百松沢山  街と山の景観とパウダー滑走

北海道・道央  百松沢山(南峰1,043m、北峰1,038m)  2019年1月13日

       (百松沢山、烏帽子岳1,110m  2009年4月19日)

山スキー・ルート図集、北海道雪山ガイド

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高度が上がると眺望が広がり、札幌の街並みや海が見えてくる。疲れてきていたこともあり、何度も立ち止まって撮影。北に見えるのはアンテナの手稲山。その左の白い山が手稲ネオパラかな。

緩斜面で出会ったのは、先に出かけて行ったスノーシューの人だった。この先のピーク(970m肩)から先行トレースが下りになり、引き返してきたと言う。私はもう少し行ってみると言って進む。すぐ南に見えているのが百松沢山・北峰に違いない。

ようやく尾根にたどり着くと左右に踏み跡があり、左にわずかに登って百松沢山・北峰に着く。細い木の幹に「百松沢山・北峰」の頂上標識。これは前回来たときには気づかなかった。

だがもう13時。神威岳に行くのは諦め、せめて南峰までは行っておこう。だが、その南峰への道は楽ではなかった。スノーシューの踏み跡を外れて斜めに登り、ついに百松沢山・南峰に到達。前回見た南峰の頂上標識(それに木像)は今回は見なかった。雪に埋まっていたのだろうか。

南には神威岳と烏帽子岳が見えている。細尾根でつながった丸い頭の烏帽子といかめしい姿の神威は一度見たら忘れられない独特の景観。10年前、烏帽子まで登ったが、神威には行っていない。いつか登ってやるからな。

もう一度、北峰まで行ってシールを外す。このあたりの雪がこの日最高のパウダーで、軽い雪にはトレースがほとんどつかず、少し向きを変えるだけで軽く方向転換できた。

 ようやく尾根にたどり着くと左右に踏み跡があり、左にわずかに登って百松沢山・北峰に着く。
 パウダー滑走
 北に見えるのはアンテナの手稲山。その左の白い山が手稲ネオパラかな。
 いかめしい姿の神威岳。いつか登ってやるからな。(2009年4月19日)
  9:01 除雪終点発  9:35 二つ目の渡渉点10:01 屈曲点10:39 渡渉6、838m峰・東尾根取付き11:36 838m峰・830m地点11:59 970m肩トラバース13:09 百松沢山・北峰1,038m13:48 百松沢山・南峰1,043m・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・登り4時間47分13:55 百松沢山・南峰発、シール滑走14:25 百松沢山・北峰14:33 滑走開始14:41 970m肩トラバース15:00 838m峰トラバース15:36 渡渉6、838m峰・東尾根取付き点15:56 屈曲点16:19 二つ目の渡渉点、シール16:52 除雪終点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・往復7時間51分

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早朝の札幌は比較的空いていた。モルゲンロートの朝日に大きなポプラの並木。源八沢入口に着いてみると駐車スペースがない。少し手前にスノーモービルの駐車場があり、スペースはあったが、駐車しづらいので諦め、前回登った平和霊園に向かう。事前に調べてなかったので記憶を頼りに進み、平和霊園方面の除雪終了点の先が前回登ったルートのようだと確認し、そこに向かう。

除雪終点で準備していると、スノーシューを持った人が現われ、先に行く。これでますます間違いなかろう。今回はゴーグルをザックに入れ、歩きやすい硬い踏み跡をぐんぐん進む。もう9時になっていたので、急がねば。前回はスキーを外して渡った最初の橋(渡渉点1)は今回は通行止めになっていて、その脇の石伝いと思われる雪のトレースをたどってなんとか渡る。緩く登った土手の上にある砂防ダムの脇は記憶に残っており、いったん緩く下って再び雪の橋を渡り(渡渉点2)、右岸に戻る。そこから先は概ね緩い登り。前回も渡った覚えのある、倒木と思われる丸太の橋を渡る(渡渉点3)が、踏み跡は丸太の脇の石伝いになっていて、雪が崩れて苦労。近くのスノーブリッジの方がよさそうだ。四つ目の渡渉点は、前回は渡れなかった地点だが、今回はスノーブリッジが残っていて渡れた。

その先で林道は登りとなり、二俣(屈曲点)を左折して東に向かう。南に方向を転ずる地点(渡渉点5)のスノーブリッジは少し切れていたが、スキーの幅で渡れる。最後のスノーブリッジ(渡渉点6)は渡った先が狭くて急で、帰りに渡りにくそうだと感じ、上流のスノーブリッジを渡ろうと決める。この先あたりで前回のルートとは外れ、838m峰東尾根を登る初めての地形となるが、先行のスノーシュー・トレースはスキーでは登れないところを登っていくので、何度も先行トレースを離れて登る。これでだいぶ体力を消耗したが、高度が上がると眺望が広がり、札幌の街並みや海が見えてくる。疲れてきていたこともあり、何度も立ち止まって撮影。北に見えるのはアンテナの手稲山。その左の白い山が手稲ネオパラかな。

