資内容などに関する説明は全くありません。坂本よしたかの名前もこのランディングページ自体には出てきませんが、ランディングページのURLアドレスはリップルアルファのランディングページと同じドメインネーム「sakamoto999.com」を含んでいますし、ページの一番下には特定商取引法に基づく表示へのリンクがあり、下のキャプに示したように坂本よしたか 巨大利権公募プロジェクト (クリプトアルファ) のランディングページ (sakamoto999.com/kyodairiken/lp2/)の「特定商取引法の表示」と全く同じで愛知県名古屋市の株式会社ライトニングプレミアムが販売事業者、坂本よしたかが代表者となっています。

>販売事業者名(社名・商号・屋号) 株式会社ライトニングプレミアム

>運営責任者販売事業者所在地 愛知県名古屋市中区栄3-15-27いちご栄ビル9階

>販売事務局 TEL.052-746-9458 受付時間12時~17時(土日祝休み)

>代表者または運営統括責任者 坂本よしたか

>代表者または運営統括責任者(フリガナ サカモトヨシタカ

>連絡先/ホームページ http://lightning-premium.com/

>連絡先/TEL 052-746-9458 受付時間12時~17時(土日祝休み)


1つ目のランディングページには投資対象に関する説明が全くないと書きましたが2つ目のランディングページには以下のキャプに示したように断片的ながらウェルネストークンという仮想通貨への投資であるとかBitForex (ビットフォレックス)いう仮想通貨交換業者で購入することになるので口座を開設することが必要であるといった簡単な説明が出てきます。

さらにこのランディングページにはウェルネストークンへの投資を勧誘する「100チャレプロジェクト」というタイトルのYoutube動画が埋め込まれています。以下に示したのがその動画と冒頭部のキャプです。この動画は上のリップルアルファの検証で引用したリップルアルファの勧誘動画と同様、坂本よしたか名義のYoutubeアカウントから投稿されており、登場人物も坂本よしたか+西まさみつ&稲毛と名乗る聞き手役の計3名で全く同じです。ちなみにこの動画の投稿日は2019年12月13日となっています。「超短期であなたの資産10倍~100倍に増やすことが可能です」といった容易に信じ難い主張が確認出来ます。

そしてこの動画ではウェルネストークンをICOとかプレセールなしで2019年12月16日(月)日本時間13時にBitforexという仮想通貨取引所に新規上場するので上場直後に買えば必ず儲かる、短期間で投資額を10倍~100倍に増やせると主張しています。そして一応以下のキャプに示したような「勝ち確定理由」なるものを挙げています。

この説明は上で検証したリップルアルファでのIMOの説明とそっくりです。要するに一度に大量のコインを市場に投下するのではなく、相場を見ながら少しずつ市場に出すから大暴落するようなことにはならないという説明になっているのです。

さらに右上のキャプに示した様に「取引所の買い」によって右肩上がりの上昇相場になると主張しています。運営ではなく、取引所が買いを入れて相場を維持するなんて何の目的でそんなことをするのか全く理解出来ませんが、とにかくこういう主張をしていることは確認出来ます。実際に2019年12月に完了している上場後の相場がこの様な右肩上がりの相場になったかどうかは以下の検証で確認していくことにします。

それから右のキャプに示したように「勝ち確定理由:其の4」として「国内有力インフルエンサー」の活動によって買い需要が大きくなることも相場上昇を支えると主張していますがこの「国内有力インフルエンサー」が誰なのか全く分かりません。検索してもこのウェルネストークンを宣伝しているのはこの坂本よしたかのグループぐらいしか見つかりません。自分たちのことを「国内有力インフルエンサー」であると主張しているのでしょうか?これで「買い圧力」が期待出来るのか特に坂本よしたかという人物について検索してみるとマイナス評価ばかり目に付くことを考えれば非常に疑問と思わざるを得ません。「有力インフルエンサー」を名乗るにはその意見を信頼している人が多数いることが必要でしょう。

