石鎚山、寒風山、堂ヶ森      四国のツーリング縦走1

愛媛県  石鎚山(天狗岳1,982m、南尖峰1,982m、弥山1,972m)二ツ森1,930m、堂ヶ森1,689m  2020年6月7日

瓶ヶ森(女山1,897m、男山1,830m)、西黒森1,861m、伊予富士1,756m、寒風山1,763m、東黒森1,735m、自念子ノ頭1,702m  2020年6月5日

子持権現山1,677m、伊吹山1,503m  2020年6月6日

(石鎚山)日本百名山

(瓶ヶ森、伊予富士)日本三百名山

(二ツ森、西黒森、寒風山、堂ヶ森)四国百名山

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D1

四国ツーリング縦走の一番目は石鎚山。縦走路西端の保井野PにMTBを置き、縦走路東端の旧寒風山トンネルPからテント2泊。寒風山、伊予富士、瓶ヶ森、石鎚山、二ノ森、堂ヶ森と歩き、保井野PからMTBで舗装路を市街地まで下り、タクシーで旧寒風山トンネルに戻るというプラン。

深夜1時に起き、保井野PにMTBをデポしたのは3時頃。次の寒風山トンネルに向かう。

寒風山トンネルPを出たのは5時半過ぎ。桑瀬峠にテント・ザックを置き、サブザックで寒風山に向かう。稜線の南側から北側に移り、寒風山の頂上に達する。北には笹ヶ峰、ちち山、赤石連峰、冠山に平家平。

縦走路から見る伊予富士は東西のどちらから見てもトゲトゲのピークを連ねる姿。このユニークな姿は遠くからでも見分けやすく、個性的で魅力たっぷりなのだが、どこかに富士形に見えるアングルがあるのだろうか。

サブザックで軽快に桑瀬峠まで下り、重いテント・ザックを担いで伊予富士に登っていくと、背後には急峻な山容に緑をまとう寒風山。笹原の頂上稜線にトゲのようなP2が特徴的。

伊予富士の頂上に着くと、反対側からもちょうど二人連れが到着。反対側からは更に大勢の人たちが登ってきて、賑やかになる。

伊予富士からは笹尾根のトラバース路。切り分け道は実に歩きやすい。東黒森に着き、横になって休憩。ここも日向。三角点のある自念子ノ頭に着き、4度目の休憩。またまた日向で横になって休む。

自念子ノ頭から西黒森の間はギザギザのヤセ尾根のアップダウンで、大きな岩の左側を抜けて西黒森頂上到達。ここからは瓶ヶ森がすぐ近くに見える。

西黒森山からはがっくりするほど下降し、小尾根に上がり、まず女山に向かい、14年前は雨と風だった瓶ヶ森・女山頂上に着く。祠に入っているのは軍神の姿をした蔵王権現。石鎚の石像はみなこの姿をしている。

テントを張るともう薄暗く、ヘッドランプを点灯して食事の用意。沸かしたお湯をアルファ米の袋に入れて15分温め、その間に刻んできた野菜をコトコト煮る。

D2

避難小屋に寄ってみると、昔の管理人のことが書かれていた(*1)。ずいぶん長い間(50年以上?)ヒュッテを管理していたらしい。

子持権現山に登ったのは全くの寄り道で、本来パスすべきだったのだが、鎖場を登り、頂上の反対側にある子持大権現にお参りできたのは幸いであった。

シラサ峠に下る途中で振り返ると、緑の鋭鋒の子持権現山の背後に覆いかぶさるように瓶ヶ森がそびえている、その手前の急峻なピークは男山で、東から見たゆったりした山容とは対照的。

車道を淡々と下り、伊吹山の登山口に入る。そこは笹原の中の平坦な頂上で、三角点のある頂上にはベンチがあり、そこで2度目の休憩。

土小屋は5年前に岩黒山、筒上山、手箱山に登った時に一度来ていた。車道の先にある登山口に入る。えらく広く、整備されたよい道。大勢の人たちが下ってくるのに会う。

成就尾根が近づき、ようやく合流点に着くと、すぐ下にテントが一つ張ってあった。二ノ鎖小屋は石階段を登った上、小さな避難小屋とトイレがあり、水道の蛇口があった。天水を汲んでテント場に下り、テントを張る。

天水を5分くらい煮沸してからアルファ米を温め、野菜を2回に分けてコトコト煮込んで雑炊にして食べる。水は大丈夫だった。

D3

深い霧だったが、明るくなってくると気分は良くなり、長時間の睡眠で頭痛はすっかり治り、足の調子もまずまず。テントザックを背負って二ノ鎖を登る。

頂上山荘に入ってザックを置かせてもらい、天狗岳に向かう。16年前も霧だったが、そのときは天狗岳はぼんやり見えていた。今回は天狗岳の陰も形も見えない。

頂上が近づくと若い夫婦連れが降りてきた。「この道は怖いですね」と言われたが、テントザックから解放されていた私は絶好調で、「晴れてないからなあ」と答える。

周囲が霧に閉ざされた天狗岳の頂上に着き、てっぺんの祠と頂上標識のところに着くと、突然、感動が沸き上がってきた。苦労してたどり着いたからこそ感動が沸き起こるのだろう。天狗岳の祠と頂上標識は忘れられない思い出。

さて、今回は天狗岳の東にある南尖峰まで行ってみる。天狗岳の東には踏跡があり、岩尾根をたどり、比較的簡単に南尖峰に到達。岩尾根では赤いイワカガミと白いマイヅルソウを見る。

頂上山荘を出て縦走路に向かう。ニノ森との間には西ノ冠岳というごつい山があって、縦走路はその頂上をトラバースしている。トラバース路の途中でユキワリソウの群落に遭遇。ピンク色の花が岩場にたくさん風に揺れている。ちょうど日が射してきて、まるで別世界に迷い込んだよう。

