2-3-2小崖地形の水平移動成分
2-3 芦太川筋谷津の地形発達史
2-3-2 小崖地形(断層地形)の水平移動成分
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【小崖地形(断層地形)の水平移動成分】
2012.6.26記事「河道逆行争奪の証拠5花見川による断層崖先行谷津パターンの取り込み」に海老川乱歩さんから次のコメントをいただきました。
海老川乱歩さんのコメント
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googleにアカウントを持っていないので匿名で 失礼させていただきます。
とりあえずニックネームを「海老川乱歩」 とさせていただきます。
毎日わくわくしながら拝読させていただいております。
小生44歳の男性です。 7歳から20歳まで花見川団地に住んでおりました。 20歳から現在まで、同じ千葉県の船橋市に居住しております。
Cooler様が紹介してくださる写真や内容は7割くらいは、 昔自転車で走り回っていた所なので既知のものなのですが、 残りの3割は、こんな所があったのかとただ驚くばかりです。
小生、地学に多少興味があり、なぜ谷ができるのか 不思議に思っておりました。 このブログを読んで長年の疑問が解決し 胸がすっきりしております。
我々が何気なく住んでいる花見川周辺は、長い年月で見ると ダイナミックな地殻変動が 発生していることが分かりびっくりしています。 花見川周辺は、地学のいい教科書だったんですね。
1つ教えていただきたいのですが本日(2012/06/26)のブログ内容で 無能谷があります。たとえば花見川団地の商店街横の 中央公園の谷ですが、 花見川第1小学校のところで北上していたのが東に曲がっています。 無能谷とありますが、花見川第1小学校付近から 京成大和田駅方向に 「谷」の痕跡などはあるのでしょうか。
さこう医院から大和田駅に行く道路は自転車でしか 通った事がないので 小生は谷の痕跡があるのか分かりません。
(小学生の頃は、セミ取りなどで、林から鷹の台ゴルフ場に1回でけ 入ってしまったことはありますがゴルフ場内の詳細な地形などは 記憶にありません)
どうかご教授の程よろしくお願い致します。
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このブログを見ていただき、またコメントをいただき、感謝申し上げます。
質問に回答いたします。
断層崖(小崖2)が生じて、それに起因して水系パターンが変化し、断層崖によって上流を切られた無能谷が生まれたという私の説明に、その証拠があるのかという質問だと思います。
次の図は下総上位面の微地形を見るために作成した0.5m刻みの地形段彩図です。
下総上位面に焦点を当てた地形段彩図
レーザ航空測量による5mメッシュ(0.1m刻み標高データ)をGISソフト地図太郎で加工して作成
この地形段彩図をみると台地表面に2つの谷状の微地形を追うことができます。
この谷状の微地形が海老川乱歩さんから質問のあった無能谷の証拠(無能谷そのもの)と考えています。
1~2m程度の比高の谷ですが、建造物や林により視界が遮られ、説明がなければ一般に直観することは困難だと思います。
上記図に谷状微地形(無能谷)筋を書き込んでみました。
地形3D図
カシミール3Dにより高さ強調20倍で作成
無能谷筋を旧版1万分の1地形図にプロットとしてみました。
旧版1万分の1地形図の等高線からこの無能谷筋を見つけることはできません。
無能谷筋の表示
下総上位面が離水して陸化したのが12万年くらい前で、下総下位面がつくられたのが10万年前くらいと勝手に考えると、この谷が無能谷になったのはその間で、かなり12万年前に近い時だと思います。
つまりこの無能谷は下総上位面形成直後に形成され、すぐに無能谷化した、花見川流域ではその起源が最も古い谷だと考えています。花見川流域最古の谷がそのまま化石化したものと考えます。
無能谷化してから12万年近くの間火山灰が降り注いでいます。近くのボーリングデータではこの付近に5~6mの火山灰が堆積しています。
次の図は、この地形段彩図を3D図で強調表現して、無能谷の筋を示したものです。
DM図
千葉市及び八千代市提供DM図
DM図から無能谷筋を見つけることは不可能ではないと思いますが決め手に欠けます。
しかし、一度無能谷筋をプロットしてみると、その筋の最もらしさをDM図コンターが説明しているように感じます。
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2012.7.1記事「海老川乱歩さんのコメントと回答」に海老川乱歩さんから次の文章を含むコメントをいただきました。
