長須ヶ玉山(ちょうすがたま) 檜枝岐の雪の沢登り
福島県 長須ヶ玉山(本峰1,914m、南峰1,908m、中央峰1,900m) 2020年3月3日
会津百名山
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2日前と同じところに駐車し、歩き始める。牛首橋を渡り、キャンプ場を過ぎ、そして佐惣沢出会いに着く。
次第に右岸斜面に高く上がり、トラバースして行くようになるが、ちょうどいい具合に右岸は緩い斜面になっていた。
やっと出てきたスノーブリッジを渡って左岸に渡ってみるが、両岸ともに狭いので、両岸を何度か行ったり来たりし、かなり高いところをトラバースしたりし、ゴルジュを越える。
やがて右岸の取付地点に達したが、そこはすこぶる急で、源頭付近の方が楽そうなのでなおも沢沿いを登り、ほぼ源頭と思われる地点から右岸斜面に取付く。
広い斜面を大きく右に斜めに登り、右上の小尾根に上がる。そこからは緩い傾斜で、長津ヶ玉山の頂上も広大な平らな林だった。
平らな雪原にぴょっこり飛び出た小ピークがあり、そこの木の幹に「長津ヶ玉山」の古い頂上標識があった。ここもまた、派手さの全くない渋い頂上。
中央峰には何も標識はなく、南東方向に二日前も見た帝釈山、その右に台倉高山の双耳が間近に見え、そのずっと背後に雲をかぶっているのは日光の山々(女峰山?)のようだ。
細長いが幅広で方角が分かりにくい尾根をGPSを見ながら歩き、たどり着いた南峰は、残念ながら同じような林の中で全く視界なし。くたびれもうけだったが、標高1,908mというのが唯一の慰め?
長須ヶ玉の頂上は平だが、その端は鋭く切り立っている。その急斜面に元気よく滑り込み、左に見えるあの小尾根を越えれば往路だろう・・・・。滑り込むと突然、目の前に景観が広がっていた。樹木がないから当然なのだが、正面右に見えているのは帝釈山で、その左にあるごついのはどうも大中子山らしい。ふーん、こんな格好をしていたのか。夢中で撮影。
ようやくあのデブリ斜面が見えてきて、そこから急斜面を痛烈滑走、といきたいところだが、この日の雪は気温が低いためかモナカになっていてターンしずらく、まるで滑りにくい。
沢の上部は左岸斜面をトラバースしながら滑走、沢の中間地点のゴルジュのあたりは左岸と右岸を往路トレースを細かく辿る。
サングラスを外して右岸をだらだらとトラバース滑走。前方に何か見えてきたが薄暗くてよく分からず、滑り込んでみたら雪の車道だった!
もう暗い駐車地点に着き、燧の湯に行く。19時前の燧の湯には先客1名だったが、その後に何人もやってきて賑やかになる。
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予定通り長須ヶ玉山に向かうが、この日も予報は晴なのに朝4時は小雨。シールを貼り、パンとサラダの朝食を食べ、道の駅たじまを出たのは6時。道の駅を先に出て行った車は三岩岳の登山口のところに駐車していた。大中子や長須ヶ玉に向かう人はなし。2日前と同じところに駐車し、歩き始める。