トラバース路の先に見えてきたニノ森は薄緑の笹原の急斜面の上に丸い頭の姿。手前の1,866m峰を従えた姿は貫禄たっぷり。

ニノ森に向かって登っていくとついに雲が晴れ、石鎚山が姿を現わした。5年前には石鎚山だけは雲に隠れていたので、ここから石鎚山を見るのは初めて。それは弥山と天狗岳が並ぶ要塞のような岩峰の姿。これもまた、石鎚山の絶景の一つだろう。

そして5年ぶりに二ノ森の頂上に到達。今回は大きな一等三角点と頂上標識の奥に石鎚山が見えている。なんというグッドアングルだろう。同じアングルの写真を何枚も撮ってしまう。

ニノ森から下っていくとそこは広い尾根の笹原の切り分けの道だった。緩い下りの道は1,889m峰をトラバースして西に進み、そして行く手に堂ヶ森が初めて見えた。堂ヶ森は頂上に立つ反射板が目立つ少しいびつな形をしていて、なかなか個性的な姿。

反射板のある堂ヶ森頂上に着くと、そこには大勢の人たちがいた。十人以上はいただろう。こんなに人気のある山だったのか。

もうここからは下るだけだが、距離2㎞、標高差1,000m以上ある。手袋をはめて淡々と下り、右の眼下に林道が見え、そして保井野Pに着く。

テントザックを背負い、登山靴をハンドルの両側に下げ、保井野PからMTBで下降開始。相当急に感じていた坂道はそれほどでもなく、集落に入ると道幅も広くなり、快調に下降。時々傾斜が緩んでペダルをこぐが、国道までの半分以上は自然落下、ペダルも3段、4段。きつい登りは全くなし。

R11の手前にザックと登山靴をデポし、サブザックだけの軽身でR11に入る。ほぼ平坦なR11を3段、4段あたりで漕ぎ続ける。

小松タクシーに着き、MTBを置いてタクシーに乗り、寒風山トンネルまで行く。

旧寒風山トンネルから保井野Pまでの縦走は32㎞を31時間、保井野Pから小松タクシー店までのMTBは26㎞を1時間半、タクシーに乗って1時間で旧寒風山トンネルP(約8,000円)。縦走の時速約1㎞というのは情けないが、MTBは時速約17㎞で期待通り。タクシー8,000円というのはやや予算オーバー。

 ニノ森に向かって登っていくとついに雲が晴れ、石鎚山が姿を現わした。弥山と天狗岳が並ぶ要塞のような岩峰の姿。これもまた、石鎚山の絶景の一つだろう。
 急峻な山容に緑をまとう寒風山。笹原の頂上稜線にトゲのようなP2が特徴的。
 縦走路から見る伊予富士は東西のどちらから見てもトゲトゲのピークを連ねる姿。このユニークな姿は遠くからでも見分けやすく、個性的で魅力たっぷりなのだが、どこかに富士形に見えるアングルがあるのだろうか。
 シラサ峠に下る途中で振り返ると、緑の鋭鋒の子持権現山の背後に覆いかぶさるように瓶ヶ森がそびえている、その手前の急峻なピークは男山で、東から見たゆったりした山容とは対照的。
 トラバース路の先に見えてきたニノ森は薄緑の笹原の急斜面の上に丸い頭の姿。手前の1,866m峰を従えた姿は貫禄たっぷり。
 ニノ森から下っていくとそこは広い尾根の笹原の切り分けの道だった。そして行く手に堂ヶ森が初めて見えた。堂ヶ森は頂上に立つ反射板が目立つ少しいびつな形をしていて、なかなか個性的な姿。
 寒風山トンネル登山口の脇の紫の花はジュウニヒトエだろうか。
 瓶ヶ森で見た三つ葉の黄色い花はヘビイチゴ(もしくはキジムシロ)。
 石鎚から二ノ森へのトラバース路の途中でユキワリソウの群落に遭遇。
 瓶ヶ森・女山の祠に入っているのは軍神の姿をした蔵王権現。石鎚の石像はみなこの姿をしている。
 天狗岳の祠と頂上標識は忘れられない思い出。
 保井野PからMTBで下降開始。、集落に入ると道幅も広くなり、快調に下降
瓶ヶ森・男山頂上の二つの祠
朝霧に霞む石鎚山
子持大権現の祠
ワダソウ?
ヤクシソウ
D1  3:00 保井野P、MTBデポ  5:36 旧寒風山トンネルP発  7:49 寒風山10:32 伊予富士11:38 東黒森12:51 自念子ノ頭15:16 西黒森17:32 瓶ヶ森・女山17:55 瓶ヶ森・男山18:40 瓶ヶ森避難小屋18:43 第一キャンプ場・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・旧寒風山トンネルから13時間7分D2  5:25 第一キャンプ場発  5:57 UFOライン  6:18 子持権現山登山口  6:48 子持権現山・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・子持権現山登山口から28分  7:04 子持大権現の祠  7:33 子持大権現登山口  8:20 シラサ峠  8:51 伊吹山  9:41 よさこい峠10:55 土小屋・遥拝殿14:03 二ノ鎖小屋、テント・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第一キャンプ場から8時間38分D3  5:28 テント発  6:13 石鎚山・弥山  6:34 石鎚山・天狗岳・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・二ノ鎖小屋から1時間6分  6:43 石鎚山・南尖峰  7:17 頂上小屋  7:34 頂上小屋発10:33 二ノ森12:46 堂ヶ森15:00 保井保P・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・二ノ鎖小屋から9時間32分15:20 保井野P発、MTB  16:55 小松市内、小松タクシー店・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・保井野Pから1時間35分               ・・・・・・・・・・・・・・・・・・二ノ鎖小屋から11時間27分17:55 旧寒風山トンネルP

