2-2 花見川筋の谷津地形発達史
2-2-5 河川争奪現象の命名
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【河川争奪現象の命名】
地形学の専門書の中に河川争奪の様式区分をしているものがありましたので、その内容を紹介します。
またその内容と花見川河川争奪を対比してみました。そうしたところ、花見川河川争奪はどの様式にも含まれないので、このブログでは新たな様式を設定して、その仮称を命名しました。
1 鈴木隆介著「建設技術者のための地形図読図入門 第3巻段丘・丘陵・山地」(古今書院、2008)による河川争奪様式
この本では河川争奪様式について次のように説明したうえで、その様式を4分類しています。
「河川争奪は、分水界を共有する2本の河川の一方または両方の頭方侵食または側刻によって分水界が低下し、ついには両河川が接触したために、河床高度が高い方の河川が低い方の河川に流入して、前者の流域変更が起こる現象である。」
河川争奪様式
(表まとめは引用者)
説明図
2 花見川河川争奪の様式
花見川河川争奪は一見頭方争奪とみてしまいがちですが、そうではありません。争奪された河川(古柏井川)の水が争奪した河川(花見川)に流れ込むということは、(古柏井川の支谷津を除くと)ありません。
また、争奪の肘と呼ばれるポイント(上記説明図でEの箇所)が、花見川河川争奪ではポイントではなく、争奪した個所全体となってしまっています。
花見川河川争奪は、争奪される河川の最上流部河道から出発して、その河道を下流に向かって逆行して差別的に谷頭浸食している現象です。
花見川河川争奪は、一般的な河川争奪様式にあてはまらない、大変特異な現象であることが、確認できます。
3 花見川河川争奪現象の様式仮称命名
花見川河川争奪現象の様式は、これまで見つかっていない特異なものとして、このブログでは、新たに次のように仮称を命名します。
「河道逆行争奪」
この仮称命名は、現象を説明すれば「河道逆行型差別浸食による争奪」ということになりますので、これを完結に表現したものです。
上記表(鈴木隆介(2008)をまとめたもの)に追記すれば次のようになります。
河川争奪様式
(青字が追記部分)
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【河川争奪現象の説明イメージ】
河道逆行争奪と名付けた花見川河川争奪の説明イメージ図の下絵を作成してみました。
簡単な線画レベルです。
河川争奪前
河川争奪後
時間を見つけて、この下絵に手を加え、また河川争奪中のシーンを加えたりして、よりわかりやすい絵にしていきたいと思っています。