たまには一緒に出かけようかなんていうから、ホイホイついていったのが間違いだったぜ。
「手繋いでいいですかー?」
「はぁ?」
「いや、あのうー、手を繋いでもいいですか?」
「ウゼェよ」
「そうですか…」
しょぼんと沈むルヴァにコイツは本当に判っているんだろうかと、一応、守護聖一頭はいい筈なんだがとゼフェルは思う。
いくら聖地という特殊な世界に囚われているとはいえ、常識でいえばオトコ同士が真昼間から手を繋いでいたらヘンだろうと。
子どもじゃあるまいし。
よくも悪くも注目される守護聖というのにこの男は何を考えているのか。
後ろから着いてくるルヴァの気配を感じつつ、公園へと向かう。
角の折れ曲がったところで少し立ち止まる。
少し息を切らせてルヴァが追いついた。
「はー、やっと追いつきましたよー」
「トロいんだよ」
「少しは待ってください……」
周りには公園に訪れた人々がいた。
そのうちの数人かは守護聖二人の会話が興味深いのか、それでも不躾にみるのは不敬だと思っているのか遠巻きに見ている。
微妙な視線をゼフェルは感じていた。
しかし、他人の意見を全く気にしない地の守護聖は視線も気にならないようで、ゼフェルに微笑みかけるとその腕を掴む。
手は駄目だといったから方向性を変えたのか。
ゼフェルはそれを乱暴に外す。
「離せ!」
「ゼフェル…」
「いいか、オッサン! 鬱陶しいんだよ! 外でオレに触んな!」
こんな往来で何を考えてるのか全くわからねぇ!
ゼフェルは憤慨しつつ、地の館へ向かった。
◇ ◇ ◇
アレ以来、ルヴァからのアッチの誘いがない。
お茶会や私邸には相変わらず誘われている。
それなのに、ルヴァはゼフェルに触れることなく、のほほんとした空気でいつも終わっていた。
ゼフェルは不思議に思うもののベタベタするのは好きじゃないから放っておいた。
しかし、性欲っていうのはたまるわけで……
健全な年頃のゼフェルはムラムラと湧き上がる。
それなのに一応恋人であるこの男はのほほんとしていてムカつく。
「おい! ルヴァ」
「はいはい、ゼフェル。こんにちは」
執務室に訪ねてきたゼフェルに、いそいそとお茶を淹れに行こうとするルヴァのフードを捕まえて止める。
「……どうしたんですか?」
心配そうに、ゼフェルを伺うルヴァにゼフェルも困った。
ゼフェルだって捕まえてはみたものの、直接強請るのはキャラじゃないし、恥ずかしい。
衝動に任せて訪ねてきたものの、考えたら自分から誘いをかけるなんて初めてなんじゃないかと思う。
黙りこんでしまったゼフェルを見て、迷っていたルヴァだったがゼフェルの頭を撫でようとして、その手を宙で止めた。
「なんで、そこで止まるんだよ!」
「へ? ゼフェルが触るなっていったんじゃないですか~!?」
「おめーはバカか! 外でっていったろ!?」
「ええっと、もしかして、部屋でならいいんですかー?」
ゼフェルは何にもいえないまま俯いてしまう。
ここで今問われたことを認めてしまえば、目の前のこの男は喜色満面で抱き締めてくるだろうから。
正直愛されてる自信があった。
そして口に出すことはないが自分もそういう感情をルヴァに抱いていることも否定できない。
結局は好きなのだ。
この賢くて鈍い、優しくて鬱陶しい男が。
そうでなければ身体になんて触らせたりしない。
教育係なんてワリに合わない役目も嬉々として引き受けて、厭わず自分の面倒をみてくれるこの男が好きなんだと。
「ルヴァ!」
きょとんとした表情のままこちらを伺っているルヴァに、こんなのはキャラじゃない、ゼフェルはそう思いつつ衝動の赴くまま目の前の男に抱きついた。
