金峰山  覚醒

山梨県  北奥千丈岳2,601m、国師岳2,592m、朝日岳2,579m、金峰山2,599m、鉄山2,531m  2020年10月13日

(金峰山)日本百名山

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廻り目平から小川山・金峰山に登った翌日は大弛峠から国師山、北奥千丈山と朝日岳、金峰山を目指す。これは14年前と同じルート。

大弛峠には既に10台前後が駐車していて出かけようとしている人もいた。大弛小屋の裏から長い階段が始まる。今回はあえて足を使って登るようにする。そうするとすぐに息が続かなくなるが、ジョギングのときの二呼二吸で息をすると息は続く。そして足も疲れなかった。

長い階段の途中で視界が広がり、背後に朝日岳と金峰山、その右奥に八ヶ岳連峰、そして雲海の上に浮かぶ南アルプスを見る。更に登ると、今度は行く手に北奥千丈岳、その右肩に富士山が浮かんでいた。こんなに晴れるとは!

奥秩父最高峰の北奥千丈岳は南アルプスに奥秩父、八ヶ岳の大展望台で、頂上標識を写す前にまずそれらの山々を撮影。北奥千丈の最高点は頂上標識の位置よりも更に奥にあるので踏跡を辿ってみると、林の中に像のように積み重なった岩が立っていた。まるで人造物のように見える。

さっきまであんなに晴れていたのに、国師岳頂上に着いてみると周囲は白い霧に覆われ、遠景は全く見えなくなっていた。だが、国師ヶ岳にはまぎれもない一等三角点があった。

戻ってきた大弛峠は満車になっていて、人が大勢歩き回っていた。次は昨日登ったばかりの金峰に反対方向から向かう。

この日は積極的に二呼二吸で登り坂をがんがん登る。二呼二吸で呼吸するとまったく休まずに登り続けられた。結局、往路では誰にも追いつかれなかった。やっと簡素な頂上標識のある朝日岳頂上に到達。大弛峠から1時間というのは私にしては早いだろう。

前日は西側から上った金峰山の頂上岩峰にこの日は東側から岩を伝って上がる。大弛峠から2時間強。これも私にしてはずいぶん速いだろう。

この日は風もなく暖かかったので人々はいろんなところで休んだり歩いたりしている。できれば五畳岩に登りたいと中腹まで登ってみるが、そこから登るのは難しいらしかった。五畳岩に登るのは諦め、右手前の祠に寄ってお参り。

帰路では鉄山に寄っていく。「くろがねやま」とふりがなのついた簡素な頂上標識。この山は日本百名山の金峰山の章に出てくる山で(深田久弥が登ったのかどうかは不明)、妙に記憶に残っている山である。

鉄山から下り、朝日岳への登り返しは辛かった。ガレの急な九十九折をなんとか登り切ると一瞬、雲が晴れて金峰と五畳岩が見えていた。小暮理太郎が「百貫の貫禄を具えた山の中の山」と称え、深田久弥が「山容の秀麗高雅な点で秩父山群の王者」と評した姿に足が止まる。頂上手前でデジカメを撮っていると、頂上にいた人たちもやってきて眺めている。

私は朝日岳頂上に上がり、4度目の休憩。そしてそこから大弛峠までダブル・スティックで駆け下りた。この時は何人も追い越した。途中、トウヒ(*1)の説明を撮影しているときにものすごく速い人(トレイルランニング?)が来て道を譲ったが、抜かれたのはその一人だけだった。二呼二吸でドタバタと駆け下りていくと前を行く人たちは道を譲ってくれた。最後まで足は疲れず、大弛峠に到着(13:44)。帰路も2時間強、鉄山に登った時間を考えれば2時間弱だろう。

朝日岳までの2.2㎞を約1時間、金峰山までの4.2㎞も約2時間で歩けたのは、時速2㎞に当たるから、私にしてはかなり早い。どうすれば早く歩けるか(なぜ歩くのが遅いのか)が分かった気がした。人に追い越されてばかりだった私はこの日、何人もの人たちを追い越した。これは私にとって、歩き方に覚醒した日になるだろう。

