稲又山  秋の南アルプス南端

静岡県  稲又山2,405m、青薙山2,406m、赤崩ノ頭1,916m  2020年10月6~7日(テント1泊)

(青薙山)静岡の百山

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畑薙大吊橋を過ぎた先で林道が崩落で通行止めになっており、迂回路が広い河川敷上に作られていた。北アルプスのように崩落等で登れないかもしれないが、ここまで来たからには行けるところまで登ってみよう。半信半疑で池ノ平に向かって登り始める。

やがて滝が見えてくる。それは池ノ平の泉から流れ落ちている滝で、その先の土手を越え、池ノ平に着く。それは林の緩斜面で、下段に水が湧き出している池、上段に数ヶ所のテントサイトがある平地がある。

池ノ平の池は不思議な池で、湧き出した水がザアザアと音を立てて滝となって流れ落ちているのだが、池の上にはまったく水気はない。地中に隠れた水源から湧き出しているのだろう。

D2

尾根の北端に達するとそこは赤崩の淵。眼下に広大なナギが広がり、そのナギのはるか向こうに稲又山と青薙山が並んでいる。まだ夜明け前で、ナギも山も薄暗い。

やがて赤崩ノ頭に達し(5:49)、青くなりかけた夜明けの空の下に並ぶ巨人たちを見る。

赤崩を見下ろすと、巨大な崩壊斜面のはるか下に、大井川と畑薙橋がまるでおもちゃのように小さく見えている。赤崩の淵には今にも落ちそうな灌木が斜めに張り出し、ヨメナの群落が咲き乱れている。

そして頂上手前の平坦なところを越え、最後の登りで行く手の樹間に青薙山の頂上標識が見えた。5年ぶり。

展望所のところ(8:36)からは再び巨人たちを樹間に見る。南の仁田岳の左には光岳とイザルガ岳、西には奥聖を従えた聖岳の全景、そして北の悪沢岳の右に見えていたのはたぶん蝙蝠岳、更に笊ヶ岳ではなかろうか。これらの巨人たちを見れて幸運だった。

展望所を過ぎた先で尾根の東側がナギになっているところに出る。(帰路のとき、雲が広がって南アルプスを覆い始めていたが、雲海の上に浮かぶ富士山が奇跡的に見えていた)。ナギの周辺には紅葉。

展望所を越えてからは歩きやすい道だった。緩くなってきた尾根の木々の間についに稲又山の頂上標識が見えた。まるで青薙山のとそっくりの頂上標識と三角点が立っていた。稲又山の頂上もすっかり林の中で展望はなく、何の変哲もないが、それでも帰り難かった。もうここに来ることはないだろう。感慨をもって帰路に着く。

 青薙山と稲又山(手前)は紅葉し始めた樹林に覆われていた(2007年10月21日、布引山付近より、背後に大無間山)
 尾根の北端に達するとそこは赤崩の淵。眼下に広大なナギが広がり、そのナギのはるか向こうに稲又山と青薙山が並んでいる。まだ夜明け前で、ナギも山も薄暗い。
 池ノ平の池は不思議な池で、湧き出した水がザアザアと音を立てて滝となって流れ落ちているのだが、池の上にはまったく水気はない。地中に隠れた水源から湧き出しているのだろう。
 赤崩の淵には今にも落ちそうな灌木が斜めに張り出していた
ついに稲又山の頂上標識が見えた。まるで青薙山のとそっくりの頂上標識と三角点が立っていた。稲又山の頂上もすっかり林の中で展望はなく、何の変哲もないが、それでも帰り難かった。
 紅葉
 分岐北・展望所から見る南アルプス1:赤石岳、前岳、中岳、悪沢岳、蝙蝠岳? 笊ヶ岳
 分岐北・展望所から見る南アルプス2:光岳、イザルガ岳、二田岳、茶臼岳、上河内岳
D1    7:41 沼平ゲート発  9:03 青薙山登山口11:56 池ノ平・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・登り4時間15分D2  5:18 池ノ平発  6:05 赤崩ノ頭  7:59 青薙山  9:55 稲又山・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・登り4時間37分10:15 稲又山発11:45 青薙山13:19 赤崩ノ頭13:47 池ノ平・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・往復8時間29分14:24 池ノ平発15:41 青薙山登山口17:26 沼平ゲートP・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・池ノ平発14:24から3時間2分        ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・池ノ平発5:18から12時間8分

