8-2-5-①送電線鉄塔

8-2 花見川流域の風景

8-2-5 風景上特徴的な地物

① 送電線鉄塔

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【送電線鉄塔】

花見川沿いの送電線

花見川中流の河川沿いには送電線の鉄塔が併走しています。犢橋川合流部から浪花橋までの左岸と長作川から汐留橋までの右岸です。このうち京葉道路付近から浪花町付近までの左岸は送電線が2条並列になりますので、景観上のインパクトは強いものがあります。

このような風景をどのように捉えたらよいのか、これから勉強していきたいと思っています。

手始めに花見川流域の送電線ネットワークと変電所の配置を図化してみました。資料は2万5千分1地形図です。

花見川流域の送電線と変電所の配置

この図を頼りにして、電話で東京電力に送電線についていくつか尋ねてみました。2人の技術者の方から丁寧な対応をしていただきました。いろいろなやり取りの結果次のようなことがわかりました。

・花見川から犢橋川の谷津を通り、宇那谷川、勝田川とその支谷津を抜けるルートは50万ボルトの特級幹線であること。(運用上日本の最大電圧で、大容量発電所と1次変電所、1次変電所間の送電に使用する規格のようです。)

・このルートが最初につくられたものであること。

・流域北西部(八千代市高津付近)から南東部(千葉市稲毛区長沼町付近)に抜ける2本の直線的なルートは15万4千ボルトの幹線であること。(都市部近郊の変電所までの送電に用いられるようです。)

・送電線の電圧(ボルト)は50万、27.5万、15.4万、6.6万などがあり、さらに幾つもの段階を経て最終的に家庭用の200、100になること。

・(亥鼻橋付近で送電線が一度花見川をまたいでいるがその理由はという質問に、直接的な回答ではありませんが)一般論として、地権者から上空を送電線を通してもらいたくないという要望がある場合、公共的な空間をつかうことがあるとのこと。

・送電線は、都心の新設部で、高層ビルの存在等で鉄塔の建設が出来ない場合は地下化するが、それ以外は鉄塔で配線する。既存の送電線を地下化する考えはないとのこと。

などでした。

ネットワークの概要がおぼろげながら分かってきました。変電所の位置をみると工場、浄水場、鉄道などの場所にあり、これらに伸びている送電線の電圧は低いものになります。ちなみに、柏井浄水場の変電所に伸びる送電線の鉄塔には「浄水線、6万6千ボルト」と表記されています。

花見川近くの変電所

次に、送電線ネットワークと河川との関係を見るために、河川沿いの送電線だけ抜き出して見ました。

花見川流域の河川沿い送電線

花見川中流だけでなく、犢橋川、宇那谷川、勝田川の一部、勝田川支谷津、高津川の一部などに送電線が走っています。市街化した場所を避けて送電線を配置するために河川や谷底を利用したのだと思います。東京の高速道路が古川(渋谷川)の上空や荒川を通るのと同じような現象だと思います。

現在ある送電線を地下化するという考えは、現在ある鉄道を地下化するというのと同じように困難なことで、現実的ではないことが分かりました。そこで、河川景観上からは、鉄塔のある風景を前提に、どのようにしたらより好ましい花見川や支川・谷津の風景をこれからつくるか、ということが課題であると感じました。鉄塔の色や形状などは、維持管理や将来の建替えを考えれば、より風景に合ったものに変更ありだと思います。

送電線は社会の重要なインフラですから、他のインフラと同じようにその社会的意義をもっと学習する必要があると感じました。

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野鳥飛行コースのネック

美化して表現すると、以前マルチハビテーション(二地域居住)の生活を送っていました。月曜日から金曜日までは世田谷区二子玉川、土曜日と日曜日は千葉市花見川区の花見川のほとりです。二子玉川では毎朝多摩川河川敷の散歩を欠かしませんでした。花見川以上に多摩川は野鳥のエコロードになっています。毎朝カワウやカモ類が東京湾から雁行飛行で大挙して上流に向かいます。その時、野毛で多摩川を横断して架かる送電線に難儀しているのを何べんも見ました。雁行飛行の群れが送電線を発見して多摩川から離れて大きく迂回して通ったり、送電線の手前で大きく旋回して高度を上げて送電線を超えたり、あきらめて引き返した例も見たことがあります。

