景鶴山 雪の刃渡り頂上に登り、ケイズル沢上部を滑走
新潟県 2004m 2019年5月3日
日本三百名山
400
薄い青空
まだ冷たい風
山の木々には春の息吹
そして山の旅人たち
☼☼☼☼☼
山ノ鼻でシールを貼って広大な尾瀬ヶ原を東に向かう。尾瀬ヶ原を燧岳に向かって続く道、半分雲の青空。雪原のはるか遠くを歩いている人が幾人か見え、ときどきすれ違う。
景色に気を取られながら雪原を調子よく歩いていて、木道の脇の水にはまる。ソックスが濡れて気持ちが悪く、意気消沈。だが、こんなところで止めるわけにはいかない。濡れたソックスを力いっぱい絞り、まあまあ、最悪の状態ではない。
林の中でいかにも沢がありそうなところには下ノ大堀川の橋があった。この橋も橋桁が取り外されており、手摺が無いのでいったん戻ってシートラにし、ストックでバランスをとりながら恐る恐る通過。
ヨッピ橋は思ったよりも小さな吊り橋で、橋桁が取り外され、三本の鉄の梁のみだが、両側に手摺があるので、その手摺を両手でもち、真ん中の梁を歩いて渡る。下にごうごうと水が流れているのはプレッシャーだが、手摺と梁に集中し、思ったより楽に渡れた。
GPSで用意してきたのは与作岳経由のルートだが、途中で上ヨサク沢を渡渉したあとも踏み跡は景鶴山に向かい、結局それは、与作岳に寄らず、直接、景鶴山に登るルートだった。だがそのルートの踏み跡は明瞭で、登山禁止の山に、これだけの踏み跡があるとは思わなかった。
標高1,600m付近で右の尾根に取付く。踏み跡は尾根の西側をつづら折りに登って、標高1,910mの東西稜線に到達。そこには与作岳から来る太い踏み跡があった。こんなにも大勢の人たちが登っているのか。驚き。そこから西に景鶴山の薄っぺらい刃渡り頂上が立ち、そこに向かう踏み跡もたくさんある。
狭い頂上稜線を登り、ついに景鶴山の頂上標識に到達。幅1.5mほどの狭い刃渡り頂上にシートラ・ザックを下ろし、南に広がる尾瀬ヶ原、北に見える平ヶ岳などを見渡す。左右に燧岳と至仏山が立ち、あの広大な尾瀬ヶ原が眼下の視界いっぱいに見えている。その真っ白なキャンバスの上に描いた模様のように見える沼尻川やヨッピ川。正面にはアヤメ平や横田代の高原の上の雪原。春の日の、雪の尾瀬の大展望。
GPSによると、最高点2004mはもう一つ西のピークなので、空身でそこまで行こうとしたが、雪が切れているように見え、踏み跡もないようなので止めておく。まあ、頂上標識のあるここが景鶴山頂上としていいだろう。少なくとも標高2,000m。
シートラ・スタイルでP1の下の滑走開始点まで下り、バックルを締め、滑走開始。ケイズル沢の谷の上部にショート・ターンを刻む。青空の下の真っ白な急斜面の雪は適度な硬さで、気分爽快のショート・ターン。辛かった登りの疲れを吹き飛ばす。
谷を下ると途中に大きな割れ目があるので、東にトラバース滑走し、登りトレースに合流。まばらな木々の間を縫って豪快に滑走。そして尾根取付き点に到達。はるか上に小さく見える景鶴山の頂上。ついにあそこに登ったのだ。
****
東西に薄っぺらい山だが、南側が切れ落ちているのに対し、北の背中側は樹木に覆われている。至仏山からはその刃渡り頂上の黒い岩峰と、南側に切れ落ちている白いケイズル沢を見るが、翌日登った横田代とアヤメ平からは、滑走したケイズル沢を正面から見た。