とにかくこうした動画での主張通りにウェルネストークンの相場が上場から右肩上がりで上昇し、購入した人たちが大儲け出来ているのか確認する為に上場されているというBitforex (ビットフォレックス)という仮想通貨取引所のサイト (www.bitforex.com/) に行ってみました。ビットフォレックスでは相当な頻度で仮想通貨を新規に上場しており、「新規上場トークン」というページには最近の上場トークンに関する情報がまとめられています。以下のキャプは2019年11月以降、この検証を書いている2020年2月半ばまでのビットフォレックスに上場されたトークンのリストです。2019年11月に5件、2019年12月に赤枠で囲った本件のウェルネストークン、2020年に入ってからも1月に2件、2月に3件とかなり頻繁に上場が行われていることが分かります。

個々の上場案件について検証する気にはならないのですが、とにかくこれだけ頻繁に上場が行われているとなるとビットフォレックスの上場審査基準はそれほど厳しいものとは思えません。さらにこの上場トークンのリストにあるウェルネストークンの上場に関する記事から抜粋して以下にキャプを示します。

ウェルネストークンはTURBO (ターボ)という枠の第5弾として上場されているようです。勧誘動画ではこのターボというのは特に有望な案件の枠であると説明されており、英語版しかありませんがターボ枠の専用ページがあります。ウェルネストークン以前のターボ枠第1~第4弾は以下の仮想通貨のようです。

▼第一弾:UND (Inification、2019年4月10日)

▼第二弾:Myo (Mycro、2019年6月11日~)

▼第三弾:AIS (2019年8月15日~)

▼第四弾:RON (2019年10月8日~)

これらの内、ターボ枠第三弾として上場されたAISトークンについては「検証39」で検証を加えてありますが多くの疑問点や違法性の疑いがあって危うい案件としか思えません。また第四弾のRONトークンについてはここで本格的に検証をするつもりはありませんが、RONトークンのプレスリリース記事によれば2019年10月8日のIEOで売り出された4000万枚のトークンはわずか76秒で完売し、翌日の2019年10月9日からビットフォレックスに上場されたようです。以下が上場から2020年2月半ば現在までのビットコイン建て日足チャートです。

一目見て分かるようにチャートは極めて投機的な動きを示しています。上場初日に発行枚数の4000万枚に迫る出来高があり、5日ほどで最高値 (0.00006540BTC) に達した後は右肩下がりで下落を続け、2020年2月中旬現在のRONトークンの相場は0.0000002~0.0000003 BTC (ビットコイン) 程度となっています。1BTC=100万円で計算するとRONトークン1枚が0.2~0.3円ほどです。ビットフォレックスのRONトークン発行条件のページによればIEOでは1枚=0.025USDT (0.025米ドル)で売り出されたようで1ドル=100円で計算すると2.5円ということになりますから現在の相場はIEO価格の10分の1程度ということになります。上場後数日でつけたビットコイン建ての最高値0.00006540BTCと比べれば現在のビットコイン建ての価格は200~300分の1程度です。出来高もかなり減少しているようですから実用性の意味でも評価されているようには思われず、今後の展開もおそらく厳しい可能性が高いように思われます。出来高の低迷が続けば上場廃止という事態だって有り得るでしょう。

ビットフォレックスはどの様な審査をしてこのRONトークンをターボという有望な案件の枠に入れたのか疑問を持たざるを得ません。またRONトークンの発行元であるEXTRAVAGANZA INTERNATIONAL, INC. (本社 : 米国デラウェア州)やそのCEO : 久積篤史 (Atsushi Hisatsumi)はRONトークン以前にPATRON (パトロン) という別の仮想通貨も発行しており、一つの企業が複数の仮想通貨を発行することの意味が分かりませんし、さらに「PATRON」や「久積篤史」を検索してみるとかなり評判が悪いようです。

