2-2-4-⑤ア3つの仮説検討

2-2 花見川筋の谷津地形発達史

2-2-4 河川争奪現象存在の証明とその成因

⑤ クーラーの成因検討

ア 3つの仮説の検討

■□花見川■□素材■□花見川■□素材■□花見川■□素材■□花見川■□

【検討前の予感】

花見川河川争奪を知る25 花見川河川争奪の成因検討3 クーラーの説1

私(クーラー)が花見川河川争奪成因について、これから思考する内容を、記録していきます。

現在のところ明確な結論があるわけではないのですが、今後の検討の参考にはなると思います。

これまでこのブログ記事を書いてきて、特にoryzasan氏の論文を読ませていただき、花見川流域の地史について学習を深めることができたと実感しています。

同時に否応なく多量の専門的学術的情報に触れることになり、自分が初歩・入門のレベルであることをあらためて痛感しています。

しかし、初歩・入門であるからこそ、今後の知識獲得の伸び代は潜在的には大きなものがあると自ら期待します。

そして、その期待にだけ頼って、今後のこのブログ記事を1つ1つ書いていきます。

既に用意できた情報はいわばゼロです。

これからの日々の情報入手とその料理・思考のみがブログ記事掲載の原動力です。

予定調和的に河川争奪の結論を導くことができるかどうか、自分自身も興味津々です。

次のような目次で記事を「花見川河川争奪を知るシリーズ」の入れ子シリーズで連載する予定です。

1 成因検討前の予感

2 花見川河川争奪の古地理復元

3 花見川河川争奪の成因検討

3-1 断層説

・巨智部忠承の断層論

・トピックス 東京湾北縁断層の情報

3-2 埋没谷洗い出し説

4 今後の成因検討について

早速記事本題に入ります。

1 成因検討前の予感

花見川河川争奪の成因検討にあたって、予感するものがありますので、まず記録しておきます。

ア 成因検討の前に、河川争奪現象の詳細な記載が必要であること

河川争奪現象の詳細が古地理復元等で明らかになればなるほど、成因検討の材料が増加し、的確な成因説明が可能になると思います。

現在は、このブログの記事展開の通り、河川争奪現象の存在を認知するかどうかといった段階です。

河川争奪現象に関わる古地理復元情報が大いに不足しています。

ですから、成因検討をするにしても、初歩的なレベルを免れないと思います。

成因検討より古地理復元・認知の方が大切かもしれません。

イ 地下深部のブロックの動きそのもの(例 隆起とか沈下)を以って、直接花見川河川争奪を説明することはできないという予感

前記事でも述べましたが、地下深部のブロックの動きそのもの(例 隆起とか沈下)を以って、直接花見川河川争奪を説明することはできないという予感を持っています。

その予感の理由の1つは、それだけでは、花見川でのみ河川争奪が発生し、近隣河川に発生しない説明が、地理的広がりを考えると困難であるからだと思うからです。

もう1つの理由は、地下深部のブロックの動きが堆積環境にある地表に与える影響の鈍重さと、1河川だけの河川争奪という、一点突破的特殊性の間に、平仄が合わないものを直感することです。

ウ 「極端な浸食力増大をもたらした要因」=「花見川河川争奪の成因」という直感

花見川近隣の河川も強い浸食力を示す谷地形を示しています。しかし河川争奪に至っていません。

花見川は近隣河川の強い浸食力とは比べものにならない極端に強い浸食力をもって争奪対象河川を一気に浸食しているように、私の感情レベルでは感じます。

したがって、近隣河川が持つことができない、特殊的に極端な浸食力増大が花見川にもたらされたと考えます。

その特殊的に極端な浸食力増大をもたらした要因を見つけることができれば、それが即ち、花見川河川争奪の成因であると考えます。

東京湾水系のV字谷の分布

旧版1万部の1地形図から作成

黄色線に示すV字谷北端の定向分布線より北側の花見川V字谷部分の存在を、私は「極端な浸食力増大」として「感じて」います。

黄色線と花見川の交点付近に花見川河川争奪のヒントがあるかもしれません。

■□花見川■□素材■□花見川■□素材■□花見川■□素材■□花見川■□

【3つの仮説の検討】

花見川河川争奪を知る43 花見川河川争奪の成因検討3 クーラーの説18

成因仮説1

これまで花見川河川争奪の成因について白鳥氏の説について検討させていただき、ついでoryzasan氏の考えについて検討させていただきました。

oryzasan氏からは3回にわたってコメントをいただき、成因検討以前の問題として河川争奪の事実そのものについての議論を行いました。

その中で私は多くの仮定を前提とはしていますが、堀割普請前の地形復元を試み、古柏井川(河川争奪によって生じた空川)の存在を浮き彫りにしました。

地質学的証拠の裏打ちはまだありませんが、地形等の情報により、概念的・原理的には古柏井川の存在(つまり河川争奪現象生起という事実)は間違いないところまできたと思います。

古柏井川の実態をさらに詳しく調査し、地質学的証拠を集めることは今後引き続き追究することとします。

さて、当初のテーマである河川争奪現象の成因に戻り、私の考えを述べます。

私の思考の実況中継みたいになりますが、お許しください。

これまで、河川争奪の成因として断層仮説と埋没谷洗い出し仮説の2つを考えてきています。

2つの仮説とも私にとっては魅力的であり、断層仮説については巨智部忠承の論文を見つけ、「たとえ断層が実証的に把握できなくても、この論文を契機に地殻変動について学習を深めたい」というような感情が強くあります。

2つの仮説は、それで説明できる真の証拠は特段ありませんので、このブログでは、結局「成因検討は今後の課題です。」と締めくくるしかないのかと、密かに考えていました。

ところが、昨日(2011.11.16)になって、花島付近の河岸段丘について考えているときに、突然ひらめきがあり、自分レベルでは河川争奪の成因を論理的に説明できる仮説を得ました。

花見川にだけ規模の大きな河川争奪が発生した理由を説明することができそうです。

この3番目の仮説を地理的位置仮説と名付けます。

以下3つの仮説について検討します。

(つづく)