838m峰東尾根の急斜面を登り切り、ピーク間近の830m地点に到達し、970m肩に向かっていったん緩い下り、そして緩い登りとなる。その緩斜面で出会ったのは、先に出かけて行ったスノーシューの人だった。百松沢山に向かったが、この先のピーク(970m肩)から先行トレースが下りになり、引き返してきたと言う。GPSによると、そこから百松沢山・北峰まで700mくらいだったので、私はもう少し行ってみると言って進む。「先行トレースは辿りにくいね」という点では意見一致。すぐ南に見えているのが百松沢山・北峰に違いない。先行トレースは970m肩にまっすぐ登り、そこから釣り尾根に向かう踏み跡が見えた。わざわざ970m肩に登る必要はないので、そこから斜面をトラバースし、釣り尾根に取付く。

もうあとわずかだが、体がへばっていて休みながらでないと登れない。ようやく尾根にたどり着くと左右に踏み跡があり、左にわずかに登って百松沢山・北峰に着く。細い木の幹に「百松沢山・北峰」の頂上標識。これは前回来たときには気づかなかった。疲労困憊でようやくたどり着き、自然に雄叫びを上げる。南の谷向こうには南峰。だがもう13時。神威岳に行くのは諦め、せめて南峰までは行っておこう。だが、その南峰への道は楽ではなかった。狭い稜線の東側は切れ落ちており、標高1,000mまでの約40mを下り、登り返す。狭い灌木の間の踏み跡は下れないので、東側の無木立急斜面を回ってシール滑走。登り返したピークは中間の1,010m峰で、再び標高1,000mまで下降し、最後の急斜面を登る。前回同様、神威岳方面には踏み跡なし。スノーシューの踏み跡を外れて斜めに登り、ついに百松沢山・南峰に到達。再び雄叫びをあげる。前回見た南峰の頂上標識(それに木像)は今回は見なかった。雪に埋まっていたのだろうか。いずれにしろ、この特徴のある頂上は間違えようはない。

本日初めて、唯一の休憩。まだ熱いホットレモンをゆっくり飲む。南には神威岳と烏帽子岳が見えている。細尾根でつながった丸い頭の烏帽子といかめしい姿の神威は一度見たら忘れられない独特の景観。10年前、烏帽子まで登ったが、神威には行っていない。いつか登ってやるからな。稜線には小雪が舞い、曇り空に少し風もある。落ち着ける雰囲気ではなかったが、休憩は心地よかった。だが、ゆっくりはしていられない。「さあ、行くぞ」と小さく掛け声を出して立ち上がる。休み休み往路を戻り、もう一度、北峰まで行ってシールを外す。八甲田では3つ目まで締めていたバックルは2つ目まで。固い所はないからそれで充分だろう。

稜線から滑り降りると、なんとパウダーを滑ったトレースがある。登っているときにはなかったから、誰かが登ってきたのだろう。どうやら源八沢方面から登ってきて、北側を回って滑り降りていったらしい。その滑走トレースを追って、灌木の多い往路を外れて大きく東側まで滑るが、トレースはどんどん東に向かうので途中で西に戻る。再び大きくまわって吊尾根に戻ると、果たして往路の踏み跡が見つかった。ずいぶん登ってきたものだ。実はこのあたりの雪がこの日最高のパウダーで、軽い雪にはトレースがほとんどつかず、少し向きを変えるだけで軽く方向転換できた。吊尾根の北東の谷をそのまま滑っても渡渉6のあたりに出られたと思うが、抜け出せないようなところがあるかもしれない。もう暗くなりだしてサングラスも外していたので、往路の踏み跡沿いに滑走。灌木が多く、滑りにくい。スキーなら、前回たどった900m峰北尾根が正解だろう。谷よりも尾根滑走の方が安心感がある。

渡渉6に近づき、その手前で沢筋の左岸に渡り、渡渉点6の下に出る。だが、下から見ると、勢いで滑っても十分越えられたような気がした。そこで、甘く見た渡渉5のスノーブリッジには滑り込み、勢いで対岸に上がるが、斜面の途中で横向きに方向転換するのに失敗。バランスを崩し、右後ろに転倒。右スキーが抜けないので左スキーを外し、右足をひねらないように立上り、やっと右スキーを外す。転んだ下には少し水が流れていたが、ザックを背負っていたので被害はなし。じたばたあがいたのが情けない。この後もトレースの上は適度に滑り、ずんずん下る。前回の4月はこんなに滑らなかった記憶がある。渡渉4のスノーブリッジでは、今度は対岸の斜面でうまく横向きになり、岸に登り返す。渡渉3の丸太橋のところは、先行のスノーシューの男性が少し上流のスノーブリッジを渡っており、そこをスキーで横向きに越える。こっちの方が正解だ。

