大雪山・旭岳  見渡す限りの景観、地獄谷の滑走

北海道・大雪山系  2,291m  2020年4月14日

(大雪山)日本百名山

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太いトレースをたどるが硬くても滑らかな雪面はシールがよく張り付いて登りやすい。だが、なんとか登れるだろうと思った最初の急斜面の終盤にアイスバーンがあり、アイゼンに変える。

堅いと思ったアイスバーンはそれほどでもなく、なるべく硬いところを選んで登っていく。

行く手の左にはずっと地獄谷が見えていたが、2年前はずいぶん急に見えていた頂上直下斜面は近づいてみるとそれほどでもない。30度もないかもしれない。滑走トレースが見える。早くあそこまで行って滑りたい。

南から東の展望が開け、トムラウシに十勝連峰がくっきり見えている。2年前は曇っていて見えなかった南の景観が緩くカーブした地平線いっぱいに広がっていた。平らな頂上の片側が切れ落ちた忠別岳、天人峡の最奥にそびえる化雲岳、王冠の姿のトムラウシ、峰々を連ねる十勝連峰。それらの間には広い雪原が広がっている。

ついに広い頂上に着き、あの頂上標識が見えた。冷たい風が吹いていてものすごく寒い。東には見渡す限りに山々が連なっていた。

地獄谷の入口は頂上をやや北に下ったところにある。少し滑り降りるともう頂上標識は見えなくなり、眼下に広い滑走斜面が見えてくる。さっそくそこに滑り込むが、雪は柔らかく、引っかかり気味。

谷は大岩の手前で左に傾斜した片斜面がきつくなり、斜めに滑走するのを止め、右に水平にトラバースしてから真下にショートターン滑走。

雪は重く、何度も休みながらの滑走となる。雪は重いが傾斜があるのでスピードが出る。それをコントロールしようとすると、脚が疲れるわけだ。

地獄谷の出口には噴気孔から勢いよく噴煙が上がっていた。今回は姿見駅のところまで戻り、北回りのルートを駐車場まで戻る。背後にはあの傾いた台形の姿の旭岳。さらば旭岳。もうあと何回来るだろう。

 行く手の左にはずっと地獄谷が見えていたが、2年前はずいぶん急に見えていた頂上直下斜面は近づいてみるとそれほどでもない。30度もないかもしれない。滑走トレースが見える。早くあそこまで行って滑りたい。
 地獄谷の滑走
 今回は姿見駅のところまで戻り、北回りのルートを駐車場まで戻る。
 さらば旭岳。もうあと何回来るだろう。
 2年前は曇っていて見えなかった南の景観が緩くカーブした地平線いっぱいに広がっていた。平らな頂上の片側が切れ落ちた忠別岳、天人峡の最奥にそびえる化雲岳、王冠の姿のトムラウシ、峰々を連ねる十勝連峰。それらの間には広い雪原が広がっている。
  9:00 ロープウェイ乗車*******  9:23 ロープウェイ姿見駅発、シール10:15 アイゼン12:11 旭岳・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ロープウェイ姿見駅から3時間11分12:31 旭岳発、滑走12:33 地獄谷入口12:53 噴気孔脇13:06 ロープウェイ姿見駅・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・旭岳から35分13:19 ロープウェイ山麓駅・・・・・・・・・・・・・・・・・・ロープウェイ姿見駅から往復3時間56分

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5時に起きてゆっくり準備し、7時半に道の駅を出るが、郊外に出ると真っ白な大雪連峰が見え、撮影しながら進む。もたもたしていると9時のロープウェイ始発に乗れなくなってしまう。ダムを過ぎてから、遅い車を1台追い越し、なんとか10分前くらいにロープウェイに着く。駐車場には10数台いて、準備中のスキーヤーもいた。サンオイルやウォークマンは後回しにし、サイフをウェストバッグに入れて建物に入り、二階で登りチケット1.300円を買うと、すぐに始発の乗車コールがあった。登山スタイルの人、山スキーにザックの人、そして純粋にスキーやボードという人。大きなロープウェイに10数人。ゴンドラに乗り込み、サンオイルをつけ、ウォークマンをブルートゥース・イヤホンで起動するともう姿見駅に着いた。トイレによって外に出ると目の前にあの旭岳。シールのスキーヤーたちはなぜか左の方角に登っていくが、私はやや右についている頂上へのルートを辿る。

