剣山、三嶺、天狗塚 四国のツーリング縦走3
徳島県 剣山1,955m、ジロウギュウ1,930m、高ノ瀬1,741m、平和丸1,701m、丸石1,684m 2020年6月16日
三嶺1,894m、西熊山1,816m、天狗塚1,812m、韮生越(にろうごえ)1,730m、カヤハゲ(東熊山)1,720m 2020年6月15日
(剣山)日本百名山
(三嶺)日本二百名山
(ジロウギュウ、天狗塚)四国百名山
509
D1
四国で三つ目のツーリング縦走は剣山。高い位置にある剣山リフトPまで縦走し、祖谷川沿いのR439 を自転車で下るツーリング縦走はネットにも出ており、比較的ポピュラーなようだ。
アラームで1時に起き、MTBデポ地点の見ノ越・剣山リフトPに着いたのは3時過ぎ。
久保ではR439から橋を渡り、舗装路(団体営農道?)を山側に少し入る。天狗塚登山口(標高620m)はR439から600mほど先にあったが、歩き出したのはもう4時過ぎで明るくなっており、ヘッドランプはしまう。
やがて傾斜が緩まると視界が広がり、笹原になった稜線上の縦走路に達する。
東の縦走路の先には天狗峠、西熊山があり、その先に三嶺が見えていた。西から見る三嶺は、両翼を広げた非対称なトライアングルの姿をしていて、すっきりしたラインは芸術品のように美しい。更にその右奥に剣山とジロウギュウのシルエットが見えている。
北には烏帽子山や矢筈山の稜線が連なり、南には綱附森や白髪山が見えていた。見渡す限りの山また山。集落は北の眼下の祖谷川沿いにわずかに見えているだけ。
コル付近から見上げる天狗塚は緑の鋭鋒。山腹のところどころに岩が頭を見せ、小さな頂上に向かってせりあがっている。そして狭い天狗塚頂上に到達。
時々見える三嶺頂上を目指し、14年ぶりの三嶺頂上に到達。大きな三角点に頂上標識。
三嶺頂上の東側は美しい緑の台地になっており、その東端付近に池と三嶺小屋がある。まるで箱庭のよう。
はるか下に見えていたカヤハゲ(東熊山1,720m)よりも更に低く下っていく。ようやくたどり着いたカヤハゲ(東熊山1,720m)の頂上は縦に長い笹原で、道標の裏にあった熊鈴を鳴らして行く。
白髪小屋は韮生越(にろうごえ1,730m)頂上から300m強のところにあり、水場の表示を見たときは心底ほっとした。
人がいたらテントにしたかもしれないが、無人だった。まあ、小屋に泊まる方が手間が省けてずいぶん楽だ。
この日は途中で霧が出たが、それまでは良い天気で、四国の山をたくさん見ることができた。水を探し回ったのはくたびれもうけだったが、最終的に水を確保でき、幸運だった。これまた良い思い出になるだろう。
D2
小屋を出たのは4時半過ぎ頃。剣山の向こうの空が朝焼けになっていたが、空には雲がかかっていて景色はどんよりしている。
細尾根を辿って登り返したところが高ノ瀬1,741mで、三角点があり、この日の縦走路では剣山とジロウギュウを除き、一番高い。
丸石は剣山の手前に見えていたきれいな緑色の長い頂稜の山だった。ここにも三角点あり。すっかり晴れ渡って快晴の空の東に大きくせりあがっているジロウギュウが実に見事。
早朝には雲が全天を覆っていたのに、こんなに晴れるとは、とても幸運だった。丸石・北峰1,670mから四周の絶景を心ゆくまで眺め、撮影した。
コル1,580mまで下り、ジロウギュウ1,930mまで登り返す標高差350mは縦走路中では最大だが、道は歩きやすい。見上げるジロウギュウは緑の巨体に岩肌を見せ、迫力満点。
16年ぶりのジロウギュウ頂上に到達。少し先に(16年前に気づかなかった)ジロウギュウの三角点を発見。更に奥に、ジロウギュウの南峰1,920mまで行ってみる。
ジロウギュウから縦走最後の目的地、剣山に向かう。16年ぶりの剣山はすっかり晴れ渡った青空の下で明るい緑に包まれていた。その頂上に続く緩やかな登山道。