二つ目の橋(渡渉点2)を渡った先に緩くて長い登り返しがあり、シールを貼って歩く。前回はここもシールなしで登ったが、長いと疲れるのでシールが正解だろう。だが、途中からシールでも滑るくらいの下りとなり、やや悶々。渡渉1のスノーブリッジもシールスキーで楽に越え、夕闇の霊園脇を歩くと札幌の夜景が輝いている。そして駐車地点に到着。自分の車に着いてこんなにうれしかったのは久しぶり。私の車は生き物ではないが、家族の一員だ。ゆっくり着替え、車に入って暖房をつけ、ほっとする。

札幌の日の出

早朝の札幌は比較的空いていた。モルゲンロートの朝日に大きなポプラの並木。源八沢入口に着いてみると駐車スペースがない。少し手前にスノーモービルの駐車場があり、スペースはあったが、駐車しづらいので諦め、前回登った平和霊園に向かう。事前に調べてなかったので記憶を頼りに進み、平和霊園方面の除雪終了点の先が前回登ったルートのようだと確認し、そこに向かう。

ポプラ並木

平和霊園の朝

最初の渡渉点

除雪終点で準備していると、スノーシューを持った人が現われ、先に行く。これでますます間違いなかろう。今回はゴーグルをザックに入れ、歩きやすい硬い踏み跡をぐんぐん進む。もう9時になっていたので、急がねば。前回はスキーを外して渡った最初の橋(渡渉点1)は今回は通行止めになっていて、その脇の石伝いと思われる雪のトレースをたどってなんとか渡る。緩く登った土手の上にある砂防ダムの脇は記憶に残っており、いったん緩く下って再び雪の橋を渡り(渡渉点2)、右岸に戻る。そこから先は概ね緩い登り。前回も渡った覚えのある、倒木と思われる丸太の橋を渡る(渡渉点3)が、踏み跡は丸太の脇の石伝いになっていて、雪が崩れて苦労。近くのスノーブリッジの方がよさそうだ。四つ目の渡渉点は、前回は渡れなかった地点だが、今回はスノーブリッジが残っていて渡れた。

二つ目の渡渉点

838m峰・東尾根の登り

970m肩への登り

海と札幌市街

ネオパラと手稲山

その先で林道は登りとなり、二俣(屈曲点)を左折して東に向かう。南に方向を転ずる地点(渡渉点5)のスノーブリッジは少し切れていたが、スキーの幅で渡れる。最後のスノーブリッジ(渡渉点6)は渡った先が狭くて急で、帰りに渡りにくそうだと感じ、上流のスノーブリッジを渡ろうと決める。この先あたりで前回のルートとは外れ、838m峰東尾根を登る初めての地形となるが、先行のスノーシュー・トレースはスキーでは登れないところを登っていくので、何度も先行トレースを離れて登る。これでだいぶ体力を消耗したが、高度が上がると眺望が広がり、札幌の街並みや海が見えてくる。疲れてきていたこともあり、何度も立ち止まって撮影。北に見えるのはアンテナの手稲山。その左の白い山が手稲ネオパラかな。

百松沢山・北峰

838m峰東尾根の急斜面を登り切り、ピーク間近の830m地点に到達し、970m肩に向かっていったん緩い下り、そして緩い登りとなる。その緩斜面で出会ったのは、先に出かけて行ったスノーシューの人だった。百松沢山に向かったが、この先のピーク(970m肩)から先行トレースが下りになり、引き返してきたと言う。GPSによると、そこから百松沢山・北峰まで700mくらいだったので、私はもう少し行ってみると言って進む。「先行トレースは辿りにくいね」という点では意見一致。すぐ南に見えているのが百松沢山・北峰に違いない。先行トレースは970m肩にまっすぐ登り、そこから釣り尾根に向かう踏み跡が見えた。わざわざ970m肩に登る必要はないので、そこから斜面をトラバースし、釣り尾根に取付く。