ウェルネストークンの検証に戻ってウェルネストークンについてもビットフォレックスでのビットコイン建て日足チャートを以下に示します。

このチャートを見ると上で引用したRONトークンの場合よりウェルネストークンではさらに投機的で極端な値動きがあったことが分かります。上場初日の2019年12月16日に始値0.00000085BTCで取引開始してからその日のうちに最高値の0.00011000BTCまで吹き上げ、終値は0.00001811BTCとなっています。始値は上場初日の最安値でもあります。そして上場初日の吹き上げ以降は右肩下がりの下落傾向であることが分かります。

さらに以下は上場当初の時期の2時間足チャートですが、最高値の0.00011000BTCは最初の2時間の間に達成されていることが分かります。

残念ながら上場から時間が経過してしまった為にこれ以上に短い時間についてはデーターが出てこないのですが、坂本よしたかによる勧誘動画でのマーケットメイクにより右肩上がりの上昇相場が維持されるという説明と実際のウェルネストークンの相場の動きが大幅に異なっていたことは間違いありません。

一応最良のシナリオを考えると上で引用したビットフォレックスのサイトにあるウェルネストークンの上場に関する記事によればIEOは2019年12月13日に行われ、価格は0.003米ドル=約0.3円。それから3日後の12月16日に上場しているということになっています。上場初日である12月16日のビットコイン相場をCoinMarketCapで調べると7100ドルほどだったのでこれで計算すると上場初値の0.00000085BTCが約0.006米ドルでIEO価格の約2倍、最高値の0.00011000BTCが0.781米ドルですからIEO価格と比べれば250倍ほどにはなります。この項目の冒頭で引用したように勧誘動画の中ではIEO価格の244倍まで上昇したことになっているのですがこの数字はIEO価格の0.003米ドルで購入しておそらくわずかな時間しか維持されなかった最高値の0.00011000BTCで売ることに成功したことを想定しての数字ということになりそうです。しかし上のチャートを見ると実際に最高値水準で売り抜けることが出来た人がどれほどいたのかは極めて疑問です。逆に坂本よしたかの右肩上がりになるという主張を信じて高値で勝ってしまった人がいたとすれば何百倍にも資産を増やすどころか大損を喰らったことになるはずです。

またIEO価格の0.003米ドルで購入出来た人がどれほどいたかについても疑問があります。以下はウェルネストークンの発行元であるマイクロブラッドサイエンス社から2019年12月13日付で出たプレスリリース記事のタイトル部分ですが45秒でIEO枠のウェルネストークンが売り切れたということになっています。76秒でIEOが完売したというRONトークンよりもさらに短時間で売り切れたというのです。

この記事の内容が事実であればIEOでウェルネストークンを購入出来た人はかなり少なかったことが予想されます。IEO価格の0.003米ドルで購入出来てさらに非常に短時間しか維持されなかった可能性が高い最高値圏で売り抜けることが出来た人なんて本当に実在するかどうかさえ怪しくなってきます。

そもそも仮想通貨の相場をマーケットメイクだけで維持するなんて最初から無理があります。高値で買い支えれば調達した資金を吐き出すことになって資金調達の意味がありません。要するに短期的な投機目的ではなく、実需目的で仮想通貨を購入して長期保有する人がいなければ相場を右肩上がりにすることは絶対に不可能です。その意味でビジネスモデルは非常に重要なはずですが、坂本よしたかの勧誘動画にはビジネスモデルの説明が殆どなく、非常に軽視されている印象があります。また同様にウェルネストークンの発行元であるマイクロブラッドサイエンス社に関する情報も坂本よしたかの勧誘で殆ど触れられていない印象があります。

そこで改めて運営元やビジネスモデルを調べてみましたが非常に疑問点が多いです。まず運営元であり、上で引用したプレスリリース記事の掲載元でもあるマイクロブラッドサイエンス社ですが、公式サイトを見ると3つの業務が紹介されています。

