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我が家では,真夏の屋根裏倉庫の温度は40度を超えるので,ファンで強制的に空気を送り込んで外気温に近くなるまで冷やしている(別稿 屋根裏の熱気強制排気).
いちいちスイッチを入れるのが面倒になり,温度が上がったらファンのスイッチが自動的に入り,外気温に近くなったら停止するようにできないかと思い,いろいろ調べると電気コタツ(古い製品)のバイメタルが使えることが分かった.バイメタルという素子は熱膨張係数の異なる金属を張り合わせたものであり,温度が上がると湾曲するため接点を設けておけば容易に電流をON/OFFできるというものである.
話が脇道にそれるが,バイメタルに は思い出がある.院生の頃,百瀬教授の研究室に一日弟子入りして,「百瀬式融点測定器」を製作したことがある.当時は濃硫酸浴を用いた直火によるフラスコ融点測定法が主流であり,危険であるため,空気浴を用いた改良型が提案され初めていた.半田ごてのヒーターとバイメタルサーモスタットで簡単に手作りできた.その際使用した素子は下記のようなものであった.
注)百瀬試薬で有名,分析学が専門であるが,定年前は実験機器の改良に専念していた.
ところが,現在は接点接触型の機械的な素子は特殊な用途に特化した工業用を除いて販売されていない.ウエブで写真を探すのにも苦労した.
ほとんどが,温度で抵抗値が変化するサーミスター等の固体素子を使った無接点電子回路に置き換わってしまった.
いろいろ調べると,換気扇専用の制御装置(サーモスタット)が販売されていることも分かったが,高価である上に,電気工事屋に設置を依頼する必要がある.
数分の一の費用で安価に実現する機器はないかと調べた結果,熱帯魚用ファン専用サーモスタットが代用できるのではないかという結論に達した.
観賞魚用ファン専用サーモスタットとは,水槽の温度が高くなった場合,水面に向かってファン(ヘアドライヤーみたいなファン)を回し,水を蒸発させ気化熱を奪うことにより水槽を冷やすというものである.
センサーは水に沈めて使用するようになっている.これを空中に吊るして温度制御できるか実験してみた.
使用した製品(2000円程度)の仕様は,以下のとおりである.
・ファンによる冷やしすぎ防止。
・制御温度範囲は15~35℃(温度設定精度±1℃)
・電気容量2W~100Wのファン
9月27日,外気温は28℃の時,屋根裏の温度は35℃近くになっていた.
30℃になったらファンが停止するように設定して放置した結果,ファンが停止した時の倉庫内の寒暖計は30℃近くを示していた.
メーカーはこのような用途に使用することは禁じているが,換気扇用ファンモーターの消費電力は40ワット程度であり何ら問題は起きていない.
240グラム程度の本体をセンサーともども倉庫中央の天井から吊るしているだけである.
発想の転換で,需要の多い安価な機器を流用したひと夏の実験である.
関連資料
バイメタル式融点測定器に関する資料
上図 手作りに近い状態で製品化された
左図 融点測定管(濃硫酸あるいはシリコン油)
バーナーで直火で加熱する.
百瀬 勉,有機定性分析から引用
現在は金属ブロックを用いた空気浴が一般的になった.
(2013.9.30)