剣山の東には一ノ森の尾根が続き、西には三嶺と天狗塚が並んでおり、南西には頂上南側の笹原が白く見える白髪山が見えている。いずれも思い出深い山ばかり。そして、これまた16年ぶりの剣山頂上に着く。
そこには広い木道に囲まれたケルンがあり、平たく積み上げられたケルンには締縄が巻かれていて、その中に大きな一等三角点が見えている。
もう下るだけだが、剣山の二つの神社に寄っていく。まずは頂上北端にある宝蔵石神社。大剣神社は16年前に行きそこなったところで是非寄っておきたかった神社。
さて、あとはMTBで20㎞を下るのみ。剣山リフトPから空身でMTBに乗り、見ノ越からは急な車道の下りだが、舗装路面が荒れているのでスピードを出せない。ブレーキかけっぱなしでカーブを曲がる。
久保の左折地点は登山口表示がないため、いったん行き過ぎてしまい、引き返して脇道(団体営農道?)に入る。300mくらい歩いて登り、駐車地点に到着。ご苦労さん。
今回の縦走は26㎞を23時間、MTBは20㎞を1時間。R439は滑らかではないがずっと下り坂で、このルートはまさにツーリング向きと言えそうだ。
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D1
四国で三つ目のツーリング縦走は剣山。高い位置にある剣山リフトPまで縦走し、祖谷川沿いのR439 を自転車で下るツーリング縦走はネットにも出ており、比較的ポピュラーなようだ。名頃の三嶺登山口から登れば日帰りできるのだろうが、私はもうひとつ西の天狗塚からの縦走にトライ。二つ目のツーリング縦走の二日目から雨が降り出し、いったんほぼ諦めていたが、数日後に晴予報に変わったので祖谷に向かう。
アラームで1時に起き、いつもの朝食を食べ、2時前後に道の駅を出る。星は見えていなかったと思う。祖谷川沿いの県道32、R439の道は曲がりくねり、道幅の狭いところが多く、時間がかかる。MTBデポ地点の見ノ越・剣山リフトPに着いたのは3時過ぎ。広い駐車場をヘッドランプで歩き回り、下の駐車場に下る道脇のガードレールの外側にMTBを置き、チェーンキイをかける。それから縦走出発地点の久保に向かう。天狗塚から三嶺を経て剣山に至るこの縦走は距離26㎞、累積標高差2,900m(久保・天狗塚登山口620mから)あり、自転車を使って日帰り周回した記録(たぶん林道の天狗塚登山口1,130mから?)も見たが、私は白髭小屋1泊のプランとした。従って久保ではR439から祖谷川が屈曲している地点(五宮五社神社)で橋を渡り、舗装路(団体営農道?)を山側に少し入る。天狗塚登山口(標高620m)はR439から600mほど先にあったが、車はその手前(300mほど?)の林道入口の道脇に駐車。この古い天狗塚登山口(標高620m地点)から林道にある新しい天狗塚登山口(標高1,130m)まで、荒れていると思われる道をスムーズに登れるかがこの縦走の最初の不確定要素だった。歩き出したのはもう4時過ぎで明るくなっており、ヘッドランプはしまう。支沢に掛けなおされたらしい橋を渡り、舗装しなおされた真新しいアスファルトの上から、だいぶしなびた天狗塚登山口標識のところから、くたびれた登山道に上がる。
その道は植林の中なので落葉が散乱していて、しかも歩いている人が少ないので踏跡は消えかけていて、古いテープが頼り。だが、登山道は植林の中に入らず、植林の外側に沿って分かりやすく付けられていた。古い崩壊した小屋の脇を通り、尾根の左側をトラバース気味に登っていく。薄暗い道脇の白いヒゲはフタリシズカ?植林の中なので視界はなし。やがて登山道は尾根に上がり、尾根を淡々と登っていく。上の天狗塚登山口(標高1,130m)がある林道が近づくと、踏跡は怪しくなるが、斜面をまっすぐに登り林道(舗装路)に到達。直前で作業道に出て、それを右に辿ればよかったのだが、作業道を横切って更に尾根を登り、最後はやや下って舗装林道に立つ。この標高差600mに約2時間で到達できたのは、私にしては、テント・ザックをしょっていた割には早かった。舗装林道の向かいに天狗塚登山口の標識があり、その先は歩きやすそうだ。最初の休憩をとり、パンを食べる。登っている間、テント・ザックは背中に気持ちよく収まっていてどこも痛くない。石鎚山の最初の縦走のとき(10日前)は腹や肩が痛かったが、ザックに慣れたということか。背負うたび、腰バックルを緩めておいてから思い切り締めるのが良いようだ。