最初に挙がっている採血キットのような製品が確かにマイクロブラッドサイエンス社のサイトには確認されます。但しその価格などは記載が見当たりませんし、通信販売などしている様子もありません。3番目に挙がっている「コンパクトラボの地域展開」というのも検査に関係するサービスと思われますけどどんな検査を担当しているのか、何処に地域展開しているのか何も情報が見つかりません。本当にそういった事業が行われているのか全く確認出来ないのです。

そして特にウェルネストークンとの関連で重要と思われるのが2番目に挙がっているLifeeサービスという業務と思われます。以下の説明図を引用しますが、検査データーや臨床記録などをまとめたいわゆる電子カルテのようなサービスと思われます。

電子カルテについては例えばWikipediaの電子カルテの項目にもありますが例えば保険点数の計算など医療事務とも結びついた機能が提供されるなど多くのベンダーが参入して激しい競争を繰り広げているはずです。マイクロブラッドサイエンス社が提供しているLifeeサービスは説明を読む限り、一般的な電子カルテのサービスと比べてかなり機能が限られた簡易版的なものではないかと思われ、価格などが分かりませんが果たしてこれで競争力があるのか疑問を感じるところです。またこのサービスが実際にどの程度医療業界で採用されているのかについては情報がないことに違和感を感じます。

さらにこの会社には他にも違和感を感じる部分があります。例えば連絡先情報ですが以下に示した会社情報の項目を見ても電話番号もメールアドレスもありません。代表取締役は大竹圭という名前になっており、住所は秋葉原近くの雑居ビルのようです。

そしてマイクロブラッドサイエンス公式サイトへのアクセス状況を調べてみると以下のキャプに示した様に殆どアクセスがないという結果が出ます。

「Lifeeサービス」や「マイクロブラッドサイエンス」を検索もしてみましたが、競争の厳しい医療業界で本当に競争力のある事業、企業なのか疑問があるように思います。公式サイトへのアクセスが殆どなく、製品やサービスが実際に使われている形跡も見つからないとなればブラッドサイエンス社は事実上、休眠会社に近いのではないかと疑いたくなります。そしてこのマイクロブラッドサイエンス社のサイトには異様としか思えないのですがウェルネストークンややはりマイクロブラッドサイエンス社が発行元になっていて次項で検証するMBSコインに関する記述が全く見当たりません。

直接のウェルネストークンの発行元となっているのはマイクロブラッドサイエンス社の100%子会社であるMBS LABTECH PTE. LTD.というシンガポールの法人であり、表題のウェルネストークンの公式サイト(wellness-token.com/)の会社概要には以下のキャプに示した様にこの会社の名前が出ています。しかしマイクロブラッドサイエンス社のサイトにはウェルネストークンに関する記述もないどころかウェルネストークンの公式サイトへのリンクも見当たらないのです。

>会社概要

>会社名 MBS LABTECH PTE.LTD.

>住所 3024 UBI ROAD 3 #02-53 KAMPONG UBI INDUSTRIAL ESTATE SINGAPORE 408652

>代表者名 大竹 圭

>株主 株式会社マイクロブラッドサイエンス(100%)

代表者名はマイクロブラッドサイエンス社の代表取締役と同じ大竹圭となっていてマイクロブラッドサイエンスと同様に電話番号が見当たりません。シンガポールに法人の事業実体が実在するかどうかは疑問でしょう。マイクロブラッドサイエンス社が直接の発行元にはならず、わざわざシンガポールに子会社を立ち上げて発行元にしているのは仮想通貨発行に関する日本の法的規制を逃れる為の抜け穴的な意味合いである可能性が疑われます。

そしてこのサイトにある説明やホワイトペーパーを一応は目を通してみましたがとにかく健康とか医療に関係していることは分かるもののビジネスモデルとして果たして成り立っているのか疑問を感じます。ウェルネストークンのサイトにはトークンを貰える方法と使い道に関する説明的なものがあるのですが非常に漠然とした印象を受けます。まず貰う方法という項目から一部抜粋しますがBounty (バウンティ)に参加することでウェルネストークンが貰えるなどと書いてあります。しかしこのバウンティの具体的な中身がよく分かりません。

