以前,社会の指導層のコンピュータ不勉強が現代社会を混乱に陥れている可能性が大きいということを書いた.
今回の尖閣映像流出事件も同じである.恐らく,日頃コンピュータ操作を担当している若手が,上司に「コンピュータは(俗に言う)インターネットには接続 されておらず,受け渡しはコンパクトフラッシュ媒体で行っているので,大丈夫です」.とか何とか言ったのだろう.コンピュータ操作を若手に任せている上司 は,インターネットに接続されていなければ情報が流出することはないと思ったに違いない.組織内の共用コンピュータのパスワードは有って無い状況であり, 関係者は誰でもアクセスできたようである.
国会の質疑では,情報処理技術の進歩に即応した法律の整備を行ってこなかった自らの責任を忘れ,担当大臣の責任問題だけを議論している.
もはや臭い物に蓋をすることはできない時代である,インターネットを利用すれば自分の意見を述べることは簡単であり,内部告発は当たり前になってきている.インターネットが国家の体制さえも崩壊に導く可能性があることは経験済みのはずである.
社会の指導的な立場にいる人達は,専門学校や大学生と一緒にコンピュータの導入教育(実習)を受けるべきである.そうすれば,金融機関で端末機を操作し た使い込み事件等も激減するはずである.大学では,「コンピュータを購入させておいて,教員の不勉強で活用していないではないか」という保護者のクレーム もなくなるだろう.年金問題に関しても「高性能コンピュータの導入で解決できる」などと言わなくなるだろう.
このようなことを知人と話題にしていたら,「上層部にいる人達はコンピュータ世代の人間ではないのだから仕方ない」と言っていた.
果たしてそれは正解であろうか? 否である.
2001 年度に,総務省は570 億円超の特別補正予算を組み,全国のすべての自治体を対象にIT 講習会の開催を促した.成人人口の5%を想定したIT 講習会であった.波及効果をねらった同様の措置は以後も続いた.
現在定年前の人達は十数年前に勉強するきっかけがあり,以後研鑽を積んできたはずである.
特に公務員は対応できないといけない理由がある.
総務省は「国民のための情報セキュリティサイト」を開設している.
大学の情報リテラシイ教育では必ず紹介する内容である.国民に勉強しなさいというからには,公務員は当然修得しているはずである.
ITは日々進化する.勉強せずIT教育に取り残された人達のIT再教育を実施したらよい.それでも不安であれば,今後コンピュータを使わない方式にすればよい.海上保安庁の通信は手旗信号ということになるかもしれない.
追記
警視庁外事3課の内部文書とみられる文書がインターネット上に流出した問題
ウィキリークスによる米外交公電暴露
などもまったく同じである.
(平成22年11月30日)