天狗塚登山口(標高1,130m)からは尾根の急登だったが、細かい九十九折が切ってあり、楽に登れる。樹間から景色も見えるようになってきた。まあ、普通に歩きこまれている登山道だ。そしてマイナーピーク1,476mに達し、少し下り、再び登る。やがて傾斜が緩まると視界が広がり尾根の右上に天狗塚らしき鋭鋒が見え、そして笹原になった稜線上の縦走路に達する。そこには分岐標識がある平べったいピーク(M2・1,800m)で、東西の縦走路の踏跡が笹原の中に消えていてずいぶん頼りなかったが、ピークを更に少し進んだ先に新しい標識が立っていて、そこからは東西に明確な縦走路がついていた。アカタテハが飛び、小さな黄色い花がたくさん咲いていて、菊の葉をしているのでキンポウゲだろう。西には天狗塚が鋭鋒の姿で立っていて、今いるところと高さはそれほど変わらないが、いったんコル1,750mに下って登り返さないといけない。その前に2度目の休憩にし、バナナを食べる。東の縦走路の先には天狗峠、西熊山があり、その先に三嶺が見えていた。西から見る三嶺は、両翼を広げた非対称なトライアングルの姿をしていて、すっきりしたラインは芸術品のように美しい。更にその右奥に剣山とジロウギュウのシルエットが見えている。涼しい風が吹いていて遠景はやや霞んでいるが、こんなに天気になって本当によかった。北には烏帽子山や矢筈山の稜線が連なり、南には綱附森や白髪山が見えていた。見渡す限りの山また山。集落は北の眼下の祖谷川沿いにわずかに見えているだけ。
テントザックを置き、サブザックのみで天狗塚に向かう。テントザックが無いと羽が生えたように飛ぶようにコルに下り、コルからは岩場の多い道を慎重に登っていく。コル付近から見上げる天狗塚は緑の鋭鋒。山腹のところどころに岩が頭を見せ、小さな頂上に向かってせりあがっている。天狗塚の西には平べったい笹原の1,757m峰が見えており、その先で尾根は途切れている。主稜線はM2・1,800mのすぐ東にある天狗峠で南西に分岐し、そこには綱附森に向かう道があり、その先の京柱峠に繋がっているのかもしれない。そして狭い天狗塚頂上に到達。頂上標識が一つ。そこから四周を見渡し、早々に往路を戻る。灌木の中に黄色いキバネツクバネウツギ、道の真ん中に白いツマトリソウ。風が強いので午後には雲が広がるかもしれない。M2・1,800mに戻り、テントザックをしょって縦走路を東に向かう。平坦な笹の切り分け道から少し南東に下って天狗峠。分岐標識があり、右にあるM3・1,800mの方角に進むと綱附森。左に三嶺に向かうと岩場の細尾根になり、灌木の中をトラバース気味に下っていく。ニガナが咲いていて、沢の音が聞こえたが、水の流れの近くまでは行かず。M4・1,698mも北側をトラバース。水場の表示があったが、その先にお亀岩避難小屋があり、そこの水場が一番近かったようだ。M4・1,698mと西熊山のコル1,660mに着くと稜線の東下にお亀岩避難小屋が見えた。コルから東に80m下ればよかったのだが、行かなかった。ここで水を補給しておけばよかったと後で後悔することになるが、その時は水はなんとかなるだろうと思い、先に進む。黄色い花はヤクシソウ。