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梓川SAの朝は天気予報通り曇で、北アルプスも常念も見えていなかった。10時半過ぎ梓川SAを出る。少し遅い感じはしたが、高速は空いていて1時間くらいで南アルプス線に入る。曇っていて山はさっぱり見えない。富士川沿いに南に下る高速は中部横断自動車道というらしく、カーナビの六郷インターよりも更に南(下部温泉早川インター)まで延びていた。だが、最初に寄った温泉は営業しておらず、延長されたインターの近くにある下部温泉会館に入る。ここもやや寂れた感じの温泉で、下の駐車場から登る錆びついた円柱階段を登るときも半信半疑。だが、温泉はちゃんと営業していた。風呂の窓の外には川が流れていて、窓の下の川べりに見たことのない花が咲いていたので風呂を出てから行ってみる。ピンクはシュウメイギク、赤い細い花びらはマツバギクというらしい。ここの駐車場は広くて空いていたので、ここで昼食にする。更に南下し、最初に寄ったスーパーも営業しておらず、二つ目のスーパーはえらく小さな店で、てんぷら用?の鶏肉とパンと白菜を購入。米と飲み物が無かったのでローソンに寄り、コーラとレトルトを買い、レトルトは温めてもらう。道の駅とみざわはちゃんと存在しており、R52をはさんで反対側にある広い駐車場に駐車。R52 は交通量が多いが、ボタン式信号の横断歩道があり、すぐに信号が切り替わってくれるので楽。道の駅とみざわにも花がたくさん。紫に黄色い目はハナウリクサ、赤い小さな花が密集しているのはペンタスというらしい。

稲又山の初日は池ノ平まで6km、900m、6h予定。早く登りすぎると前回のように初日に稲又山まで登りたくなるだろうが、池ノ平から稲又山までは5㎞、900m、5hなので無理。そこで2時半起床、4時に道の駅を出る。R52を南下し、新清水インターで新東名に乗り、新静岡インターで降り、大井川沿いに北上して畑薙第二ダムに向かう。くねくねした細い道は延々と続き、数キロごとにトイレ標識があるのだが、最初に寄ったトイレは使用禁止、二つ目のところにはトイレはなし。7時頃に沼平ゲートに到着。工事用の車両がたくさん登っていったが、月曜なのに登山者の車も10台以上はあった。出かけようとしていると登山者が一人、廃棄物運搬車に乗せてもらって帰ってきた。長野では北アルプスは寒かった市内はまだ暖かく、一夜山も夏服で登った。山梨・静岡には入るとやはり暖かく、稲又山にも夏服で出かけた。だが、林道には冷たい風が吹いていた。ゲートのところで登山者カードを記入して林道を速いペースで歩く。大井川の対岸に見えているのは畑薙山(1,836m)らしい。ところが、畑薙大吊橋を過ぎた先で林道が崩落で通行止めになっており、迂回路が広い河川敷上に作られていた。林道の復旧のために工事車両がたくさん入っていて、崩落箇所の盛り土工事をやっていた。困ったのは、稲又山登山口のある個所を過ぎてもまだ河川敷の道が続いていたことで、これでは登山道に入れない。この先、林道に上がったところから戻れば行けるだろうと思ったが、何の表示もないので分からない。

