☆一応、コメディです。
神鳥地様×神鳥炎様の場合
「えええええええええええええええぇ!オスカー、貴方それ飲んじゃったんですか!?」
ルヴァが叫んだのも無理は無い。
聖地の警備を総監督しているオスカーと持ち込み物の検査を監督しているルヴァが妙な商人から没収したワイン。
一見、ただの上等なワインに見えるものの、ルヴァの薬品反応検査によって引っかかったものだった。
面白い物を発見したと後でもっと詳しく分析しようと荷物の横へこっそり避けておいた。
まさかオスカーが呑むとも思わずに。
「どうしてそんなものを置いてるんだ……」
「いやー、珍しいものだったのでつい……」
「ついじゃなんだろ!」
「しかし大丈夫ですかー? そろそろ効いてくる筈なんですが……」
「確かに、ムズムズする気がするが」
オスカーが飲んだのは身体の交感神経を刺激し、一定時間身体のメカニズムを作り変える、快楽をもたらす薬。
いわゆる媚薬だった。
ルヴァから状況を告げられたオスカーは扉へと向かう。
「ちょっと! オスカー! どこにいくんですか?」
「コレだ」
オスカーは急激にあがってきた体熱をやり過ごし小指を立てて見せる。
しかし、それを正確に読み取ったルヴァは慌てる。
オスカーが懇意にしている「コレ」たちの居場所につくまでに媚薬の効果が身体に作用してしまうことをルヴァは知っていた。
ここは聖地の外れ、外界への転送門の傍の詰め所で。
警備の都合上、従事しているのはほぼ男性であり、一番近くにいる女性は先ほど差し入れに来ていた女王補佐官ディアで、
それは拙いと思ったルヴァはオスカーに続けて作用の説明をする。
宇宙の女王のお膝元で醜聞を立てるわけにはいかなかった。
「あのですね、オスカー」
「なんだ?」
「その薬、本来は女性向けなんです」
「ならやり過ごせるのか?」
「それが男性にもすごく効くんですよー」
オスカーはそれがなんだとルヴァを見咎め、睨み付ける。
強い意思の力で抑えてはいるものの非常に拙い状況となっているのが自分でも判るから、無駄な時間を過ごしたくなかった。
それに気付かないのか相変わらずのんびりとした口調で地の守護聖が続けて言った。
「全身がとても敏感になってですねー……とある粘膜部分が非常に、そのうー、刺激に弱くなります。
……そういうプレイがお好きなお花さんたちだと良いのですが」
「なんだと!?」
「聖地のお嬢さん方じゃ無理でしょうねぇ…」
頭を抱えてしまったオスカーにルヴァは言う。
「飲んだ量にもよりますが数時間で抜けますから」
仮眠所のほうへ行くように促す。
詰め所にいる警備の者たちへしばらく近寄らないように言いつけて。
瓶から減った量からすると2~3時間誰も近づけなければそれで解決すると目論見ながら。
思ったよりも状況が悪かった。
仮眠所へ行く前にオスカーの膝が崩れる。
慌てて助け起こそうとするものの自分よりも遥かに体格の良い男を支えきれる筈が無い。
引きずるように運び寝台に乗せると、水差しから水を与える。
鎧を外してしてやろうと手が触れた途端、
「だああああああ! もうお前でいいから! なんとか、しろ…」
寝台に引き込まれた。
思わず息を呑む。
ルヴァの手も吐息でさえも触れていないのに、そこは既にやらしい蜜を滴らせ反り返っていた。
黒のズボンに濃い染みができており、普段であればプライドの高いオスカーには許容できないことだったに違いないが、今は息を荒くしてただルヴァの動向を見守っている。
正直、女ともこのような行為をしたことがないルヴァにはなんとかしろといわれても困惑してしまう。
ただ知識では知っていたから、好奇心はあった。
(これも実地が知識を超えることになるのでしょうか)
オスカーのズボンをずらし既に破裂しそうになっている陰茎を根元から掴んでストロークを描くように揉みしだいてやる。
それはあっさりと白濁を吐き出し、ルヴァの手を汚す。
あまりにも早すぎると気持ち哀れみながらオスカーを見ると、憤怒の表情で返された。
プライドが高いオスカーを刺激するのは良くないだろうとルヴァは薄く笑いながら言った。
「薬のせいということにしておきますよー」