姿見駅から旭岳頂上まで2.5㎞、標高差700mだが、このときは1㎞くらいだろうと思っていた。だから1回も休まずに登り続けたのだが、1回くらい休めばよかった。ロープウェイに乗っていた10数人のうち、旭岳に向かったのは二人のみ。先行していたその人は姿見の池の展望所(旭岳石室)で止まってしまい(たぶん写真撮影?)、その後は一人旅。どこまでシールで登れるだろう。5月に登った2年前に比べて雪は多く、南西尾根に雪が融けて岩原がむきだしになったところはない。太いトレースをたどるが硬くても滑らかな雪面はシールがよく張り付いて登りやすい。だが、行く手には急斜面がいくつか待ち構えており、どこかでアイゼンに変えなくてはならないだろう。なんとか登れるだろうと思った最初の急斜面の終盤にアイスバーンがあり、右側の柔らかいところを登っていくが、やがてその上もアイスバーンになっていて登れない。諦めてアイゼンに変える。こうなる前に変えておくべきだったのだが、急斜面でアイゼンに変えるのはまあ、慣れている。左足が釣りそうになり、ちょっと苦労。背後に登ってくるパーティが迫っていた。スノーシューかなと思ったが、スキーだったようだ。そのうち追い越されるだろう。

堅いと思ったアイスバーンはそれほどでもなく、少し沈むのがやや歩きにくい。なるべく硬いところを選んで登っていく。結局、踏跡のところが登りやすい。行く手の左にはずっと地獄谷が見えていたが、2年前はずいぶん急に見えていた頂上直下斜面は近づいてみるとそれほどでもない。30度もないかもしれない。滑走トレースが見える。中盤以降にも雪はたくさんついていて、谷上部の真ん中にある大岩の両側にも雪がついている。前回はそのあたりに雪の消えかかった段差が見えていたが、今回は大丈夫だ。早くあそこまで行って滑りたい。まったく休まずに登り続けるが、辛い。ずっと下を向いて登っているのだが、時々止まって写真を撮る。右手(南)に十勝連峰が見えているが、最初は雲をかぶっていた。背後にいた3人パーティが休んでいるのが見えたが、その後はいなくなってしまった。そこから滑り降りたのかな。

2,150m付近から尾根の右(南)に回り込んで斜めに登っていく。踏跡が消えていて迷うが、小さな鉄棒が打ってあるのに気づき、それを辿る。南から東の展望が開け、トムラウシに十勝連峰がくっきり見えている。2年前は曇っていて見えなかった南の景観が緩くカーブした地平線いっぱいに広がっていた。平らな頂上の片側が切れ落ちた忠別岳、天人峡の最奥にそびえる化雲岳、王冠の姿のトムラウシ、峰々を連ねる十勝連峰。それらの間には広い雪原が広がっている。立ち止まってそれらを写していると、カード・メモリーが一杯になってしまったので、ザックを降ろして取り換える。2,210m地点で尾根に戻るとニセ金庫岩があるが、その手前にある標識は「⇐頂上」。つまり、左に行けということだ。そっちには本物の金庫岩があり、そのあたりは平坦で、そこから最後の登り。GPSを初めて見るとあと100m。まだ100mもあるのか。ルートが良くわからなくなってジグザグに登り、ついに広い頂上に着き、あの頂上標識が見えた。冷たい風が吹いていてものすごく寒い。またスキーを置いて記念撮影し、東の景観を写し、南側を向いて腰を下ろしてホットレモンを飲む。パンを出したが食べる気がしなかったので、無理矢理バナナだけ食べる。東には見渡す限りに山々が連なっていた。北東にはなだらかな安足間岳と比布岳、少し離れて頭一つ高い北鎮岳。東に広がる御鉢平は間宮岳の蔭で見えていないが、その向こうにニセイカウシュッペや黒岳が見えている。南東に見える大きな山は白雲岳、その奥には武利岳や武華山。南には石狩岳とニペソツが並び、白雲岳から続く長く白い尾根の先に忠別岳、化雲岳、トムラウシが続く。やがて男性が一人登ってきて楽しそうに記念撮影していた。寒くてとても長居はできないので、ブーツを滑走モードにし、スキーを履いて滑走開始。