「野鳥は言葉を持っていないので、自分の難儀を人に伝えることはできない。われわれ人がそれを察して代弁してやるしかない。」とその時感じていました。

さて、花見川は東京湾と印旛沼、利根川を結ぶ重要な野鳥のエコロードになっています。花見川を横断する送電線は上図のとおり、花見川上流に4箇所、中流に5箇所あります。送電線横断ポイントを下流から番号をふって説明します。2番、3番は近接していてその近くに京葉道路があり、相当な難所のようです。4番5番も近接していて下に亥鼻橋があり一つの難所です。6番、7番も近接していて、直下に水道局の水管橋があり難所になっていると思います。8番、8番も近接していて大和田排水機場が下にあり難所です。

6番、7番のポイントでは次のような観察をしたことがあります。

数羽のカワウの群れが下流から上流方向に飛行してきて、明らかに障害物の存在に狼狽して(私の受けた感じです)、水管橋の下と上に分かれてすり抜けたことを観察したことがあります。その時、雁行飛行している鳥群のうち、前方の障害物を見ているのは先頭の鳥くらいで、後の鳥は先頭の鳥に付いているだけだとその挙動から感じました。丁度自転車のロードレースで、先頭引きとその後で風圧を避けている選手の関係です。単羽のカワウの場合は水管橋の下をすり抜けることが多く、見た目に狼狽や混乱はありません。

100年後(3~4世代後)くらいには、白鳥どころか、コウノトリやトキなども舞う花見川になっていると思います。その時代には野鳥飛行ルートの難儀対策が社会政策として執られているかもしれません。

足元に小動物を捕まえているオオタカ(?)

送電線と鉄塔の存在は、野鳥にプラスの影響をしているのではないかと感じることも多々あります。

詳しくは犢橋川小流域の記述で述べますが、犢橋川の京葉道路付近の鉄塔でオオタカ(?)が食事をしていました。付近の草むらで小動物(ネズミか)を捕まえてから、鉄塔に舞い上がり、おいしそうに食べていました。また、旋回飛行後の休憩も鉄塔でとっていました。鉄塔が猛禽類の止まり木として重要な役割を果たしています。

6番、7番から1キロ北西の芦太川流域にある雑木林はカラス森になっています。夕方になると数千羽のカラスが森に入る前にひとしきり集合します。その時送電線の上にずらりと止まり圧巻です。カラスにとって不可欠な環境とは思われませんが、野鳥にとって送電線は止まり木としての大きな役割を持っていると思います。

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宇那谷川流域紀行4 河川と谷津をルートとする高圧送電線「花見川線」

宇那谷川谷津を通る高圧送電線「花見川線」

宇那谷川が小深川と合流する手前約500mは谷津の左岸側が盛土されて谷底が狭まっています。また、その理由が私には明解に理解できませんが、宇那谷川が蓋架けされて地下水路となり、表面は草地となっています。上流側が行き止まりとなるために散歩用空間としても使い勝手が悪く、人が立ち入っている光景を見ません。

この区間は風景的に高圧送電線の専用敷地のように見えます。

この高圧送電線「花見川線」は花見川左岸から犢橋川谷津を通り、この宇那谷川谷津に入り、さらに勝田川谷津から勝田川の佐倉市上志津原の谷津を通って下志津原方面に抜けます。河川と谷津を選択的に通るルートです。