右上のキャプ画像を見るとスポーツや食事、医療、書籍と思われるアイコンが並んでいるのでスポーツ大会とか健康診断のようなイベントなどに参加することがバウンティに該当するのかと思われますが具体性に全く欠けているように思われます。ウェルネストークンは既に発行されているのですからこのバウンティ活動が行われた、あるいはこれから行われる予定があるなら何らかの告知があるべきと思いますがウェルネストークンの公式サイトプレスリリース記事、プレスリリース記事に示されていたTwitterの公式アカウントなど見てもそんな情報は全く見当たりません。果たして「バウンティ」なる催しは本当に開かれたのでしょうか?どれ程のことをすればどれ程のトークンを手に入れることになったのでしょうか?

次にウェルネストークンの使い道に関する説明ですがこれも公式サイトから一部の図を抜粋引用します (以下のキャプ参照)。こちらもここにある図や添えられている説明を見ても非常に漠然としているように感じられます。

左上の図を見るとウェルネストークンは微量採血検査や健康企業が提供する製品やサービスに使えるとあります。微量採血検査というのはマイクロブラッドサイエンス社のサイトにあった微量採血の為のキットの様なものを指していると思われますが、微量採血キットなんて必要とするのは血糖値を管理しなければならない糖尿病の患者ぐらいでしょうし、既に書いたようにマイクロブラッドサイエンス社が採血キットを通信販売しているような様子もありません。また「健康企業が提供する製品やサービス」が具体的に何を意味するのか、一体何という企業がどんな製品をウェルネストークンで販売しているのか情報が何もありません。ウェルネストークンは本当に仮想通貨の本来の役割である支払いに使えるのかあるいは将来的に使えるようになるのか非常に疑問です。また右上の図にある「ウェルネストークンで証明する」についても全く具体性が感じられません。「バウンティ」と称する何らかの催し (?)が開かれた様子が全く感じられないのにバウンティの参加記録が出来るとは思えません。ウェルネストークンの実用に関する説明は説明だけで終わっていて実現している気配がないのです。

バウンティについてはホワイトペーパーにも若干の説明があります。以下はホワイトペーパーの24ページ目からの抜粋です。しかしこちらの説明も理解が困難なのは同じです。

赤枠で囲った部分を読むと何らかのスポンサー企業が集客の目的でバウンティなるものを企画して集まってきた人たちにウェルネストークンを報酬的な形で与えるように思えるのですが、その下の青枠で囲った「バウンティ例」という部分を読むと

>・地震の血液検査の結果をSNSへシェアする

>・健康になるために日々行っていることをSNSへシェアする

といったことが書いてあってこれでどうしてスポンサーが報酬を出すのか全く理解出来ません。単なる想像としてはスポンサー企業の製品やサービスを利用した体験談的なものをSNSにアップして宣伝するということなのでしょうか?

とにかくバウンティの仕組みについて理解が困難、実際にバウンティと称する何らかのイベントがあったのかどうかについても情報がない、そしてウェルネストークンを支払い手段として使える機会についても不明という状況ではウェルネストークンが支払い手段などとして実用化されるような将来が見えません。支払い手段としての実需が発生せず、ウェルネストークンが投機の対象だけに留まるのであれば右肩上がりの相場上昇が期待出来るとも思えません。

こうした実現している気配が感じられないビジネスモデルに関与していると思われるのが表題の最後に挙げたAYANASU (アヤナス)という企業です。この企業の名前はウェルネストークンの公式サイトには見当たらず、ホワイトペーパーにしか出てきませんがホワイトペーパーでは非常に大きな役割を担っているような印象を受けます。例えばホワイトペーパーの37ページにあるプロジェクトメンバーとして