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この登山については、「TakaseWebEcho山歩きと山岳写真集」の記事およびアドバイスを参考にしました。ありがとうございます。************************
ヨッピ橋までは遠かった。尾瀬ヶ原は広大で、しかも油断できない。雪解けの湿原に足を取られ、濡れたソックスで一日我慢する。
この日の朝の山ノ鼻への道は凍っていて、スキーはよく滑った。ただしでこぼこがあって油断禁物。急なところを滑り降りた平坦なところのデコボコにスキーをとられ、転倒。このとき打った左足が数日間、痛んだ。歩きや滑走には支障なし。平ヶ岳の往路のときは登り返した沢に近接する箇所は、復路のときは沢沿いのルートができていて、そこを通過したが、今回は雪が消えていて通りにくそうだったので、スキーを担いで斜面に登り返し、上から滑走。後半の平坦な部分もストックで押しただけで十分に滑った。
山ノ鼻でシールを貼って広大な尾瀬ヶ原を東に向かう。尾瀬ヶ原を燧岳に向かって続く道、半分雲の青空。二つの橋(川上川、上ノ大堀川)を渡る時にスキーを担ぐ。雪解けで橋げたが見えている。雪原のはるか遠くを歩いている人が幾人か見え、ときどきすれ違う。やがて左の山に隠れていた与作岳と景鶴山が順に見えてきて、景色に気を取られながら雪原を調子よく歩いていて、東電小屋分岐を見逃し、左折せずに直進。そこで水に浮いた木道の上を歩いて渡ろうとしたが木道が水に沈んで渡れず、戻ろうとしたときに木道の脇の水にはまる。右足ブーツに水が入り、抜け出そうとして左足ブーツにも水が入ってしまった。近くにいた人は、「私もはまりました」と語る。そのあたりは雪解けが進んでいるらしく、その後、はまっている人を何人か見た。大きく回りこんだ先で休憩にし、ブーツを一つづつぬいでソックスの水を絞り、再びソックスをはく。腰を下ろすと、スキーブーツがやけに簡単に外れた。立ったままだとなかなか抜けないのに、座ってブーツの着脱をするようになっているのだろうか。ソックスが濡れて気持ちが悪く、意気消沈。昔、南八甲田・赤倉岳で渡渉しようとして水が入った時は、替えのソックスに履き替えたが、今回はなし。だが、こんなところで止めるわけにはいかない。濡れたソックスを力いっぱい絞り、まあまあ、最悪の状態ではない。
GPSを確認し、東電小屋へのルートを外れていることに気づき、引き返すのではなく、北に向かう。また水にはまりたくないので、あやしいところを大回りに迂回してゆき、やがてGPSマークのところで踏み跡に遭遇。林の中でいかにも沢がありそうなところには下ノ大堀川の橋があった。この橋も橋桁が取り外されており、手摺が無いのでいったん戻ってシートラにし、ストックでバランスをとりながら恐る恐る通過。橋の先の木道も雪が半分融けていて、慎重に歩き、雪原に出てからもそのままシートラで進む。どうせヨッピ橋はこれで渡らないといけない。ヨッピ橋まで1㎞強の間に、追い付いてきた男性一人に追い越される。その人もヨッピ橋を渡り、景鶴山に登っていったが、山に入った後は会わず。
