6-4 花見川河川敷におけるトーチカの発見と調査
6-4-3 戦争遺跡予備調査の実施
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【戦争遺跡予備調査の実施】
このブログで記事にしてきた花見川河川敷内(花見川区柏井町地先)の軽便鉄道橋台とトーチカ(※)と考えられる構造物の予備調査を下記の要領で実施します。
予備調査に興味のある方はクーラーまでメールでお問い合わせください。
花見川河川敷内で発見された戦争遺跡の予備調査について(参加者募集)
●予備調査の趣旨
今回新たに見つかった戦争遺跡が学術的等の観点から本格調査するに足る対象であるか否か検討判断するための情報を得る。
●予備調査の概要
1 軽便鉄道橋台を確認する。
2 トーチカと考えられる構造物の全体像を、それを覆っている草を一部除去するなどして把握する。
具体的には、構造物内部(地下部分)への出入り口を探すとともに、構造物全体の大きさを推察できる情報を集める。
なお、今回の予備調査では構造物内部への出入り口を発見しても、内部への立ち入り調査は安全性等の観点から行わないこととします。
●予備調査の日時
平成24年12月18日(火)13時~15時 (雨天の場合12月20日(木)13時~15時)
●参加費:無料
●問い合わせ及び参加申し込み
予備調査に関する問い合わせ及び参加申し込みは予備調査呼びかけ人(クーラー)までメールでお願いします。
(参加申し込み締め切り:12月14日(金))
集合場所や注意事項等は参加申込者に直接お知らせします。
予備調査呼びかけ人(クーラー)のメールアドレス
arakiあ246.ne.jp
「あ」を「@」に差し替えてください
●自己責任による参加
この予備調査の現場は普段は人が入らない、背丈以上の笹が茂り、急斜面もある河川敷です。怪我や事故に対して自己対処、自己責任を持てる方のみご参加ください。(保険は入りません)
●予備調査結果の公表
予備調査後、参加者が連絡を取り合うなどして調査結果をとりまとめ、参加者、地元団体、関係機関等で共有します。
また、ブログ「花見川流域を歩く」で公表します。
●参考
なお、調査に伴う河川敷草刈は河川管理者から、下水道管理用道路の通行については下水道管理者から許可を得ています。
軽便鉄道橋台
樹木に覆われた崖にあり外部から見ることができない。
最近、河川管理者によるボーリング調査用通路が切り開かれ、到達できるようになった。
トーチカの監視塔と考えられる構造物
下見の際は草で完全に覆われていたが、手で排除して構造物を露出させた。
写真に写る飛び出した鉄筋はここに捨てられた戦後の鉄筋で、トーチカとは無関係
トーチカの監視塔と考えられる構造物
壊れたコンクリートから粗末な鉄筋のかけらが見える。
右面が花見川東岸に面する。銃眼口が3つある。
左面が軽便鉄道橋梁に面する(南に面する)。銃眼口が4つある。下部の銃眼口の1つは現在の地表すれすれに位置している。
下見の際にはこの構造物の中にははいれないかったが、北側には出入り用の切欠きがあり、内部は周辺と同じような高さに落ち葉が積もっている。
銃眼口の位置から、本来は、内部は深い構造であったと考えられる。
戦争遺跡が存在する場所
グーグルマップにより作成
※トーチカ:鉄筋コンクリート製の防御陣地を指す軍事用語。トーチカが城塞と区別される点は機関銃やそれ準ずる自動火器、あるいは小型高性能な火砲の登場でごく小規模な単位で、敵部隊の攻撃を阻止できるようになった事である。トーチカは一般に円形や方形などの単純な外形で、全長が数メートルから十数メートル程度、銃眼となる開口部を除いて壁でよく保護された防御施設である。(出典:ウィキペディア)
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12月8日(土)に強風が吹き枯葉が舞飛びましたが、翌日の12月9日(日)に花見川サイクリングロードを散歩すると、これまで双眼鏡を使っても確認できなかった軽便鉄道橋台のコンクリートが誰にでもわかるように露出していました。
コンクリートを覆っていた蔦の葉が強風で全て吹き飛ばされたようです。
軽便鉄道橋台のコンクリートが見える場所