地獄谷の入口は頂上をやや北に下ったところにある。少し滑り降りるともう頂上標識は見えなくなり、眼下に広い滑走斜面が見えてくる。さっそくそこに滑り込むが、雪は柔らかく、引っかかり気味。ショートターンは切りにくい。広めの先行トレースよりは小さなターンで下るが、雪が重いので足が疲れ、何度も休止。柔らかい雪にスキーが重なって転びそうになり、横倒しになってから持ち直す。やれやれ、最上部でこの雪質だと下はベタベタだろうな。谷は大岩の手前で左に傾斜した片斜面がきつくなり、斜めに滑走するのを止め、右に水平にトラバースしてから真下にショートターン滑走。するとそこに、あの段差があった。真っ白なので遠目にはわかりにくい。知らずに飛び込まなくてよかった。段差の下は良く見えないが、斜めに滑り込んでいるトレースがあり、私も左に斜めに滑り込むが、雪は重く、そこから連続ターンとはいかない。何度も休みながらの滑走となる。雪は重いが傾斜があるのでスピードが出る。それをコントロールしようとすると、脚が疲れるわけだ。2年前は小石だらけで滑らない谷の下部は滑らずに谷の南斜面をトラバース滑走したが、今回は下部の谷底も雪はたっぷりあり、そこを滑走。重いがスピードが出る雪に油断して1回転倒。スキーが雪に取られてしまった。

地獄谷の出口には噴気孔から勢いよく噴煙が上がっていた。それにしても今日は誰もいない。地獄谷入口から見た南西尾根には誰も見えず、下まで滑走してきても、噴気孔のあたりにも誰もいない。前日の暑寒別岳とは大違いだ。噴気孔の手前で谷の左岸に上がり、旭岳石室のところで尾根に戻り、そして今回は姿見駅のところまで戻り、北回りのルートを駐車場まで戻る。そこにも誰もいない。たった一人で圧雪ルートを滑走。背後にはあの傾いた台形の姿の旭岳。さらば旭岳。もうあと何回来るだろう。ルート外にもトレースがたくさんあるが、この重い雪を滑る気はしない。圧雪ルートには何ヶ所か登り返しがあるので、その手前でクロウチングを組んでスピードを出し、登り返す。何度も停止して写真を撮ったが、突然二人連れが滑っていった。人がいたのか。その二人には追いつかず。やがて麓駅が見えてきて、駐車場に到着。隣の駐車場でブルドーザーが除雪作業中。ゆっくり片付け、麓駅で靴下(ダーンタフ)を水洗いし、記念品を一つ購入。250円で安かった。旭岳温泉は二つとも休館していたので美瑛の温泉に入ることにし、下りの途中で休憩。今回の旭岳は天気が良くて眺めは最高だった。雪が重かったのがやや残念。

 旭川から見る大雪山連峰

5時に起きてゆっくり準備し、7時半に道の駅を出るが、郊外に出ると真っ白な大雪連峰が見え、撮影しながら進む。もたもたしていると9時のロープウェイ始発に乗れなくなってしまう。ダムを過ぎてから、遅い車を1台追い越し、なんとか10分前くらいにロープウェイに着く。駐車場には10数台いて、準備中のスキーヤーもいた。

 道道1160から見る大雪山・旭岳

 