西熊山へは尾根の北側をトラバース気味に登っていくが、この登りは辛かった。少しづつ高度が上がり、北側から西熊山の頂上に到達。ここには三角点があり、再び四周に四国の山並みが広がる。天狗塚は二つの1,800m峰(M2とM3)の間の奥に見えており、行く手の三嶺はもうずいぶん近い。だが、南の谷から霧が吹きあがってきていた。三嶺の奥の剣山は見えていない。疲れたので3度目の休憩は少し横になって腰をいたわる。ここで白髪小屋に水場があるかどうか調べるためスマホを起動するが、インターネットは圏外。エクセルを呼び出すが、白髪小屋の水場を調べたメモは無かった。こいつは困った。白髪小屋にたどり着いて水場がないと困る。そこで、三嶺頂上から三嶺小屋に下ってみることにする。西熊山から三嶺は近く見えるがまだ3㎞弱あり、その間にあるコルがまだ見えていないので不安だった。北側からトラバース気味にどんどん下っていき、ついに見えたコルは緩い笹原だった。楽に下っていき、やがて登り返していく。マイナーピークM6・1,760mを越え、三嶺・西峰(M7・1,860m)を過ぎるが、この時は吹きあがってきた霧で視界は閉ざされていた。時々見える三嶺頂上を目指し、14年ぶりの三嶺頂上に到達。大きな三角点に頂上標識。縦走路は南の急な細尾根を下降するのだが、まずテントザックを置き、水バッグを持って東の登山道を三嶺小屋に向かう。
三嶺頂上の東側は美しい緑の台地になっており、その東端付近に池と三嶺小屋がある。まるで箱庭のよう。だが、三嶺小屋には誰もおらず、水場の標識もなかった。登山道を更に下れば、途中のどこかに水場があった記憶があるのだが、頂上台地からの下りは急で、これ以上、下降したくなかった。そこで池の水を汲み、煮沸して使うことにするが、池の水を水バッグに入れるのは意外に難しく、1リットルも汲めなかった。ポカリスエットがまだ4本(2リットル)あるから、それを使えばいいと思ったが、ポカリスエットを沸かして料理を作っても味はどうだろう。それに、翌日の水がなくなってしまう。くどくどと考えながら三嶺頂上に戻り、横になって少し休み、頭を冷やしてから縦走路に向かう。
三嶺から南に下る道はすさまじい傾斜の細尾根で、ロープを握って下っていくと、途中に大きな岩がある。それはたぶん天狗塚付近から見えていた三嶺の三つのピークのうちの一つ、三嶺・南峰(M9・1,750m)に違いない。その岩峰の上に登る道があったが、登山道は岩峰の左(東)側をトラバースしており、それを辿る。白い花はハタザオ?紫のタチツボスミレ、鎖の脇にヤクシソウ、この黄色い花はコナスビかな。その先で尾根は幅の広い灌木の中の道となるが、なおもぐんぐん下っていき、はるか下に見えていたカヤハゲ(東熊山1,720m)よりも更に低く下っていく。どうせあれも登らないといけないので憂鬱。笹原のコル1,660mから登り返したのはその手前にあるM10・1,680mで、そこからコル1,750m(やはり広い笹原)に下り、辛抱の登り返し。ようやくたどり着いたカヤハゲ(東熊山1,720m)の頂上は縦に長い笹原で、西に下る道の分岐標識があった(さおりが原=白髪山の西)。三角点に似た石標があるが、三角点ではない。笹原に横になってゆっくり休憩。いったん全てを隠していた白い霧は再び部分的に晴れてきて、三嶺や天狗塚が見えていた。道標の裏にあった熊鈴を鳴らして行く。
カヤハゲ(東熊山1,720m)から下ったコルも笹原で、そこから灌木の尾根をゆっくり登っていく(もうゆっくりしか登れない)。韮生越(にろうごえ1,730m)の頂上直下には白い縦筋が何本か見えていたがそれは急斜面の残雪跡のような縦の窪みで、それが登山道だった。その道の上は柔らかく傾斜がきついので、ずり落ちないように足を踏ん張り、スティックも支えにして登っていき、韮生越(にろうごえ1,730m)にようやく到達。白髪山への分岐標識は頂上を少し下ったところにあった。ただし、南2㎞のところにある白髪山は霧で全く見えていなかった。ここからはもう下るのみなので、休まずに先に進む。バイケイソウの白い花。白髪小屋は韮生越(にろうごえ1,730m)頂上から300m強のところにあり、そこは広い笹原になっていて、笹の切り分けを進むと小屋が見え、その手前に何かの標識が見えた。やった!あれは水場の表示に違いないと直感したが、その直感は当たっていた。