同上拡大写真
橋台コンクリートの左に緑の植物が写っていますが、この植物が次写真の足元の緑の丸い植物です。
軽便鉄道橋台のコンクリートに乗って真下を写した写真
軽便鉄道橋台がそこにあると判っていますから、確認できますが、そのような知識や意識がない一般の散歩者が、花見川サイクリングロードからこのコンクリートを見つけることはほとんどないとおもいます。
私も平成元年から散歩していて、今回初めて気がつきました。
12月18日にこの軽便鉄道橋台と近くの新発見トーチカと考えられる構造物の予備調査を実施します。
幸い下水道管理者のご好意によりこの場所まで車でも行くことが出来るようになりましたので、ふるってご参加ください。(この場所すぐ、ゴルフ場手前に印旛沼流域下水道西部ゲートがあります。)
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12月18日に花見川河川敷内で発見された戦争遺跡の予備調査を行いますが、その下見をしていたら、トーチカと考えられる構造物の監視塔だけではなく、その地下にある巨大な地下構造物のコンクリートが地表に露出している部分を発見しました。
地下構造物のコンクリートの一部が地表に露出している部分
コンクリートの上に乗るケーブル管のようなものは戦後の工業製品と考えられ、戦後の何らかの工事等の際に置かれたものと考えます。
地下構造物のコンクリートの一部が地表に露出している部分は、監視塔から30m程離れた場所で、花見川の崖の上部に位置しているところです。
サイクリングロードからも見えます。
この部分の草刈は千葉県によるボーリング調査用通路抜開のために最近行われたようです。
地下構造物のコンクリートの一部が地表に露出している場所
グーグルアース画面に情報を追記して作成
12月18日に実施する予備調査の目的は、「今回新たに見つかった戦争遺跡が学術的等の観点から本格調査するに足る対象であるか否か検討判断するための情報を得る。」ことにありますが、調査目的を是非とも達成したいものです。
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米軍による1949年4月26日撮影1万6千分の1空中写真を拡大実体視して戦争遺跡について分析を行いました。
分析に用いた空中写真の1枚
国土地理院より入手した印画紙印刷空中写真を1200dpiでスキャンし、それを6400%に拡大して、パソコン画面上で実体視して構造物の状況を把握しました。赤枠内の拡大図を次に示します。
米軍空中写真の実体視により把握した構造物
最近現場で発見した軽便鉄道の西岸橋台とトーチカ監視塔の外、軽便鉄道橋脚2基、東岸橋台、トーチカ監視塔上部、トーチカ本体を確認できました。
トーチカ本体の空中から見る姿は想像していた以上に複雑で、かつ攻撃的な構造を有していることが判明しました。トーチカですから当然ですが。
また、1949年時点では地表に露出していて、それ以降に土で埋められたことがこの空中写真から判明しました。
さらに、現存する監視塔は下部であり、その上部に小さい塔の存在が確認できました(上部小塔は現存しない)。
これまで、この構造物がトーチカではなく、防空軍事倉庫等である可能性を排除できないと考えていましたが、米軍空中写真判読によりその可能性は消えました。
米軍空中写真の実体視により把握した監視塔とトーチカ本体の構造に関する情報
トーチカは花見川斜面を利用して築造され、3方向の砲口をもつ構造であると推察できました。
これまでに現場では次のような情報を得ています。
これまでに得られた現場の情報
これまでに得られた現場の情報に、米軍空中写真判読結果を、本来必要な各種補正をしないで便宜的仮作業として重ね合わせてみると、双方の情報をほぼ整合的に理解できることを感得しました。
現場で得られた情報と米軍空中写真判読の大ざっぱな重ね合わせ
米軍撮影空中写真を実体視している時、ふとタイムトラベルの空中飛行をしているような感覚に襲われました。なにしろ地下に埋もれていて空想するしかなかった構造物の立体形を3Dで見てしまったのですから。
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ア 草刈決行に至るまで
