8-1-2-①イカワセミ

8-1 花見川流域の自然環境

8-1-2 散歩道の動物

① 野鳥

イ カワセミ

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【カワセミ】

カワセミ観察場所と素掘掘割部分

カワセミが採餌していた高津川(コンクリート3面張)

カワセミが採餌していた長作川(柵渠)

上図は、散歩でカワセミを観察した場所をプロットしたものです。花見川中流がその分布の下限になります。

写真をみていただいてわかるように、こんな場所でカワセミが採餌しているとは驚きです。こんな河川・水路に小魚や水生小動物がいて、カワセミが採餌していることはあまり知られていないと思います。

カワセミは花見川上流の素掘掘割を拠点にして(営巣場所にして)、流入河川・水路にも出かけて食事をしています。高津川、勝田川、横戸川、犢橋川、長作川などで、柵渠の中をたくみに飛翔している姿を何べんも観察しました。

花見川の掘割(弁天橋付近から花島橋付近まで)は天保の素掘普請の姿がほぼそのまま残っていて、その後の大きな改変やコンクリート構造物がありません。珍しい河川形状になっています。文化的・景観的・歴史的な価値も生まれてきています。カワセミ分布から推し量られるように自然的な価値も大きなものがあります。私は、この素掘掘割としての花見川の価値を流域に居住する住民や行政がもっと知り、地域づくりにもっと活用すべきだと思っています。

将来治水や利水・空間利用上の要請で、掘割部改変の必要が生じた場合は、素掘河川としての価値をどのように後世に伝えてゆくか、十分な吟味が必要だと思われます。

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高津川小流域紀行3 うれし悲しい高津川自然環境

自然環境面から見て、高津川は私にとってうれしさと悲しさが同時に感じられる川です。

うれしさを感じること

1 カワセミやコサギ、カルガモなどの野鳥が多数飛来して餌を採っている。

カワセミは花見川合流点から約2.5km上流の北高津川合流部近くまで飛翔して餌を採っています。コンクリート3面張りの水路に緑光沢色のカワセミが飛翔し、ホバリングしてから水中にジャンプして餌を採る姿を見ることはうれしいことです。「どっこい自然は生きている」という感じを受けます。

高津川ではアメリカザリガニをよく見かけるので、それを採っているのかもしれません。(カワセミについては以前の記事「カワセミの生息に不可欠な素掘堀割」でも紹介しました。)

コサギは高津川の上流部までほぼ全川で見かけます。アメリカザリガニや水生昆虫、小魚などを採っているものと思われます。

カワセミ飛翔区間

高津川のアメリカザリガニ

2コイの集団産卵

高津川が花見川に合流する区間では春先にコイの大集団による産卵が見られます。大きな水音を立てて産卵する様子からは、自然の力強いエネルギーを感じます。(コイの産卵については以前別記事でも紹介しました。「花見川上流紀行3見どころ」)

コイの集団産卵の様子

3ドジョウ、小魚の生息

散歩途中、高津川上流部の八千代市八千代台西十丁目付近で河床にドジョウと小魚、ミミズの多数の斃死体を発見しました。(平成21年10月19日正午頃)水質事故に対する問題意識の前に、ここにドジョウや小魚が住んでいることを知って、うれしい感情が湧きました。地域からは見向きもされていない水路ですが、「どっこい自然は生きている」のです。この斃死体が次々に流れ、下流で数羽のコサギが夢中で探して見つけ、食べていました。

ドジョウ、多数の小魚、ミミズの斃死体

ドジョウの斃死体があった場所

4流域に存在する広大な自然地

既報(「北高津川流域紀行2習志野演習場見学記」)のように、高津川には陸上自衛隊習志野演習場が存在しており、広大な土地(67万坪)が自然的状態(草地、湿地、林地)で存在しています。第一空挺団の方から、キジ、ヤマドリ、タヌキ、ノウサギなどの野生動物が生息していることを聞きました。流域にこのような土地があるということは、高津川の環境が安定し、自然を回復するよすがとなるものであり、うれしいことです。

都市空間の中の広大な演習場

悲しさを感じること

1旧軍の悪

旧軍の悪(毒ガス埋設)は高津川にとってとんだ災厄です。この件については既に詳しく書きました。(「北高津川流域紀行4旧軍の悪」、「旧軍の悪2」)

2街から排除された川

高津川が環境や文化と深く関わってきているという事実の存在を否定するような川づくりが行われているように感じられます。高津川をコンクリート溝化し有刺鉄線付き金網柵で囲うことにより、地域から高津川を排除しようとしています。悲しいことです。(「有刺鉄線付き金網柵で川を囲む」)

3水質汚染

ドジョウ等の水生動物の斃死は、上流における汚染物質の垂れ流しが原因であると推察されます。すぐ上流は工業団地になっており、一部は商業業務地区としてスーパーや郊外型各種量販店が立地しています。自動車の修理や洗車なども川のすぐそばで行われています。事業者が川の存在を意識し、水質事故に至らないよう自主活動することを望みます。(今から思うと、水生動物の斃死を観察した時、直ぐに担当行政機関に連絡しておくべきだったです。)

高津川の再生

高津川はかつて旧軍の悪があり、またコンクリート溝と化した川になってしまいました。

しかし、この川でも、増水時に生きものが退避できる場所をつくったり、演習場の自然を花見川の自然と結びつける工夫などをする中で、自然を序序に回復することが可能だと思います。

今は、地域の人々はあきらめていますが、気持ちを切り替えれば、そして知恵と工夫を持ち寄れば高津川は再生すると思います。

悲しがってばかりではなく、うれしいことが沢山起こる高津川にしていきたいものです。