そして、その水場の表示を見たときは心底ほっとした。テント・ザックをそこに下ろし、水バッグから池の水を捨て、背中にしょって南の切り分けを下る。急斜面に出ると沢音が聞こえた。よし、確かに水がありそうだ。沢音がこんなに心地よく聞こえるとは。表示には50mくらいとあった水場は遠く、不安定な急斜面を慎重に下り、途中から右下(南西)に見えていた沢筋に下り、そこで虫にたかられながら水を汲む。沢筋に咲いていたのはハコベ?虫スプレーを噴霧したのは水を汲み終わってから。そして戦利品を背中にしょって(水バッグ2リットル・プラス・ポカリ・ペットボトル500ミリ)登り返し、テント・ザックを回収して白髪小屋に入る。人がいたらテントにしたかもしれない(テント・サイトらしきくぼみが数ヶ所あった)が、無人だった。まあ、小屋に泊まる方が手間が省けてずいぶん楽だ。
カヤハゲ(東熊山1,720m)から下ったあたりから鹿が時々姿を現わしていたが、白髪小屋の周辺にも鹿が何匹も歩き回り、鳴き声が聞こえていた。トイレのために外に出ると近くにいた鹿が走って逃げていく。小屋に入り、まだ夕暮の明かりでいつもの夕食(野菜スープの雑炊)を2回に分けて作り、ゆっくり食べる。夕食の時まで鳴らし続けていたウォークマンを止め、シュラフに入って就寝。翌朝は3時のアラームをセットしたが、就寝は20時頃だったので7時間眠れる。この日は途中で霧が出たが、それまでは良い天気で、四国の山をたくさん見ることができた。水を探し回ったのはくたびれもうけだったが、最終的に水を確保でき、幸運だった。これまた良い思い出になるだろう。
D2
なにやら夢を見ていて3時のアラームで目覚めるが起きられず、起き上がったのは3時半過ぎ。それからいつものように湯を沸かし、カップラーメンとカフェオレを作る。テントがないだけ片付けは楽で、小屋を出たのは4時半過ぎ頃。もうすっかり明るくなっており、ヘッドランプは不要。剣山の向こうの空が朝焼けになっていたが、空には雲がかかっていて景色はどんよりしている。剣山までまだ12㎞(GPSで見た直線距離は8㎞程度)とあるのでやや急ぎ足で進むが、縦走路は尾根の南斜面をトラバース気味に進んでいく。尾根の上に登り返したところがM13・1,692mだが林の中。その先で広い笹原の尾根道となり、三角点のあるM14・1,701mには平和丸という頂上標識があった。その次のM15・1,732mは広い笹原の頂上の山で、三嶺からも目立って見えていたが標識はなし。標高点1,732mがあるのは西ピークだが、東ピークの方がやや高く見える(地理院地図では1,730~40mの等高線内)。しかし縦走路はそのM15・東ピークの南側をトラバースしていくので、東側で尾根上に戻ったところでM15・東ピークまで空身で登ってみる。もちろん四周が見渡せたが、空が曇っているので景色はいまいち。狭い灌木尾根になっているM16・1,738mにはオオヤマレンゲ群落の案内標識が立っており、三好市の天然記念物標柱というのも立っていたが、花はまだ咲いていない。ここで最初の休憩。パンを食べる。その少し先に中東山(2.2㎞)、石立山(6.2㎞)への分岐標識があったが、道はヤブ気味のようだった。
細尾根を辿って登り返したところが高ノ瀬1,741mで、三角点があり、この日の縦走路では剣山とジロウギュウを除き、一番高い。笹原に灌木が少々生えていて景色はいまいちだが、ジロウギュウはずいぶん近くなった。高ノ瀬からの下りには細い岩尾根があり、その北側のロープ場を下ってコルに至ると水場表示あり(200m足元注意とある)。登り返したM18・1,604mはまばらな灌木の草原だったと思うが、それと気づかずに通過。次のM19・1,580mは林の中のピークで奥祖谷かずら橋(2.4㎞)への分岐標識が立っていた。そしてそのすぐ先に丸石小屋があった。白髪小屋と同じスタイル。その丸石は剣山の手前に見えていたきれいな緑色の長い頂稜の山だった。