2-5-1-③小崖1によって截頭される谷津

2-5 小崖地形(断層地形)

2-5-1 小崖1

③ 小崖1によって截頭される谷津

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【小崖1によって截頭される谷津】

次の図は旧版1万分の1地形図に横戸川、宇那谷川の谷筋線を入れたものです。

旧版1万分の1地形図による谷筋線

ピンク網は27.5m等高線以高地域

青は凹地等高線で囲まれた地域

橙色線は小崖1

ABは断面図設定線

この谷筋線図をカシミール3Dによって現在の地形(5mメッシュ)により3D表現してみました。

谷筋線図の3D表現

この図から小崖1によって横戸1~4の各谷津が截頭され(切られ)ていることがわかります。

また、それより上流部の谷津(手前側)は横戸1、2、3では東京湾側流域に編入したような様相を呈しています。

しかし、横戸1、2、3の谷津と東京湾側水系の谷頭浸食部との間には急崖(段差)があります。

このことから、小崖1から東京湾側水系谷頭浸食部までの谷筋は、谷筋形成時の流向(南→北、図では手前→奥)が、小崖1ができた後に逆転した珍しい地形となっていることがわかります。

横戸4は現在でも谷津地形を残し、必ずしも東京湾側流域に編入されていない独立した凹地になっています。これも珍しい現象です。

近くの東京湾側水系の深い浸食谷から横戸4を見ると、尾根(台地)上に谷津があるように見ることもできて、そのように意識すれば、地形の逆転と捉えることもできます。

小崖1に沿って断面図を作りました。

小崖1に沿う地形断面図

これによると、横戸1→横戸2、3→横戸5、6→横戸4の順に谷底の標高が低くなり、横戸4が横戸川の本川筋であったと考えることが妥当だと考えました。

小崖1から南側の谷地形の明瞭さもこの順番になっているように観察できます。

偶然だと思いますが、横戸川の本川筋と想定した横戸4の谷筋が最も南まで追跡できます。

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小崖1によって截頭(*)された谷津の現在の姿の写真を示します。

写真1と2は横戸2谷津の現姿です。

写真1

小崖1の丁度その場所で、小崖1と直角の方向で撮影したもので浅い谷の形状になっています。

写真2

小崖によって截頭された「頭」の部分ですが、道路の勾配に浅い谷の名残を見つけることができました。付近は住宅地となっていて谷状地形は明瞭ではありません。

写真1と2の撮影位置図

基図は千葉市提供DMデータ

写真3と4は横戸4谷津の現姿です。

横戸4谷津は横戸川の本流筋になり、浅い谷の形状が明瞭に残っています。

写真3

明瞭な谷地形となっています。この谷地形は出口のない凹地となっています。

写真4

市街地が進んでいない農耕地となっている部分では、浅い谷の姿の全体を観察できます。

写真3と4の撮影位置図

基図は千葉市提供DMデータ

*截頭:せっとう、「斬首(截頭)された川」などの言い回しが専門古書にはあります。 このブログでは頭[上流部]を切られた谷津(川)の意味で用いています。

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2012.01.28記事「截頭谷津の姿」に資料補足します。

1 撮影位置図の3D表現

「写真1と2の撮影位置図」と「写真3と4の撮影位置図」を3D表現してみました。

写真1と2の撮影位置図(3D表現)

基図は千葉市提供DMデータ

3D表現はカシミール3D+5mメッシュによる

垂直方向に10倍強調

写真3と4の撮影位置図(3D表現)

基図は千葉市提供DMデータ

3D表現はカシミール3D+5mメッシュによる

垂直方向に10倍強調

撮影位置図を立体表示することにより写真の説明力を強く補強できることに気がつきました。

今後地形や風景写真の撮影位置図表現形式として立体表示を多用したいと思います。

2 3D表現における10倍強調のイメージ

3D表現において等倍より10倍強調の方が視覚的にわかりやすいので、使っています。

10倍強調の強調程度(等倍表現から強調変化した程度)を視覚的に確認するために、写真を10倍強調してみました。

次の写真は写真4を垂直方向に10倍強調したものです。

写真4の10倍強調

トリミングにより主要部のみ表示

この写真と2012.01.28記事の写真4(等倍)を比較することにより、10倍強調することによるイメージ変化を確認することができます。