大地震と津波によって福島原子力発電所が破壊されて40日が経った.
4月19日夕方のNHKニュースでロボットが撮影した原子炉建屋内の映像が放映されていた.原子炉事故の場合人が近づくことができないため,東電も監督官 庁も情報不足に陥っていることを国民が認識するのにかなりの時間が必要であった.「お手上げ状態」であることは,関係者の記者会見やニュース解説の「進展 のなさ」で悟った人も多いと思う.また,「人が近づけないのならロボットを使えばよい」と考えた人もいるはずである.私もそのひとりであり,「ようやく実 現したか」と期待してみていたら,米国のロボットが活躍しているということを知りびっくり仰天した.
我が国は,自動車組み立て等に見られるように産業用を含めロボット工学大国と確信していたが,原発事故の状況調査では外国製のロボットが活躍しているという予想外の展開である.
これまで見せられた数々のロボットは一体何だったのだろうか.四足歩行ロボット,人間と対話するロボット,介護ロボット,火災などで人が近づけない所へ 障害物を乗り越えて接近するキャタピラロボット,これらは単なるデモ,企業の宣伝だったということだろうか.あるいは,よくある予算獲得のため取材させた テレビ出演だったのかもしれない.
世界でもトップレベルのロボット技術を持つ我が国で,スリーマイル島やチェルノブイリの原発事故を想定したロボット利用法の開発を怠ったために招いた初動の遅れや判断ミスは人災と言っても過言ではない.
燃料棒破壊による事故が簡単には解決できないことははっきりしている.今からでも遅くない.運転中の原子炉でもロボットを使った管理を試行してみてはいかがだろうか.(H23/4/20)