6-2-1-③ア演習場の区分
6-2 下志津演習場
6-2-1 下志津演習場の区分と施設等
③ 演習場の区分と施設
ア 演習場の区分
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【演習場の区分】
宇那谷川流域紀行16 下志津射場図 6 演習場の区分
昭和17年4月発行近衛師団管轄演習場規程付図に掲載されている情報から、下志津演習場は次のように下志津射場、六方野射場、三角原射場、練兵場に4区分されて管理運用されていることがわかりました。
下志津演習場の区分
次の図は演習場区分図に演習機能情報をオーバーレイ表示したものです。
下志津演習場の運用
下志津射場と六方野射場は主に砲兵の射撃演習に使われたようです。近衛師団管轄演習場規程には両演習場の射撃は南北方向の射撃を基本とする旨書いてあります。
図上において射撃陣地の概ねの位置と射撃目標を設定してよい区域が設定されています。
射撃陣地の最も遠方のものは図の最も下に位置する歩兵学校演習場内のものです。この陣地と射方向を示す赤矢印は点線で表示されています。(点線の意味は近衛師団と歩兵学校との組織関係に関連するものと想像します。)この点線矢印の距離は約6kmです。
下志津射場および六方野射場の射撃陣地からの射方向を示す赤矢印はいずれも下志津射場内を指しています。矢印の距離は2km~4kmです。
下志津射場および六方野射場の双方に射弾下掩蔽部(着弾状況の体感訓練及び観測訓練を行うための施設)が1箇所ずつ設置されています。
六方野射場には射撃陣地からの射撃でない短距離(約500m)の射方向矢印が示されています。方向も南北方向ではありません。迫撃砲の演習を示しているようです。
三角原射場は爆撃基本目標と特殊演習場(毒ガス演習場)が設定されていて、通常の砲兵射撃演習とは異なる目的の演習に運用されていたことがわかります。
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近衛師団管轄演習場規程附図のコピーを入手しましたので、花見川流域の2つの演習場(下志津演習場、習志野演習場)の情報を連載記事にて紹介します。
近衛師団管轄演習場規程附図の表紙
近衛師団管轄演習場規程附図の内容の一部(下志津演習場の付図の一部)は、「絵にみる図でよむ千葉市図誌 下巻」(千葉市発行)に掲載されています。
私はそれを見て興味を持ち、これまで次のような記事を書いてきました。
2011.6.18記事「下志津射場図5近衛師団管轄演習場規程附図(上)」
2011.6.19記事「下志津射場図5近衛師団管轄演習場規程附図(下)」 など多数
また、近衛師団管轄演習場規程附図入手の経緯は2012.1.12記事「トピックス 近衛師団管轄演習場規程附図の閲覧」に書きました。
1 下志津演習場
ア 下志津演習場要図 其の一
既に「絵にみる図でよむ千葉市図誌 下巻」で公表されています。
下志津演習場要図其の一
参考までにこの図を3D表示してみました。
下志津演習場要図其の一3D表示
3D表示すると、平面図で見るよりも、演習活動と地形との関連について思考が楽に展開します。
大砲を設置する陣地は深い谷津で開析された場所、目標地点は平坦な台地であることが確認できます。敵から見つからない場所、攻撃されにくい場所に陣地を構築する演習、着弾地点の確認と砲手に対する連絡の演習がしやすいようになっています。
また、特殊演習場が二つの谷が出会う鞍部に設置されていて、ガス散布の効果と地形とのさまざまな関係について演習できるようになっていたことを推察できます。
イ 下志津特殊演習場要図
下志津特殊演習場要図の内容を新たに確認できました。
下志津特殊演習場要図
この図は利用区画を定めています。事前には、特殊演習活動の機能上のゾーンを定めているかもしれないと予想したのですが、そうではありませんでした。
要図に等高線がわざわざ書き込んであり、その地形(と風等の関係)を条件としてガス散布の演習活動を行っていたものと考えます。
(つづく)
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ウ 下志津演習場要図 其の二
この図には砲の射撃目標区域、電気発火用疑砲火施設、通信線と端末の位置、畑貸付地などが掲載されています。
下志津演習場要図 其の二
これまで、「絵にみる図でよむ千葉市図誌 下巻」にこの図の一部が紹介されていました。このたびの資料入手で図の全部を知ることができました。
この図から下志津演習場の区域を砲の射撃目標とする区域とそうでない区域に分けて、現代地図上で示すと次のようになります。
昭和17年の下志津演習場の区域
下志津演習場の範囲は、現在の行政区域でいうと、四街道市、千葉市稲毛区・花見川区・若葉区、八千代市、佐倉市にまたがっています。