ヨッピ橋は思ったよりも小さな吊り橋で、橋桁が取り外され、三本の鉄の梁のみだが、両側に手摺があるので、その手摺を両手でもち、真ん中の梁を歩いて渡る。下にごうごうと水が流れているのはプレッシャーだが、手摺と梁に集中し、思ったより楽に渡れた。渡った先で2度目の休憩。ナッツを食べたと思う。休憩していたさきほどの男性が先に行く。ヨッピ橋の南側には夫婦連れらしき人が食事準備していたが、彼等も景鶴山に登りに来ていたのだろうか。GPSで用意してきたのは与作岳経由のルートだが、男性の向かった踏み跡を進むと、景鶴山にまっすぐ向かっていく。どこかで与作岳方面に向かうのかもしれないと思ったが、途中で上ヨサク沢を渡渉したあとも踏み跡は景鶴山に向かい、結局それは、与作岳に寄らず、直接、景鶴山に登るルートだった。だがそのルートの踏み跡は明瞭で、登山禁止の山に、これだけの踏み跡があるとは思わなかった。上ヨサク沢の渡渉点は水が出ていたので少し上流側に回り、今にも壊れそうなスノーブリッジを渡る。復路時には、もっと上流のスノーブリッジを楽に渡っているトレースがあり、それを通過した。
踏み跡をたどっていくとやがて林を抜け、行く手の見上げるような谷(ケイズル沢)の上に景鶴山の頂上岩峰が見えてくる。踏み跡はその谷をなおも進んで高度を上げてゆき、標高1,600m付近で右の尾根に取付く。踏み跡は尾根の西側をつづら折りに登って標高1,750mのテラスに上がり、3度目の休憩。そこから尾根の背付近をまっすぐ登って標高1,910mの東西稜線に到達。そこには与作岳から来る太い踏み跡があった。こんなにも大勢の人たちが登っているのか。驚き。そこから西に景鶴山の薄っぺらい刃渡り頂上が立ち、そこに向かう踏み跡もたくさんある。おりしも、頂上方面からスキーで滑り込んできた人がいたが、その人は西側から景鶴山に登ってきた人で、そこにスキーとザックをデポし、ピッケル片手に景鶴に登ってきた。私は相変わらずシートラで登り続けるが、どこを滑るか周囲を検分。頂上のケイズル沢の上部がよさそうだが、頂上直下は雪が切れているので、標高1,950m(P1)付近からの滑走開始がいいだろう。頂上稜線を更に登ると、北側に急な一枚バーンがあり、短いがそこも滑走候補。ただし、誰も滑ってないし、登り返さないといけなくなるかもしれない。三つ目の滑走候補はケイズル沢の西側上部で、そこには滑走トレースが見えた。しかしそこを滑ると、途中に大きな割れ目や雪解け部分に遭遇しそうだ。
狭い頂上稜線を登り、いくつかのマイナーピーク(P1・1,950m、P2・1,990m)を越え、ついに景鶴山の頂上標識に到達。幅1.5mほどの狭い細長い刃渡り頂上にシートラ・ザックを下ろし、南に広がる尾瀬ヶ原、北に見える平ヶ岳などを見渡す。左右に燧岳と至仏山が立ち、あの広大な尾瀬ヶ原が眼下の視界いっぱいに見えている。その真っ白なキャンバスの上に描いた模様のように見える沼尻川やヨッピ川。正面にはアヤメ平や横田代の高原の上の雪原。春の日の、雪の尾瀬の大展望。GPSによると、最高点2004mはもう一つ西のピークなので、空身でそこまで行こうとしたが、雪が切れているように見え、踏み跡もないようなので止めておく。まあ、頂上標識のあるここが景鶴山頂上としていいだろう。少なくとも標高2,000m。すぐ後にきた男性と言葉を交わす。男性の使っているスキーは登山用のスキーで、滑走よりも縦走重視の山旅をしているという。山ノ鼻から猫又川を渡って背中アブリ山を越えてきたというから、踏み跡の全くないところを来たのだろうか。すごいことだ。私は腰を下ろし、テルモスのホットレモンを飲もうとしたが、両側が切れ落ちた頂上ではどうも落ち着かない。ものを置くとおっこちそうだ。そこでシートラ・スタイルでP1の下の滑走開始点まで下る。
