7-1-1-③参考花見川流域界の把握

7-1 戦後印旛沼開発に伴う流域変更と河川名称

7-1-1 流域変更

③ 参考 花見川流域界の把握

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【参考 花見川流域界の把握】

花見川流域界図

花見川流域のイメージと感想2 花見川流域界の検討

私は、花見川流域そのものにも興味を抱いているのですが、対象となる花見川流域を地図上の空間として把握したくなるのは当然のことです。

特にGISで流域情報を整理分析しようと思っているので、なおさら正確な流域界線が必要です。

ところが、花見川流域界を空間的に把握しようとすると、様々な困難が出現し、すっきりと問題が解決しないことがわかりました。しかたなく、行政上の花見川流域界線を諸資料から個人的に集成・復元・編集してつくり、このブログで使っています。この経緯はこのブログのページ「流域界」に詳しく書いてあります。

その後、様々なブログ記事を書くたびに、花見川流域界の把握について検討しなければ花見川流域についての認識が深まらないと痛感するようになっています。

そこで、花見川流域界の把握にかかわる感想(問題意識)をメモします。

1 行政が使っている公式情報としての花見川流域界の把握

・改めて河川管理者(千葉県)に花見川流域界について問い合わせし、行政が使っている花見川流域界線の情報を入手し、その精度等について知りたいと思います。また、このブログで使う花見川流域界線補正の参考資料にしたいと思います。

2 地形上の流域界の検討

2-1 自然地形の流域界

・戦後の地形改変は著しいものがあるので、それ以前の地形図(例 大正6年測量旧版1万分の1地形図)を基に、花見川流域界を正確に把握検討する必要性を感じています。

・作業は情報を電子化してGIS上で分析して行う予定です。

・検討すべき問題点として次の事柄は既に抽出しています。

ア 台地平坦部の流域振り分け不明部分の取り扱い。(按分比例的考えでどこまでも強引に振り分けられるのか?その意味があるのか?)

イ 台地平坦部の凹地の取り扱い。(周辺流域に含めることができるのか?独立集水域になるのか?)

ウ 流域界付近の水関連事象の把握(谷津谷頭、湿地、泉、池、河川等)

2-2 現在地形の流域界

・現在の地形上の流域界を2-1と同じ方法で行います。

・1/2500地形図(6市DMデータ)を活用してGIS上で分析して行う予定です。

2-3 自然地形流域界と現在地形流域界、行政流域界の対比

・自然地形流域界と現在地形流域界を対比し、その変化について検討する予定です。

・同時に地形流域界と行政流域界を対比してその関連を検討します。

・ページ「流域界」では次のような問題意識を書いています。このような問題意識が適切であるかどうか検討していきたいと思います。

「行政資料による流域界(行政資料流域界)と自然地形による流域界(自然地形流域界)を比較すると、ほぼ一致する部分とかなりずれる部分があることに気がつきます。

なぜ、このようなことになったのか?大いに疑問が生まれます。大きくずれる場所は、埋立地部分を除くと、いずれも自然地形流域界より内側に行政資料流域界が移動しています。これは地形的要因に起因する排水施設整備工事のしやすさに伴い、その結果として生じた、ほとんど意識されないミクロな流域変更の積み重ねではないかと想像することもできます。

このように、自然地形流域界と行政資料流域界を比較してみると、そこにずれがあり、それは都市開発に伴いミクロな流域変更が行われたことを示しています。」

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このブログを開始するに際して花見川流域界図を探したのですが、その時は見つかりませんでした。仕方がないので、関係6市の資料から花見川流域界を作りました。この経緯はこのブログのページ「流域界」に書いてあります。

このたび、千葉県河川整備課にて花見川の流域界図を入手しましたので報告します。

入手した資料は印旛沼流域図(6万分の1)で、印旛沼全体の流域図です。この中に、印旛沼放水路(下流部)として、その流域界が掲載されています。

印旛沼流域図

●従属的な流域

この図を見て、花見川流域が自然地理的には印旛沼流域でもないのに、図中付録のように描かれていることの不自然さを感じます。

また、名称も花見川や花見川流域という名称がなく、流路に「印旛沼放水路(下流部)」という名称が印字されていることに対する不自然さも感じます。

花見川とその流域が河川としては全うな扱いをされていないで、ただ印旛沼の放水機能だけが求められている従属的流域であることが、この図に象徴されていると感じました。

●流域界

入手した花見川流域界とこのブログで作った(編集集成した)花見川流域界を比べてみると、6万分の1という小さな縮尺のレベルではあまり違いはありませんでした。

私はGISを用いていますから地図を拡大して、大縮尺で使用することが多いので、そうした正確な流域界図のデータの存在について河川整備課担当官にお尋ねしたのですが、存在していないとのことでした。

6万分の1地図の流域界線は、地図に掲載されている地物との関係を正確に把握することが困難な精度ですので、この入手地図により、このブログの流域界線を修正することはあきらめました。

左(印旛沼流域界図)、右(このブログの花見川流域界)

なお、流域界について、河川整備課にて次のことを教えていただきました。

ア 流域界を設定するための技術基準はない。

イ 河川行政では、河川の流域界は、自治体の排水区域界等を勘案して、図に表現することになる。

ウ 計画を作るときなどのタイミングで、流域界図を作成する。(流域界は時間とともに変化する。)

エ 宅地開発等で流域が変更となることがあるが、一定規模以上の宅地開発等を行う場合、要綱等により、開発者と河川管理者が協議することになっている。

オ 県で用いている印旛沼流域界図は資料として6万分の1縮尺のものがもっとも正確である。

カ 県で、GIS上で利用している流域界線はない。

千葉県河川行政では、6万分の1地図より正確な流域界線をデータとして用いる行政ニーズはないとのことでした。