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■このブログをここまで読んだ感想と私の考え
国土地理院の空中写真 USA-M223-73 を見ると、芦太川の谷頭部(花3小付近?)と花島の谷津の谷頭部(花島小付近(旧花4小))の位置がほぼ等しい(他の印旛水系の谷頭部とほぼ直線で結ばれる)ので、昔は花島の谷津も印旛水系だったというのもうなずけるような気がします。
(最初は、Cooler先生のおっしゃる事が信じられませんでした)
またこの空中写真をよく見ると、芦太川の谷津と仲東谷津が交差する所で芦太川の谷津が東西方向にずれているようにも見えます。
花見川に両サイド(東側と西側)から力が加わって花見川付近が隆起したか、花見川の片側(東か西)だけ力が加わって花見川付近が隆起し、花見川だけ水系パターン異常が発生したのでしょうか。
そう考えると小崖は、最低でも垂直方向と水平方向の2回動いたのでしょうか。
いつかはまた動く事も考えて備えなくてはいけませんね。
(学者が花見川周辺の崖に無関心のようにみえるのは、私だけでしょうか。Cooler先生が学者でしたら「すいません」)
USA-M223-73 を見ると地殻変動の痕跡が何本か写っていますが、小崖には○○断層のような名前がついていないのでしょうか。
ノーマークだといつか痛い目にあうと思います。
こんな身近な所にあるとは思いませんでした。
恐らく日本中にこんな感じで身近な所に、無名のものが沢山あるのではないでしょうか。
USA-M223-73 は、花見川周辺の地殻変動の痕跡を写したいい写真だと思います。
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この中で、「芦太川の谷津が東西方向にずれているようにも見えます。」は次の写真の○の中のことだと思います。
米軍空中写真(usa-m223-73の1部)
このずれが地殻変動のためであると海老川乱歩さんがおっしゃったことは一つの重要な新発見だとおもいます。
私もこのずれ自体は気がついていましたが、これが地殻変動(横ずれ断層)のためであると正面から意識することはありませんでした。
小崖2が垂直方向の成分だけでなく、大きな水平成分の移動を伴っていることに気がつくと、いろいろなことが氷解する可能性が濃厚になりました。
居てもたってもいられないような興味に動かされて、芦太川のずれの分を補正するようにマップを切ってつなぎ合わせてみました。
マップを切った線分は小崖2にほぼ沿う単純な直線としました。
旧版1万分の1地形図
次に、無能谷筋を現代DM図にプロットしてみました。
現在のマップ
地形段彩図にDMデータをオーバーレイ
芦太川のずれの分だけ補正して切張りしたマップ
結果として、南のブロックを西に約50m移動させることで補正しました。
このようにマップを切張りすると、芦太川のずれは解消します。
1 円錐体地形の合理的説明
同時に、これまで十分に納得できなかった芦田川ずれ地点の地形(円錐体地形)の合理的説明ができるようになるとおもいます。
(2012.1.16記事「円錐体地形」参照)
この検討は後日詳細に行いたいと思います。
2 柏井付近地形発達の合理的説明
マップ切張りで、これまで異常と考えていた古柏井川河道線の不連続の理由がわかることになりそうです。
上記切張り前と後の図の一部を切抜き、古柏井川河道線(谷津の側線)を書き込んで比較してみました。
古柏井川河道線の比較
左は現在のマップ、右は南ブロックを50m西に移動したマップ
南ブロックを50m西に移動すると、古柏井川河道線(谷津の側線)が南北方向にスムーズにつながり、河川争奪を考える際の地形発達の思考を合理的に進めることができます。
現状のマップでは地形発達における前谷津(西から流入する谷津)の役割を過大評価してしまうことになります。
(実際に数か月前までの私の思考はそうであり、誤っていました。)
50mという大きな水平移動の存在に気がつくと、ほかにも解明できることが沢山でてくると思います。
海老川乱歩さんの大発見に感謝します。
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追伸1
防災的観点から小崖2を見ると、それは未発見の活断層ということになると思います。その方面からの調査が必要なものであるのか、機会をみつけて専門家に聞いてみたいと思っています。
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追伸2