車道の雪が融けていないか心配だったが、小雪が少し積もっていた。2日前に大中子に登った地点にはまだトレースが残っていた。牛首橋を渡り、キャンプ場を過ぎ、そして佐惣沢出会いに着く。やっぱり沢の水はザアザア流れていて、当分は雪に埋まりそうもない。左右どっちにする?なんとなく右岸にする。沢の近くは雪がデコボコしていて進みにくいので、次第に右岸斜面に高く上がり、トラバースして行くようになるが、ちょうどいい具合に右岸は緩い斜面になっていた。だが、いつまでもこうではあるまい。GPSマップを見ると1.5kmくらい先の屈曲点がゴルジュになってそうだ。
その屈曲点に達し、やっと出てきたスノーブリッジを渡って左岸に渡ってみるが、両岸ともに狭いので、両岸を何度か行ったり来たりし、かなり高いところをトラバースしたりし、ゴルジュを越える。そのあたりで残り2kmなので、最初の休憩。森の切り株にペットコーヒー。2日前に比べてずいぶん快調という感じ。この先も両岸や雪に埋まった沢筋を登り、やがて右岸の取付地点に達したが、そこはすこぶる急で、源頭付近の方が楽そうなのでなおも沢沿いを登り、ほぼ源頭と思われる地点から右岸斜面に取付く。
源頭付近からの斜面は地図の狭い等高線にかかわらず緩やかで、植林の中を楽に登って行く。だが、やがて頭上に手強そうな急斜面が現れ、その手前のテラスで2度目の休憩。最終目的地の南峰までもう1kmを切っている。三角点峰までは500mもない。今度はホットレモンとビスケット。裏返しておいたスキーシールはきれいで、全く雪は付いてなかった。急斜面には固まり始めているデブリがたくさん転がっていて登りにくい。広い斜面を大きく右に斜めに登り、右上の小尾根に上がる。そこからは緩い傾斜で、長津ヶ玉山の頂上も広大な平らな林だった。北西端の緩いピークから南に進むと、平らな雪原にぴょっこり飛び出た小ピークがあり、そこの木の幹に「長津ヶ玉山」の古い頂上標識があった。ここもまた、派手さの全くない渋い頂上。
すぐに南峰に向かう。800mほど離れた南峰との間にもう一つ中央峰があり、そこに向かうのにシール滑走を何度も滑ったが、その後に湿った雪を踏んだらしく、突然ゲタになってきた。中央峰についてスキーの雪をブラシで落とすが、氷が固まっていて落ちないので日向に裏返しにしておき、徒歩で南峰に向かう。中央峰には何も標識はなく、東の景観が樹木越しに見えていて、南峰から戻ってきてから斜面を少し下ってみると、南東方向に二日前も見た帝釈山、その右に台倉高山の双耳が間近に見え、そのずっと背後に雲をかぶっているのは日光の山々(女峰山?)のようだ。最高点で三角点のあるピークからわざわざここまで来たのはこの景観のためだが、更に南に行けば南西の景色も見えるかもしれない。スキーを日向で乾かしておいて徒歩でズボズボと南峰に向かう。少し歩いてから、スキーで滑ればよかったと気づくが、そのまま前進。まあたいした斜面ではない。細長いが幅広で方角が分かりにくい尾根をGPSを見ながら歩き、たどり着いた南峰は、残念ながら同じような林の中で全く視界なし。くたびれもうけだったが、標高1,908mというのが唯一の慰め?
