「あのー、オスカー? そろそろ休みたいのですが……」
ルヴァは乳酸がたまり始めた膝を擦ると口から漏らす。
警戒しつつ前を進んでいたオスカーが振り返って尋ねた。
「ここは休むには安全なのか?」
「安全かどうかは主観によりますが……大型の野生動物はいないようですね」
「なんで分かる?」
「えー、動物がいるとなると生命の営みの跡がある筈なのですー。うんうん。ここは大きな獣道もありませんし、糞などの痕跡もごくごく小さな動物のようです。ほら、あの木の上の実をみてください。あちらの草むらの草も。まばらになっているのは食われた部分です。草食の小さな生き物がいるのでしょう。人の痕跡は感じられませんが、このような状況をみるとわりと安全なのではないかと……もう少し先のほうが空間が広いのでそこまで進みましょうか?」
急に元気になったルヴァにオスカーは笑った。
普段から博識のルヴァではあるが、剣に生きるオスカーの中ではその価値を一定以上に見出せない。
しかし、こう実地に即したことを聞くとただ感心する。
「ふんっ、たまには頼りになるもんだな」
「失礼ですよ…」
少し気分を悪くした感じのルヴァだったが気を取り直すと、のんびりと進みだす。
警戒心のないその姿にオスカーは呆れつつ周囲に気を払いながら続いた。
最近、宇宙の端のほうの惑星に異変が見られるようになった。
通常であれば聖地から調査団を差し向けるものの、なぜか急に自分も行きたいと立候補した地の守護聖ルヴァとたまたま炎のサクリアが足りていないと王立研究所の事前調査で判ったためオスカーがいくことになった。
無事に手配されていた宿に着き、聖地に比べて暑すぎる現地の気候に合わせて着替えた。
明日からの調査に備えオスカーは街へ繰り出そうと考えていたが、以前この惑星に立ち寄ったことのあるルヴァが森をみてくるというので何気なしに着いていくことにした。
早々についたこともあり現地は明るく、この星を既知だというルヴァに安心したせいか油断した。
やけにルヴァが発奮したあげく、森の奥深くに来過ぎてしまったのだ。
日の様子から見ると散歩というには深く入りすぎていた。
「ルヴァ! 危ない!」
足を滑らしたルヴァの身体をオスカーが咄嗟に掴むが、重力に逆らい切れず二人して崖を落ちていった。
「す、すみません」
泣きそうな声を出すルヴァにオスカーは頭を横に振る。
オスカーがルヴァを庇って地面に叩きつけられたためルヴァは掠り傷を負ったくらいだったが、オスカーは庇ったときに身体の右側を激しく打ちつけ負傷していた。
また気候に合わせて足もサンダル風のブーツを履いていたせいか、その足の甲は生えていた樹木に引き裂かれて皮膚が破れている。
「こんなの舐めときゃ治る」
そういって腕を組もうとするが、骨が外れているのか上手く動かずだらりと落ちた。
オスカーはいつものように唇の端を持ち上げて笑おうとするものの、額を伝う汗と寄せる眉根などの状況から酷い痛みを我慢しているのが判る。
ルヴァは眉根を顰めた。
「ふむ、ちょっと貸してください」
「っっっっっっ!」
「これで固定すれば腕は大丈夫だと思います。後は早めに本職にみせましょう」
ルヴァが精一杯力を込めて骨を正しい位置に戻すと人心地つく。
ルヴァが視線を下に向け言った。
「舐めておけば、ですか?」
オスカーを木にもたれさせ座らせるとその足に屈み込み、甲の傷に入り込んだ木々の破片や小石の大きなものを息を吹きかけて飛ばした。残りの細かな砂を舌で丹念に取り除いていく。
ぴちゃぴちゃと水音が鳴り響いた。
粗方異物を取り除いて残りもすべて取り除こうとしたところ、オスカーに静止される。
「ルヴぁ…やめろ」
「え?」
「その図、えろすぎる」
オスカーの言葉にルヴァは目を見開いた。
「えええぇ~…オスカー……こんな状況で盛るのはやめてください……」
額に手を当てながら溜め息をつくルヴァにオスカーは舌打ちすると、強請るようにルヴァに口付けた。
「貴方は自分の状態が分かっていますか? そんな状態の上、準備なんてこんなところでは……香油などは持ってきておりませんし。このままおっぱじめても貴方がつらいだけですよ~~」
「チッ」
しばらく何か考えていたオスカーだったがルヴァの手を取る。
唾でいい。とさっきまで自身を治療していたルヴァの指を舐め始める。