P1でザックを下ろしていると、下から登ってくる男性に会う。今日は天気がいいから、たくさん来るだろう。そしてバックルを締め、滑走開始。左足が痛いので、バックルをいつもの4つ目まで締めず、2つ目までにしておく。そしてケイズル沢の谷の上部にショート・ターンを刻む。ただし、滑走トレースはほとんど見えないのが残念。青空の下の真っ白な急斜面の雪は適度な硬さで、気分爽快のショート・ターン。足がちょっと痛い。辛かった登りの疲れを吹き飛ばす。途中で停止して振り仰ぐと、切り立った頂上に小さな人影が見える。さっきまであそこにいたのだ。谷を下ると途中に大きな割れ目があるので、谷の東側の尾根筋を下ろうと思ったが、GPSを見るとその尾根筋の下に崖マークがある。止めておいた方がよさそうだ。そこで東にトラバース滑走し、沢筋を二つ越えて往路の登りトレースに合流し、登りトレース沿いに滑走。まばらな木々の間を縫って豪快に滑走。木々の間の雪は柔らかく、滑りやすい。そして尾根取付き点に到達し、4度目の休憩。豪快に滑って腰が痛い。はるか上に小さく見える景鶴山の頂上。ついにあそこに登ったのだ。
尾根取付きから下はビンディングのかかとを外して歩き滑り。私の後からスキーで登った人がいたらしく、スキー・トレースがあり、それを辿って心配していた上ヨサク沢のスノーブリッジを楽に通過。林を抜けてヨッピ橋に着き、シートラで往路と同じようにして渡り、対岸で5度目の休憩。そこからもスキーの歩き滑りで進み、シートラで下ノ大堀川の橋を渡り、東電小屋分岐に着いて休憩(6度目)。このときも人々が行きかっていた。その後の二つの橋はきちんとシートラにして渡る。朝よりも雪解けが進み、橋は渡りにくくなっていた。大勢の人が行き交う山ノ鼻に着き、トイレに寄り、シールを貼り、休憩してから鳩待峠に向かう。シートラで歩いている間にだいぶシールは乾いていた。
今回は明るいうちに鳩待峠に向かい、前々回(平ヶ岳のとき)ほど疲れていなかったが、前々回と同じ中間点(テンマ沢)付近と3/4地点(ヨセ沢)付近で休憩したと思う。ヨセ沢付近では雪の土手からの急な下りが数ヶ所あり、前々回のヘッドランプではこの下りに気づかず、上へ上へと登ったのだと分かる。前回(至仏山の帰り)にシールが外れた急坂も今回はうまく通過。だが、終盤はシールがだいぶ濡れていたと思う。鳩待峠に着き、前々回、前回と同じく、トイレに寄ってから駐車場に戻る。
****
数日前に平ヶ岳に登った時は、西から見た三角形の景鶴山と、北から見た景鶴山の背中を見た。東西に薄っぺらい山だが、南側が切れ落ちているのに対し、北の背中側は樹木に覆われている。至仏山からはその薄っぺらい頂上の黒い岩峰と、南側に切れ落ちている白いケイズル沢を見るが、翌日登った横田代とアヤメ平からは、滑走したケイズル沢を正面から見た。翌々日の大杉岳からは、東側から、平らな与作岳の上に、小さな鋭鋒の姿の景鶴山を見る。
朝の駐車場と至仏山
この日の朝の山ノ鼻への道は凍っていて、スキーはよく滑った。ただしでこぼこがあって油断禁物。急なところを滑り降りた平坦なところのデコボコにスキーをとられ、転倒。このとき打った左足が数日間、痛んだ。歩きや滑走には支障なし。平ヶ岳の往路のときは登り返した沢に近接する箇所は、復路のときは沢沿いのルートができていて、そこを通過したが、今回は雪が消えていて通りにくそうだったので、スキーを担いで斜面に登り返し、上から滑走。後半の平坦な部分もストックで押しただけで十分に滑った。
山ノ鼻手前の橋(橋0)
山ノ鼻のテント場
尾瀬ヶ原の道と燧岳と半分雲の青空