ルヴァは驚いた顔をしていたものの手の内のゼフェルを抱き締める。
「キスしてもいいですかー?」
「んなコト、聞くな!」
ゼフェルは背を伸ばし、ルヴァの唇に噛み付くように口付けた。
◇ ◇ ◇
こうやって触られるだけで若い身体は反応してしまう。
男の性というものは悲しいもので、滑るように動く恋人の手の動きに翻弄される。
直接的な場所に触れられていないのに身体の温度の上昇が止まらない。
「ケ、ケツ撫でんな!」
「滑々して気持ちいいんですが」
部屋でといった手前やめろとは言うことが出来ずに、ひたすらむず痒い愛撫に耐える。
ひたすら優しい愛撫に身体は更なる刺激を求めて蠢く。
ずっと抱き合ったままでキスしてるから自分の快感を主張するモノの存在はルヴァにダイレクトに伝わっているだろう。
「ルヴ…ぁ」
早くルヴァが欲しい。
繋がりたい。
ルヴァはゼフェルの心を読んだのか、いつのまにかゼフェルの黒いスパッツを擦り下げ、解すのもそこそこに突き立ててきた。
「そ、そこ! あ…」
下か突き上げられて、ひだを這う硬い膨らみに痛みと歓喜が身体を巡る。
性急に繋がったせいで、脱ぐ余裕がなかったから、片方の足は靴下を履いたままだ。
しかも執務室でなんて明日から思い出してこれなくなってしまうだろと、自分から誘いをかけたはずなのにゼフェルは心の中でルヴァに悪態をつく。
ルヴァのぬめりで幾分か滑りのよくなった後は、その動きに合わせて自分から腰を振ってしまう。
一番イイところを深く抉られて。
「あっ…んっ!」
ニヤニヤと笑う恋人の面を殴ってやろうかと思ったがこの体勢では分が悪い。
抗議の意味をこめてルヴァの胸板を叩くが、ルヴァはそれを気にすることなく愛撫を続ける。
若い肉は柔軟にすべてを飲み込む。そのまま舌と歯で弄ばれると赤く色付く突起は固く天を向いた。
ゼフェルは執拗に乳首を吸い続けるルヴァの頭を掴むと、そこを覆っている布が舞って落ちた。
ルヴァの腹筋がゼフェルのモノを擦りあげるとゼフェルが啼く。
3点を責められてゼフェルの限界も近い。
「ル、ルヴァ…」
「ゼフェル」
再び唇にキスをされると、外と中を同時に責められる。
「ぁああぁんんっっ!」
ゼフェルが達し、その刺激で収縮されると限界だったルヴァもゼフェルの中へと精を放った。
ゼフェルの蕾は久しぶりに流し込まれた精をもらさんとヒクついていたが、重力に逆らえずどろどろとしたものが滴り落ちる。
「大丈夫ですよー、ちゃんと処理しますから」
ルヴァがゼフェルの中の泡立った白濁を指で掻きだしていく。
ゼフェルはセックスよりも、こっちのほうが恥ずかしくて辛かった。
正直ヤっているときは自分も夢中で恥ずかしさなんて感じないときが多い。
だけど後始末をされているときに、埋め込まれる指の感触とか、気遣うルヴァの表情なんかがダメだった。
一番ダメなのは後始末であるというのに反応してしまう自分のカラダだ。
「おや? ゼフェルまた感じちゃったんですか~?」
目の前で力が入り始めたゼフェルを確かめると仕方ないという顔で笑った。
掻き出す動作ではなく責め立てるために変わったルヴァの指の動きにゼフェルは翻弄される。
(このオッサンッ!)
ゼフェルは持ち上げられている足を振り上げて、そのままルヴァへと落とした。
普段から緩慢な動作のルヴァがそれを避けきれるはずがなくてクリーンヒットする。
ルヴァはそのまま寝台へと倒れこんだ。
慌ててルヴァの目の前で手をひらひらと振るものの意識は戻らず。
(あああ…もう一回ヤってからにすればよかったぜ!)
ルヴァの意識を落としたものの、身体の奥に点った熱とむず痒い思いに、
ゼフェルが気付いたのも後の祭りだった。
おわり。