>株式会社マイクロブラッドサイエンス 代表取締役 大竹圭

と並んで紹介されているのは

>株式会社アヤナスシグレ 代表取締役 川本栄介(マイクロブラッドサイエンス社顧問兼トークンエコノミーエバンジェリスト)

という人物です。この2名がこのウェルネストークンプロジェクトの中核を担っていたようです。

川本栄介という人物の所属先になっているのはアヤナスシグレ社ですが、このアヤナスシグレ社は法人登録によればホワイトペーパーが作成された後の令和2年 (2020年) 1月29日付で株式会社アヤナス社に社名変更しています。アヤナス社がこの案件について単に依頼を受けて参加した下請けでないことはホワイトペーパーの31ページにあるアロケーションの円グラフを見ても分かります (右のキャプ参照)。アヤナス社には円グラフのオレンジ色の部分、10%が割り当てられていて主催者の一角という扱いであることが分かります。

そして株式会社アヤナスのサイト (www.ayanasu.co/) に行って業務内容というページを見ると以下のキャプに示した様に6つの項目が並んでいて最初に出てくるのが何と「ウェルネストークンエコノミーのプロデュース」となっています。ウェルネストークンが業務内容の最初に出てくるということは株式会社アヤナスは元々ウェルネストークンの案件の為に立ち上げられた会社なのかもしれません。

記されている内容を見るとどうやらアヤナス社がホワイトペーパーの作成とかブロックチェーンに関する技術的な問題の解決なども担当しているようなことが書いてあります。上のキャプにも見えますが業務内容の4項目目は「バウンティ企画、設計、運用支援」となっています。ウェルネストークンのサイトなどにも繰り返し出てくる「バウンティ」の具体的な内容や「バウンティ」が何時何処でどんなものが開催されたのか全く分かりませんが、アヤナス社はこのバウンティでも重要な役割を担っているようです。

そしてアヤナス社は元々ウェルネストークンの為に立ち上げられた企業なのではないかと思われるのですが、実績紹介というページを見ると以下のキャプに示した様にウェルネストークン以降の案件が3つ出てきます。順にファームトークン、メタルトークン、リゾートトークンとなっています。

3番目、4番目のメタルトークン、リゾートトークンについては全く情報がありませんが2番目のファームトークンについては浅草農園という企業との共同案件であるようなことが書いてあるので調べてみると浅草農園の公式サイト (asakusafarm.jp/) が見つかってきました。甘酒などを通信販売しているサイトのようです。但しこの通販サイトへのアクセス状況を調べてみると以下のキャプに示したように殆どアクセスがありません。通販サイトとして繁盛しているとは全く思えません。

またこの浅草農園のサイトを見てもファームトークンとか仮想通貨に関する記述は全く見つかりません。マイクロブラッドサイエンス社のサイトにウェルネストークンとか仮想通貨に関する記述が見つからないのと同じ構図です。

以下には「特定商取引法に基づく表記」を以下に示しますが、浅草農園のサイトの販売業者名は大福株式会社、住所は東京都港区三田となっています。

>販売業者 大福株式会社

>運営統括責任者 中野玲子

>所在地(店舗) 東京都港区三田2-14-5フロイントゥ三田509

>電話番号 03-6435-4550

>メールアドレス info@dafu.asia

販売業者の大福株式会社の「大福」は法人登録を見ると「だいふく」ではなく「デフ」と読むようです。そしてこの港区三田の住所が非常に気になります。実はこの住所はアヤナス社の連絡先情報にある住所と酷似しているのです (右のキャプ参照)。

>会社名 株式会社アヤナス

>代表取締役 川本栄介

>設立 2018年10月

>住所 〒108-0073 東京都港区三田2-14-5 フロイントゥ三田ビル

>株主 川本栄介(100%)