山ノ鼻でシールを貼って広大な尾瀬ヶ原を東に向かう。二つの橋(川上川、上ノ大堀川)を渡る時にスキーを担ぐ。雪解けで橋げたが見えている。雪原のはるか遠くを歩いている人が幾人か見え、ときどきすれ違う。やがて左の山に隠れていた与作岳と景鶴山が順に見えてきて、景色に気を取られながら雪原を調子よく歩いていて、東電小屋分岐を見逃し、左折せずに直進。そこで水に浮いた木道の上を歩いて渡ろうとしたが木道が水に沈んで渡れず、戻ろうとしたときに木道の脇の水にはまる。右足ブーツに水が入り、抜け出そうとして左足ブーツにも水が入ってしまった。近くにいた人は、「私もはまりました」と語る。そのあたりは雪解けが進んでいるらしく、その後、はまっている人を何人か見た。大きく回りこんだ先で休憩にし、ブーツを一つづつぬいでソックスの水を絞り、再びソックスをはく。腰を下ろすと、スキーブーツがやけに簡単に外れた。立ったままだとなかなか抜けないのに、座ってブーツの着脱をするようになっているのだろうか。ソックスが濡れて気持ちが悪く、意気消沈。昔、南八甲田・赤倉岳で渡渉しようとして水が入った時は、替えのソックスに履き替えたが、今回はなし。だが、こんなところで止めるわけにはいかない。濡れたソックスを力いっぱい絞り、まあまあ、最悪の状態ではない。
川上川の橋(橋1)
雪の融けた湿原
上ノ大堀川橋(橋2)と至仏山
見えてきた与作岳
与作岳
見えてきた景鶴山
景鶴山の頂上
尾瀬ヶ原中央からの景観: 至仏山、背中アブリ山、景鶴山、与作岳、燧岳
尾瀬ヶ原中央から見る至仏山
下ノ大堀川のむきだしの橋(橋3)
GPSを確認し、東電小屋へのルートを外れていることに気づき、引き返すのではなく、北に向かう。また水にはまりたくないので、あやしいところを大回りに迂回してゆき、やがてGPSマークのところで踏み跡に遭遇。林の中でいかにも沢がありそうなところには下ノ大堀川の橋があった。この橋も橋桁が取り外されており、手摺が無いのでいったん戻ってシートラにし、ストックでバランスをとりながら恐る恐る通過。橋の先の木道も雪が半分融けていて、慎重に歩き、雪原に出てからもそのままシートラで進む。どうせヨッピ橋はこれで渡らないといけない。ヨッピ橋まで1㎞強の間に、追い付いてきた男性一人に追い越される。その人もヨッピ橋を渡り、景鶴山に登っていったが、山に入った後は会わず。
ヨッピ吊橋(橋4)
ヨッピ橋は思ったよりも小さな吊り橋で、橋桁が取り外され、三本の鉄の梁のみだが、両側に手摺があるので、その手摺を両手でもち、真ん中の梁を歩いて渡る。下にごうごうと水が流れているのはプレッシャーだが、手摺と梁に集中し、思ったより楽に渡れた。渡った先で2度目の休憩。ナッツを食べたと思う。休憩していたさきほどの男性が先に行く。ヨッピ橋の南側には夫婦連れらしき人が食事準備していたが、彼等も景鶴山に登りに来ていたのだろうか。GPSで用意してきたのは与作岳経由のルートだが、男性の向かった踏み跡を進むと、景鶴山にまっすぐ向かっていく。どこかで与作岳方面に向かうのかもしれないと思ったが、途中で上ヨサク沢を渡渉したあとも踏み跡は景鶴山に向かい、結局それは、与作岳に寄らず、直接、景鶴山に登るルートだった。だがそのルートの踏み跡は明瞭で、登山禁止の山に、これだけの踏み跡があるとは思わなかった。上ヨサク沢の渡渉点は水が出ていたので少し上流側に回り、今にも壊れそうなスノーブリッジを渡る。復路時には、もっと上流のスノーブリッジを楽に渡っているトレースがあり、それを通過した。