 朝日岳へのガレの急な九十九折をなんとか登り切ると一瞬、雲が晴れて金峰山と五畳岩が見えていた。小暮理太郎が「百貫の貫禄を具えた山の中の山」と称え、深田久弥が「山容の秀麗高雅な点で秩父山群の王者」と評した姿に足が止まる。頂上手前でデジカメを撮っていると、頂上にいた人たちもやってきて眺めている。
 今度は行く手に北奥千丈岳、その右肩に富士山が浮かんでいた。こんなに晴れるとは!
 北奥千丈岳の右肩に富士山が浮かんでいた
 北奥千丈の最高点は頂上標識の位置よりも更に奥にあるので踏跡を辿ってみると、林の中に像のように積み重なった岩が立っていた。まるで人造物のように見える。
 帰路では鉄山に寄っていく。「くろがねやま」とふりがなのついた簡素な頂上標識。
 朝はまっくらだった車道沿いには燃えるような紅葉
 温泉・白龍館には粋な武田信玄図が掛けてあった
 この日は風もなく暖かかったので人々はいろんなところで休んだり歩いたりしている。できれば五畳岩に登りたいと中腹まで登ってみるが、そこから登るのは難しいらしかった。
 長い階段の途中で視界が広がり、背後に朝日岳と金峰山、その右奥に八ヶ岳連峰:五畳岩、金峰山、朝日岳、八ヶ岳連峰(権現岳、赤岳、横岳、硫黄岳、天狗岳)
  6:43 大弛峠P発  7:30 北奥千丈岳・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・大弛峠Pから47分  7:53 国師岳・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・北奥千丈岳から23分  8:52 大弛峠P・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・往復2時間9分  9:57 朝日岳11:04 金峰山・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・大弛峠から2時間12分11:35 金峰山発12:12 鉄山12:49 朝日岳13:44 大弛峠P・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・往復4時間52分・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2往復合計7時間1分

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廻り目平から小川山・金峰山に登った翌日は大弛峠から国師山、北奥千丈山と朝日岳、金峰山を目指す。これは14年前と同じルート。道の駅まきおかから大弛峠までは県道219経由30㎞。舗装されてはいるが、くねくねした狭い道はえらく長く感じたが約1時間(4:41~5:45)。途中、まだ暗い空に金峰山の五畳岩が見え、明るくなった稜線上に立つ堂々とした朝日岳を見る。県道219では車には出会わなかったが、大弛峠には既に10台前後が駐車していて出かけようとしている人もいた。すぐに出かけたい衝動に駆られたが、急ぐ必要はないと思ったのでガスコンロでパンを焼き、サラダを作って朝食をとる。出かけていく人はやはり金峰山方面が多いようだ。私はトイレに寄ってから国師岳の方に向かう(6:43)。大弛小屋のテントサイトは小屋の手前、車道のすぐ脇にあったが、テントは無し。小屋は入口にランプが掛けてあって古風だったが、入口は閉じていた。小屋の裏から長い階段が始まる。いつもは足に疲れがたまらないよう身体を前に倒しながらなるべく足の屈伸を使わないように登っていたが、今回はあえて足を使って登るようにする。そうするとすぐに息が続かなくなるが、ジョギングのときの二呼二吸で息をすると息は続く。そして足も疲れなかった。だが、国師岳頂上は思ったよりも遠かった。長い階段の途中で視界が広がり、背後に朝日岳と金峰山、その右奥に八ヶ岳連峰、そして雲海の上に浮かぶ南アルプスを見る。夢中でデジカメを撮る。そして更に登ると、今度は行く手に北奥千丈岳、その右肩に富士山が浮かんでいた。こんなに晴れるとは!

やっと着いたと思った最初のピークは前国師岳(7:19)。前回もこれでがっかりした覚えがあるが、今回は見えている北奥千丈岳よりもだいぶ低いから、こいつは違うと予感していた。前国師から下ると分岐があり、今回はまず北奥千丈岳に向かう。奥秩父最高峰の北奥千丈岳は南アルプスに奥秩父、八ヶ岳の大展望台で、頂上標識を写す前にまずそれらの山々を撮影。三角点はないが頂上標識がいくつか、それに方位盤がある(7:30)。大弛峠から1時間弱はまずまずの速さかな。GPSを見ると北奥千丈の最高点は頂上標識の位置よりも更に奥にあるので平らな大岩の裏側にある踏跡を辿ってみると、林の中に像のように積み重なった岩が立っていた。まるで人造物のように見える。分岐に戻り、今度は国師岳に向かうが、さっきまであんなに晴れていたのに、国師岳頂上に着いてみると周囲は白い霧に覆われ、遠景は全く見えなくなっていた(7:53)。だが、国師ヶ岳にはまぎれもない一等三角点があった。そこに腰を下ろし、本日最初の休憩。そして大弛峠に戻るが、今回は階段の途中にある「夢の庭園」というのに寄ってみる。その分岐の先の階段は長く、ぐんぐん下っていくので、それをまた登り返さねばならないと思うと気が重くなってきた。途中で登ってきた犬を連れた夫婦にこの先どのくらいあるのか尋ねてみたが、私の質問は的外れだった。「夢の庭園」の道は国師ヶ岳への登山道と並行していて、大弛小屋の手前で合流し、登り返すことなく大弛峠に戻った。肝心の「夢の庭園」の売り物はどうやら高山植物だったらしいが、もうシーズン・オフで花は一輪も咲いていなかった。

