分類はチドリ目カモメ科。ユーラシア大陸北部で繁殖し、秋、日本に渡来する冬鳥。
全長約40センチ。冬羽はほぼ全身が白色で、目の後方に小さな黒色斑があり、翼の先端と初列風切の裏は黒い。足とくちばしは赤色。夏羽は頭部が黒褐色になる。
水辺に比較的大規模な群を作り生活する。昼間は餌場におり、夜間はこれとは異なる海上や大きな湖で過ごす。
季語ではユリカモメ=都鳥としているが、分類上は別科で、ミヤコドリはチドリ目ミヤコドリ科である。全長約45センチ。足とくちばしはユリカモメと同様に赤いが、より長い。体の上面は黒く、胸から腹、翼に白い部分がある。かつて日本では旅鳥または冬鳥として主に九州に渡来していたが、近年は東京湾はじめ全国に渡来するが数は少ない。
『伊勢物語』の「九段 東下り」で主人公が隅田川で
名にし負はばいざ言問はむ都鳥わが思ふ人はありやなしやと
と詠んだが、この「都鳥」をはじめ、日本の古典文学に登場する「都鳥」は分類上のミヤコドリではなく、形態、分布、生態などから、ユリカモメであるという説が有力である。
冬日を浴びて、純白のユリカモメが群をなしている姿は殊に美しいものである。また、秋に北から渡来し、春には北へ帰ることから、出会いや別れを連想させるのかもしれない。