南八甲田・赤倉岳 氷結した赤沼を見下ろす
青森県 赤倉岳1,298m、矢櫃岳、1,250m、矢櫃山1,090m 2004年2月28日
(赤倉岳)青森110山
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出典 矢櫃岳:山と高原地図4「十和田湖・八甲田・岩木山」2002年 矢櫃山:「旧青森県の山」(1993年初版)p64赤倉岳枯れたブナ林のなかを淡々と登って行く。しばらくすると、左手の稜線の切れた先に、丸い赤倉の頂が白く光って見えてきた。感動の一瞬。
矢櫃山頂上に着き、一番高いと思われるところにストックを立てる。風があり、ここまで暑くて脱いでいた上着を着込む。
赤倉の平らな頂が近づき、疎らな林を進む。一番奥が最も高く、その先が開けていて、東面を見渡せるところまで進む。ここは矢櫃山から見上げていたあの絶壁の端に近い。正に絶景。東に氷結した赤沼が細長く白く光り、それを矢櫃山の東尾根が取巻いている。ここから見下ろす矢櫃山はずいぶん形が変わり、長細いなだらかな姿になっている。東南には三分の一、氷の溶けた蔦沼。南には曲がりくねった赤倉の稜線が続いており、途中に1,001mピーク。
シールを着けたまま赤倉の北斜面を降り、乗鞍/矢櫃岳の鞍部に向かい、矢櫃岳頂上着12:59。いちばん高いと思われるところにストックを立てる。北側の天気が良くなり、高田大岳が真白に輝いている。
シールを外して滑走開始。雪の矢櫃沢をしばらく滑り降り、途中で右の岸に上がる。振り返ると沢の上部に矢櫃岳がそびえている。もうひとつ小さな沢筋を越えたあたりで鞍部となり、シールを着けて登り出す。
北側には木々の間に矢櫃萢のピークが見え、その向こうに猿倉。更に、一瞬だが大岳とその噴火口、それに真白な小岳が見えている。そこからは急な登りで、なんとか踏ん張って矢櫃山頂上に再度到着。再度シールを外してスロープを滑り降りる。まばらなブナの樹林のなかの滑走。
前方にカモシカ。じっとこちらを見ているところを写す。こちらが動き出すと行ってしまった。最後の斜面を滑り降りる。夕日の木々の中の赤倉と白い高田大岳。下りの車が行き過ぎていく。
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低気圧が通過していく合間に突然、晴になるということが水・木曜日あたりに判明し、天気図の気圧配置(南の高気圧が本州真上に来る)からして土曜は晴れると確信。かねて計画していたとおり4時に起き、5時前に出発。みちのく有料道路から七戸・十和田市を回り、焼山から仙人橋に向かう(*)。十和田市に入る頃から朝日が射し始め、7:00前に仙人橋駐車スペースに到着。さっそくシールを着け、雪上に登ったが、案の定、そのすぐ先に沢がある。スキー靴なら大丈夫だろうとスキーを外して沢に入ったが、意外に水は深く、水が入ってしまった。慌てて引き返し、車まで戻り、靴下を取替える。
(*)青森市内から田代平を経由して蔦温泉に抜ける車道は夜間・早朝は閉鎖されているため、東側から大回りして仙人橋に向かった。「青森市萱野茶屋 - 青森市田代十文字(12月中旬 - 3月中旬、18時 - 翌7時30分通行止)」wikipedia
予備の靴下は2足あったので、思い直して再出発。仙人橋を渡り、夏道のコースを行く。7:25。水が一回入った靴の中は冷たい(でも、そのうち気にならなくなる)。沢を越える地点を探し、山すそを斜行して行き、沢が雪に埋まっているところで沢に下りる(7:54赤沼沢)。しばらく沢をそのまま登り、ころあいに対岸に登る。枯れたブナ林のなかを淡々と登って行く。しばらくすると、左手の稜線の切れた先に、丸い赤倉の頂が白く光って見えてきた。感動の一瞬。幅広い稜線の端に行き、赤倉の切り立った東斜面を見上げる。南へは稜線が蔦温泉まで長く延びており、途中に1,001mピークがある。意外に急な稜線で、一様なスロープでもない。昨年あそこを登ったときは、こんなに急とは感じなかった。右手の先には当面の目標の矢櫃山の頂が見えている。南側が切り立った険峻な姿。まだ遠い。稜線の先は雪庇になっているので、林のなかに戻り、登る。9:47、矢櫃山頂上に着き、一番高いと思われるところにストックを立てる。風があり、ここまで暑くて脱いでいた上着を着込む。北東には雛岳と、先週登った高田大岳が見えている。高田大岳から西側は中腹から上が雲をかぶっている。高気圧が南にあるはずの割には風は北西で、高田大岳と乗鞍を結ぶ線より南側が晴れているようだ。よって、櫛ヶ峰や駒ヶ峰は全く見えず、乗鞍はかろうじて薄く見え、一方、猿倉、矢櫃岳、赤倉はよく見えている。北八甲田が晴れていて南が雨だった昨年秋とは逆のパターン。
