最近,市中心街に客を集めるため,いろいろイベントを計画したり,施設や駐車場を整備したりしている.熊本城を訪れる観光客を市中心街へ誘導するため熊本城への登り口に在った県営プールを廃止し,さらに隣接する合同庁舎を熊本駅前に移すなどして,そこに駐車場と城彩苑という土産物売り場,湧々座(歴史文化体験施設,お城見学前の予備的案内)を作り,市中心街への観光客の流れを期待したが,開設以来の統計では効果は今ひとつとのことである.
2011年7月7日 熊日記事によると「熊本城から中心街へは4割 熊本市が観光調査」だそうである.市は,今後街に『行かない理由』を把握することも検討するそうである.おそらくどこかの調査会社へ委託してその結果をマスコミに発表する程度だろう.
それにしても,何故そのような発想になるのか見えてこない.湧々座(歴史文化体験施設)へ行ってみると,周辺市街地へのプロローグとして戦災に遭わなかった旧市街(古い土蔵などが残っている新町界隈)への誘いは感じられるが,市中心街へ行ってみようという誘いは感じられない.旅行する前には,ほとんどの人が直接的, 間接的に城彩苑のホームページを見ると思ってよい.ホームページには
「築城400年を経て、多くの方が熊本城をはじめとした歴史文化の魅力に触れ、城下にまで足を延ばし賑わいが溢れることを願って「桜の馬場 城彩苑」が誕生しました。」と記載されている.
ところが,そこには市街地との連携は感じられない.このような計画は都会のイベント会社,設計事務所がやっているはずである.住民や旅行者の気持ちを汲みとっているか疑問である.
県や市のプロパガンダも次第に子供じみてきた. 「くまもん」という「ゆるキャラ(ゆるいマスコットキャラクター)」をあちこちに派遣したり,人気投票を呼び掛けたり県知事も大変である.内心なぜこんな子供じみたことをしなければならないか疑問に思っていると思うがいかがだろうか.先月下旬に締め切られた人気投票では「くまもん」がグランプリを獲得したそうである.県庁職員が大勢出迎えている映像がテレビに流れていた.平和そのものである.
12月初旬には韓国国内のブログに書いてもらうため,韓国の代表的ブロガーを招待し,熊本城や阿蘇などを案内したようである.
非日常性を求めて旅をするのを理解できない訳ではないが,受け入れ側のいろいろな試みがそれに応えているかはなはだ疑問である.歴史観の押し付けと思われるようなこともないとは言えない.
熊本市は来年4月政令指定都市へ移行する.市民の住宅も周辺へ広がり,旧城下町の道路網とほとんど変わらない分かりにくい市中心街へ行くより,駐車場の整った郊外のショッピングモールに車で買い物に行った方がずっと便利であることは事実である.(2011/12/14)
追記
以前熊大薬学部に韓国の助教授が短期滞在したことがある.熊本城や加藤清正の話になるとインベーダー(侵略者)だから興味がないと言っていた.そのような考えに対する配慮も必要かもしれない.