戻ってきた大弛峠は満車になっていて、人が大勢歩き回っていた(8:52)。またトイレに寄り、次は昨日登ったばかりの金峰に反対方向から向かう(8:57)。最初は林の中の平たんな道だが、朝日岳までは長い登りだった記憶がぼんやり残っていた。だが、この日は積極的に二呼二吸で登り坂をがんがん登る。二呼二吸で呼吸するとまったく休まずに登り続けられた。何度か背後に話し声が聞こえ、追いつかれたら道を譲ろうと思ったが、結局、往路では誰にも追いつかれなかった。最初のピークを越え、長い頂稜の二つ目のピークを越えた先のコルには朝日峠の標識。その次が朝日岳だが、頂上にはなかなか着かない。林を抜けた岩場のあたりで夫婦連れを追い越し、再び林の尾根を登り、そしてやっと簡素な頂上標識のある朝日岳頂上に到達(9:57)。三角点は無いが、補点と刻まれた石標があった。頂上の先に展望所があり、そこのベンチに人がいたが、金峰山の方角は白い霧だった。ベンチに座って2度目の休憩。さっきの夫婦連れ、それ以外にも人々がやってくる。大弛峠から1時間というのは私にしては早いだろう。

朝日岳の西斜面はガレと岩の下りで、石を落とさないように駆け下る。すぐ先の男性には追い付けない。林の中に入り、登り返しはじめたところで鉄山の分岐に入ろうとしたが、女性のいるパーティの都合で帰路で寄ることにする。金峰山への登り返しから調子が出て来て再び二呼二吸でぐんぐん登り、数人の人たちが道を譲ってくれた脇を元気に駆けのぼる。林を抜け、見えてきた稜線上の岩峰はまだ金峰ではない。その岩峰に上がると金峰山の頂上岩峰が見え、岩を渡りながらそちらに向かう。もう帰路を戻る人たちとすれ違う。前日は西側から上った金峰山の頂上岩峰にこの日は東側から岩を伝って上がる(11:04)。大弛峠から2時間強。これも私にしてはずいぶん速いだろう。三角点と頂上標識のところに下り、それから五畳岩に向かう。この日は風もなく暖かかったので人々はいろんなところで休んだり歩いたりしている。五畳岩に登っている人はいなかったが、右手前の岩の上に登り、祠にお参りしている人がいた。私はこの日はヘルメットをかぶってきていたし、できれば五畳岩に登りたいと中腹まで登ってみる。すると、経験ありそうな二人が反対側から登ってきたので彼らに先を譲るが、そこから登るのは難しいらしかった。五畳岩に登るのは諦め、右手前の祠に寄ってお参り。