問題は、矢櫃山から。赤倉までが、かなりの下りと登り返しとなっていることで、結局それに2時間かかる。最初、稜線の端を行こうとしたが、足元が崩れていくので断念。林の中の木のまばらなところを選んで進む。休み休みの前進となる。しかし、考えてみると、仙人橋(600m)から矢櫃山(1,000m)の間400m差を2時間は予定通り、矢櫃山から100m降りたとして、赤倉(1,298m)までの400m差に2時間は当然となる。登り返していくと、背後に南側が切り立ち、丸い姿になった矢櫃山。赤倉の平らな頂が近づき、疎らな林を進む。一番奥が最も高く、その先が開けていて、東面を見渡せるところまで進む。ここは矢櫃山から見上げていたあの絶壁の端に近い。正に絶景。東に氷結した赤沼が細長く白く光り、それを矢櫃山の東尾根が取巻いている。ここから見下ろす矢櫃山はずいぶん形が変わり、長細いなだらかな姿になっている。東南には三分の一、氷の溶けた蔦沼。南には曲がりくねった赤倉の稜線が続いており、途中に1,001mピーク。ここから見るとかなりの急傾斜。昨年はよく登ったものだ。4時間かかったのも無理はない。稜線全線にわたって東側は切り立っており、西側はなだらかだが、林になっている。あそこを登ってくるのも大変だろう。滑り降りるのはどうだろうか(来年チャレンジか?)。赤倉頂上着11:44。次の目標に向かう。頂上で写真を撮ろうとしたら、一瞬強風が舞い、あたりの風景が全く見えなくなってしまった。
シールを着けたまま赤倉の北斜面を降り、乗鞍/矢櫃岳の鞍部に向かう。そこは標高1,200m強の高原で、東側に矢櫃沢の源頭部があるので西側に回り込んで行く。西側の乗鞍がうっすら見えているので乗鞍に登って帰ろうかとも思ったが、戻りに2時間でなく3時間かかるとすると、乗鞍頂上着14:00としても仙人橋着17:00になってしまう。いさぎよく諦めて矢櫃岳に向かう。これはすぐ先に見えているが、50mほどの登りがきつく(考えてみると朝7:00から6時間経過、朝起きて4:00から9時間経過)、矢櫃岳頂上着12:59。いちばん高いと思われるところにストックを立てる。北側の天気が良くなり、高田大岳が真白に輝いている。赤倉の背中はこちらから見ると丸い森。夏にこの下あたりを歩いていたときは木の中で全く視界が無かった部分。シールを外して滑走開始。雪の矢櫃沢をしばらく滑り降り、途中で右の岸に上がる。振り返ると沢の上部に矢櫃岳がそびえている。もうひとつ小さな沢筋を越えたあたりで鞍部となり、シールを着けて登り出す。しかし、少し行くと大きな沢筋があり、そこを滑り降りる(シールを着けるのを少し待てば良かった)。再度登り出してしばらくすると、登ってきたときの踏み跡にぶつかる。14:05。これで、とにかく帰れる。
北側には木々の間に矢櫃萢のピークが見え、その向こうに猿倉。更に、一瞬だが大岳とその噴火口、それに真白な小岳が見えている。そこからは急な登りで、なんとか踏ん張って矢櫃山頂上に再度到着。14:27。午後の日を背にした赤倉と少し見えるようになってきた乗鞍。反対側には高田大岳とまた隠れてしまった大岳。再度シールを外してスロープを滑り降りる。まばらなブナの樹林のなかの滑走。結構長く感じた。踏み跡を辿って赤沼沢に下り、下ったところでスキーを外して登る。対岸に15:11登り着く。だいぶへばっている。