高圧送電線「花見川線」ルート

赤太線が「花見川線」、オレンジ線は他の高圧送電線、赤点は変電所。

送電線鉄塔を真下から見る

「花見川線」の標識

犢橋川谷津の「花見川線」

犢橋川谷津の花見川合流部低湿地の「花見川線」鉄塔基礎

この写真は3月23日に花見川の震災状況を見に行った時の写真です。もちろん頑丈なコンクリート基礎と鉄塔はびくともしていませんでした。この鉄塔から50m離れた花見川の護岸は被災してコンクリートブロックはバラバラになり、管理用道路にも段差がついていました。化灯の沖積地にある護岸は被災しているのに、そのすぐそばで、送電線鉄塔が地震でびくともしないことに、私はあらためて感心しました。当然といえば当然ですが、社会資本としての頑丈さを備えていることに一種安心しました。

震災前2月22日に東電に電話ヒアリングして、このルートがこの付近の送電線で最初に出来たこと、高圧送電線でも日本最大50万ボルト送電線で千葉から東京に電気を運ぶ幹線であることなどを教えてもらいました。

花見川流域の高圧送電線網をマップ化して、以前記事(花見川中流紀行8河川景観と送電線鉄塔)にしましたが、3月11日の東日本大震災以後計画停電などで送電線網に対する社会的関心が高まり、一時この記事の閲覧が増えました。

私自身も震災を契機にして、変電所の位置や高圧送電線網の配置や機能に興味を一層深く持つようになりました。特に原発災害に関連して東電の発電部門と送電部門分離議論がマスコミをにぎわしていますが、こうした議論を聞くと、否が応でもう送電線網の社会インフラとしての重要性に気がつき、その実態をもっと理解したくなります。

なお、2月22日に東電に電話ヒアリングした時、私の問い合わせ(花見川流域の送電網について詳しい情報を知りたい)に対して東電サイドの対応スタンスは次の通りでした。

1 送電線網情報は公開していないので教えられない。WEBで情報発信していない。パンフレットなどもない。窓口もない。

2 お客さん(私)は家庭電源の契約者であるので、発電所から家庭まで電気が送られる送電の一般的仕組みについては技術者が電話なら教えることは出来る。

(これでは結局何も教えてもらえないので、花見川流域について、25000分の1地形図から送電線網と変電所をプロットして、そのマップを手元において東電技術部門の方に電話する。)

3 (私のマップによるルートについて)送電電圧や機能の概略について教えていただいた。

電話に出ていただいた方の対応は丁寧でしたが、会社のスタンスは送電線網については一般には一切公表しないというものでした。

東電が情報提供を渋る理由は、テロリストに送電線網情報を渡したくないということのようです。しかし、一般国民に送電線網の基本的情報や機能を教えないという方針は時代錯誤のように感じられます。

送電線網は国民の生活を支える重要な社会資本ですから、その存在・維持管理や設置に対して国民の協力を得ることが必要です。そのためには送電線網の実態や機能を国民に理解(学習)してもらうことが大切です。今回の原発災害や電力不足を契機に、東電が送電線網を私物でなく公共財として扱うようになり、その情報を国民に知らせるようになることを願います。

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宇那谷川流域紀行4 河川と谷津をルートとする高圧送電線「花見川線」

宇那谷川谷津を通る高圧送電線「花見川線」

宇那谷川が小深川と合流する手前約500mは谷津の左岸側が盛土されて谷底が狭まっています。また、その理由が私には明解に理解できませんが、宇那谷川が蓋架けされて地下水路となり、表面は草地となっています。上流側が行き止まりとなるために散歩用空間としても使い勝手が悪く、人が立ち入っている光景を見ません。

この区間は風景的に高圧送電線の専用敷地のように見えます。

この高圧送電線「花見川線」は花見川左岸から犢橋川谷津を通り、この宇那谷川谷津に入り、さらに勝田川谷津から勝田川の佐倉市上志津原の谷津を通って下志津原方面に抜けます。河川と谷津を選択的に通るルートです。

