未曽有の大震災から半年が過ぎた.
最近,震災関連の報道に対して以前ほど注目しなくなった.マスコミ各社の報道内容に新しいものはなく,ニュースや特集番組は国の対応の遅れを繰り返すだけである.言っていることは数ヶ月前と何ら変わっていない.
一日中いくつものワイドショー番組がテレビ放映されているが,ゲストコメンテーターならともかく,レギュラーとして登場するコメンテーターの対応には特 に疑問を感じる.代わり映えのしない現状批判的な意見の繰り返しである.新聞社の論説委員や政治,経済の評論家が多く,それなりの見識を有する人間である はずである.司会者の誘導質問に乗って,それを肯定し補強するだけである.
大震災復興関連の提案についても「抽象的であり具体的でない」という決まりきった意見ばかりである.あれからかなりの時間が経過した.具体性がないと思うなら代替案を提案すべきである.
また,原発に関しては,言いにくいことも言わなければならない時期である.6ヶ月経つとそれまで見えなかったものが見えてきた.当初レン トゲンやCT検査の際の被爆量と較べても問題にならないほど軽微であり安全と言っていた人達も何も言わなくなった.おそらく1年,2年と年を重ねるともっ とはっきり見えてくるはずである.その時につじつまが合うように核心に迫ることは言わないでおこうと思っているのではないだろうか.
放射性物質は,薬品をかけて中和させるとか,口蹄疫や鳥インフルエンザ等のようにウイルスを死滅させるような方法では取り除けない.しかしマスコミの報 道は,対応が遅いことを強調するため,取り除くことができるような印象を視聴者に与えている.できるのは移動や拡散などであり,時間が経ち放射能が減るの をひたすら待つことだけである.その時間は世代を超えた長さであることをはっきり言うべきである.
チェルノブイリ原発事故は停電を想定した実験中に制御不能に陥り、炉心が融解、爆発したとされている.完全な人為的なミスが原因である. 福島原発の場合,外部バックアップ電源は2系列用意されているとのことである.しかし,米国では3,4系列は普通で7系列を用意している原発があると元 GE社員が言っていた.
日本地質学会のホームページには,千年に一度の巨大地震が起こることは予想していたことであり,その規模は古文書や津波堆積物の解析から869年の貞観 地震(M8.4)を想定していたと記している.原発の安全神話が先行し,学会の壁をこえて徹底した議論がなされなかったという点では人災である.
既存原子炉の存廃に関わらず,想定外の事象に対応するためには,これからも原子炉を使った実験や訓練は必須である.人間が介在する以上,ミスは避けられない.
避けられないようなことは初めからやるべきではなかったと思うのは子供じみているだろうか.
東京電力福島第1原発事故に伴って放出された放射性物質が、除染が必要なレベルまで蓄積した地域は、福島県の面積の7分の1に相当する約2千平方キロを超える可能性があることが、東京大の森口祐一教授(環境システム工学)の試算で15日分かった。(共同通信ーGoogleニュース)
福島第一原発の事故について、「想定が甘すぎた」とする調査報告書を国連が公表した(9月15日).
(2011/9/15)