ヨッピ吊橋
ヨッピ吊橋付近から見る景鶴山
景鶴山の頂上付近
ヨッピ吊橋
ヨッピ吊橋近くのスノーブリッジ
雪原(1,430m付近)から見る景鶴山
景鶴山の頂上付近
尾根取付き
踏み跡をたどっていくとやがて林を抜け、行く手の見上げるような谷(ケイズル沢)の上に景鶴山の頂上岩峰が見えてくる。踏み跡はその谷をなおも進んで高度を上げてゆき、標高1,600m付近で右の尾根に取付く。踏み跡は尾根の西側をつづら折りに登って標高1,750mのテラスに上がり、3度目の休憩。そこから尾根の背付近をまっすぐ登って標高1,910mの東西稜線に到達。そこには与作岳から来る太い踏み跡があった。こんなにも大勢の人たちが登っているのか。驚き。そこから西に景鶴山の薄っぺらい頂上が立ち、そこに向かう踏み跡もたくさんある。おりしも、頂上方面からスキーで滑り込んできた人がいたが、その人は西側から景鶴山に登ってきた人で、そこにスキーとザックをデポし、ピッケル片手に景鶴に登ってきた。私は相変わらずシートラで登り続けるが、どこを滑るか周囲を検分。頂上のケイズル沢の上部がよさそうだが、頂上直下は雪が切れているので、標高1,950m(P1)付近からの滑走開始がいいだろう。頂上稜線を更に登ると、北側に急な一枚バーンがあり、短いがそこも滑走候補。ただし、誰も滑ってないし、登り返さないといけなくなるかもしれない。三つ目の滑走候補はケイズル沢の西側上部で、そこには滑走トレースが見えた。しかしそこを滑ると、途中に大きな割れ目や雪解け部分に遭遇しそうだ。
緩くなってきた傾斜
ケイズル沢上部と雪の割れ目
燧岳
蛇行する沼尻川
稜線の合流点
稜線の先の景鶴山頂上
景鶴山の頂上
細く急な道
ケイズル沢上部と至仏山
頂上への細くて急な道
背後の与作岳と燧岳(その背後に会津駒ヶ岳と大杉岳)
景鶴山頂上
狭い頂上稜線を登り、いくつかのマイナーピーク(P1・1,950m、P2・1,990m)を越え、ついに景鶴山の頂上標識に到達。幅1.5mほどの狭い細長い頂上にシートラ・ザックを下ろし、南に広がる尾瀬ヶ原、北に見える平ヶ岳などを見渡す。左右に燧岳と至仏山が立ち、あの広大な尾瀬ヶ原が眼下の視界いっぱいに見えている。その真っ白なキャンバスの上に描いた模様のように見える沼尻川やヨッピ川。正面にはアヤメ平や横田代の高原の上の雪原。春の日の、雪の尾瀬の大展望。GPSによると、最高点2004mはもう一つ西のピークなので、空身でそこまで行こうとしたが、雪が切れているように見え、踏み跡もないようなので止めておく。まあ、頂上標識のあるここが景鶴山頂上としていいだろう。少なくとも標高2,000m。すぐ後にきた男性と言葉を交わす。男性の使っているスキーは登山用のスキーで、滑走よりも縦走重視の山旅をしているという。山ノ鼻から猫又川を渡って背中アブリ山を越えてきたというから、踏み跡の全くないところを来たのだろうか。すごいことだ。私は腰を下ろし、テルモスのホットレモンを飲もうとしたが、両側が切れ落ちた頂上ではどうも落ち着かない。ものを置くとおっこちそうだ。そこでシートラ・スタイルでP1の下の滑走開始点まで下る。
頂上標識
標高点峰
頂上からの景観: 会津駒ヶ岳、大杉岳、燧岳、黒岩山、奥白根山、錫ヶ岳、アヤメ平、横田代、至仏山
平ヶ岳
平ヶ岳
白沢山、平ヶ岳、池ノ岳、1,751m峰、台倉山
景鶴山の頂上
滑走開始地点の少し上から見下ろす
頂上直下からの滑走