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D1

四国ツーリング縦走の一番目は石鎚山。縦走路西端の保井野PにMTBを置き、縦走路東端の旧寒風山トンネルPからテント2泊。寒風山、伊予富士、瓶ヶ森、石鎚山、二ノ森、堂ヶ森と歩き、保井野PからMTBで舗装路を市街地まで下り、タクシーで旧寒風山トンネルに戻るというプラン。

深夜1時に起き、着替えて食事をとり、道の駅を2時頃に出る。保井野は予想通り遠かったが、県道153は幸い最後まで舗装路(道沿いにところどころ住家があり、なんと最奥の登山口手前にもあった。人が住んでいるからこんな山奥まで舗装してあるのだ)だったが、道はほとんどの区間が狭く、最後の住家を過ぎるとヘッドランプでは走るのが怖かった。こんなところでUターンはできない。行き詰ったらどうしようと思ったが、終点には広い駐車場があり、ほっとする。保井野PにMTBをデポしたのは3時頃。次の寒風山トンネルに向かう。保井野Pからの下りは思ったよりも楽だった。段差の大きいところが無いのだろう。寒風山トンネルは遠く、西条に入り、伊予小松を過ぎ、加茂川橋の手前でR11からR194に入り、笹ヶ峰登山口を過ぎ、新寒風山トンネルの手前で旧道に入り、くねくねと登っていく旧道を延々と走ってようやく旧寒風山トンネルに着く。トンネルの出口の右(南)にUFOラインの入口があり、登山口もあった。だが、その駐車場は登山者以外とのことで、もう少し下った左側(北側)の駐車場に駐車。

寒風山トンネルPを出たのは5時半過ぎ。新調したAKUを履くのは初めて。ダーンタフの厚手を履き、靴紐を緩く締め、モンベルの軽いスティック。登山口の脇の紫の花はジュウニヒトエだろうか。登山道の最初は手を使って登る急な道だったが、次第に歩きやすい灌木の中の道となる。頭上に見えてきた稜線はなかなか近づかず、ようやく桑瀬峠に着く。笹の切り分けのこの峠に来たのは14年前、その時は人がいたが、景色は見えなかった。今回は私一人、そして西には伊予富士、東には寒風山の西端が見えている。桑瀬峠にテント・ザックを置き、サブザックで寒風山に向かう。14年前、険しかったと記憶していたこの道にはやがてハシゴが出てきて、行く手に手ごわそうなピークが見えてきて、その脇を登った先に見えてきたピークに向かうが、寒風山頂上は更にその先のピークだった。樹間に笹ヶ峰とちち山、その右に冠山と平家平が見えている。14年前には全く見えなかった景色だ。そしてちち山と冠山の間に見えているのは赤石連峰の一角らしい。稜線に出ると背後に手ごわそうなピーク(P2)の鋭鋒が立っている。そして稜線の南側から北側に移り、寒風山の頂上に達する。北には笹ヶ峰、ちち山、赤石連峰、冠山に平家平。そして南にはトゲトゲの伊予富士、東黒森、自念子ノ頭、西黒森、瓶ヶ森が並び、その背後には手箱山、筒上山、岩黒山がシルエットになっている。石鎚山は瓶ヶ森の背後で見えていない。寒風山の頂上で最初の休憩、パンを食べる。日差しがきつく、サングラスを出すが、この日は日向でも休んでいた。

寒風山から下るとき、思いがけず人に会った。金曜日だったし、人に会うとは思わなかったが、桑瀬峠から伊予富士に登っている人影も見え、伊予富士に登る途中でもう下ってきた人にも会った(同じ人だったかも)。縦走路から見る伊予富士は東西のどちらから見てもトゲトゲのピークを連ねる姿。このユニークな姿は遠くからでも見分けやすく、個性的で魅力たっぷりなのだが、どこかに富士形に見えるアングルがあるのだろうか。サブザックで軽快に下ってきて、重いテント・ザックを担いで伊予富士に登っていくと、次第に体にこたえてくる。道脇には黄色いニガナにキバナツクバネウツギ。背後にはP2がトゲのように見える寒風山。伊予富士の頂上に着くと、反対側からもちょうど二人連れが到着。反対側からは更に大勢の人たちが登ってきて、賑やかになる。私はザックを降ろし、2度目の休憩。バナナを食べ、サングラスをかけて少し横になる。伊予富士からは岩黒山と瓶ヶ森の間に石鎚山が見えていたが、その時はそうとは分からなかった。石鎚山は平らな頂上の姿で、左に二ノ森、右に成就尾根を従えた左右対称の形。見る方向でこんなに姿の変わる山も珍しい。

伊予富士からは笹尾根のトラバース路。切り分け道は実に歩きやすい。女性パーティを引き連れた男性にどこまで行くのか聞かれ、堂ヶ森までテント2泊、保井野にMTBを置いてあり、下まで行ってタクシーで寒風山トンネルに戻ると答える。おもしろいことをするオッサンだと思われたかな。まあ、この頃はまだ元気だった。だが、縦走路には背後から追いついてくるパーティもいて、それでペースが乱される。無理せずに先に行ってもらえばいいのだが、予定よりも遅れていることもあり、無理にペースを落とさずに頑張ってしまうが、日差しが強いのに無理をしすぎたようだ。笹原の中の白い花はキイチゴ。東黒森に着き、横になって休憩。ここも日向。出かけようとすると別のパーティが先に行く。稜線の眼下に見えていたUFOラインへは、東黒森の手前に一つUFOラインに下る分岐があり(縦走路をやってきたパーティのいくつかはここから登ってきたのだろう)、東黒森と自念子ノ頭の間では縦走路はいったんUFOラインに下る。そこの駐車スペースに停めている車が数台。車が時々行き交い、私がUFOラインに降りたときは自転車の人もいた(その人はツーリング専門のようだったが、UFOラインを使って縦走するのも面白いだろう)。自念子ノ頭の手前で再び登山道に上がり、三角点のある自念子ノ頭に着き、4度目の休憩。またまた日向で横になって休む。左に傾斜した台形の姿の瓶ヶ森の右隣にある西黒森は細い鋭鋒になっていて、あの頂上に登るのは辛そうだ。

