崇城大学在職中にいろいろなことがあったが, なかには「どうでもよい」と思うようなことがあった. そのひとつに髪の毛の色問題がある.
薬学部開設当時は, 高学年に実施される実務実習担当の実務家教員は少なく, 基礎系教員が中心であったが, 2年後には実務家教員が増え, 薬学教育全体の体制が整った. 第一回生は4年制であったため, 4年前期に, 学外の病院や薬局に短期間(6年制と較べれば)の実務実習を計画した. 3年次後半には実務家教員を中心に, 実習の準備教育が計画され, 実施された.
学生を送り出すために, 実務実習委員会がつくられ, いろいろなことが議論された. 基礎系の教員には考えつかないようなことが提起され,真剣に議論されたとのことである. その中で, 学生の髪色が問題になり, 学外実習の際は, 自然色?に統一することになった. 議論の過程で, 当研究室の助手の先生の髪色が問題になったようである. 会議に出席した委員にそのことを聞き, 本人の髪色を確認したが, 真っ黒ではないがあちこちで見かける”普通の髪色”であった.
さっそく, 知人の病院薬局薬剤師に尋ねたが, そんなことは気にしていられないという意見が大勢であった. 実際, 当研究室出身の有能な薬剤師も同じ見解であり, 周囲の医療従事者に信頼される薬剤師であることが先決と言っている.
ところで, 毎年, 入学式の後, 保護者に集まってもらって, 薬学教育の詳細について説明するが, 髪の色のことまでは話が及ばない. 保護者の髪色を見たら, 話を切り出せない状況であり, それなりに様になっており,世間一般に受け入れられているような気がする. そう思うのは私だけであろうか.
[一言] 薬剤師に限らず,現在でも他大学, 他学部学生の中には就職活動前に髪色を黒に染めるようである(薬局に相談に来る). 就職担当教員の指導と思うが, 学生にとっては単なる就活対策としての化粧のひとつのようである.