林の中を登って丸石に向かう間に日が差してきて、サングラスをかける。そして林を抜け、東側の展望が広がる丸石頂上1,684mに到達。ここにも三角点あり。すっかり晴れ渡って快晴の空の東に大きくせりあがっているジロウギュウが実に見事。早朝には雲が全天を覆っていたのに、こんなに晴れるとは、とても幸運だった。この機会を逃すまい。灌木で視界が限られている丸石頂上にテントザックを置き、縦走路から外れている丸石の北峰に向かう。それは縦走路から見えていたあのきれいな緑色のピーク。笹原の中に切り分けが走っており、それを辿って丸石・北峰1,670mに到達。そこから四周の絶景を心ゆくまで眺め、撮影した。
丸石に戻って2度目の休憩をとり、カシュナッツを齧る(今回はナッツを持ってくるのを忘れていて、ザックに残っていたのはこれだけ)。そして、丸石からいよいよジロウギュウに向かう。コル1,580mまで下り、ジロウギュウ1,930mまで登り返す標高差350mは縦走路中では最大だが、道は歩きやすい。見上げるジロウギュウは緑の巨体に岩肌を見せ、迫力満点。下る途中で登ってくる二人に遭遇。今回の縦走で会った最初の人たち。ずいぶん軽装に見えたが、丸石からどちらに向かったのだろう。辛抱強く尾根を登ってマイナーピークをいくつか越し、トラバース路分岐を通過。もうジロウギュウの頂上は山腹の蔭で見えず、ジロウギュウ西尾根の途中に見えていた大岩のところに登ると、大岩の下が涼しそうな日影になっていたので、そこでザックを下ろし、横になって3度目の休憩。丸石からずっと日向だったので、日影の涼しさが心地よかった。大岩から先はずいぶん傾斜が楽になり、すいすいとジロウギュウの北峰1,910mに到達。そこは剣山からの登山道との合流点になっていて、標識が立っている。行く手のジロウギュウ頂上にはそのとき誰もいなかったが、剣山からの登山道から登ってこようとしている人が見えたので先を急ぎ、16年ぶりのジロウギュウ頂上に到達。残念ながら、16年前に見た地蔵尊は無かったが、少し先に(16年前に気づかなかった)ジロウギュウの三角点を発見。それは金属製の四等三角点だった。更に奥に、ジロウギュウの南峰1,920mまで行ってみる。そこに立っていた標識は「山の家奥槍戸(剣山トンネル)への登山道」に関する注意書きだった。
ジロウギュウ頂上に戻るとパーティがぞくぞくとやってきていて、記念撮影で盛り上がっていた。私ももう一度頂上標識を撮影し、ジロウギュウから縦走最後の目的地、剣山に向かう。16年ぶりの剣山はすっかり晴れ渡った青空の下で明るい緑に包まれていた。その頂上に続く緩やかな登山道。16年前、見ノ越峠から最初に見えたジロウギュウは鋭角三角形のまさに剣のような姿をしていて、剣山も見る方角によってはそんなふうに見えるのではと思ったのだが、ジロウギュウから見る剣山(16年前は霧が出て見えなかった)は鋭角の姿ではなかった。ジロウギュウから剣山はすぐ近くに見えるが1.5㎞あり、コル1,770mからの標高差は185m。丸石からジロウギュウへの登り返しに比べると大したことないが、大勢の人が歩くためか、道はやや歩きにくい。ジロウギュウの頂上からカメラ・スタンドをもった人が同じ道を歩いていて、途中で追い越していくだろうと思ったが、追いついてこず、途中で座って休んでいた。やはり快晴の陽射がきついのだろう。この日の私は(というか四国での私は)登りではスピードが落ちるが、ペースを保ち、立ち止まって休むこともなく歩き続けた。心肺機能が少し回復・強化されたのだろう。ただし、何度か立ち止まり、周囲の景色を撮影。剣山の東には一ノ森の尾根が続き、西には三嶺と天狗塚が並んでおり、南西には頂上南側の笹原が白く見える白髪山が見えている。いずれも思い出深い山ばかり。そして、これまた16年ぶりの剣山頂上に着く。