自念子ノ頭から西黒森の間はギザギザのヤセ尾根のアップダウンで、林の中で陽射を避けられたのは良かったが、ここで体が疲れ切ってしまい、西黒森手前のUFOライン登山口付近で5回目の休憩。この日初めての日陰での休憩で、少し体力回復し、西黒森に向かってしんどい登り。この道は西黒森の尖峰の頂上直下50mあたりまで登り詰め、そこに頂上までの小さな分岐標識がある。14年前はここにザックを置いて往復したが、頂上から先に進めるかもしれないのでテント・ザックを担いだまま登る。わずか50mだろうと軽い気持ちで登ったのだが、この50mは辛く長かった。大きな岩のところで迷い、大きな岩の左側を抜けて西黒森頂上到達。6回目の休憩。この頂上には林があり、日影があった。ここからは瓶ヶ森がすぐ近くに見える。起き上がって奥の踏跡に進むが、この踏跡はヤブに消えていた。止めて往路を引き返し、小さな標識のところに戻り、瓶ヶ森に向かう。大きな丸い葉のオオカメノキ。

西黒森山からはがっくりするほど下降し、UFOラインへの分岐があったが、今回は休まずに登る。日差しが弱まり、体力が少し回復してきたのだろう。ここから瓶ヶ森への登路は下半分が九十九折り。そこはあまり整備されていない笹の道。小尾根に上がり、頂上まであと100mが長かった。頂上が近づくと右奥に女山頂上があり、そこから左に男山がある尾根が長く伸びている。まず女山に向かい、14年前は雨と風だった瓶ヶ森・女山頂上に着く。祠に入っているのは軍神の姿をした蔵王権現。石鎚の石像はみなこの姿をしている。それに三角点。四周が完全に開けていて、行く手の石鎚山の左に伸びる土小屋からの尾根も見えていた(この時は縦走路がどう続いているのかまだ分かっていなかった)。だが、もう夕刻になり、遠景はシルエットになっている。早々に男山に向かうが、なかなか着かない。GPSピンクルートの端まで行ってもまだ着かず、どこかで分岐表示を見逃したかと思ったが、男山はまだ先にあった。男山には鳥居と祠に入った石像が二つ、それに避難小屋がある。さあもうこれでこの日の全山に登った。あとはテント場まで下るだけだ、と思ったが、このテント場までが長かった。中央の下山路(があったのかどうか不明だが)に入り損ない、西端の下山路を下り、UFOラインの近くから東に広がる笹原の氷見二千石原に向かう。その向こうに霞んで見えているのは石鎚山。道脇にはタチツボスミレ。テント場は白石小屋の第二テント場と瓶ヶ森ヒュッテの第一テント場があり、14年前は白石小屋のテント場に泊まったが、今回は第一テント場に向かう。三つ葉の黄色い花はヘビイチゴ(もしくはキジムシロ)。

なぜ14年前と同じ白石小屋に行かなかったのだろう。水があるのかが心配で、瓶ヶ森ヒュッテは営業しているだろうから、水場もあるはずと考えたからだろう。だが、たどりついた瓶ヶ森ヒュッテの古い建物は営業しておらず、代わりに小さな避難小屋が建っていた。テント場はその奥で、行ってみるとテントが二つ張ってあったが水場の案内が無い。テントの人に尋ねる手もあったが、ここにはないと言われても困るので避難小屋まで引き返す。そこに水場が無ければ白石小屋まで行くしかなかったが、古い建物と避難小屋の間に蛇口が三つある長いシンクがあり、そこから水が豊富に流れていた。助かった。水バッグに2リットル満たし、空になった500ミリ・ポカリ・ペットボトル3本に水を入れ、テント場に戻る。テントを張るともう薄暗く、ヘッドランプを点灯して食事の用意。沸かしたお湯をアルファ米の袋に入れて15分温め、その間に刻んできた野菜をコトコト煮る。ソーセージを刻んで野菜スープに入れ、塩コショウで味付けし、更にご飯を入れて雑炊にして食べる。野菜は分量が多いので2回に分けて煮る。塩味だけなのが若干物足りなく感じてきたが、他にどんな味付け方法があるだろう。全部を食べ尽くして就寝。

D2

3時のアラームですぐ起きられなかったが、トイレに出てみてずいぶん体力が戻っているのを感じた。よし、今日は快調に歩くぞ。湯を沸かして緑のたぬきそばを作り、カフェオレを作る。テント場には石鎚山展望所があり、笹原の向こうに朝靄に霞む石鎚山が見えていた。前日にずっと見えていた平坦な頂上の左右に二ノ森と成就尾根がある姿。水バッグの余り水をポカリ・ペットに入れるが、1本入り切らなかったので水場に寄って入れていく。避難小屋に寄ってみると、昔の管理人のことが書かれていた(*1)。テント場の二つのテントはそのままだったが、UFOラインに出るとオートバイが2台止めてあったので、それらの主だったかもしれない。大阪と滋賀ナンバーだったと思う。

(*1)瓶ヶ森ヒュッテは1953年にこの場所につくられた大型の山小屋。管理には幾島照夫・輝子夫妻(西条市)が完成当時から長年携われてきました。厳しくも愛のある照夫さんは「おやじ」と多くの登山愛好家に親しまれました。

