高妻山 仏跡を辿る辛い道、素晴らしい景観
長野県 高妻山2,353m、乙妻山2,318m、五地蔵山1,998m 2006年9月2日
(高妻山)日本百名山
435
おいらは三角点
四角四面のつらがまえ
あっちの方が高そうだからって騙されるんじゃないぞ
おいらのいるところが山頂なんだ
こらっ!座るんじゃない
(^^)(^^)(^^)(^^)(^^)
そして左手の木々の向こうに、目指す高妻が見えてきた。日本百名山にある通り、谷向こうに鋭角の形の良い高い山がすっくと立っている。なるほど、これは見事。完全に晴れて、北アルプスもすっきりと見えている。
北アルプスは益々近づき、白馬、杓子、鑓、唐沢、五竜が並ぶ。鹿島槍の槍は一本しか見えてないようだ。その先の槍、穂高は明確だが、その間の爺、針ノ木、蓮華のあたりはまだよく分からない。
ようやく高妻山の頂上に到達。全く疲れた。乙妻山は白いスラブの険しい稜線の上にある丸い頭の山だった。こんなに大勢いるのに乙妻に向かおうとする人はいないようだ。五本もってきたお茶の二本目を飲み干して出発。
高妻からの下りは、最初から道標もなく、ひどい道。踏跡はしっかししているが草が覆っていて見にくい。急勾配で道も痛んでおり、何度か引き返そうと思う。それでもなんとかなる、もう二度と来ないかもしれない、乙妻からの高妻を見たい、などと考えながら前進する。
熊ノ平の手前から見る乙妻山は全く穏やかな里山のような姿をしていた。熊ノ平湿原は山の中のオアシスのような感じで、二つ目の沼跡のところに十二大日の古い標識があった。
ようやく視界が開け、振り返ると、高妻山が針のように鋭く尖った姿になっていた。少し右に傾き濃い緑に包まれ力強く天を指している。ここまで来て、全く違う印象の高妻を見ることができた。やがて山頂に到着。古い祠と木標があり、文字は無いが、ここが乙妻山頂上であることは明白だ。ここまでたどり着くことができ、感無量。
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真っ暗な戸隠牧場の駐車場になんとか入り込み、それらしく並んでいる車の列に加わり、ビールと朝食を食べて1時間弱の仮眠。着替えていると別の車がやってきた。迷惑。5時を回るともう明るくなってきて、5時半に起きて準備。当初、初日は戸隠から西岳に登ろうと思っていたが、どうも西岳へは登れそうもないので、土曜に高妻・乙妻に登り、日曜は戸隠に登って昼過ぎに出発する計画に変更(正解であった)。何人か準備している人たちの先に牧場を出発。登山カードを乙妻まで書き、馬や牛のいる牧場を歩く。牧場登山口の狭い通路を過ぎると登山道に沿って牛の群れがいて、牛を避けながら歩く。道は余り良くないが人通りが多いためか道筋ははっきりしている。百名山効果。基本的に沢沿いの道。朝からずっとガスが出ていて、後の飯縄も行く手の戸隠もよく見えなかったが、登るに従いだんだん晴れてくる気配。最初の鎖場の手前で老夫婦が追いついてくる。その後も走るように登っていった若者やレオタードの男性などが追い越してゆく。逆に追いついた人はなし。帯岩という鎖つきのトラバース路の先に水場があり(そこが源頭)、乾いた沢の岩場を登ると少し早めに一不動に着いた。コンクリートの居心地の悪そうな小屋。1時間毎の休憩としていたので、すぐに五地蔵に向けて出発。だいぶ晴れてきて、後方の飯縄をはじめ、行く手の五地蔵や黒姫の右半分が見える。
「この尾根道を辿りながら、楽しい眺めが得られるが、もし本当に山の好きな人だったら、その眼をすぐ反対側に返すことを忘れないだろう。その側に、すぐ間近に、高妻山がスックと立っているからである。スックという形容がそのままあてはまる気高いピナクルである。ほとんどその土台から絶頂までの全容が望まれる。」(日本百名山、高妻山)