北アルプスでは登山道の封鎖に2度遭遇していた。ここも林道が崩落しているんでは登山道も整備できてないだろう。どうやら今回、稲又山に登るのは難しそうだと思い、引き返すことにする。だが一応、もし林道に登るとすればあのへんだなと目星をつけておいた斜面のところに行ってみる。林道の下の斜面はどこも急でとても登れそうもないが、その目星をつけたところは比較的傾斜が緩く、手ごろな灌木が生えており、近づいて観察すると古い踏跡も見えた。そこで手袋をはめ、試しに登ってみる。このくらいの斜面は、考えてみると、登山しているとよく出くわしている。テントザックをしょっているのでバランスに気を付け、灌木を掴み、割と楽に林道に到達。すると目の前に登山口があった。登山口表示はくすんで傾いており、「登山自粛」の標識がついていた。この先、北アルプスのように崩落等で登れないかもしれないが、ここまで来たからには行けるところまで登ってみよう。半信半疑で池ノ平に向かって登り始める。

最初は怪しかった登山道は、登るにつれ、荒れているもののなんとか登れそうだ。登山口から池ノ平までは1㎞程度だが標高差が900m程度あり、登りはしんどい。最初は滑りやすい九十九折り、そして難所のザレの急斜面を慎重に登り、ようやく傾斜が緩まったあたりで最初の休憩。パンを食べ、5分間休憩。その先、雑木林の尾根の傾斜は緩くなってだいぶ楽になる。最初の休憩から1時間経過して2度目の休憩。バナナを食べる。やや複雑な形状のところを通過すると、尾根の南側を登る長いトラバース路となる。トラバース路が岩の多い道になると右下が切れ落ちてきて、数十メートル下に沢の流れる音が聞こえてくる。その沢の流れは樹間にやっと見える程度だが、やがて滝が見えてくる。それは池ノ平の泉から流れ落ちている滝で、その先の土手を越え、池ノ平に着く。それは林の緩斜面で、下段に水が湧き出している池、上段に数ヶ所のテントサイトがある平地がある。登山道はテントサイトの北側を通っており、そこに池ノ平の標識が立っている。思いがけずその登山道を下ってくる二人に会う。誰にも会うことはあるまいと思っていたので驚いた。これで稲又山まで登れることを確信。河川敷の道はやはりあの先で林道に上がっているようだ。帰りは林道を先に進んで河川敷に下ることにしよう。

池ノ平に着いたのは12時頃。予定より2時間も早く着いてしまった。テント設置地点を前回と同じ奥の地点に決め、久しぶりにパイネのテントを張る。その前に水バッグをもって水を汲みに行く。咲いていたのは紫のトリカブト。池ノ平の池は不思議な池で、湧き出した水がザアザアと音を立てて滝となって流れ落ちているのだが、池の上にはまったく水気はない。ここから上に沢はないから伏流になっている訳でもなく、地中に隠れた水源から湧き出しているのだろう。パイネのテントはアライ・テントよりも少し広く、物の置き場に余裕がある。マットを敷き、網戸を張り、寝転がってビショルドのコマール(ミラー衛星衝突)を読む。クワンナイで2章まで読み進んだ小説だが、この日もおもしろくて上巻の半分くらいまで読んでしまった。池ノ平は寒く、途中で着替えの上にダウンを着込むがそれでもお尻のあたりに寒気を感じ、シュラフカバー、次いでシュラフを出してもぐりこむ。林の中は明るく、一時、陽射も差し込んできたが、やがて薄暗くなってきたのでヘッドランプを灯して本を読み続けた。どうやらマイルズ(・ヴォルコシガン)は本の最初で出会った人妻のエスカリンと結ばれることになりそうだ。マイルズは出会ったときに恋してしまったようだが、エスカリンは病気のためか奇癖のある夫との生活に苦しんでいて、どうやらマイルズにどんどん魅かれている。プロットの主題はミラー衛星の事故原因だが、伏線として惑星コマールを征服した帝国への抵抗活動があるらしい。エスカリンの夫の病気が治って奇癖がなくなれば彼女が離婚する動機はなくなるが、たぶん夫は抵抗活動やミラー衛星事故に関係しているのだろう。私としては、叔父が話すマイルズの経歴の一端やマイルズが話す昔話の方がおもしろい。マイルズはコウデリカに魅かれていたはずだが、彼女はコマール人の軍人(どこで出てきたのだろう?)と結婚するらしい。次章で二人は二人だけで買物の行くことになったが、二人の恋にどんな進展があるだろう。それともコマールの犯人たちの攻撃に遭遇するだろうか。