行く手には子持権現山の鋭鋒、山荘しらさの建物、平坦な笹原の伊吹山、土小屋の建物があり、その背後に手箱山、筒上山、岩黒山が並び、土小屋の右(東)に伸びる尾根の先に石鎚山。ずいぶん遠い。この日の最初の失敗はGPSの設定ルートを間違え、子持権現山に登ってしまったこと。石鎚に行くルートでなく、ロープウェイ麓駅に下るルートを辿ってしまい、子持権現山にテントザックをしょったまま登ってしまう。車道をショートカットする笹に覆われた荒れた道を下って下の車道に出るところに子持権現山の登山口表示があり、「気を付けてね」と書いてあった。まず登れない人のための遥拝所があり、その先に石鎚山の鎖場のあの大きな輪っかがあり、その先に急斜面の長い鎖。最初は短く、次の同じくらいだろうと登っていくと、どこまでいっても終わらない。上を見上げてもオーバーハングしていて終点は見えない。鎖や灌木を掴み、岸壁の窪みに足をかけ、丹念に登っていく。鎖の隣にあぶみの着いたロープが下がっている急なところがあり、その左に踏跡があったので巻道だろうとそっちに行くが、道は続いていなかった。あぶみロープと鎖を両手でつかみ、あぶみは使わずになんとか登るが、その先でどうにも足場が不安なところがあり、細い鎖についたトライアングルのあぶみを何度か使う。

そしてようやく子持権現山頂上に到達。すぐ背後に瓶ヶ森・男山。この日最初の休憩。やや痛んだバナナを食べる。反対側の踏跡を下ると岸壁の大きなくぼみのところに子持大権現が祀られていた。瓶ヶ森に祀られていたのと同じ軍神の姿の石像。さて、そこから先にも下りの踏跡があったが、イエローテープで封鎖されていた。おかしいと思い、地図とGPSを確認し、ルートを間違えているのに気づく。しまったこの山に登る必要はなかったのだ。しかもこの先に車道に合流する道はないので、あの鎖場をまた降りないといけない。淡々と鎖場を下る。登りよりもだいぶ楽だったが、降り切ったときに腰が痛くなっていた。子持権現山に登ったのは全くの寄り道で、本来パスすべきだったのだが、鎖場を登り、頂上の反対側にある子持大権現にお参りできたのは幸いであった。ピンクルートは車道の登山口から遥拝所の間あたりをショートカット・ルートする破線を辿っていたが、気づかなかった。車道を淡々と下り、すぐにショートカットルートの合流点を過ぎるが、合流点にも気づかなかった。なかったのかもしれない。タンポポに似た黄色い花は(小さな丸い葉)ヤクシソウ。白い花はシロバナニガナとクルマバソウかな。シラサ峠に下る途中で振り返ると、緑の鋭鋒の子持権現山の背後に覆いかぶさるように瓶ヶ森がそびえている、その手前の急峻なピークは男山で、東から見たゆったりした山容とは対照的。シラサ峠にある山荘しらさは改築中で、瓶ヶ森から見えたたくさんの車は全て工事関係らしかった。腰が痛くて休みたかったが通過し、伊吹山の登山口に入る。そこは笹原の中の平坦な頂上で、三角点のある頂上にはベンチがあり、そこで2度目の休憩。パンを食べ、横になって休む。薄曇りで陽射はきつくなかった。背後には子持権現山と瓶ヶ森。

伊吹山からはずっと下に見えているUFOラインに向かって下っていき、車道に出てからまもなくよさこい峠に着く。そこは県道40号との合流点で、そこからUFOラインは緩い登り。この登りはきつく、土小屋の1㎞弱手前でザックを降ろして3度目の休憩。ナッツを齧る。このあたりで見た黄色い花は丸い五枚葉のコナスビに星型のマンネングサ。房状の白い花はコンロンソウだろうか。土小屋は5年前に岩黒山、筒上山、手箱山に登った時に一度来ていた。ここにもモンベルの店があったが、5年前にもあっただろうか。大きな鳥居のある石鎚山土小屋遥拝殿があり、そこが石鎚山の登山口にもなっていると書かれていたので階段を登り、竜の口から流れている水をひしゃくで二杯飲む。だが、遥拝殿は工事中で先には進めず、階段を下りて車道の先にある登山口に入る。えらく広く、整備されたよい道。二人連れが先に行く。今からでも頂上まで往復できるのだろう。土小屋で休憩できなかったので、途中で4度目の休憩。横になって休むが、この時は誰も来なかった。鶴ノ子ノ頭というのは雑木林に覆われたずんぐりした山で、登山道はその北側をトラバース。長くて細い材木を横に並べた歩きやすい道だが、登りはきつかった。そのあたりから大勢の人たちが下ってくるのに会う。

登山道にはいったとき、ここから「二ノ鎖小屋までの間に落石の危険があるので注意」という表示があり、登ろうと思っていた頂上尾根は登れないのかもしれないと思っていたが、トラバース路と尾根道の分岐地点に着くと、登山道はトラバース路に向かい、尾根道の方角にはそれらしい踏跡があったが、表示は全くなし。そっちには入るなということだろう。トラバース路に進む。1回、落石の音を聞いたように思うが、たぶん鹿か何かが歩いていて落とした感じだった。右手にはずっと瓶ヶ森が見えており、頭上に時々頂上尾根の一角が見えた。成就尾根が近づき、そこに見えていた建物が二ノ鎖小屋だろう。黒いオシベの目立つ白い花はワダソウ?ようやく合流点に着くと、すぐ下にテントが一つ張ってあった。さて、水場はどこだろう。二ノ鎖小屋は石階段を登った上にあるので登るが、もう辛くてなかなか登れなかった。トラバース路から見えていた大きな白い建物は今は使われていないようで、登山道の反対側に小さな避難小屋とトイレがあり、水道の蛇口があった。そこで水が手に入るが、ここが二ノ鎖小屋なのだろうか。案内が見当たらない。そこで、そこにいた男性三人に尋ねると、ここは国立公園内だから本当はテントは張ってはいけない、水は天水だから最低、煮沸しないと飲めない、ということだった。500円払って避難小屋に泊まれるのだが、避難小屋には女性が一人。やはりテントを張ることにし、天水を汲んでテント場に下り、テントを張る。