そして左手の木々の向こうに、目指す高妻が見えてきた。日本百名山にある通り、谷向こうに鋭角の形の良い高い山がすっくと立っている。なるほど、これは見事。完全に晴れて、北アルプスもすっきりと見えている。木々の切れたところで何度か止まってデジカメを写す。三文殊、四普賢を過ぎ、ひよっこり五地蔵に着く。広い空き地だが、まわりが笹で視界は良くない。早々に出発すると、直ぐ先に五地蔵山頂の木標が立っていた。これは隣のピークだが、東側が開けていて、妙高が見えた。この先、六弥勒はすぐ先だったが、七観音、八薬師はアップダウンを越えたピークの上にあった。八薬師の2,053mというのは西岳と同じ標高。この頃、西岳には少し雲がかかっていたようだが、北の頚城三山(妙高山、火打山、焼山)はよく見えていた。北アルプスは益々近づき、白馬、杓子、鑓、唐沢、五竜が並ぶ。鹿島槍の槍は一本しか見えてないようだ。その先の槍、穂高は明確だが、その間の爺、針ノ木、蓮華のあたりはまだよく分からない。このあたりでは夫婦連れと団体学生と追いつ追われつとなり、鞍部の九勢至の先から先行することにする。しかしこれは失敗で、夫婦連れのほうは休憩しながらしつこくついてくる。適当に休んで先に行かせるべきだった。「もう頂上だろう」と登り続けたが、頂上は遠く、やっと辿りついた稜線は頂上の一角で、やや平坦な道をしんぼうして進み、岩場となったところの標識が頂上かと思ったら十阿弥陀の銅鏡。頂上はその先の岩場を過ぎたところであった。ようやく高妻山の頂上に到達。全く疲れた。岩場の頂上には5~6人の人。岩場の西側に出て腰を下ろし、これから向かう乙妻を眺める。乙妻山は白いスラブの険しい稜線の上にある丸い頭の山だった(背後に雨飾山と焼山が見えており、白いフトンビシの雨飾山を何度も撮影しているが、それが雨飾山と知ったのは後日のことだった)。期待していたほど近くはなさそうだ。こんなに大勢いるのに乙妻に向かおうとする人はいないようだ。あんなに速かった若者もレオタード男も高妻のみで降りていった。しかし、乙妻からの高妻を眺めてみたい。(高妻から見る乙妻はそれほど立派には見えない)。五本もってきたお茶の二本目を飲み干して出発。
高妻からの下りは、最初から道標もなく、ひどい道。踏跡はしっかししているが草が覆っていて見にくい。急勾配で道も痛んでおり、何度か引き返そうと思う。もう10時半だったから、乙妻往復に4時間かかると、牧場着が19時前になってしまう。それでもなんとかなる、もう二度と来ないかもしれない、乙妻からの高妻を見たい、などと考えながら前進する。途中のピークのてっぺんが開けており、黒姫がよく見えた。そこからはずっと下りで、乙妻手前の鞍部(熊ノ平)の湿原が見えてきた。熊ノ平の手前から見る乙妻山は全く穏やかな里山のような姿をしていた。熊ノ平湿原は山の中のオアシスのような感じで、沼の水がほとんど枯れていたのが残念。二つ目の沼跡のところに十二大日の古い標識があったが、往路では気づかす。もう乙妻山頂は目の前だが、最後の登りですさまじい笹ヤブが待っていた。踏み跡はしっかりしているのだが、とにかく笹が生い茂っていて足元が見えない。ようやく視界が開け、振り返ると、高妻山が針のように鋭く尖った姿になっていた。少し右に傾き濃い緑に包まれ力強く天を指している。ここまで来て、全く違う印象の高妻を見ることができた。やがて山頂に到着。古い祠と木標があり、文字は無いが、ここが乙妻山頂上であることは明白だ。眼下に稜線の連なりが続いているが、道は途絶えている。ザックを投げ出して休憩。ここまでたどり着くことができ、感無量。だが、のんびりしてはいられない。無理に起き上がり、湯を沸かし、昼食を作る。湯を沸かしながらお湯割りを二杯。どちらも一気に飲み干す。きつねうどんの揚げを食べ、うどんを食べると、はきそうになる。なんとかこらえて汁を飲んでいると、突然、男性がひとりやってきた。誰も来ないと思っていたが、来る人もいるのだ。「1時間かかってしまった」「戸隠には登ったが、こちらは初めて」などと言う。地元の人のようである。正午を過ぎ、ザックをしょって帰路につく。雲が出てきて北アルプスが隠れてきた。頚城三山は雲に隠れたり出てきたり。高妻の頂上にも雲、と思ったらすぐにまた現れる。あかずに高妻の西からの姿を眺め、笹ヤブの中に降りてゆく。登るのに比べれば降りるのはだいぶ楽。しかし、高妻への登り返しはきつそうだ。