鞍部で再々度シールを着けるのに止まるが、さすがにくたびれて休憩。喉が渇いたので冷たいお茶を飲む。冷たくて胃にこたえる。保温ポットが必要かもしれない。登り出してすぐに前方にカモシカ。じっとこちらを見ているところを写す。こちらが動き出すと行ってしまった。実はゴールはすぐそばで、歩いてもよかったかもしれない。再々度シールを外し、最後の斜面を滑り降りる。夕日の木々の中の赤倉と白い高田大岳。下りの車が行き過ぎていく。15:49。国道に降り立ち、車に戻り、濡れたスキー靴を脱ぐ。靴下はびしょびしょ。裸足の足を車の暖房で暖めながら帰る。下りの車は多かったが、青森へ向かう車には火箱沢林道の終わりまで追いつかなかった。長い1日だった。朝7:30から15:49としても8時間。朝7:00からとすると9時間、朝起きた4:00からだと12時間。当日夜は9:00頃寝てしまい、翌日は雨でロープウェイ中止。一日休む。
仙人橋から南赤倉岳に登ると、北八甲田や睡蓮沼から登るのとは違う八甲田を見つけた。尾根の途中から見た白く光る丸い南赤倉、氷結した赤沼、蔦温泉に伸びる長い曲がりくねった東尾根、噴火口が少しだけ見える真っ白な大岳。
仙人橋駐車スペース
低気圧が通過していく合間に突然、晴になるということが水・木曜日あたりに判明し、天気図の気圧配置(南の高気圧が本州真上に来る)からして土曜は晴れると確信。かねて計画していたとおり4時に起き、5時前に出発。みちのく有料道路から七戸・十和田市を回り、焼山から仙人橋に向かう(*)。十和田市に入る頃から朝日が射し始め、7:00前に仙人橋駐車スペースに到着。さっそくシールを着け、雪上に登ったが、案の定、そのすぐ先に沢がある。スキー靴なら大丈夫だろうとスキーを外して沢に入ったが、意外に水は深く、水が入ってしまった。慌てて引き返し、車まで戻り、靴下を取替える。
(*)青森市内から田代平を経由して蔦温泉に抜ける車道は夜間・早朝は閉鎖されているため、東側から大回りして仙人橋に向かった。「青森市萱野茶屋 - 青森市田代十文字(12月中旬 - 3月中旬、18時 - 翌7時30分通行止)」wikipedia
仙人橋の表示
雪に埋まった赤沼沢
矢櫃山への登り
赤倉岳
予備の靴下は2足あったので、思い直して再出発。仙人橋を渡り、夏道のコースを行く。7:25。水が一回入った靴の中は冷たい(でも、そのうち気にならなくなる)。沢を越える地点を探し、山すそを斜行して行き、沢が雪に埋まっているところで沢に下りる(7:54赤沼沢)。しばらく沢をそのまま登り、ころあいに対岸に登る。枯れたブナ林のなかを淡々と登って行く。しばらくすると、左手の稜線の切れた先に、丸い赤倉の頂が白く光って見えてきた。感動の一瞬。幅広い稜線の端に行き、赤倉の切り立った東斜面を見上げる。南へは稜線が蔦温泉まで長く延びており、途中に1,001mピークがある。意外に急な稜線で、一様なスロープでもない。昨年あそこを登ったときは、こんなに急とは感じなかった。右手の先には当面の目標の矢櫃山の頂が見えている。南側が切り立った険峻な姿。まだ遠い。
1,001m峰と赤倉岳
赤倉岳と矢櫃山
矢櫃山頂上から赤倉岳
稜線の先は雪庇になっているので、林のなかに戻り、登る。9:47、矢櫃山頂上に着き、一番高いと思われるところにストックを立て。風があり、ここまで暑くて脱いでいた上着を着込む。北東には雛岳と、先週登った高田大岳が見えている。高田大岳から西側は中腹から上が雲をかぶっている。高気圧が南にあるはずの割には風は北西で、高田大岳と乗鞍を結ぶ線より南側が晴れているようだ。よって、櫛ヶ峰や駒ヶ峰は全く見えず、乗鞍はかろうじて薄く見え、一方、猿倉、矢櫃岳、赤倉はよく見えている。北八甲田が晴れていて南が雨だった昨年秋とは逆のパターン。
乗鞍岳
矢櫃岳
矢櫃山から西の景観: 赤倉岳、乗鞍岳、矢櫃岳
赤倉岳
1,001m峰
矢櫃山
雲の北八甲田
赤倉岳への登り
問題は、矢櫃山から。赤倉までが、かなりの下りと登り返しとなっていることで、結局それに2時間かかる。最初、稜線の端を行こうとしたが、足元が崩れていくので断念。林の中の木のまばらなところを選んで進む。休み休みの前進となる。しかし、考えてみると、仙人橋(600m)から矢櫃山(1,000m)の間400m差を2時間は予定通り、矢櫃山から100m降りたとして、赤倉(1,298m)までの400m差に2時間は当然となる。登り返していくと、背後に南側が切り立ち、丸い姿になった矢櫃山。
赤倉岳頂上手前から北東の景観: 矢櫃岳、猿倉岳、雲に隠れた高田大岳、雛岳、矢櫃山、黒森
氷結した赤沼