>主要取引銀行 三井住友銀行三田通支店

株式会社大福と株式会社アヤナスの住所は少なくともフロイントゥ三田という建物の名前まで完全に同じです。株式会社大福の住所には部屋番号があるのに対して株式会社アヤナスの住所には部屋番号がないので完全に同じ住所とは言えませんが少なくとも両社は同じ建物に存在していることになっています。そしてこのフロイントゥ三田という建物の少なくとも5~10階部分はビルの名前と同じFreund MITA (フロイントゥ三田 f-mita.jp/ )という名前のシェアオフィスになっているようです。シェアオフィスは1区画が20平米台とワンルームマンション程度なのでこの住所に2つの会社の事業実体が存在するかどうか疑問もあります。特に何故か電話番号が開示されていない株式会社アヤナスの連絡先情報には疑念を感じます。

ウェルネストークンの検証から大きく離れてしまいましたがウェルネストークンの案件で重要な役割を担っている株式会社アヤナスについてはウェルネストークンに続く第二の案件らしいファームトークンについて調べてみただけであまり良い印象を持てません。浅草農園の通販サイトは繁盛しているとは全く思えないのに専用の仮想通貨の必要性は非常に疑問です。ウェルネストークン自体についてもマイクロブラッドサイエンス社にどれほどの事業実体があるのかかなり疑問です。サイトへのアクセスは非常に少なく、マイクロブラッドサイエンス社によって実際に何かの商品や検査などのサービスが提供されているのか確証が見つかりません。トークンが貰えるバウンティというイベント(?)についても実際に行われているのか確認出来ません。マイクロブラッドサイエンス社についても浅草農園についても専用の仮想通貨が必要になるほどの事業規模があって多くの顧客がいるようには全く見えないのです。

さらにマイクロブラッドサイエンス社のプレスリリース記事一覧を調べていて気が付きましたが、マイクロブラッドサイエンス社は2018年にもMBS Coin (MBSコイン)という仮想通貨を発行しています。この仮想通貨については次項で検証対象にすることにしますが事業実体が存在するかどうかよく分からないマイクロブラッドサイエンス社について2つの仮想通貨が出ているとなればますますその存在意義を疑わざるを得ません。投資は全く推奨出来ません。

●MBS COIN ICO (MBSコインICO https://mbsico.com/)

これは上で検証しているウェルネストークンについて調べていて出てきた仮想通貨のICO案件です。ウェルネストークンと同じマイクロブラッドサイエンス社が発行元になっており、ウェルネストークンとは兄弟みたいな関係にあります。既にICOからかなり時間が経過しているのですが、ウェルネストークンとの関係から簡単に検証することにしました。

まず以下がこの仮想通貨を知ることになった2018年12月21日付、マイクロブラッドサイエンス社からのプレスリリース記事のタイトルと概要の部分です。

このプレスリリース記事によればマイクロブラッドサイエンス社は100%子会社であるMBS ASSET MANAGEMENT PTE. LTDというシンガポール法人を介してMBSコインという仮想通貨を2018年12月26日に香港拠点のBCEX Global (www.bcex.ca/) という仮想通貨取引所に新規上場を決定したとなっています。マイクロブラッドサイエンス社の100%子会社であるシンガポール法人が直接の発行元になっているという構図は上で検証したウェルネストークンの場合と非常に似ています。

MBSコインについては2019年9月17日にも2カ所目の取引所としてBit-Z (www.bit-z.com/) という仮想通貨取引所にも上場が決まったという内容のプレスリリース記事が出ています。

これらのプレスリリース記事から標題のMBSコインICOサイトやホワイトペーパーの存在を知ることになりました。上で引用した2018年12月21日付のプレスリリース記事によれば最初の取引所への上場が2018年12月26日に行われているようですからICOはこれ以前に行われているはずですが、現在でもICOのサイトやホワイトペーパーは公開されていて読むことが可能になっていますが、ICOの条件が殆ど何も分かりません。ホワイトペーパーやICOのサイトにはICOの日時、発行枚数、発行価格、購入方法、入金方法などが必ず書かれているものだと思うのですが、非常に奇妙なことにICOサイトやホワイトペーパーを読んでもそれらのICOに関する情報が殆ど見つからないのです。唯一、ホワイトペーパーの50ページ目に以下の様な記述があります。

