2-2-6-④河道逆行争奪の証拠3

2-2 花見川筋の谷津地形発達史

2-2-6 河道逆行争奪の証拠

④ 河道逆行争奪の証拠3 真逆流向の2河岸段丘の併存

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【河道逆行争奪の証拠3 真逆流向の2河岸段丘の併存】

1 花見川河岸段丘

印旛沼堀割普請前の本来の東京湾水系花見川の最源流は横戸台-柏井高校付近にあり、河岸段丘が発達していました。その河岸段丘をこのブログでは花見川河岸段丘と呼んでいます。

花見川河岸段丘の北端は柏井付近です。

北柏井の集落が乗っている河岸段丘(*)は花見川河岸段丘の中で最も広いところです。

2 古柏井川谷底(千葉第1段丘)

古柏井川谷底は花島付近から柏井を通り、勝田川の千葉第1段丘に連続しています。

古柏井川は印旛沼水系の河川です。

3 下総下位面

下総下位面は横戸台-柏井高校付近より北では面的に分布しますが、それより南では、古柏井川谷底を囲むような形状で浅い谷として分布しています。

この下総下位面に連続する浅い谷は当然印旛沼水系です。

これらの地形面の分布図を次に示します。

花見川筋の地形面の分布

4 地形面の標高をA-B線に投影して作成した縦断標高図

花見川筋の概略の方向をA-B線で代表させ、そのA-B線に各地形面の標高を投影して縦断標高図を作成しました。

花見川筋の地形面縦断標高図

5 古柏井川谷底の縦断標高は北に傾く

この図から、同じ谷津内に存在する花見川河岸段丘と古柏井川谷底の縦断標高の傾斜が異なることが確認できます。

標高の高い古柏井川谷底の縦断標高は北に向かって(B方向に向かって)下がります。印旛沼水系の川ですから当然です。

6 花見川河岸段丘の縦断標高は南に傾く

一方、同じ場所で下位にある花見川河岸段丘の縦断標高の傾斜は南に向かって(A方向に向かって)下がります。東京湾水系の川ですから当然です。

7 5と6が同じ谷津内に存在することが、河道逆行争奪の直接証拠

同じ谷津内の河岸段丘が示す流向が真逆であることが、この場所で河道逆行争奪があった直接証拠となります。

なお、古柏井川の縦断標高の傾斜より、花見川河岸段丘の縦断標高の傾斜の方が急になっています。そのことは東京湾水系の谷津は深く、印旛沼水系の谷津は浅いという一般傾向と整合的な関係にあります。

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* 「北柏井の集落が乗っている河岸段丘」について、このブログでは以前古柏井川の谷底であると考えて記事を書いていたことがあります。

しかし航空レザー測量による5mメッシュの入手により正確な標高データの比較ができるようになり、それまで困難であった精細な段丘面高度の比較が可能となりました。

その結果、現在では北柏井の集落が乗っている河岸段丘を東京湾水系花見川のつくった河岸段丘として対比しています。

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つづく