P1でザックを下ろしていると、下から登ってくる男性に会う。今日は天気がいいから、たくさん来るだろう。そしてバックルを締め、滑走開始。左足が痛いので、バックルをいつもの4つ目まで締めず、2つ目までにしておく。そしてケイズル沢の谷の上部にショート・ターンを刻む。ただし、滑走トレースはほとんど見えないのが残念。青空の下の真っ白な急斜面の雪は適度な硬さで、気分爽快のショート・ターン。足がちょっと痛い。辛かった登りの疲れを吹き飛ばす。途中で停止して振り仰ぐと、切り立った頂上に小さな人影が見える。さっきまであそこにいたのだ。谷を下ると途中に大きな割れ目があるので、谷の東側の尾根筋を下ろうと思ったが、GPSを見るとその尾根筋の下に崖マークがある。止めておいた方がよさそうだ。そこで東にトラバース滑走し、沢筋を二つ越えて往路の登りトレースに合流し、登りトレース沿いに滑走。まばらな木々の間を縫って豪快に滑走。木々の間の雪は柔らかく、滑りやすい。そして尾根取付き点に到達し、4度目の休憩。豪快に滑って腰が痛い。はるか上に小さく見える景鶴山の頂上。ついにあそこに登ったのだ。
ケイズル沢上部の滑走
頂上の人影
ケイズル沢上部の滑走
往路沿いの滑走
上ヨサク沢
帰路に通った上ヨサク沢スノーブリッジ
滑走した斜面
景鶴山からの滑走ライン(アヤメ平より2019年5月4日)
東電小屋分岐付近の水の上の木道
尾根取付きから下はビンディングのかかとを外して歩き滑り。私の後からスキーで登った人がいたらしく、スキー・トレースがあり、それを辿って心配していた上ヨサク沢のスノーブリッジを楽に通過。林を抜けてヨッピ橋に着き、シートラで往路と同じようにして渡り、対岸で5度目の休憩。そこからもスキーの歩き滑りで進み、シートラで下ノ大堀川の橋を渡り、東電小屋分岐に着いて休憩(6度目)。このときも人々が行きかっていた。その後の二つの橋はきちんとシートラにして渡る。朝よりも雪解けが進み、橋は渡りにくくなっていた。大勢の人が行き交う山ノ鼻に着き、トイレに寄り、シールを貼り、休憩してから鳩待峠に向かう。シートラで歩いている間にだいぶシールは乾いていた。
東電小屋の分岐標識
鳩待峠への登り返し
今回は明るいうちに鳩待峠に向かい、前々回(平ヶ岳のとき)ほど疲れていなかったが、前々回と同じ中間点(テンマ沢)付近と3/4地点(ヨセ沢)付近で休憩したと思う。ヨセ沢付近では雪の土手からの急な下りが数ヶ所あり、前々回のヘッドランプではこの下りに気づかず、上へ上へと登ったのだと分かる。前回(至仏山の帰り)にシールが外れた急坂も今回はうまく通過。だが、終盤はシールがだいぶ濡れていたと思う。鳩待峠に着き、前々回、前回と同じく、トイレに寄ってから駐車場に戻る。
景鶴山(大白沢山付近より2019年4月28日)
数日前に平ヶ岳に登った時は、西から見た三角形の景鶴山と、北から見た景鶴山の背中を見た。東西に薄っぺらい山だが、南側が切れ落ちているのに対し、北の背中側は樹木に覆われている。
景鶴山の背中(平ヶ岳より2019年4月28日)
景鶴山(至仏山より2019年4月29日)
至仏山からはその薄っぺらい頂上の黒い岩峰と、南側に切れ落ちている白いケイズル沢を見る
景鶴山(横田代より2019年5月4日)
翌日登った横田代とアヤメ平からは、滑走したケイズル沢を正面から見た。
景鶴山(アヤメ平より2019年5月4日)
尖峰の景鶴山(大杉岳より2019年5月5日)
翌々日の大杉岳からは、東側から、平らな与作岳の上に、小さな鋭鋒の姿の景鶴山を見る。