テントを張り終わってテントに入ったのはまだ15時頃。頭が痛かったのでとりあえず寝るが、最初は日が射して暑く、半袖短パンでテントは網戸。だが次第に気温が下がり、まず網戸を閉じ、シュラフカバーに入り、シュラフに入って眠り続け、起きたのはもう暗くなった20時頃。レインウェアを着こみ、天水を5分くらい煮沸してからアルファ米を温め、野菜を2回に分けてコトコト煮込んで雑炊にして食べる。水は大丈夫だった。登山道の反対側にテントがあるので、小さな音にしてウォークマンを聞きながら再び眠り、またどちらかのバッテリーが切れたので停止。夜中に雨の音で目覚め憂鬱になる。ずぶ濡れのテントは重いだろうな。

D3

3時のアラームで起きられなかったのは雨が降ったためで、くどくど考えた末に1時間遅れで行くことにし、テントの外に出ると地面はさほど濡れておらず、テントも湿っている程度だった。良かった。深い霧だったが、明るくなってくると気分は良くなり、5分煮沸して赤いきつねを食べ、カフェオレを飲む。暗いうちから登山道を登る音が聞こえ、テントを畳んでいるときに土小屋から登っていく人もいた。もしかすると弥山小屋の人、もしくは神社の人だったかもしれない。向かいのテントは相変わらずそのままだった。長時間の睡眠で頭痛はすっかり治り、足の調子もまずまず。この日の失敗も歩き始めてすぐで、テントザックを背負って二ノ鎖を登る。調子がよかったら三ノ鎖も登ろうなどと調子のよいことを考えていたが、二ノ鎖を登るのはなかなかきつく、三ノ鎖は諦める。二ノ鎖も登らなければ、保井野Pへの到着が少しは早まっただろう。

弥山に着き、トイレに行こうと思ったら石鎚山神社で、まず神社にお参りし、隣でお守りを二つ購入。800円x2。そのすぐ下の頂上山荘に入ってザックを置かせてもらい、奥の階段を下りたところのトイレに寄り、それから天狗岳に向かう。弥山頂上にはカメラ・スタンドを据えた男性が二人。共にレインウェアを着て霧が晴れるのを待っているらしい。16年前も霧だったが、そのときは天狗岳はぼんやり見えていた。今回は天狗岳の陰も形も見えない。だが、岩場の鎖を下って天狗岳に向かう。16年前はスティックを置いていったかもしれないが、この日はもちろんスティックも持っていき、岩場の登りや下りで活用する。断崖の底が見えるところが数ヶ所。頂上が近づくと若い夫婦連れが降りてきた。「この道は怖いですね」と言われたが、テントザックから解放されていた私は絶好調で、「晴れてないからなあ」と答える。それにしてもこの二人は軽装だった(ヘルメットもかぶってなかった)。男性はともかく、若い女性がガシガシ岩登りするのにもう驚かなくなった。

周囲が霧に閉ざされた天狗岳の頂上に着き、てっぺんの祠と頂上標識のところに着くと、突然、感動が沸き上がってきた。この四国の最高峰に登ったのは二度目だが、その二度目の山旅は思ったよりもきつく、初日はきつい日射しで弱り、二日目は重いザックをしょって長い鎖を上り下りし、午後には頭痛がひどかった。苦労してたどり着いたからこそ感動が沸き起こるのだろう。天狗岳の祠と頂上標識は忘れられない思い出。さて、今回は天狗岳の東にある南尖峰まで行ってみる。前日に尾根を辿って登ろうと思っていたピークだが、東側から登れなくても西側からは登れるかもしれない。天狗岳の東には踏跡があり、岩尾根をたどり、比較的簡単に南尖峰に到達。ただし標識は何も無く、GPSで確認。地理院地図によると、天狗岳と同じ1,982mらしい。岩尾根では赤いイワカガミと白いマイヅルソウを見る。頂上山荘に戻り、コーラを500円で買って休憩。空きボトルは持って帰ってくれとのこと。山荘に泊まっているらしい人、神官の白い羽織袴姿の人、静かな山荘にときおり人が出入りする。

頂上山荘を出て縦走路に向かう。三ノ鎖を過ぎ、二ノ鎖を過ぎてもまだ分岐がない。GPSを見るともう過ぎている。引き返すがよく分からないので、ちょうど降りてきた大きな荷物をしょった弥山小屋の店員に聞くと、それは少し上にあった。助かった。聞いてみて良かった。ニノ森との間には西ノ冠岳というごつい山があって、縦走路はその頂上をトラバースしている。西ノ冠岳の手前に三角点があり、そこも縦走路はトラバース。100m強くらいに近づいたところで三角点まで登れないか下から見上げるが、雑木林に笹原が待ち構えていて、諦める。だが、トラバース路の途中でユキワリソウの群落に遭遇。東北のサクラソウと同じ姿で、ピンク色の花が岩場にたくさん風に揺れている。ちょうど日が射してきて、まるで別世界に迷い込んだよう。岩場を登り、しばらく花を撮影。そして登山道に戻ると背後の石鎚山が雲の中から出てこようとしていた。この調子だと見えるようになるかもしれない。行く手には二ノ森への尾根が見えだし、すぐ先にとんでもない鋭鋒の西ノ冠岳。こいつに登るのはやめてほしい(トラバースしてくれた)。その先に並ぶマイナーピークの先に二ノ森も見えてきた。トラバース路の先に見えてきたニノ森は薄緑の笹原の急斜面の上に丸い頭の姿。手前の1,866m峰を従えた姿は貫禄たっぷり。近くに見えたが、マイナーピークの尾根はアップダウンがあり、時間がかかる。トラバース路に入ってすぐ、面河に下る道への分岐があったが、トラバース路からははるか眼下にその面河からの登山道が見えていて、その上を歩くパーティらしき姿が見えていた。トラバース路の先には向こうからやってくる二人が見えていたが、彼らは大きなザックを背負っていた。