そこには広い木道に囲まれたケルンがあり、平たく積み上げられたケルンには締縄が巻かれていて、その中に大きな一等三角点が見えている。だが、木道の両側にロープが張られていて近くには行けない。仕方ないのでズームで一等三角点を撮影。頂上標識が二つ。どちらもだいぶくたびれているように見える。剣山の頂上の特徴はなんといってもその広大さで、一等三角点と頂上標識のある南端から北に、標高1,950mの平らな頂上部が長さ150m、幅30mで広がっており、更にその周りの標高1,940m以上の部分は長さ300m、幅100mまで広がり、そこには神社やヒュッテの立つエリアがある。のんびり広い木道を歩き、途中のベンチで4度目の休憩。陽射はきついが登り返しで腰が痛くなっていて、ベンチで横になって腰をいたわる。剣山への登り返しのときにジロウギュウに向かって降りてゆく人に会ったが、この広い剣山頂上にはこのときは誰もいなかった。もう下るだけだが、剣山の二つの神社に寄っていく。まずは頂上北端にある宝蔵石神社。大きな白い石が御神体で、階段を下った北側に鳥居が立っている。宝蔵石神社の隣(東側)には剣山頂上ヒュッテがあり、なにやら工事中だった。宝蔵石神社におまいりして登山道を下り、分岐を左に入って大剣神社に向かう。大剣神社は16年前に行きそこなったところで是非寄っておきたかった神社だが、距離500m弱の下りは陽射が強くて辛かった。まず御神体の尖った大岩が現われ、そこから下ったところに大剣神社があり、その背後に一回り大きな尖った大岩が見えている。縁結びの御利益があるらしいが、建物はちょっとくたびれて見える。大剣神社にお参りし、登山道を下る。尖った黄色い花はマンネングサ。
大剣神社から登山口までの2㎞弱も長く感じた。最初はほとんど平行トラバースの陽射の強い道。やっとリフト頂上駅に着き、そこからは林の中の道になり陽射をしのげるようになる。16年前、下る途中でリフトの下をくぐった覚えがあり、リフトの動く音が聞こえてくるともうすぐかなと思ったが、なかなか着かなかった。リフトが動いているのが樹間に見えるようになり、やっとその真横に出て、天井の低いトンネルでリフトの下をくぐる。登山道の途中に神社の建物の一つがあったが、その先できれいに小石が敷き詰められた広い境内に出る。そこの本殿にお参りし、その隣にある窓口でお守りを購入。大剣神社の開運お守り、剣山神社の交通安全お守り、それに剣山バッジ。3つで2,100円だったかな。ここは剣山神社と大剣神社のどちらなんですかと聞くと、両方ですと言われた。御神体は違うが、祭っている神社は一つということだろうか。長い石段を下りて登山口に着くとき、若い夫婦が追い付いてきたが、彼らは下の駐車場に向かったようだ。そこから車道を少し登り返して剣山リフトPに向かうと、途中に店があり、背後からやってきた男性二人はそこでアイスクリームを買っていた。暑いから買いたくなるところだが、私は買わずにMTBに向かう。
さて、あとはMTBで20㎞を下るのみ。途中に少し登り返しがあり、GPSでは累積300mと出ているのがちょっと気がかり。テントザックと登山靴は駐車場に置いていくことにする。剣山リフトPから空身でMTBに乗り、見ノ越からは急な車道の下りだが、舗装路面が荒れているのでスピードを出せない。ブレーキかけっぱなしでカーブを曲がる。サングラスをかけていたが木陰にはいると何も見えなくなるのでサングラスを半分上げていく。途中の登り返しはたいしたことはなく、3段か4段で軽く漕いでクリア。工事中で未舗装になっている部分も無難に通過。だが、困ったのは前輪の空気がえらく抜けていたこと。こいつはパンクしてるなと思ったが、どうしようもないのでそのまま走る。幸い、手で押さえるとややへこんでいることが分かる前輪の状態はそれ以上悪くならず、最後までぺしゃんこにはならずに走り切れた。奥祖谷かずら橋を過ぎ、名頃ダムの先にある三嶺登山口のところで休止。干支(えと)観音堂の標識がある。ここで約半分。そこからは下り傾斜は緩くなるが、登り返しはたいしたことなし。眼下の祖谷川は透明な流れの底が緑がかって美しい。