3度目の休憩をとってから帰路につく(11:33)。林に入る前に振り返ると、霧から出てきた瑞牆山が見えていた。岩峰でできた特異な山。帰路では鉄山に寄っていく。前回歩いた西側の道の入口表示が見当たらなかったので、東側の入口から登るが、結構な傾斜があり辛かった。そして再び、林の中で眺望のない鉄山頂上に着く。「くろがねやま」とふりがなのついた簡素な頂上標識。この山は日本百名山の金峰山の章に出てくる山で(深田久弥が登ったのかどうかは不明)、妙に記憶に残っている山である。鉄山から下り、朝日岳への登り返しは辛かった。ガレの急な九十九折をなんとか登り切ると一瞬、雲が晴れて金峰と五畳岩が見えていた。小暮理太郎が「百貫の貫禄を具えた山の中の山」と称え、深田久弥が「山容の秀麗高雅な点で秩父山群の王者」と評した姿に足が止まる。頂上手前でデジカメを撮っていると、頂上にいた人たちもやってきて眺めている。私は朝日岳頂上に上がり、4度目の休憩。そしてそこから大弛峠までダブル・スティックで駆け下りた。この時は何人も追い越した。途中、トウヒ(*1)の説明を撮影しているときにものすごく速い人(トレイルランニング?)が来て道を譲ったが、抜かれたのはその一人だけだった。二呼二吸でドタバタと駆け下りていくと前を行く人たちは道を譲ってくれた。最後まで足は疲れず、大弛峠に到着(13:44)。車のところにザックとスティックを置き、またトイレに行く。帰路も2時間強、鉄山に登った時間を考えれば2時間弱だろう。

(*1)トウヒ: 針葉樹、マツ科 名の由来は唐風のヒノキから。樹皮はウロコ状にはがれる。葉の裏に2本の白い線があり、先は少し尖るのでさわると痛い。

朝日岳までの2.2㎞を約1時間、金峰山までの4.2㎞も約2時間で歩けたのは、時速2㎞に当たるから、私にしてはかなり早い。どうすれば早く歩けるか(なぜ歩くのが遅いのか)が分かった気がした。足を使い過ぎて足に疲れがたまることを恐れすぎていたのだ。二呼二吸で歩けば息は続き、足に疲れはたまらない、1時間~1時間半のインタバルで5分間以上の休憩をとることで疲労はかなり回復する。登りでは足を動かし、下りではストライドを広くとり、上下動を少なくする。まだ一日だけだから本当のところは分からない。だがこれまで、人に追い越されてばかりだった私はこの日、何人もの人たちを追い越した。これは私にとって、歩き方に覚醒した日になるだろう。

着替えて車に乗り、20分間仮眠をとってから車を出す(14:56)。駐車場の車は少し減っていた程度。朝はまっくらだった車道沿いには燃えるような紅葉。下りは長く感じたが、1時間弱でR140に出て、立ち寄った温泉・白龍館(500円)には粋な武田信玄図が掛けてあった。市街地に戻ってオギノで買物し、再びR140を北上して道の駅みとみに入る。この日はやや控えめの夕食。だだっぴろい駐車場に車は少なく、トイレはまずまず。燃えるゴミを捨てることができた。

 夜明け前の金峰山シルエット

 

朝日岳


大弛峠


国師岳への道標

 

大弛小屋


国師岳への長い階段


 勢ぞろいした南アルプス、奥秩父、八ヶ岳

 北奥千丈岳と富士山

 富士山

 南アルプス1:笊ヶ岳? 茶臼岳? 上河内岳、聖岳、赤石岳、悪沢岳、中岳、蝙蝠岳? 塩見岳、農鳥岳

 南アルプス2:塩見岳、農鳥岳、間ノ岳、北岳、小太郎山、仙丈岳、甲斐駒ヶ岳、鋸岳

 前国師岳の頂上標識

 奥秩父と八ヶ岳:鉄山、五畳岩、金峰山、朝日岳、権現岳、赤岳、横岳、硫黄岳、天狗岳

 北奥千丈岳の方位盤

 


 


北奥千丈岳頂上の大岩


国師岳の頂上標識と三角点


 国師岳の一等三角点

 

夢の庭園の案内

高山植物のマットの上に巨石と灌木が自然の采配によって巧みに配置されたこの庭園は昭和35年、当時山小屋管理人をしていた山本今朝忠さんが発見し、夢の庭園と名付けられ、紹介されるようになりました。

 

金峰山に向かう


朝日峠


朝日岳頂上手前の岩場


朝日岳の頂上

 

朝日岳の頂上標識


朝日岳の補点


 雲を引く金峰山の頂上

 



金峰山の頂上標識と三角点


五畳岩


五畳岩から見る金峰山


五畳岩の祠


霧から出てきた瑞牆山


鉄山の入口


鉄山の頂上


 鉄山(くろがねやま)の頂上標識

 

トウヒの案内

名の由来は唐風のヒノキから。樹皮はうろこ状にはがれる。葉の裏に2本の白い線があり、先は少しとがるのでさわると痛い。

燃えるような紅葉


温泉白龍館の武田信玄図