マイナーピーク尾根は5年前に鉄砲石川をさかのぼって二ノ森に登った時に歩いている。そしてマイナーピーク尾根の一つからまっすぐ下降して面河に戻ったのだが、その分岐には今回、気づかなかった。当時もほとんど廃道状態だったので、もう消えてしまっているのかもしれない(1,866m峰の頂上から南東に下ったと思うが、縦走路は1,866m峰をトラバースしていた)。マイナーピーク尾根の途中で2度目の休憩。この日はパンもバナナもないので最初からナッツを齧り、晴れてきたのでサングラスをはめる。この後、マイナーピーク尾根で男性に一人と夫婦連れに会うが、彼らは小さなザックだった。彼らはどこから登ってきたのだろう。この二日間はテントザックを背負った腰や肩が痛かったが、この日はなぜかどちらも痛くなく、歩みはのろいが着実に前進。ニノ森に向かって登っていくとついに雲が晴れ、石鎚山が姿を現わした。5年前には石鎚山だけは雲に隠れていたので、ここから石鎚山を見るのは初めて。それは瓶ヶ森で見たのとちょうど反対の形だが、弥山と天狗岳が並ぶ要塞のような岩峰の姿。そしてその左の西ノ冠岳も横に広がった要塞の姿になっていた。これもまた、石鎚山の絶景の一つだろう。そして5年ぶりに二ノ森の頂上に到達。今回は大きな一等三角点と頂上標識の奥に石鎚山が見えている。なんというグッドアングルだろう。同じアングルの写真を何枚も撮ってしまう。ザックに座ってゆっくりこの絶景を眺める。

二ノ森から先には1,889m峰があり、そちらに向かう縦走路が見えているが、1,889m峰の左奥に続く尾根は縦走路ではなく、堂ヶ森は1,889m峰の背後に隠れて見えていなかった。ニノ森から下っていくとそこは広い尾根の笹原の切り分けの道だった。緩い下りの道は1,889m峰をトラバースして西に進み、そして行く手に堂ヶ森が初めて見えた。堂ヶ森は頂上に立つ反射板が目立つ少しいびつな形をしていて、なかなか個性的な姿。山腹には赤い色の避難小屋も見えている。朝の濃い霧からは想像できない快晴となり、笹原では暑いので、堂ヶ森手前にあった雑木林の日陰で4度目の休憩。避難小屋への分岐があり、200mくらいだったが、寄らずに頂上に向かう。苦しい最後の登りを登り切り、縦走路から頂上への分岐に着くと、そこで休憩している男性に会う。そして反射板のある堂ヶ森頂上に着くと、そこには大勢の人たちがいた。十人以上はいただろう。こんなに人気のある山だったのか。背後の石鎚山は1,889m峰の左に見えていたが、また雲がかかり始めていて、堂ヶ森頂上に着いたときはすっかり見えなくなっていた。また見えるのを待っている人たち、弁当をうまそうに食べている人もいた。三角点と頂上標識と頭上の大きな反射板を写し、私は縦走路に進む。

もうここからは下るだけだが、距離2㎞、標高差1,000m以上ある。当初計画では1時間程度と考えたが、とてもそうはいかないだろう。下るときはヒザが痛くなっていて、それも気になる。追いついてきたのは石鎚山が見えるのを待っていた夫婦連れではなく、親子の三人連れだった。まだ小学校低学年くらいと思うがすいすいと下っていた。500mくらいで分岐があり、そこで最後の休憩。分岐で休んでいた親子連れは先に行き、夫婦連れもやってきて西(梅ヶ市?)へ下っていく。その先の下りには手を使わないといけないところもあり、手袋をはめて淡々と下り、休んでいる親子連れを追い越し、GPSルートのある沢筋よりも東側を下ってゆき、保井野Pまで数百メートルのところで沢筋の道に合流する。そこには分岐表示があり、青滝山とあった。大きなザックを背負って登っていく男性は今晩はどこに泊まるのだろう。紫色の花はタツナミソウだろうか。最後に、道の両脇に大きな古タイヤと有刺鉄線を張ったところ(たぶん私有地なのだろう)を歩き、右の眼下に林道が見え、そして保井野Pに着く。登山口の正面に使用禁止のトイレがあり、MTBはその右奥にデポしてある。その脇にザックを降ろし、デポしておいたシューズに履き替え、ズボンの裾にバンドを巻く。そして登山靴はコンビニ袋に入れてMTBのハンドルにぶら下げていくことにする。

準備していると親子連れが降りてきた。尋ねられたので、テント縦走してきてデポしておいたMTBで下り、タクシーで出発点(寒風山トンネル)まで戻る計画を話す。初日に会った男性と同様、面白そうに聞いてくれた。そしてテントザックを背負い、登山靴をハンドルの両側に下げ、保井野PからMTBで下降開始。相当急に感じていた坂道はそれほどでもなく、集落に入ると道幅も広くなり、快調に下降。道端に花が咲いていたので数回停止して撮影。白いのはドクダミ。赤いのはニワゼキショウ?黄色いのはヘビイチゴ(もしくはキジムシロ)。集落の中にたくさん咲いていた赤い花はシレネ?時々傾斜が緩んでペダルをこぐが、国道までの半分以上は自然落下、ペダルも3段、4段。きつい登りは全くなし。やがて県道153は鞍瀬川沿いとなるが、鞍瀬川は岩が多く美しい。道脇に駐車しているのは釣りだろうか。県道153ではほとんど車に出会わなかった(向こうから来たのが数台、背後からは1台のみ)が、R11の交通量は多そうだ。R11の手前にザックと登山靴をデポし、サブザックだけの軽身でR11に入る。道脇に大きな白いホタルブクロ。R11沿いには最初は歩道があり、そこを走るが、たぶん半分以上、歩道はなかったと思う。1段や2段でないと登れないところはなかったが、漕がなくてもよい下りもなし。ほぼ平坦なR11を3段、4段あたりで漕ぎ続ける。もうそろそろかなと思って停止したが、まだ7㎞。再び漕ぎ続け、いいかげん疲れたのでコンビニで休もうと思ったが、まるでコンビニがない。やっとセブンイレブンに入ってフルーツジュースを飲んだのはもうタクシー店の近くだった。