工事中のところをいくつか過ぎ、久保の左折地点は登山口表示がないため、いったん行き過ぎてしまい、引き返して脇道(団体営農道?)に入る。祖谷川を渡るとき、眼下に強烈な渓流が見えていたので、せっかく下ってきてスピードが出ていたのに橋の上で停止して撮影。橋から先は登り返しで、前ギヤも落として登りにかかるが、急坂を登る力は残っておらず、300mくらい歩いて登り、駐車地点に到着。ご苦労さん。前ギヤを1段に戻すため、もう一度MTBに乗ってギヤチェンジ。今回の縦走は26㎞(=12+14)を23時間(=12.5+10.5)、MTBは20㎞を1時間。R439は滑らかではないがずっと下り坂で、このルートはまさにツーリング向きと言えそうだ。
MTBを車に乗せ、着替え、見ノ越にテントザックを回収しに行く。奥祖谷かずら橋の付近に咲いていた大きな赤い花はジギタリス。もう17時の剣山リフトPは閑散としていて、ザックを回収してからカーナビの設定。温泉はR438沿いの山間部のもので、ちゃんと営業していた。上板SAに入り、食事中に深夜を回るが、それでもゆっくり四国の最後の夜を過ごす。
D1
天狗塚登山口(標高620m)
フタリシズカ
植林斜面
天狗塚登山口(標高1,130m)
天狗塚
初めて見えた三嶺
M2・1,800mの新しい標識
アカタテハ
天狗塚の頂上標識(背景は天狗峠、三嶺(中央奥)、剣山とジロウギュウ(右奥))
キバナツクバネウツギ
ツマトリソウ
天狗塚
キンポウゲ
西熊山と三嶺
天狗峠の道標
西熊山
三嶺
三嶺
ニガナ
西熊山とお亀岩避難小屋
ヤクシソウ
西熊山の頂上標識
西熊山から東の縦走路(いちばん奥が三嶺)
キンポウゲ
三嶺の広い頂上、三角点、頂上標識と道標
三嶺頂上の池と避難小屋、箱庭みたい
東の登山道から見る三嶺、木々に覆われている
剣山とジロウギュウ
三嶺から東の縦走路:塔丸、三嶺避難小屋、丸笹山、剣山、ジロウギュウ、丸石、高ノ瀬、平和丸、韮生越(雲の中)、カヤハゲ
ハタザオ?
タチツボスミレ
三嶺から南の縦走路への下降
ヤクシソウと鎖
縦走路から見上げる三嶺・南峰の岩峰
コナスビ
カヤハゲ付近から東の縦走路(剣山、ジロウギュウ、高ノ瀬)
三嶺と縦走路のある南尾根
カヤハゲ(東熊山1,720m)頂上
韮生越(にろうごえ1,730m)頂上に向かう直線の道
道標の裏の熊鈴
韮生越(にろうごえ1,730m)頂上
韮生越(にろうごえ1,730m)から白髪山への分岐道標
バイケイソウ
白髪小屋の水場表示
たどり着いた水場
ハコベ?
白髪避難小屋
D2
剣山とジロウギュウの夜明け
夜明の白髪避難小屋
白髪山と韮生越(にろうごえ)
笹原になっている白髪山の南斜面
平和丸1,701mの頂上標識(背景は三嶺)
ツマトリソウ
三嶺
M16・1,738m峰の分岐道標(石立山、中東山)
M16・1,738mから北の景観:寒峰、烏帽子山、矢筈山、黒笠山
高ノ瀬の頂上標識(背景は石立山)
丸石避難小屋
緑が美しい丸石・北峰
丸石の手前から東の景観:丸石、丸笹山、剣山、ジロウギュウ
丸石の頂上標識(背後は丸石・北峰)
丸石・北峰から北の景観:塔丸、見ノ越峠、丸笹山、剣山
丸石・北峰から東の景観:剣山、ジロウギュウ、丸石
北から見る丸石
白髪山
三嶺
ジロウギュウ
剣山
ジロウギュウ西尾根の大岩
ジロウギュウの頂上標識(背景右は三嶺)
ジロウギュウから見る剣山
ジロウギュウから北西の景観:寒峰、塔丸、烏帽子山、矢筈山、黒笠山
ジロウギュウから西の景観:中東山、白髪山、韮生越、高ノ瀬、カヤハゲ、天狗塚、丸石、西熊山、三嶺
丸笹山
ジロウギュウから見る剣山
剣山から西の景観:白髪山、丸石、高ノ瀬、韮生越、カヤハゲ、天狗塚、三嶺
剣山の頂上標識
剣山頂上のケルン
宝蔵石
剣山本宮
大剣神社の御神体
大剣神社
マンネングサ
剣山神社の入口(登山口)に帰着
剣山リフトP
MTBでR439を西に下る
祖谷川の透明な流れ
久保・駐車地点でMTB収納
ジギタリス
見ノ越峠から見るジロウギュウ