中央峰に戻り、景色を写してから3度目の休憩。ホットレモンを飲み干し、ビスケットの残りを平らげる。裏返しておいたスキーシールの片方は乾いていたが、もう片方は凍ったところが残っていて、それをブラシの背で落とし、歩いてみるとまずまず。本峰までの歩きで雪はあまりついていなかった。さて、本峰でシールを外し(このときもシールはスキーにしっかり、べったり張り付いていた)、滑走開始。頭上わずかに傾いた太陽はなんとなく夕日っぽい。だいぶ時間を無駄にしたが、滑走は早いだろう・・・・と思ったのは間違いだった。
最初の苦難は道を間違えたこと。二日前は頂上手前のP2をトラバースし、帰路での登り返しを少なくしたが、この日も同じ要領で、本峰の北西にある緩いピークを避けてやや右(北)方向に滑り、急斜面をトラバースして往路に戻ろうと考えた。長須ヶ玉の頂上は平だが、その端は鋭く切り立っている。その急斜面に元気よく滑り込み、左に見えるあの小尾根を越えれば往路だろう・・・・。滑り込むと突然、目の前に景観が広がっていた。樹木がないから当然なのだが、正面右に見えているのは帝釈山で、その左にあるごついのはどうも大中子山らしい。ふーん、こんな格好をしていたのか。夢中で撮影。それからおもむろに滑走再開するが、小尾根を越えても往路トレースが見当たらない。待てよ、北西方向に向かっているはずなのになんで大中子や帝釈が見えるんだ?GPSを見ると、そこは北東斜面だった。
だいぶトラバースしなければならないが、その先にはえぐれた地形があってトラバースできず、横歩きで頂上台地付近まで登り返す。こんなことなら北西ピークに登っておくんだったが、そうしていたら大中子山を見ることはできなかったろう。運命とは数奇なものだ。ようやくあのデブリ斜面が見えてきて、そこから急斜面を痛烈滑走、といきたいところだが、この日の雪は気温が低いためかモナカになっていてターンしずらく、まるで滑りにくい。斜めに滑って行ってようやく往路に合流。そこからは傾斜も緩み、滑りやすいところを選んで広めに滑走し、往路に戻る、というのを繰り返す。だが、ターンしずらいのは変わらず、あまり滑走は楽しめない。沢の上部は左岸斜面をトラバースしながら滑走、沢の中間地点のゴルジュのあたりは左岸と右岸を往路トレースを細かく辿る。何回か斜面トラバースの登り返しがあり、シールだとそうでもないが、スキーの横登りでは何度も息を整える。ゴルジュを抜けて沢の下部となり、もう傾斜も緩んだので楽になるはずだったが、今度は暗くなってきて雪面が良く見えない。サングラスを外して右岸をだらだらとトラバース滑走。時々ターンして下降するとスピードが出て、疲れているのと雪面が良く見えないのでへっぴり腰になり、止まった瞬間に踏ん張れずに転倒、というのが何度か。立ち上がるのにまた体力を浪費。何本か雪の解けた枝沢を越え、前方に何か見えてきたが薄暗くてよく分からず、滑り込んでみたら雪の車道だった!と気づいて止まろうとしてまたしても転倒。いやはや。
薄暗い雪の車道の上で4度目の休憩をとり、ペットコーヒーを少し飲み、かかとのビンディングを外して最後の滑走。さすがに少し腰が痛い。だが、右足小指も足も全く痛くない。歩き滑りは全体の1/3くらいに感じたが、滑走ではだいぶスピードが出たので、実際の歩き滑りは2割くらいだろう。モナカの日でも林道はよく滑る(逆に、ザラメの日は林道が滑らない)。もう暗い駐車地点に着き、最後の滑走の前に頭に付けておいたヘッドランプを点灯して片付けをし、燧の湯に行く。温泉が近いというのはいいことだ。19時前の燧の湯には先客1名だったが、その後に何人もやってきて賑やかになる。
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(2020年3月1日)(二日前)
大中子山への尾根から南西方向に長須ヶ玉山を見る。冷たい青空に丸い頭の大きな山。頂上は平だが、その手前の斜面はきつそうだ。登路の佐惣沢は裏側で見えていない。
道の駅檜枝岐とスキー場
2日前と同じところに駐車し、歩き始める。車道の雪が融けていないか心配だったが、小雪が少し積もっていた。2日前に大中子に登った地点にはまだトレースが残っていた。牛首橋を渡り、キャンプ場を過ぎ、そして佐惣沢出会いに着く。やっぱり沢の水はザアザア流れていて、当分は雪に埋まりそうもない。左右どっちにする?なんとなく右岸にする。
車道から大中子山への取付き点
舟岐川の左岸を進む
キャンプ場
佐惣沢出合
佐惣沢の右岸を登る
ゴルジュ付近
その屈曲点に達し、やっと出てきたスノーブリッジを渡って左岸に渡ってみるが、両岸ともに狭いので、両岸を何度か行ったり来たりし、かなり高いところトラバースしたりし、ゴルジュを越える。そのあたりで残り2kmなので、最初の休憩。森の切り株にペットコーヒー。2日前に比べてずいぶん快調という感じ。
源頭付近
急斜面手前のテラス
広くて平坦な頂上台地
長須ヶ玉山・本峰頂上
急斜面には固まり始めているデブリがたくさん転がっていて登りにくい。広い斜面を大きく右に斜めに登り、右上の小尾根に上がる。そこからは緩い傾斜で、長津ヶ玉山の頂上も広大な平らな林だった。北西端の緩いピークから南に進むと、平らな雪原にぴょっこり飛び出た小ピークがあり、そこの木の幹に「長津ヶ玉山」の古い頂上標識があった。ここもまた、派手さの全くない渋い頂上。
頂上標識
中央峰頂上
中央峰から南東の景観: 帝釈山、台倉高山、女峰山?、黒岩山?
