8-3 花見川流域の魅力と地域づくり
8-3-3 地域づくりの取組
② 散歩道の改善
■□花見川■□素材■□花見川■□素材■□花見川■□素材■□花見川■□
【散歩道の改善】
花島橋から上流のサイクリング道路は舗装されていません。とても良いことです。砂利道を歩く感触は心地よいものです。また、サイクリング自転車のスピードがあまり出せないので、散歩者の安全と快適の確保に役立ち、自転車と歩行者の共存が成り立つベースとなります。
また利用面だけでなく、文化学習面からみても砂利道はとてもふさわしく感じられます。掘割は貴重な土木遺産、文化遺産です。全て人力で普請された掘割の歴史ドラマに興味を持ち、学ぶ人にとって、現場の砂利道は往時を体感的に偲ぶことができる貴重な装置になります。
雨が降ると時々道の路肩が崩れるので、行政が写真のように応急安全策を執り、その後補修しています。散歩者にとってありがたいことです。この付近は街灯が全くありませんが、夜間(夜明け前など)の利用者も結構います。こうしたメンテナンスがあるから安全に利用できます。写真は平成21年9月に撮影したものです。
■□花見川■□素材■□花見川■□素材■□花見川■□素材■□花見川■□
男坂
女坂
花見川サイクリング道路を歩いていると横戸台下で2箇所の手製連絡通路があり、横戸緑地に登れるようになっています。横戸緑地と花見川サイクリング道路を連絡して散歩を愉しみたいという人がつくった通路のようです。横戸緑地の上流端付近の通路は急勾配の階段で男坂、下流端付近の通路は斜面をだらだら登る坂で女坂になっています。上流側の階段は登りきると緑地の柵が邪魔しているので、身をかがめて柵の下をくぐり抜けなければ通行できません。下流側は緑地の柵が丁度途切れるところなのですり抜けられます。二つの通路とも、誰かが時々補修してくれているようです。ありがたいことです。
市民の花見川散歩の愉しみを拡げるために、この付近に公共連絡通路の整備を願っています。
■□花見川■□素材■□花見川■□素材■□花見川■□素材■□花見川■□
勝田川流域紀行4 国道16号による花見川と勝田川散歩ルートの分断
勝田川の谷底平野は水田に利用され、谷津斜面には樹林が残っているので、谷底をとおる農道が多くの人々によって散歩に利用されています。また勝田川の河川改修がすすみ、堤防が出来たのでそこが新たな散歩道になりつつあります。
勝田川堤防の散歩
一方花見川は左岸サイクリング道路の続きの道が京成線鉄橋まで続いています。改修された勝田川河口部には橋梁(無名橋)ができたので勝田川と花見川合流部の風景をよく見ることができます。また横戸元池弁天が近くにあり散歩者が絶えません。
花見川堤防の散歩
ところが、国道16号によって勝田川の散歩道と花見川の散歩道が分断されています。国道16号の勝田川橋で国道を横断できれば20mで済むのですが、実際は横断できません。勝田台駅方面に迂回して歩道橋を利用すると目と鼻の先の道路反対側まで740m、弁天バス停方面に迂回して信号を利用すると640m歩かなくてはなりません。
花見川から勝田川に向かうための迂回路
勝田川橋から勝田台方面
勝田川橋から横戸弁天バス停方面
勝田川は右岸が八千代市、左岸が千葉市で、市境であるため行政のきめ細かい施策がなされていない印象を受けます。千葉県による勝田川河川改修では花見川と勝田川の利用上の連絡は図れていないようです。
早朝散歩者の組織化などないので、周辺住民のニーズは行政に届いていないようです。残念です。
■□花見川■□素材■□花見川■□素材■□花見川■□素材■□花見川■□
花見川流域のイメージと感想17 散歩ルートのネック
花見川上流端付近の風景
花見川にはサイクリング道路が整備されていてサイクリストのみならず多くの散歩者や自然観察愛好家に利用されています。
左岸について言えば、河口から大和田の京成本線鉄橋付近まで、花見川流域を縦断するかたちで約13キロメートルのサイクリング道路・散歩道が整備されています。素晴らしいことだと思います。しかし残念ながら、左岸では京成本線鉄橋で散歩道はどん詰まりになってしまいます。
①上流方向の新川にスムーズに抜けることができません。
人家の裏を通って回り込むような道を迂回しないと新川方向に行けません。
弁天橋から右岸の道を通れば川沿いに進めますが、歩道のない一般道であり散歩者には危険な道です。
②勝田川にスムーズに抜けることができません。
勝田川が花見川に合流する部分が最近改修され、半年前には白鳥が飛来するほどよい環境となりました。しかし花見川と勝田川を結ぶ道が国道16号で遮断されています。花見川から勝田川に行くためには、幅20mの国道を渡れないので、信号のある歩道を利用するために600m以上迂回しなくてはなりません。
③高津川にスムーズに抜けることができません。
花見川の右岸から高津川沿いに進むことが、公共施設があってできません。近くの人家の建て込んだ場所の入り組んだ道を迂回する必要があります。
このように花見川・新川・高津川・勝田川が結節する花見川の要ともいえる部分の散歩道が全て隘路になっています。
花見川散歩道の隘路
散歩の現場では、あれこれの偶然でたまたま各方向の散歩道が隘路になってしまったとは、到底実感できません。
①花見川と新川の双方の流域を連携させて地域づくりをするという発想が、印旛沼開発になく、ただ単に新川の水が溢れたときにそれを放水したいという機能(欲望)の対象としてだけでしか花見川を考えていない。だから花見川と新川を結ぶ通路をつくる発想はない。ということだと感じます。
現場では、新川の明るい開放的環境と花見川堀割の歴史性や自然環境が分断されてバラバラに存在しているように感じます。
②勝田川と花見川が水と緑のネットワークで結ばれることの自然生態面、利用面における大切さがあまり意識されないで、治水上の改修工事が行われていると、散歩現場では感じます。だから、散歩道がつながっていないということだと思います。勝田川の改修では、自然生態面や利用面が考慮されているとしても、勝田川内部だけでの話で、花見川流域の地域づくりという視点が脆弱なのだと思います。
③高津川という通称は地域で使われてはいますが、有刺鉄線で囲われた「都市下水路」であり、川沿いに通路(管理用道路・散歩道)をつくるという発想がもともと無いようです。花見川から高津川に行けなくても、「都市下水路」の姿を見てしまうと、それで納得していまう心境になってしまうことは残念です。
散歩道が3方ふさがりになっている花見川上流端は、旧花見川流域と高津川流域、勝田川流域の3つが合わさってできた現在の花見川流域が、地域づくりという視点でみると多くの課題を背負っていることを暗示しています。また、印旛沼流域との関係でも課題があることを物語っているように感じさせます。
散歩道の隘路解消の必要性を河川管理者、施設管理者、千葉市、八千代市等に理解していただき、隘路解消が実現していくような方策について考えて行きたいと思います。
(シリーズ「花見川流域のイメージと感想」おわり)