芦太川はこれまで「アシブト川」と呼んでいました。八千代市や千葉市の行政の方もそう呼んで(読んで)います。
しかし、最近ある資料にルビがあり「アシダ川」となっていました。
八千代市のこの付近の字名や字界は失われていて、地名資産が粗末に扱われてしまった地域です。
理由は言葉になりませんが、私は「アシダ川」が本来の呼び名ではないかと感じています。
自分としては「アシダ川」と呼ぶ(読む)ことにしました。
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2012.7.14記事「海老川乱歩さんの大発見(!)」に海老川乱歩さんから本日コメントをいただきましたので、記事として掲載します。
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海老川乱歩です。
「南ブロックを西へ50m移動」とありましたのでびっくりしました。
クーラーさんが数字を出す前に、自分でも何m移動したのか確認しようと思っていたのですが、後回しになっていました。
自分の目測予想はせいぜい5m~10mだと思っていましたので予想外の大きい数字です。
ということで自分も、Google Map の衛星写真で確認してみました。
画面の左下に出てくる距離の目盛50mを定規で測ったところ32mmでした。
芦太川の谷底の最深部を中央分離帯の所(カーブミラーの所)として、中央分離帯の延長線上から断層の南側の谷のカーブが終わって直線になり始める所(薬屋付近)までの距離を測ったところ、30mmでした。
求めるずれた距離を x として、比の計算をすると下記の式が成り立ちます。
32mm:50m = 30mm:xm ①
50/32=x/30
x=(50*30)/32
x=46.875m (27インチモニターでの結果)
因みに24インチモニターでも確認してみました。
50mの目盛を定規で測ったところ28mmでした。
中央分離帯の延長線上から断層の南側の谷のカーブが終わって直線になり始める所(薬屋付近)までの距離を測ったところ、28mmでした。
以下の式をたてれば、答えは一目瞭然ですね。
28mm:50m = 28mm:xm ②
x=50m (24インチモニターでの結果)で、クーラーさんの数字とドンピシャです。
(①式と②式の左辺の左項は、各人が使用しているモニターのサイズと設定ドット数で変わりますので注意してください)
クーラーさんの出した数字50mは、怪しくないということが分かります。
ずれた距離は、50m±10m の範囲におさまるといったところでしょうか。
ここで新たな疑問が発生しました。
ずれた距離が50mあり、1回のアクションの水平方向の移動距離を2mと仮定すると、50m/2mで、25回アクションが発生したことになります。
私が前に書いた2回どころじゃありませんね。(恐ろしい回数です)
いやいやそうじゃなくて、大規模なアクションは起こらなくて、年間移動距離を仮に5mmというゆっくりな移動として計算すると、50m/5mmで、10000年という長い時間をかけてゆっくりと50mずれたのか、私には分かりません。
やはり専門家に調査して頂き、結果を知りたいところですね。
自分が思った事や疑問を書き出します。
1.芦太川
・仲東谷津と交差するところで、長沼のように水は溜まらなかったのか。
・仲東谷津と交差するところで、東西方向にずれのようなものが確認できるが、断層の東側延長線上に花見川と横戸川?に芦太川のような分かり易いずれが確認できない。
2.柏井の谷津
・柏井の西側の谷津の上流の、中央公園の谷津は、花1小のところでなぜ崖を越えられなかったのか(クーラーさん曰く、無能谷はある)。(西隣の芦太川は、断層を超えている)
・柏井の東側の谷津は、西側の谷津の上流にある中央公園の谷津のような谷津が無い。(クーラーさん曰く、無能谷はある。USA-M223-73やGoogle Mapの衛星写真を見ると、花島の谷津がこの無能谷につながっているようにも見える)
・Google Mapの衛星写真をよく見ると柏井の東西の谷津が合流する所で、東側の谷津も西側の谷津も南ではなく、北に向かってカーブしているように見える。(南の東京湾方向ではなく、あたかも北側の印旛沼方向に流れていたようにもみえる。)
3.花島の谷津
・花島の谷津の成因も断層による段差が原因と思われる。柏井の谷津のように花見川の反対側(東側)に、花島の谷津と同じような谷津が無い。
2012年7月17日 2:00
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この記事に対する私のコメントは追って記事にします。