  

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当初計画は稲又山までの5㎞、900m、5hを往復10h。朝5時に出て15時に戻り、もう一泊。食料ももってきていた。だが、できれば二日目のうちに下ってしまいたい。夜も寒く、ダウンにレインウェアを着こんでもお尻が冷たかった。遅くなると温泉(白樺荘)に入れないかもしれないが、頭を洗い、体を拭くくらいはできるだろう。3時半のアラームですぐには起きれず、ラーメンを作り、新調したモンベルのミニ・ザックをしょって出かけたのはもう5時半前(5:18)だった。それでもまっくらな林の登りの道はヘッドランプでは分かりにくく、やや迷う。結局、窪んだ斜面をまっすぐ登ればよかった。やがて踏跡ははっきりし、尾根の北端に達するとそこは赤崩の淵。眼下に広大なナギが広がり、そのナギのはるか向こうに稲又山と青薙山が並んでいる。これは前回初めて見て感動した景観だが、その時は快晴で、真っ白なナギの上に紅葉の山々が立っていた。今回はまだ夜明け前で、ナギも山も薄暗い。そこからナギに近づいたり離れたりいて急斜面を登り、やがて赤崩ノ頭に達し(5:49)、青くなりかけた夜明けの空の下に並ぶ巨人たちを見る。まだ標高が比較的低いのでやや視界が遮られているが、南に(仁田岳?と)茶臼岳、西に上河内岳、その右後に台形の姿の聖岳、北には赤石岳、前岳と中岳、そして悪沢岳。これが見れただけでも幸せだ。夢中で写真を撮っていると、「おはようございます」と言って男性が一人、登っていった。驚いた。まさかこの日、こんな時間に人に会おうとは。この人にはこの後、会わなかったので、たぶん稲又山の先(所ノ沢越)から林道に下り、周回したのだろう。朝は何時に出たのだろう。赤崩を見下ろすと、巨大な崩壊斜面のはるか下に、大井川と畑薙橋がまるでおもちゃのように小さく見えている。赤崩の淵には今にも落ちそうな灌木が斜めに張り出し、ヨメナの群落が咲き乱れている。

赤崩ノ頭の先はやや複雑な地形になっており、前回はナギ沿いの道から直角に右に曲がる地点に大岩と標識があった。今回は踏跡が荒れていて辿りにくく、行く手の右に見えた赤テープの方に早めに右折したが、それは大岩と標識のある地点より手前だったようだ。赤テープをたよりに薄ヤブの中を進むとやがて左右の尾根の間の谷のような地形を緩く登っていく踏跡に乗る。赤崩ノ頭までの急登と比べると楽な傾斜なので時間稼ぎにどんどん進む。やがて見上げるような尾根の末端が現われ(6:13)、その急な林の尾根を登る。尾根は単調ではなくアップダウンがあり、最初のコルに標高2,300mの標識があった。いったん平坦になった先で岩の積み重なった手ごわそうな岩尾根が左手に現われ、再び二つの尾根の間を登り、岩尾根の岩が切れて登りやすくなっているあたりで、その左の尾根に上がる(6:45)。GPSによるとそれは尾根の右折点で、そこから急な尾根を延々と登る。青薙山のナギが見える地点に出るが、木々が遮っていて南アルプスの巨人たちは見えなかった。そして頂上手前の平坦なところを越え、最後の登りで行く手の樹間に青薙山の頂上標識が見えた。5年ぶり。頂上に着き(7:59)、二等三角点の横に腰を下ろして最初の休憩。クリームパンを食べる。約3㎞、標高差700mを2時間強。悪くない。