熊ノ平湿原に出て十二大日を確かめ、草原の登りになったところでザックを投げ出して寝転ぶ。日差をタオルで避けてしばらく目をつぶる。背中の草が心地よい。斜面を登っていくと、もうさっきの人が湿原に降りてくるところが見えた。断崖のへりに出て北側を回り、ピークの上で休憩。正面に高妻のピークが迫り、岩肌が白い。あの左側の岸壁を登れば頂上だ。木につかまりながらのこの登りは思ったほどではなく、やがて高妻の頂上に到着。下からは全く見えなかったが、頂上には大勢の人。着いたばかりの人もいる。南側に少し下りたところに寝転んで目をつぶる。日差は暑いが風は冷たくて気持ちよい。さて、大勢でにぎわう高妻の頂上を出発。ゆっくり下る。30分毎の休憩。北アルプスは見えなくなったが、西岳と戸隠は雲が取れている。戸隠の稜線にぴょこんと飛び出しているのが戸隠山頂かな(八方睨のようだ)。休んでる間に何人もに抜かれたが、ガレ場の手前でへばっている二人を抜く。アイポッドを取り替えてる間に抜き返されたが、また追いつく。ずいぶん元気だ。五地蔵の頂上で休んでいるとさっきの二人がまた追いついてきた。黒姫の麓に池が見えている(古池というらしい)。春行ったんでは雪で埋まってるだろう。一不動へは登り返しが何度かあり(四普賢と三文殊)、小さな登り返しのところで二釈迦を発見。分かりにくいところにある。やっと一不動に着いて休憩。足の裏が痛い。明日はまたこの道を下るのかなあと思いながら最後の下りにかかる。15分ほどで氷の清水。二つ目の蛇口から出ている水を飲む。冷たくてすごくうまい。これで少し元気が出るが、どこまで降りてもなかなか牧場に着かないので沢の手前で休憩。でも、牧場はそこからすぐ近くだった。赤土で染まった沢を渡り、牛のいなくなった牧場に出る。もう5時を過ぎていて暗い。牧場入口の売店でさいふを出して飲み物を買う。車に戻って着替えをしていると、隣に車を止めていた男性がコーヒーとパンをくれる。リタイアして南から百名山を登っているらしい。明日、高妻に登るという。ここにテントを張るようだ。私は近場のホテルを探し、妙高の宿を予約する。1時間くらいだが、コンビニで夕食を買っていく。晴天の高妻・乙妻を歩いた一日。
乙妻山までの仏蹟: 一不動、二釈迦、三文殊、四普賢、五地蔵岳、六弥勒、七薬師、八観音、九勢至、十阿弥陀、十一阿閦(あしゅく)、十二大日、虚空蔵菩薩
戸隠牧場入口
真っ暗な戸隠牧場の駐車場になんとか入り込み、それらしく並んでいる車の列に加わり、ビールと朝食を食べて1時間弱の仮眠。着替えていると別の車がやってきた。迷惑。5時を回るともう明るくなってきて、5時半に起きて準備。当初、初日は戸隠から西岳に登ろうと思っていたが、どうも西岳へは登れそうもないので、土曜に高妻・乙妻に登り、日曜は戸隠に登って昼過ぎに出発する計画に変更(正解であった)。何人か準備している人たちの先に牧場を出発。登山カードを乙妻まで書き、馬や牛のいる牧場を歩く。牧場登山口の狭い通路を過ぎると登山道に沿って牛の群れがいて、牛を避けながら歩く。道は余り良くないが人通りが多いためか道筋ははっきりしている。百名山効果。基本的に沢沿いの道。朝からずっとガスが出ていて、後の飯縄も行く手の戸隠もよく見えなかったが、登るに従いだんだん晴れてくる気配。最初の鎖場の手前で老夫婦が追いついてくる。その後も走るように登っていった若者やレオタードの男性などが追い越してゆく。逆に追いついた人はなし。帯岩という鎖つきのトラバース路の先に水場があり(そこが源頭)、乾いた沢の岩場を登ると少し早めに一不動に着いた。コンクリートの居心地の悪そうな小屋。1時間毎の休憩としていたので、すぐに五地蔵に向けて出発。だいぶ晴れてきて、後方の飯縄をはじめ、行く手の五地蔵や黒姫の右半分が見える。
戸隠牧場
登山口
牛の間を行く
大洞沢の渡渉
ナメ滝の脇を登る
五地蔵山
