主宰作品
荒ぐれを一人黙々老農家
聊かの心のゆとり花曇り
顔面に朱を走らせて春乙女
金よりもダイヤモンドよりも泥田かな
世の中は花見に浮かれ泥田かな
身の果ての蓑笠着けて田植かな
これやこの地獄一定田植かな
田草取り泣くなよしよし子守歌
我も又世に生かされて四月地震
地に潜む鯰寝返り春夢断つ
畔剥きや耳欹てて杜鵑
梅雨晴れや水泥空と代を掻く
老農の裸足で田蜷拾ひあり
卯の花の匂ふが如き薄暮かな
畔塗りや放れど取れぬ鍬の泥
同人作品
啓蟄や耕運機田に動き出す 青山
大地震や植田鎮めし金剛心 運河
神木の公孫樹に気根春寒し 酔魚
花水木けふは左へ行ってみやう 梨翁
目借時いくさのいの字もう忘れ あきこ
落葉松の芽吹き待たるる雁峠 明夫
空の蒼に染まず矜持の花辛夷 紀子
早咲きの安行桜空染めぬ れいこ
三味の音に唄の流るる柳河岸 草木
春愁と云ふこれも過分の七十歳 ひさを
春深きヌードモデルの黒目勝ち 山菜
しみじみと都忘れの名を思ひ 路鳥
春の田に命吹き込む耕耘機 ましか
農夫去り水田一面青海波 邪我
藤づるのバトンの先は薔薇の園 和子
花吹雪われ生きたりと歩くかな 国雄
蕨野の地震の無残しのぶのみ 進一
泡盛を音の合わない三線と 雅
春雷に何故か心も音たてる 玲紀