青薙山から稲又山への道は前回、途中まで辿っていた。前回はまっすぐ北に向かったが、GPSのピンクルートはいったん東に尾根筋を進むようになっていて、そちらに向かう。赤テープは北に直進する方向に付いていたが、尾根筋の方角にも目印があった。だが、GPSピンクルートはあまり歩きやすくなかった。やがて赤テープ・ルートに合流するが、そのあたりはシャクナゲやハイマツが密集していて踏跡に覆いかぶさっており、踏跡はあるのだが歩きにくい。前回はこのせいもあり、山伏への分岐の少し先の展望地で諦めて引き返した。今回は山伏分岐のところに「青笹、通行不能、2020.6」という標識があった(8:32)。展望所のところ(8:36)からは再び巨人たちを樹間に見る。5年前に比べて木々が育っていて見にくくなっていたと思うが、赤崩ノ頭よりも標高が高い分、視界は広がり、南の仁田岳の左には光岳とイザルガ岳、西には奥聖を従えた聖岳の全景、そして北の悪沢岳の右に見えていたのはたぶん蝙蝠岳、更に笊ヶ岳ではなかろうか。これらの巨人たちを見れて幸運だった。展望所を過ぎた先で尾根の東側がナギになっているところに出る。尾根の東側には前回は山伏らしき尾根が見えていたが、今回は白い霧に覆われていて何も見えなかった。だが、富士山が見えていた。慌ててデジカメを向けるとうまく焦点が合わない。見ると白い霧が広がって富士山は見えなくなっていた(帰路のとき、雲が広がって南アルプスを覆い始めていたが、雲海の上に浮かぶ富士山が奇跡的に見えていた。幸運だった)。ナギの周辺には紅葉。

稲又山への道にはピークがいくつかあり、それを越えていくが、展望所を越えてからは歩きやすい道だった。一つ目のピーク(9:02)を越えた先に富士山の見えるナギの上の道があり(9:19)、更に登り続け、緩くなってきた尾根の木々の間についに稲又山の頂上標識が見えた。まるで青薙山のとそっくりの頂上標識と三角点が立っていた(9:55)が、ここのは三等三角点。頂上の奥には所ノ沢越への道標。頂上に置かれた太い木の枝の上に座って2度目の休憩。だいぶ痛んでしまったバナナを食べる。青薙山から稲又山まで2㎞を約2時間というのは計画通り。短縮はできなかった。稲又山の頂上もすっかり林の中で展望はなく、何の変哲もないが、それでも帰り難かった。もうここに来ることはないだろう。感慨をもって帰路に着く。

帰りも順調。足の歩みは止まらなかった。登り返しではさすがにしんどくなってきたが、下りは楽だ。だが、まだ午前中なのにもう雲が広がってきて山々は雲海に沈んでいき、山伏分岐の展望所からは雲がかかってきた赤石岳と悪沢岳を見たが、赤崩ノ頭からはもうどの山も見えず、青薙山と稲又山も雲をかぶっていた。紅葉やアキノキリンソウを見ながら下り、青薙山には往路より少し早く帰着(11:45)、池ノ平へも2時間かからずに帰着(13:46)。朝起きたときにシュラフやマットは袋に収納済だったので、テントを畳んであとはザックに詰めるだけだった。パイネのテントはアライよりも広いが、収納後も大きい。難しい登山には持っていけないな。乾いた地面に横になって見上げるとそこには緑のブナなどの木の葉が空を覆っている。そして、楽しかった池ノ平を後にする。この不思議な空間にももう来ることはない。池ノ平からの下りでも足は止まらず、ラフな足取りでなく、しっかり足を曲げ踏み込んでいき、トラバース路から九十九折りに入り、砂地の急斜面を慎重に下り、最後の九十九折りを延々と下り、下から聞こえる工事の音が次第に大きくなり、川が見え、林道が見え、そして登山口に着く(15:41)。