一不動の避難小屋
二釈迦
初めて見えた高妻山
そして左手の木々の向こうに、目指す高妻が見えてきた。日本百名山にある通り、谷向こうに鋭角の形の良い高い山がすっくと立っている。なるほど、これは見事。完全に晴れて、北アルプスもすっきりと見えている。木々の切れたところで何度か止まってデジカメを写す。三文殊、四普賢を過ぎ、ひよっこり五地蔵に着く。広い空き地だが、まわりが笹で視界は良くない。早々に出発すると、直ぐ先に五地蔵山頂の木標が立っていた。これは隣のピークだが、東側が開けていて、妙高が見えた。この先、六弥勒はすぐ先だったが、七観音、八薬師はアップダウンを越えたピークの上にあった。八薬師の2,053mというのは西岳と同じ標高。この頃、西岳には少し雲がかかっていたようだが、北の頚城三山(妙高山、火打山、焼山)はよく見えていた。北アルプスは益々近づき、白馬、杓子、鑓、唐沢、五竜が並ぶ。鹿島槍の槍は一本しか見えてないようだ。その先の槍、穂高は明確だが、その間の爺、針ノ木、蓮華のあたりはまだよく分からない。このあたりでは夫婦連れと団体学生と追いつ追われつとなり、鞍部の九勢至の先から先行することにする。しかしこれは失敗で、夫婦連れのほうは休憩しながらしつこくついてくる。適当に休んで先に行かせるべきだった。「もう頂上だろう」と登り続けたが、頂上は遠く、やっと辿りついた稜線は頂上の一角で、やや平坦な道をしんぼうして進み、岩場となったところの標識が頂上かと思ったら十阿弥陀の銅鏡。頂上はその先の岩場を過ぎたところであった。ようやく高妻山の頂上に到達。全く疲れた。岩場の頂上には5~6人の人。岩場の西側に出て腰を下ろし、これから向かう乙妻を眺める。乙妻山は白いスラブの険しい稜線の上にある丸い頭の山だった(背後に雨飾山と焼山が見えており、白いフトンビシの雨飾山を何度も撮影しているが、それが雨飾山と知ったのは後日のことだった)。期待していたほど近くはなさそうだ。こんなに大勢いるのに乙妻に向かおうとする人はいないようだ。あんなに速かった若者もレオタード男も高妻のみで降りていった。しかし、乙妻からの高妻を眺めてみたい。(高妻から見る乙妻はそれほど立派には見えない)。五本もってきたお茶の二本目を飲み干して出発。
三文殊
五地蔵山
高妻山
四普賢
五地蔵山の頂上
六弥勒
頚城三山: 焼山、火打山、妙高山、佐渡山
七観音
北アルプス: 蓮華岳、針ノ木岳、爺ヶ岳、鹿島槍ヶ岳、立山、五竜岳、剱岳、唐松岳、白馬鑓ヶ岳、杓子岳、白馬岳
八薬師
古池
急な登り
十阿弥陀
雨飾山とフトンビシ
高妻山の頂上
高妻山の頂上標識
高妻山の三角点
白馬岳
北アルプス北部: 白馬鑓ヶ岳、杓子岳、白馬岳、小蓮華山、雪倉岳、朝日岳
北アルプス南部: 西岳、前穂高岳、奥穂高岳、野口五郎岳、黒岳(水晶岳)、蓮華岳、針ノ木岳、爺ヶ岳、鹿島槍ヶ岳、立山
西岳
乙妻山
乙妻山は白いスラブの険しい稜線の上にある丸い頭の山だった(背後に雨飾山と焼山が見えており、白いフトンビシの雨飾山を何度も撮影しているが、それが雨飾山と知ったのは後日のことだった)。
黒姫山
高妻からの下りは、最初から道標もなく、ひどい道。踏跡はしっかししているが草が覆っていて見にくい。急勾配で道も痛んでおり、何度か引き返そうと思う。もう10時半だったから、乙妻往復に4時間かかると、牧場着が19時前になってしまう。それでもなんとかなる、もう二度と来ないかもしれない、乙妻からの高妻を見たい、などと考えながら前進する。途中のピークのてっぺんが開けており、黒姫がよく見えた。そこからはずっと下りで、乙妻手前の鞍部(熊ノ平)の湿原が見えてきた。熊ノ平の手前から見る乙妻山は全く穏やかな里山のような姿をしていた。熊ノ平湿原は山の中のオアシスのような感じで、沼の水がほとんど枯れていたのが残念。二つ目の沼跡のところに十二大日の古い標識があったが、往路では気づかす。もう乙妻山頂は目の前だが、最後の登りですさまじい笹ヤブが待っていた。踏み跡はしっかりしているのだが、とにかく笹が生い茂っていて足元が見えない。