北峰頂上

北峰の頂上標識

北峰から見る札幌市街

百松沢山・南峰

神威岳

もうあとわずかだが、体がへばっていて休みながらでないと登れない。ようやく尾根にたどり着くと左右に踏み跡があり、左にわずかに登って百松沢山・北峰に着く。細い木の幹に「百松沢山・北峰」の頂上標識。これは前回来たときには気づかなかった。疲労困憊でようやくたどり着き、自然に雄叫びを上げる。南の谷向こうには南峰。だがもう13時。神威岳に行くのは諦め、せめて南峰までは行っておこう。だが、その南峰への道は楽ではなかった。狭い稜線の東側は切れ落ちており、標高1,000mまでの約40mを下り、登り返す。狭い灌木の間の踏み跡は下れないので、東側の無木立急斜面を回ってシール滑走。登り返したピークは中間の1,010m峰で、再び標高1,000mまで下降し、最後の急斜面を登る。前回同様、神威岳方面には踏み跡なし。スノーシューの踏み跡を外れて斜めに登り、ついに百松沢山・南峰に到達。再び雄叫びをあげる。前回見た南峰の頂上標識(それに木像)は今回は見なかった。雪に埋まっていたのだろうか。いずれにしろ、この特徴のある頂上は間違えようはない。

 神威岳と烏帽子岳(2009年4月19日)

神威岳(2009年4月19日)

烏帽子岳頂上(2009年4月19日)

烏帽子岳から見る神威岳(2009年4月19日)

百松沢山・南峰頂上

本日初めて、唯一の休憩。まだ熱いホットレモンをゆっくり飲む。南には神威岳と烏帽子岳が見えている。細尾根でつながった丸い頭の烏帽子といかめしい姿の神威は一度見たら忘れられない独特の景観。10年前、烏帽子まで登ったが、神威には行っていない。いつか登ってやるからな。稜線には小雪が舞い、曇り空に少し風もある。落ち着ける雰囲気ではなかったが、休憩は心地よかった。だが、ゆっくりはしていられない。「さあ、行くぞ」と小さく掛け声を出して立ち上がる。休み休み往路を戻り、もう一度、北峰まで行ってシールを外す。八甲田では3つ目まで締めていたバックルは2つ目まで。固い所はないからそれで充分だろう。

百松沢山・南峰の頂上標識(2009年4月19日)

百松沢山・南峰の木像(2009年4月19日)

オープン・スペースの滑走(北峰の北側)

稜線から滑り降りると、なんとパウダーを滑ったトレースがある。登っているときにはなかったから、誰かが登ってきたのだろう。どうやら源八沢方面から登ってきて、北側を回って滑り降りていったらしい。その滑走トレースを追って、灌木の多い往路を外れて大きく東側まで滑るが、トレースはどんどん東に向かうので途中で西に戻る。再び大きくまわって吊尾根に戻ると、果たして往路の踏み跡が見つかった。ずいぶん登ってきたものだ。実はこのあたりの雪がこの日最高のパウダーで、軽い雪にはトレースがほとんどつかず、少し向きを変えるだけで軽く方向転換できた。吊尾根の北東の谷をそのまま滑っても渡渉6のあたりに出られたと思うが、抜け出せないようなところがあるかもしれない。もう暗くなりだしてサングラスも外していたので、往路の踏み跡沿いに滑走。灌木が多く、滑りにくい。スキーなら、前回たどった900m峰北尾根が正解だろう。谷よりも尾根滑走の方が安心感がある。

970m肩のトラバース滑走

パウダー滑走

渡渉6に近づき、その手前で沢筋の左岸に渡り、渡渉点6の下に出る。だが、下から見ると、勢いで滑っても十分越えられたような気がした。そこで、甘く見た渡渉5のスノーブリッジには滑り込み、勢いで対岸に上がるが、斜面の途中で横向きに方向転換するのに失敗。バランスを崩し、右後ろに転倒。右スキーが抜けないので左スキーを外し、右足をひねらないように立上り、やっと右スキーを外す。転んだ下には少し水が流れていたが、ザックを背負っていたので被害はなし。じたばたあがいたのが情けない。この後もトレースの上は適度に滑り、ずんずん下る。前回の4月はこんなに滑らなかった記憶がある。渡渉4のスノーブリッジでは、今度は対岸の斜面でうまく横向きになり、岸に登り返す。渡渉3の丸太橋のところは、先行のスノーシューの男性が少し上流のスノーブリッジを渡っており、そこをスキーで横向きに越える。こっちの方が正解だ。

札幌の夜景

二つ目の橋(渡渉点2)を渡った先に緩くて長い登り返しがあり、シールを貼って歩く。前回はここもシールなしで登ったが、長いと疲れるのでシールが正解だろう。だが、途中からシールでも滑るくらいの下りとなり、やや悶々。渡渉1のスノーブリッジもシールスキーで楽に越え、夕闇の霊園脇を歩くと札幌の夜景が輝いている。そして駐車地点に到着。自分の車に着いてこんなにうれしかったのは久しぶり。私の車は生き物ではないが、家族の一員だ。ゆっくり着替え、車に入って暖房をつけ、ほっとする。