赤倉の平らな頂が近づき、疎らな林を進む。一番奥が最も高く、その先が開けていて、東面を見渡せるところまで進む。ここは矢櫃山から見上げていたあの絶壁の端に近い。正に絶景。東に氷結した赤沼が細長く白く光り、それを矢櫃山の東尾根が取巻いている。ここから見下ろす矢櫃山はずいぶん形が変わり、長細いなだらかな姿になっている。東南には三分の一、氷の溶けた蔦沼。南には曲がりくねった赤倉の稜線が続いており、途中に1,001mピーク。ここから見るとかなりの急傾斜。昨年はよく登ったものだ。4時間かかったのも無理はない。稜線全線にわたって東側は切り立っており、西側はなだらかだが、林になっている。あそこを登ってくるのも大変だろう。滑り降りるのはどうだろうか(来年チャレンジか?)。赤倉頂上着11:44。次の目標に向かう。頂上で写真を撮ろうとしたら、一瞬強風が舞い、あたりの風景が全く見えなくなってしまった。
赤倉岳頂上から東の景観: 雛岳、矢櫃山、黒森、赤沼、松森山、蔦沼、蔦温泉、1,001m峰
蔦沼
赤倉岳頂上
乗倉岳
高田大岳
矢櫃沢源頭から東の景観: 黒森、矢櫃岳、赤倉岳
矢櫃岳頂上
シールを着けたまま赤倉の北斜面を降り、乗鞍/矢櫃岳の鞍部に向かう。そこは標高1,200m強の高原で、東側に矢櫃沢の源頭部があるので西側に回り込んで行く。西側の乗鞍がうっすら見えているので乗鞍に登って帰ろうかとも思ったが、戻りに2時間でなく3時間かかるとすると、乗鞍頂上着14:00としても仙人橋着17:00になってしまう。いさぎよく諦めて矢櫃岳に向かう。これはすぐ先に見えているが、50mほどの登りがきつく(考えてみると朝7:00から6時間経過、朝起きて4:00から9時間経過)、矢櫃岳頂上着12:59。いちばん高いと思われるところにストックを立てる。北側の天気が良くなり、高田大岳が真白に輝いている。
矢櫃岳からの滑走
赤倉の背中はこちらから見ると丸い森。夏にこの下あたりを歩いていたときは木の中で全く視界が無かった部分。シールを外して滑走開始。雪の矢櫃沢をしばらく滑り降り、途中で右の岸に上がる。振り返ると沢の上部に矢櫃岳がそびえている。もうひとつ小さな沢筋を越えたあたりで鞍部となり、シールを着けて登り出す。しかし、少し行くと大きな沢筋があり、そこを滑り降りる(シールを着けるのを少し待てば良かった)。再度登り出してしばらくすると、登ってきたときの踏み跡にぶつかる。14:05。これで、とにかく帰れる。
大岳と小岳
北側には木々の間に矢櫃萢のピークが見え、その向こうに猿倉。更に、一瞬だが大岳とその噴火口、それに真白な小岳が見えている。そこからは急な登りで、なんとか踏ん張って矢櫃山頂上に再度到着。14:27。午後の日を背にした赤倉と少し見えるようになってきた乗鞍。反対側には高田大岳とまた隠れてしまった大岳。再度シールを外してスロープを滑り降りる。まばらなブナの樹林のなかの滑走。結構長く感じた。踏み跡を辿って赤沼沢に下り、下ったところでスキーを外して登る。対岸に15:11登り着く。だいぶへばっている。
矢櫃山の東尾根の滑走
カモシカ
鞍部で再々度シールを着けるのに止まるが、さすがにくたびれて休憩。喉が渇いたので冷たいお茶を飲む。冷たくて胃にこたえる。保温ポットが必要かもしれない。登り出してすぐに前方にカモシカ。じっとこちらを見ているところを写す。こちらが動き出すと行ってしまった。実はゴールはすぐそばで、歩いてもよかったかもしれない。再々度シールを外し、最後の斜面を滑り降りる。夕日の木々の中の赤倉と白い高田大岳。下りの車が行き過ぎていく。15:49。
高田大岳
蔦川
国道に降り立ち、車に戻り、濡れたスキー靴を脱ぐ。靴下はびしょびしょ。裸足の足を車の暖房で暖めながら帰る。下りの車は多かったが、青森へ向かう車には火箱沢林道の終わりまで追いつかなかった。長い1日だった。朝7:30から15:49としても8時間。朝7:00からとすると9時間、朝起きた4:00からだと12時間。当日夜は9:00頃寝てしまい、翌日は雨でロープウェイ中止。一日休む。
仙人橋とR103
仙人橋から南赤倉岳に登ると、北八甲田や睡蓮沼から登るのとは違う八甲田を見つけた。尾根の途中から見た白く光る丸い南赤倉、氷結した赤沼、蔦温泉に伸びる長い曲がりくねった東尾根、噴火口が少しだけ見える真っ白な大岳。