最初の下見の際、トーチカ監視塔は笹によって完全に隠れていて、情報がなければ100%見つけることはできない状況でした。
しかし、柏井小学校創立20周年誌の写真と鉄筋の一部(戦後捨てられたものであることがその後判明する)が見えていたこともあり、それを手がかりに笹藪の藪漕ぎをしてトーチカ監視塔に到達し発見することができました。
最初にトーチカ監視塔に気がついた時の状況
トーチカ監視塔は全く見えないが、戦後誰かによってこの場所に捨てられた異形鉄筋の上部が右に見える
藪漕ぎをしている最中には、足が地面に着くことはなく、曲がった笹の上に乗っていて、まるで空中浮遊している状態になってしまいました。
地面の傾斜もあり、一人で心細い気分になりました。
しかし、危険に対する不安より、好奇心の方が勝って、トーチカ監視塔を発見できました。
藪の中を空中浮遊するような状況では予備調査を実施できないので、後日の下見の際に草刈を行うこととしました。
イ 草刈決行
人生初めてのエンジン付き刈払機による草刈りを始めたところ、すぐに機械操作のコツはおぼえました。
3時間かかってトーチカ監視塔の近くの予備調査に必要な最低限の面積を草刈しました。
背丈をはるかに超える笹が密生し、ノイバラ等の刺の多い小灌木が混ざり、径3センチはあろうかというツタ類が縦横に張り巡らされていて、この草刈作業は公園や道路脇の草刈とは全く作業の質が異なるであろうと想像しました。
草刈を終えた時は、前日WEBで見たキックバックなどの危険な状況の回避を念頭においた作業時間が終了したことでもあり、ほっとしました。
しかし、思った以上に小面積しか草刈できなかったことに改めて気がつきました。草刈のプロならおそらく私の2倍はできるかもしれないが、3倍は無理なのではないかと体が勝手に積算していました。
トーチカ本体全体の草刈はプロの仕事として5人日くらいの重労働作業であろうと考えました。
草刈後姿を現したトーチカ監視塔(下部)
メジャーの長さは1.5m
ウ 笹の切り残しの危険性
なお、草刈の跡に尖った笹の切り残しが出るのは避けがたいものですが、それが大変危険であることをこの作業前に認識していたので、靴の中敷きに踏み抜き防止用の鉄板を入れて作業しました。
おそらく踏み抜き防止用鉄板を靴底に入れなければ、安心して作業できなかったと考えられます。怪我をしていた可能性もあるとおもいます。
安全靴と称するもので、踏み抜き防止機能を有するものは無いとのことですので、笹地における草刈では、他の防護装備とともに鉄板の靴中敷きが必須です。
危険な笹の切り残し
エ 草刈時期
草刈をしながら、ハチ刺されの危険性が無い時期であることに、密かに安心しました。
ハチが活動している時期ではハチ刺されによるアレルギー反応で重体に陥ったり、重篤な後遺症が残ったり、場合によっては命を落とすこともあると野外調査関係者から体験を聞いたことがあります。
オ 行政に本格調査を要請する理由の一つが草刈の実施
今回の予備調査でトーチカ監視塔、トーチカ本体、軽便鉄道橋台を再発見し、今後本格調査の必要性が生まれましたが、今後の調査では草刈が必須であり、その作業を市民が行うのはあまりに危険であり、草刈のプロに登場してもらう必要を痛感しました。
行政に本格調査実施を要望する理由の一つが、当該現場における草刈実施は市民では無理であるという点にあります。
●「花見川河川敷内で発見された戦争遺跡の予備調査報告書」は近々このブログで公表予定です。
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12月8日記事「花見川河川敷内で発見された戦争遺跡の予備調査参加者募集」で呼びかけた予備調査を、12月18日に無事実施することができました。
関係機関等の皆様のご協力に感謝申し上げます。
この予備調査の報告書を公表します。
次の表題をクリックしてください。
花見川河川敷内で発見された戦争遺跡の予備調査報告書 (2.6MB)
なお、この予備調査報告書についてご感想等があれば、次までメールしていただきたく、お願いします。
arakiあ246.ne.jp (「あ」を「@」に差し替えてください)