雲をかぶった女峰山?
南峰1,908m
スキーを日向で乾かしておいて徒歩でズボズボと南峰に向かう。少し歩いてから、スキーで滑ればよかったと気づくが、そのまま前進。まあたいした斜面ではない。細長いが幅広で方角が分かりにくい尾根をGPSを見ながら歩き、たどり着いた南峰は、残念ながら同じような林の中で全く視界なし。くたびれもうけだったが、標高1,908mというのが唯一の慰め?
長須ヶ玉山・本峰頂上のスキー
中央峰に戻り、景色を写してから3度目の休憩。ホットレモンを飲み干し、ビスケットの残りを平らげる。裏返しておいたスキーシールの片方は乾いていたが、もう片方は凍ったところが残っていて、それをブラシの背で落とし、歩いてみるとまずまず。本峰までの歩きで雪はあまりついていなかった。さて、本峰でシールを外し(このときもシールはスキーにしっかり、べったり張り付いていた)、滑走開始。頭上わずかに傾いた太陽はなんとなく夕日っぽい。だいぶ時間を無駄にしたが、滑走は早いだろう・・・・と思ったのは間違いだった。
長須ヶ玉山・北東斜面からの景観: 大中子山、帝釈山、台倉高山
大中子山
滑り込むと突然、目の前に景観が広がっていた。樹木がないから当然なのだが、正面右に見えているのは帝釈山で、その左にあるごついのはどうも大中子山らしい。ふーん、こんな格好をしていたのか。夢中で撮影。それからおもむろに滑走再開するが、小尾根を越えても往路トレースが見当たらない。待てよ、北西方向に向かっているはずなのになんで大中子や帝釈が見えるんだ?GPSを見ると、そこは北東斜面だった。
帝釈山
台倉高山
急斜面の滑走
佐惣沢源頭に滑り込む
佐惣沢の滑走
佐惣沢右岸の滑走
雪の車道に滑り込む
夕闇の空
薄暗い雪の車道の上で4度目の休憩をとり、ペットコーヒーを少し飲み、かかとのビンディングを外して最後の滑走。さすがに少し腰が痛い。だが、右足小指も足も全く痛くない。歩き滑りは全体の1/3くらいに感じたが、滑走ではだいぶスピードが出たので、実際の歩き滑りは2割くらいだろう。モナカの日でも林道はよく滑る(逆に、ザラメの日は林道が滑らない)。もう暗い駐車地点に着き、最後の滑走の前に頭に付けておいたヘッドランプを点灯して片付けをし、燧の湯に行く。温泉が近いというのはいいことだ。19時前の燧の湯には先客1名だったが、その後に何人もやってきて賑やかになる。
(2020年3月1日)(二日前)
長須ヶ玉山
(二日前に大中子山への尾根から)南西方向に長須ヶ玉山を見る。冷たい青空に丸い頭の大きな山。頂上は平だが、その手前の斜面はきつそうだ。登路の佐惣沢は裏側で見えていない。
長須ヶ玉山