欲を吐き出して少し収まっただろうとそのまま武具を外してやる。
「乳首は男でも感じるんでしたっけ?」
黒いハイネックの上からそれを探し当てると軽く捻った。
「うああああああああああああああああっ!」
ほんの軽く触れただけであるのに、薬により敏感になったオスカーは思わぬ叫びを上げてしまう。
「しっ、オスカー。あまり大きな声を上げると人が来てしまいますよ」
人払いをしているとはいえ、場所が場所だけに警備を行っている者が様子を見に来る可能性がある。
ルヴァとしても今後のことを考えるとこんな場面を他人に見せるのは避けたかった。
それは警備を統括するオスカーも一緒の考えだと思っているが。
唇を噛んで声を押し殺しているオスカーはいつもは本を捲る白く細い指が自分の身体を這うのを不思議そうに見ていた。
男色の気はないルヴァであったが、持っている知識を実施できることは最上の悦びであり、経験は知識を超えることも理解っていたため、どうせであれば楽しもうという気になっていた。
もっとやり易いように服も脱がせようとするが、元々そう器用ではないため、上手く脱がすことができない。
オスカーが鼻で笑いながらいう。
「段取りが悪いな、そんなんじゃレディに振られるぜ」
「あー、そんなことをいう口は塞いでしまいましょうねー」
手近にあったスカーフを掴むとそれで蓋をする。
これで舌や唇を噛むことはないだろうと計算しながらであったが。
「~~~ぃ」
上半身を全部脱がしてしまうと、汗ばんだ焼けた肌が現れる。
酒のせいか薬のせいか体温のあがった身体は桃色に色付いていて官能的ともいえるかもしれない。
「これが聖地一のプレイボーイのカラダ、ですか~」
鍛えているだけあって、背中から上腕二等筋にかけての筋肉から流れるようなフォルムが男のルヴァから見ても美しい。
よく怪我をする年若い後輩用のため持っていた軟膏を指先で揉み、柔らかくすると下着とともに黒のズボンをずり落とす。
どちらのものか判らない喉が鳴る音が聞こえた。
「オスカー、私は準備できてませんよー?」
スカーフを外すと目の前に未だ擡げたままのモノを掴み、やや厚めの唇の前に突き出す。
「しっかり奉仕してください」
「な、なんだと!?」
「準備ができてなくて辛いのは貴方なんですから」
やがて意を決したのか、オスカーはルヴァのものを口に含むとその口技を使い始めた。
その間にも、ルヴァの手は休まず、動いている。
そこは三本まで増やされた指を柔軟に飲み込んで、来るべき次の快楽を待ち望んでいた。
「そろそろいいですかねー」
快感に飲まれないようにしているのか、ずっと眉根を寄せたままになっているオスカーに笑いかけると、毒を抜かれた表情になったオスカーを一気に貫く。
多少の抵抗はあったもののルヴァをすべて飲み込むとオスカーの身体は歓喜に打ち震えた。
「本当に貴方ココ初めてなんですか?」
「こ、この俺が、お、男なんかとヤるワケが、っ!…や、ないだろう…」
「私は女性ともこんなことやったことないんですけどねぇ」
ルヴァを咥えて離さない薔薇の蕾のようになっている粘膜部分に、女のように腰を振るオスカーが返す。
そそり立った中心からは蜜が溢れており、何度か吐き出された白濁とともにオスカーの尻を伝い、二人の繋がりを深くする。
(熱くて、きつくて、すぐに果てそうです…)
媚薬を口にしていないのにそれはあまりにも情けない。
ルヴァとしても男のプライドがあったため避けようと懸命に耐えていたが、初めての快楽を前に抗うことができずにいた。
経験はなくても本能が知っている。ルヴァも夢中で腰を動かしていた。
終わりが近い。
目の前を白い火花が散った。
「この件は他言無用だ」
正気に返ったオスカーに鼻先スレスレに剣を突きつけられて、ルヴァはこくこくと頷く。
「とほほ……私は貴方を助けただけなのに」
(男とヤる羽目になるとは……このオスカー様最大の屈辱だぜ)
炎の守護聖オスカー、最大の黒歴史。
その後、炎の守護聖と地の守護聖の親密度が急激に地を這うようになり、様々な推測を巻き起こしたものの正解にたどり着いたものはいなかったという。