「オスカー! おやめなさい!」
「……収まりつかんぞ」
しばらくにらみ合いが続いたものの、
「………………ハァ、仕方がないですねぇ」
ルヴァが大きく溜め息をつくと折れた。
「おい! どこへいく!?」
「ちょっと待っててください」
そういって周りの茂みに入り、何か探していたルヴァだったが、しばらくして戻ってきたルヴァの手には緑の瑞々しい弾力のある植物があった。
「なんだそれは?」
オスカーの疑問にルヴァは微笑みながら説明しだす。
「この植物はね、こうして中を割ると粘度の高い液体が採取るんです。炎症にも効果があって皮膚にも悪影響はありません」
瑞々しい緑の肉を割ると半透明のトロトロした液体が溢れてくる。
「……抜くだけでもいい気がしますがねー」
「本気でそれをいってるのか? あんたが煽ったんだろう」
オスカーが睨むとルヴァは視線を逸らした。
「帯刀はしてて構いませんが、下は汚れるので全部脱いでくださいねー」
「マニアックだな…」
「あなたがしたいと言ったのでしょう…」
すでに半分以上勃ち上がっているオスカーの膨らみがぷるんと音を立てて開放されると、ルヴァはそれを愛撫しだす。
濡れ始めた中心から蜜を掬うように掻き出すと完全に勃ち上がった。
先ほどの植物から取り出した粘液を使い、根元から入り口回りまで円を描きながら塗りつけていく。
少しひやりとしたが、オスカーにはその感触も快感を与えるものにしかならず。
その部分の緊張が完全にとれる頃には、オスカーは喘ぎ声をルヴァの耳元へ絶え間なく流していた。
「ルヴァ、早く」
きゅと切ない音を立て始めた蕾をルヴァに見えるように差し出すとルヴァには収縮する蕾が誘う様に動くのが見える。透明な糸を纏う蕾は蠱惑的で、ルヴァを煽情する。
ルヴァは自身にも粘液を纏わせるとオスカーを貫いた。
「あああっ! あっん」
「野外でそんな大声で……相変わらずあなたは淫乱ですねぇ~」
「き、気持ちいいときには素直にそれ、をああっ、表すもんだろっ! つっ!」
ルヴァの陰茎をその内部に咥え込んで腰をくねくねと動かす赤毛の男にルヴァは頷く。
「確かに……あっ、いつもよりぬるぬるしてて……すごく気持ちが良いです」
オスカーが快楽を求める手伝いをするようにルヴァも腰を使い出すと、繋がったところからぐちゅぐちゅと卑猥な音が大きく響く。
アンダーウェアの間で勃ち上がった乳首が擦れ、オスカーはもどかしさを感じるが、今の状況を考えるとすべてを脱ぐのは得策ではない。
上半身のもどかしさの分、余計に下半身への刺激に反応してしまい、オスカー思考力にもやがかかっていった。
「あッ! あ、あっっあっぃいっ」
オスカーの中がルヴァを奥へ奥へと導くように動き出すとルヴァはそれに逆らうように腰を引き、そして大きく打ち付ける。
ずるりと雁首が抜けかかり這う。それがまた奥を突くのをオスカーは体内で感じると、内から沸いて出る快楽にもう逆らえなかった。
先ほどよりも腰を使い、ルヴァを搾り取りだす。
ふと、オスカーの目の端にぬるつく結合部分が目に入った。
「んっ、ぁ……愛液みたいか? すごいなこれ」
「……私は本物をみたことはありませんが……このようなものなのですか?」
ルヴァが返した言葉にオスカーは失っていた余裕を取り戻すと、いつものように不敵に笑った。
「ははっ、ルヴァは童貞だったか! あんたもいっぺん試したらどうだ?」
ルヴァは少し首をひねるといった。
「……貴方だけで手が一杯なんですけれど。不足ありませんし」
「……そうか」
「そうです、えっ? あっ!」
急にオスカーがルヴァを締め付け、ルヴァはオスカーの中へ吐精してしまう。
力を失っていく分身を抜くに抜けないままルヴァは固まってオスカーを見つめる。
普段であれば、早すぎるとルヴァを罵り出すオスカーであったが、今日は笑うと左側の手でルヴァを抱き寄せた。
オスカーが満足するまでルヴァを搾り取った後、ルヴァにもたれ掛かり休んでいた。
「そういえば、ここへくるまでにあんたなんであんなに興奮してたんだ?」
「あー、ここに古代遺跡があると当たりをつけていたんです。残念ながら今回もみつけられませんでしたけど……次こそ探して見せますよ~!」
ルヴァの回答にオスカーは呆れてため息をついた。