ひとまず、一番怖くなさそうな方のところへ育成のお願いにいこうっと♪
私は地の守護聖ルヴァ様のお部屋へと訪ねていった。
ノックをしてドアを開けると一面の本、本、本!
ルヴァ様の執務室は壁一面本に埋まっていて、すごーい。
木とインクと紙の懐かしい匂いがした。
ぽかんと天井まで続く本を眺めていると、部屋の主がにこにこと笑って話しかけてきた。
「あー。アンジェリーク。こんにちは」
「ルヴァ様! こんにちは!」
「はいー。元気ですねー」
「育成を少しお願いします!」
「はい、少し育成するんですね。判りました」
退出しようとして、ふとルヴァ様に話しかける。
「本棚すごいですね」
ちょんちょんと書棚を指差して。
すると彼の笑みが差し障りのない穏やかなものから面白そうなものを発見した少年のようなものへと変わった。
「おや? アンジェリークも本が好きなんですかー?」
「はい、こうみえてもスモルニィでは図書委員なんです♪」
「ほほー、そうですか。どんな本が好きなんですか?」
「えーと、……難しい本はそんなに得意じゃなくて、ど、童話とか絵本とかが好きなんです」
呆れられちゃったかな?
と思って、恐る恐るルヴァ様のほうをみると、
柔らかく微笑んでくださって。
白い布のような帽子にゆったりとしたローブのような格好(両方とも私の住んでいたところではみたことない)をしているから
結構年上のお兄さんかと思ったけどこうやって笑うと若い方なのかも。
「それでは、貴女の好きそうな本ご用意しておきますねー」
とかいってくださるから。うれしくなる。
すっかり意気投合して話し込んでしまい、気がついたら夕方だった。
他の方へのお願いができなかったけどルヴァ様とのお話楽しかったなぁ。
守護聖様とか敷居高いと思ってたけどそうでもなかったのかな?
最初にお願いしたルヴァ様が優しい方でよかった。
幸先のいいスタートだわ。
私は足取り軽く寮へと帰った。
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