ようやく視界が開け、振り返ると、高妻山が針のように鋭く尖った姿になっていた。少し右に傾き濃い緑に包まれ力強く天を指している。ここまで来て、全く違う印象の高妻を見ることができた。やがて山頂に到着。古い祠と木標があり、文字は無いが、ここが乙妻山頂上であることは明白だ。眼下に稜線の連なりが続いているが、道は途絶えている。ザックを投げ出して休憩。ここまでたどり着くことができ、感無量。だが、のんびりしてはいられない。無理に起き上がり、湯を沸かし、昼食を作る。湯を沸かしながらお湯割りを二杯。どちらも一気に飲み干す。きつねうどんの揚げを食べ、うどんを食べると、はきそうになる。なんとかこらえて汁を飲んでいると、突然、男性がひとりやってきた。誰も来ないと思っていたが、来る人もいるのだ。「1時間かかってしまった」「戸隠には登ったが、こちらは初めて」などと言う。地元の人のようである。正午を過ぎ、ザックをしょって帰路につく。雲が出てきて北アルプスが隠れてきた。頚城三山は雲に隠れたり出てきたり。高妻の頂上にも雲、と思ったらすぐにまた現れる。あかずに高妻の西からの姿を眺め、笹ヤブの中に降りてゆく。登るのに比べれば降りるのはだいぶ楽。しかし、高妻への登り返しはきつそうだ。
黒姫山と佐渡山
乙妻山
熊ノ平の手前から見る乙妻山は全く穏やかな里山のような姿をしていた。
熊ノ平(乙妻山の湿原)
十二大日
乙妻山の頂上
高妻山(乙妻山より)
振り返ると、高妻山が針のように鋭く尖った姿になっていた。少し右に傾き濃い緑に包まれ力強く天を指している。ここまで来て、全く違う印象の高妻を見ることができた。
高妻山
熊ノ平湿原に出て十二大日を確かめ、草原の登りになったところでザックを投げ出して寝転ぶ。日差をタオルで避けてしばらく目をつぶる。背中の草が心地よい。斜面を登っていくと、もうさっきの人が湿原に降りてくるところが見えた。断崖のへりに出て北側を回り、ピークの上で休憩。正面に高妻のピークが迫り、岩肌が白い。あの左側の岸壁を登れば頂上だ。木につかまりながらのこの登りは思ったほどではなく、やがて高妻の頂上に到着。下からは全く見えなかったが、頂上には大勢の人。着いたばかりの人もいる。南側に少し下りたところに寝転んで目をつぶる。日差は暑いが風は冷たくて気持ちよい。さて、大勢でにぎわう高妻の頂上を出発。ゆっくり下る。30分毎の休憩。北アルプスは見えなくなったが、西岳と戸隠は雲が取れている。戸隠の稜線にぴょこんと飛び出しているのが戸隠山頂かな(八方睨のようだ)。休んでる間に何人もに抜かれたが、ガレ場の手前でへばっている二人を抜く。アイポッドを取り替えてる間に抜き返されたが、また追いつく。ずいぶん元気だ。五地蔵の頂上で休んでいるとさっきの二人がまた追いついてきた。黒姫の麓に池が見えている(古池というらしい)。春行ったんでは雪で埋まってるだろう。一不動へは登り返しが何度かあり(四普賢と三文殊)、小さな登り返しのところで二釈迦を発見。分かりにくいところにある。やっと一不動に着いて休憩。足の裏が痛い。明日はまたこの道を下るのかなあと思いながら最後の下りにかかる。15分ほどで氷の清水。二つ目の蛇口から出ている水を飲む。冷たくてすごくうまい。これで少し元気が出るが、どこまで降りてもなかなか牧場に着かないので沢の手前で休憩。でも、牧場はそこからすぐ近くだった。赤土で染まった沢を渡り、牛のいなくなった牧場に出る。もう5時を過ぎていて暗い。牧場入口の売店でさいふを出して飲み物を買う。車に戻って着替えをしていると、隣に車を止めていた男性がコーヒーとパンをくれる。リタイアして南から百名山を登っているらしい。明日、高妻に登るという。ここにテントを張るようだ。私は近場のホテルを探し、妙高の宿を予約する。1時間くらいだが、コンビニで夕食を買っていく。晴天の高妻・乙妻を歩いた一日。
乙妻山までの仏蹟: 一不動、二釈迦、三文殊、四普賢、五地蔵岳、六弥勒、七薬師、八観音、九勢至、十阿弥陀、十一阿閦(あしゅく)、十二大日、虚空蔵菩薩