総発行枚数が10億枚でその内の4億枚をICOで販売するとなっているのですが、それ以外の情報は殆ど何も分かりません。他にはロックアップ期間に関する若干の情報があるだけで販売価格も購入方法も記載がありません。そこでさらに探すとMBSコインICOのTwitterアカウント以下の投稿を見つけました。投稿日は2018年3月1日になっています。

「募集要綱」はホワイトペーパーには記載せず、後日仮想通貨交換所を通じて公開されるとあります。何故ホワイトペーパーや公式サイトで公開しないのか全く解せません。非常に違和感があります。そしてMBSコインが最初に上場されたというBCEX Global (www.bcex.ca/)のサイトでMBSコインのICO価格など募集要項を探してみましたがそれらしき情報は見つかりません。

ICO価格が不明なので現在の相場がICO価格より上なのか下なのか分かりませんが、とにかく上場されている2つの仮想通貨市場でMBSコインの上場来の相場の推移を調べてみました。まず最初に上場されたBCEX Global(www.bcex.ca/) でのMBSコインの上場来の週足チャートのキャプを以下に示します。チャートはイーサリアム建ての相場を示しています。

この検証を書いている2020年3月上旬の時点で直近の相場は0.00018744イーサリアム (ETH)となっています。1ETH=24000円とするとMBSコイン1枚が4.5円ほどということになります。チャートを見ると上場後1ヶ月ぐらい経過した2019年1月下旬ぐらいまでは上昇していたようですがその後はおおよそ右肩下がりの下落相場を続け、上場してからおよそ半年後の2019年6月ぐらいからは上のキャプの下のチャートで示されている出来高もめっきり減っているようです。出来高の減少は市場参加者の関心も薄れたことを意味していると思います。しかも右のキャプに示した板情報を見ると直近の取引値の上にはそこそこの売り板が並んでいるのに直近取引値の下にある買い板はスカスカで少し大きな成り売りの注文が出れば簡単に直近の取引値の10分の1以下に下落してしまうような状態であることが分かります。例えばこのキャプを取得した時点で例えば500枚ほどのMBSコインが成り行きで売りに出れば直近の18分の1にもならない0.00001014イーサリアム (0.24円ほど)まで下落してしまうはずです。

MBSコインが上場されている2つ目の仮想通貨取引所、Bit-Z (www.bit-z.com/) についてもMBSコイン上場来の週足チャートを以下に示します。

こちらの取引所での直近の取引値は0.00008000イサーリアム、1.92円となっています。BCEX Globalでの直近の取引値である0.00018744イーサリアム=約4.5円と比べて半分以下です。やはり出来高は非常に少ないようで取引が成立しない日も珍しくないようですし、相場は2019年9月の上場以来、右肩下がりで下落の傾向が続いています。2つの取引所での相場や出来高を見る限り、MBSコインが決済手段としての普及など仮想通貨として成功しているようには到底思えません。

そしてMBSコインに関して調べてみて最も違和感を感じたのはこれはウェルネストークンと何処が違いのかという点です。以下はMBSコインのホワイトペーパーの4ページ目、目次などを除くとホワイトペーパーの冒頭にある「目的」の部分です。

微量血液検査システムとか検査結果や健康情報の管理とかウェルネストークンの説明やホワイトペーパーで見たような内容が並んでいます。共にマイクロブラッドサイエンス社から出てきた2つの仮想通貨、MBSコインとウェルネストークンは何処が違うのか、別個に存在する意義があるのか非常に疑問を感じます。MBSコインが決済手段として普及しているような気配は感じられず、相場や取引出来高の動きからしても仮想通貨として順調とは思えないのに、同じ企業が同じ様な役割の仮想通貨を別個に立ち上げて売り出しているという状況には不審を感じざるを得ません。MBSコイン、ウェルネストークンへの投資は推奨出来ません。