高圧送電線「花見川線」ルート

赤太線が「花見川線」、オレンジ線は他の高圧送電線、赤点は変電所。

送電線鉄塔を真下から見る

「花見川線」の標識

犢橋川谷津の「花見川線」

犢橋川谷津の花見川合流部低湿地の「花見川線」鉄塔基礎

この写真は3月23日に花見川の震災状況を見に行った時の写真です。もちろん頑丈なコンクリート基礎と鉄塔はびくともしていませんでした。この鉄塔から50m離れた花見川の護岸は被災してコンクリートブロックはバラバラになり、管理用道路にも段差がついていました。化灯の沖積地にある護岸は被災しているのに、そのすぐそばで、送電線鉄塔が地震でびくともしないことに、私はあらためて感心しました。当然といえば当然ですが、社会資本としての頑丈さを備えていることに一種安心しました。

震災前2月22日に東電に電話ヒアリングして、このルートがこの付近の送電線で最初に出来たこと、高圧送電線でも日本最大50万ボルト送電線で千葉から東京に電気を運ぶ幹線であることなどを教えてもらいました。

花見川流域の高圧送電線網をマップ化して、以前記事(花見川中流紀行8河川景観と送電線鉄塔)にしましたが、3月11日の東日本大震災以後計画停電などで送電線網に対する社会的関心が高まり、一時この記事の閲覧が増えました。

私自身も震災を契機にして、変電所の位置や高圧送電線網の配置や機能に興味を一層深く持つようになりました。特に原発災害に関連して東電の発電部門と送電部門分離議論がマスコミをにぎわしていますが、こうした議論を聞くと、否が応でもう送電線網の社会インフラとしての重要性に気がつき、その実態をもっと理解したくなります。

なお、2月22日に東電に電話ヒアリングした時、私の問い合わせ(花見川流域の送電網について詳しい情報を知りたい)に対して東電サイドの対応スタンスは次の通りでした。

1 送電線網情報は公開していないので教えられない。WEBで情報発信していない。パンフレットなどもない。窓口もない。

2 お客さん(私)は家庭電源の契約者であるので、発電所から家庭まで電気が送られる送電の一般的仕組みについては技術者が電話なら教えることは出来る。

(これでは結局何も教えてもらえないので、花見川流域について、25000分の1地形図から送電線網と変電所をプロットして、そのマップを手元において東電技術部門の方に電話する。)

3 (私のマップによるルートについて)送電電圧や機能の概略について教えていただいた。

電話に出ていただいた方の対応は丁寧でしたが、会社のスタンスは送電線網については一般には一切公表しないというものでした。

東電が情報提供を渋る理由は、テロリストに送電線網情報を渡したくないということのようです。しかし、一般国民に送電線網の基本的情報や機能を教えないという方針は時代錯誤のように感じられます。

送電線網は国民の生活を支える重要な社会資本ですから、その存在・維持管理や設置に対して国民の協力を得ることが必要です。そのためには送電線網の実態や機能を国民に理解(学習)してもらうことが大切です。今回の原発災害や電力不足を契機に、東電が送電線網を私物でなく公共財として扱うようになり、その情報を国民に知らせるようになることを願います。

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鉄骨から共振音を出す高圧線鉄塔

今朝の散歩で、高圧線鉄塔からかなり大きな音の共振音が聞こえていましたので、記録しておきます。

花見川沿い左岸の字「高台」(実際に1段高い地形面となっている)の高圧線鉄塔(吉橋32号)から、鉄骨を小刻みに叩いたような共振音が聞こえていました。周期的に音が大きくなったり、小さくなったりしていました。そばの道路を走るパトカーとバイクの音と較べてください。

高圧線鉄塔の碍子から「ジリジリ」という音が聞こえることはよくありますが、鉄骨自体の共振音は初めて聞きました。どこかのボルトが甘くなっているかも。