姿見駅前から見る大雪山・旭岳

姿見駅から旭岳頂上まで2.5㎞、標高差700mだが、このときは1㎞くらいだろうと思っていた。だから1回も休まずに登り続けたのだが、1回くらい休めばよかった。ロープウェイに乗っていた10数人のうち、旭岳に向かったのは二人のみ。先行していたその人は姿見の池の展望所(旭岳石室)で止まってしまい(たぶん写真撮影?)、その後は一人旅。どこまでシールで登れるだろう。

 地獄谷の上部

 

金庫岩


八合目標識から旭岳頂上

堅いと思ったアイスバーンはそれほどでもなく、少し沈むのがやや歩きにくい。なるべく硬いところを選んで登っていく。結局、踏跡のところが登りやすい。行く手の左にはずっと地獄谷が見えていたが、2年前はずいぶん急に見えていた頂上直下斜面は近づいてみるとそれほどでもない。30度もないかもしれない。滑走トレースが見える。

 地獄谷

 忠別岳、化雲岳、トムラウシ、十勝連峰

 忠別岳(20倍ズーム)

2,150m付近から尾根の右(南)に回り込んで斜めに登っていく。踏跡が消えていて迷うが、小さな鉄棒が打ってあるのに気づき、それを辿る。南から東の展望が開け、トムラウシに十勝連峰がくっきり見えている。2年前は曇っていて見えなかった南の景観が緩くカーブした地平線いっぱいに広がっていた。

 トムラウシ(20倍ズーム)

 十勝連峰: オプタテシケ、ベベツ、美瑛岳、美瑛富士、十勝岳、前十勝岳、富良野岳

 

ニセ金庫岩


金庫岩付近から見る旭岳頂上


旭岳の頂上標識


旭岳頂上標識とアトミック・バックランド


 北東の景観:安足間岳、比布岳、北鎮岳

 東の景観:北鎮岳、熊ヶ岳、ニセイカウシュッペ、凌雲岳、間宮岳、黒岳、北海岳、武利岳、武華山

 南東の景観:北海岳、武利岳、武華山、赤岳、小泉岳、白雲岳、後旭岳

 南の景観:音更山、石狩岳、ニペソツ、忠別岳、化雲岳、トムラウシ

 白雲岳(20倍)

東には見渡す限りに山々が連なっていた。北東にはなだらかな安足間岳と比布岳、少し離れて頭一つ高い北鎮岳。東に広がる御鉢平は間宮岳の蔭で見えていないが、その向こうにニセイカウシュッペや黒岳が見えている。南東に見える大きな山は白雲岳、その奥には武利岳や武華山。南には石狩岳とニペソツが並び、白雲岳から続く長く白い尾根の先に忠別岳、化雲岳、トムラウシが続く。

地獄谷の滑走開始地点

地獄谷の入口は頂上をやや北に下ったところにある。少し滑り降りるともう頂上標識は見えなくなり、眼下に広い滑走斜面が見えてくる。さっそくそこに滑り込むが、雪は柔らかく、引っかかり気味。ショートターンは切りにくい。広めの先行トレースよりは小さなターンで下るが、雪が重いので足が疲れ、何度も休止。柔らかい雪にスキーが重なって転びそうになり、横倒しになってから持ち直す。

 

地獄谷の滑走1

 

地獄谷の滑走2


地獄谷の下部


 

噴気孔

 

噴気孔

地獄谷の出口には噴気孔から勢いよく噴煙が上がっていた。その手前で南の尾根に上がる。

姿見の池の標識


姿見の池展望台から見る噴煙と旭岳


ロープウェイ姿見駅


さらば旭岳

地獄谷の出口には噴気孔から勢いよく噴煙が上がっていた。それにしても今日は誰もいない。地獄谷入口から見た南西尾根には誰も見えず、下まで滑走してきても、噴気孔のあたりにも誰もいない。前日の暑寒別岳とは大違いだ。噴気孔の手前で谷の左岸に上がり、旭岳石室のところで尾根に戻り、そして今回は姿見駅のところまで戻り、北回りのルートを駐車場まで戻る。そこにも誰もいない。たった一人で圧雪ルートを滑走。

コースの滑走


ロープウェイ山麓駅


 

南東方向から見る旭岳

 


道の駅びえい丘のくら