小松タクシーに着き、MTBを置いてタクシーに乗り、寒風山トンネルまで行く。話好きの運転手だったが、旧寒風山トンネルまで行ったことはあまりないらしい。旧道に入って狭い車道を登る間、向こうから時々車がやってきて、自転車も2台いた。下っていく車はたぶん登山だろうが、下っていく自転車は登りも漕いで登ったのだろうか。寒風山トンネルには人や車がたくさんいたが、奥の登山用Pには私の車のみ。着替えて車に乗り込み、小松タクシーでMTB、県道153でザックと登山靴を回収する。これでようやくツーリング縦走が完了した。旧寒風山トンネルから保井野Pまでの縦走は32㎞(=11+12+9)を31時間(=13+8.5+9.5)、保井野Pから小松タクシー店までのMTBは26㎞を1時間半、タクシーに乗って1時間で旧寒風山トンネルP(約8,000円)。縦走の時速約1㎞というのは情けないが、MTBは時速約17㎞で期待通り。タクシー8,000円というのはやや予算オーバー。

D1

 

旧寒風山トンネル登山者P

 

ジュウニヒトエ


旧寒風山トンネルの登山口


桑瀬峠と寒風山


伊予富士


寒風山・P2


寒風山の頂上標識(背景は西黒森と瓶ヶ森)


笹ヶ峰とちち山


 赤石連峰

 

 寒風山から西の景観:伊予富士、手箱山、筒上山、岩黒山、西黒森、瓶ヶ森

 ニガナ

 

キバナツクバネウツギ


伊予富士

縦走路から見る伊予富士は東西のどちらから見てもトゲトゲのピークを連ねる姿。このユニークな姿は遠くからでも見分けやすく、個性的で魅力たっぷりなのだが、どこかに富士形に見えるアングルがあるのだろうか。

寒風山


伊予富士の三角点と頂上標識(背景、中央奥が石鎚山)


東黒森


 賑わう伊予富士頂上

 

キイチゴの花


東黒森の頂上標識(背景は左端に笹ヶ峰、中央に伊予富士)


UFOライン


瓶ヶ森と西黒森


自念子ノ頭


二の森(左端)と石鎚山


自念子ノ頭の三角点と頂上標識


 

西黒森の頂上標識とザック


瓶ヶ森


瓶ヶ森の男山と女山


オオカメノキ


瓶ヶ森・女山の祠と頂上標識


瓶ヶ森・女山の蔵王大権現


瓶ヶ森・男山頂上の二つの祠


ヘビイチゴorキジムシロ


 氷見二千石原(背景は石鎚山)


タチツボスミレ


瓶ヶ森ヒュッテの水場


夕陽


D2

 

旧瓶ヶ森ヒュッテ(左)と新しい瓶ヶ森避難小屋

 

ヘビイチゴorキジムシロ


子持権現山


UFOラインの子持権現山登山口


 

鎖場起点の大きな輪

 


 

鎖につかまって登る


子持権現山の頂上


瓶ヶ森・男山


子持大権現の祠


ヤクシソウ


シロバナニガナ


クルマバソウ


 

瓶ヶ森と子持権現山

シラサ峠に下る途中で振り返ると、緑の鋭鋒の子持権現山の背後に覆いかぶさるように瓶ヶ森がそびえている、その手前の急峻なピークは男山で、東から見たゆったりした山容とは対照的。


石鎚山


伊吹山の頂上標識(背景は瓶ヶ森、子持権現山、西黒森)


コナスビ


マンネングサ


コンロンソウ?


モンベル土小屋店


土小屋・遥拝殿


 

土小屋・遥拝殿で水を飲む

 

木道のトラバース路を行く


近づいてきた石鎚山


ワダソウ?


成就からの道と合流


D3

 

二ノ鎖小屋のテントサイトを出発

 

二ノ鎖を登る


頂上山荘


 

弥山頂上の石鎚神社

 

天狗岳を下る二人


天狗岳の頂上


天狗岳頂上の祠と頂上標識


イワカガミ


マイヅルソウ


見えてきた二ノ森と西ノ冠岳


ユキワリソウ


 

ユキワリソウ

 

鋭鋒の西ノ冠岳


石鎚山


シロバナスミレ


城砦の姿の西ノ冠岳


二ノ森と1,866m峰

トラバース路の先に見えてきたニノ森は薄緑の笹原の急斜面の上に丸い頭の姿。手前の1,866m峰を従えた姿は貫禄たっぷり。

 

石鎚山


二ノ森の頂上(背景は石鎚山)


 

西ノ冠岳と石鎚山

 


1,889m峰


二ノ森


堂ヶ森


堂ヶ森頂上の反射板


堂ヶ森頂上の反射板に接近

 

堂ヶ森の三角点と頂上標識


タツナミソウ?


 保井野登山口(保井野P)

 


ドクダミ


ニワゼキショウ


ヘビイチゴorキジムシロ


保井野の集落を走り下る


シレネ?


鞍瀬川


ホタルブクロ


R11を行く