青葉食む牧場の牛天国や
6月の上旬に上京した際、飯田基晴監督の作品、『犬と猫と人間と』の映画を観た。解説書は『犬と猫と人間と2-動物たちの大震災』というテーマであった。
この映画は、やまゆりファ-ム代表岡田久子さんと宍戸監督の熱意で、お2人が福島第一原発より20㎞圏内に侵入し、動物たちの惨状を撮影した作品である。映画の中の一画面に特に強烈な印象を受けた。その画面は、広い牛小屋の最奥の縁に寄り掛かっている一頭の牡牛。その顎近く迄溜まっている糞・尿の汚水。そしてその前に横たわる牛の死体。この様な環境の中でも瀕死の状態で呼吸している牛の涙目のシーンを観て、地獄を感じた。
先日(6月下旬)、牧場で幸せに毎日を過ごしている牛の写真を撮りたいと思って、『開かれた牧場の里』山梨県立八ケ岳牧場本場エリアを訪れた。此処は「牛たちにとって正に天国」であろうと思われた。冬季には農家の牛を預かる機能等もあるそうで、10年位前に財団法人となり運営されているとの事であった。
映画に映し出された「牛舎で生き延びている悲惨な牛たち」と、この写真に写って居る『八ヶ岳牧場の牛たち』とでは、誰が見ても「天と地」の差がある。正に「天国と地獄」の差である。「これは、誰の仕業か?」と目を疑った。今、生きている我々人間が招いた結果なのである。「地震は天災」であるが、「原発は人災」である。
このような人災を二度と繰り返さない為にも、チェルノブイリ等の現状を綿密に調査・研究する必要がある。そして、「これからの五十年、いや百年先が安心して生活出来るビジョン」を日本の、いや世界のリ-ダ-達に依存するのではなく、今生きている世界の我々一人一人が、いかに生きるかを真剣に選択しなければならない最後の岐路に立たされているのではなかろうか。
合掌