林道の工事はちょうど終わったところのようで、河川敷の道には帰りの車がたびたび走っていた。登山口から北に少し歩くと河川敷に下る通路があり、それは朝、斜面を登った地点のすぐ近くだった。こんなに近かったのか。この最後の歩きではさすがに左肩の少し下が痛んだが、これまでの経験で下手にいじるよりほっといたほうがいいと知っていたのでほっておく。すると、いつの間にか痛みは消えていた(本当に疲れていると、ほうっておいても治らない。堪えられないほど痛くなる。今回はそれほど疲れていなかったということか。)。そしてゲートに戻り、下山届というのを出し、車に戻る(17:26)。まだ帰っていく工事の車がいたので、もしかすると白樺荘の温泉に入れるかもしれないと思い、早めに車を出してみるが、白樺荘は確かにまだ営業していて工事の車もいたが、日帰り入浴はやっていないという表示が出してあった。温泉に入るためにもう一泊しようという案もあったが、そうしなくてよかった。

曲がりくねった車道を井川まで下るとオクシズの駅・横沢観光トイレというのがあり、そこの多目的トイレで頭を洗い、体を拭く。さっぱりしたところで少し仮眠。更に下ってコンビニまであと少しのところでまたオクシズの駅(安倍ごころ)というのがあり、コンビニで買物してからそのオクシズの駅(安倍ごころ)に入って一泊する。そこは夜間は明かりが全て消灯されていて、ヘッドランプを使ってトイレに行き、早朝に登山服を水洗い。いろいろあったが、諦めずにトライし続け、稲又山に登れたこと、急な道をテント・ザックをしょっても足は止まらず、トレーニングの成果がついに現れ始めたのが実感できた山旅だった。

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沼平ゲートP

 

沼平ゲート


畑薙大吊橋


林道から河川敷に下る道


河川敷の道


河川敷からよじ登った斜面


青薙山登山口


ザレの急坂


 

雑木林の尾根

 

トラバース路


池ノ平から流れ出る滝


池ノ平の標識


トリカブト


 

池ノ平の泉

池ノ平の泉

池ノ平の泉の落ち口

 

パイネのテント

 


読書


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夜明の稲又山と青薙山

 


夜明の稲又山と青薙山


 赤崩ノ頭から見る南アルプス1:仁田岳、茶臼岳、上河内岳、聖岳

 赤崩ノ頭から見る南アルプス2: 上河内岳、聖岳、赤石岳、前岳、中岳、悪沢岳

 

赤崩を見下ろす

 

ヨメナと赤崩

 


 


赤崩の淵の木


林の尾根を登る


 

青薙山の頂上標識

 

山伏への分岐表示


青笹・通行不能の表示


聖岳(分岐北・展望所より)


 分岐北・展望所から見る南アルプス1:赤石岳、前岳、中岳、悪沢岳、蝙蝠岳? 笊ヶ岳

 分岐北・展望所から見る南アルプス2:光岳、イザルガ岳、二田岳、茶臼岳、上河内岳

 

富士山(ナギ展望所より)

 


紅葉のナギ


 

稲又山の頂上標識と三角点

 

所ノ沢越への道標


雲がかかってきた赤石岳(分岐北・展望所より)


雲がかかってきた悪沢岳(分岐北・展望所より)


紅葉


アキノキリンソウ

 

池ノ平のブナを見上げる


(下部温泉会館と道の駅とみざわで見た花)

 

シュウメイギク

 



マツバギク


ハナウリクサ


ペンタス


(2007年10月21日)

 

北(布引山)から見る稲又山(背後は青薙山、その後方は大無間山)