大満寺山 隠岐ノ島の秋

島根県 大満寺山608m、鷲ヶ峰・三角点550m、トカゲ岩頂上439m 2020年11月4日

(大満寺山)中国百名山

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紅葉の林の斜面を南にトラバースしていく道はやがて斜面を登り始め、尾根上に出たところが神原高原。分岐表示を更に南に向かう。樹間に鷲ヶ峰が見えており、そこまではややワイルドな登山道。登り切ったところに四等三角点555mと鷲ヶ峰の頂上標識があった。屏風岩展望所からは屏風岩の頂上(鷲ヶ峰の最高点560m)が樹間にわずかに見えていた。南にある大満寺山は灌木の間に逆光で見えていた。

神原高原から尾根道をトカゲ岩に向かう。1㎞くらいあったと思うが、アップダウンの少ない歩きやすい道。岩の間を登っていき、やがて細い岩尾根になっている頂上尾根、そしてトカゲ岩頂上550mに到達。そこは四周が完全に開けているので、隠岐の島の全景を見渡すことができた。見晴らしの点ではここが一番よい展望所だった。南に大満寺山と鷲ヶ峰が逆光の中に見えていた。隠岐の島は山また山でできていて、その間にところどころ市街地が散在している。その周囲には日本海。海に囲まれた島の上に立っているという実感にひたる。岩斜面をトラバースしていった先でトカゲ岩のすぐ下に出る。前脚は斜面と繋がっているが、「後脚は転石が挟まったもの」というのがよくわかる(トカゲ岩の案内に詳細あり)。

有木登山口の脇の沢はきれいなナメ床。思ったよりもだいぶ登り、行く手に大満寺の社が見えてくる。

鐘楼のある広場があり、鐘楼の横には社務所のような建物、奥には本殿らしい大きな建物があったが、崩壊寸前の状態だった。ここまで崩壊していると改修は難しいだろう。社務所の隣には薄いシートをかぶせた小さな長屋の中に石仏がたくさん収められていた。こういう古い寺社が崩壊していくままになっているのをいくつか見たが、なんとか保存してもらいたいと思う。ヨメナの花咲く境内から尾根道に上がり、大満寺山に向かう。

急傾斜はやがて緩くなって頂上稜線に出て、そこから岩の散らばる尾根道を進み、ついに大満寺山頂上に到達。そこには水産高校が設置した巨大な方位盤があった。方位盤には地名が刻んであったが、ブエノスアイレスやホンコンとは大きく出たな。ここからはとても見えないはずだが、そのあたりまで海を渡ってやるということか。大きな三角点の角が削れていて何等か分からないが、大きさからいって一等三角点だろう。大満寺山頂上は西と東が開けていて、西には隠岐の島の広い地域、山間にひろがる農地や市街地が良く見えた。東にはもう海が近い。隠岐の島の最高峰、大満寺山に登れてよかった。満足して頂上を下る。

翌日朝、西郷港に行くと、靄の立つ海の向こうからフェリーが入港してくる。そして、再びバックでフェリー乗船。この日はからりと秋晴れで、西郷港を出ると背後に大満寺山がよく見えた。それはもの静かに、真っ青な海と街並みと緑の林の上に、秋晴れの空の下に悠然と佇んでいた。緩い双耳になった丸い頂上が鋭角の台形の上に乗っている。それは島を高いところから見渡していて、私に挨拶してくれているように思えた。ありがとう大満寺山、いい山旅だった。

お寺が崩壊していくのは寂しいが、北のトカゲ岩や鷲ヶ峰、その他にも白島崎など見どころは多く、思い出に残る隠岐の島ツアーだった。

西郷港を出ると背後に大満寺山がよく見えた。それはもの静かに、真っ青な海と街並みと緑の林の上に、秋晴れの空の下に悠然と佇んでいた。
トカゲ岩頂上550mに到達。南に大満寺山と鷲ヶ峰が逆光の中に見えていた。
トカゲ岩のすぐ下に出る。前脚は斜面と繋がっているが、「後脚は転石が挟まったもの」というのがよくわかる(トカゲ岩の案内に詳細あり)。
水木しげるロードの標識(境港市内)
大満寺の鐘楼

大満寺山頂上の巨大な方位盤と一等三角点

靄の立つ海の向こうからフェリーが入港してくる
  6:27 中谷P発  7:36 鷲ヶ峰・三角点  7:59 引き返し(南沢林道手前)  8:19 鷲ヶ峰・三角点  9:06 トカゲ岩・頂上550m  9:16 トカゲ岩  9:42 中谷P・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・周回3時間15分10:43 有木P発11:08 大満寺11:54 大満寺山・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・登り1時間11分12:09 大満寺山発12:38 大満寺12:55 有木P・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・往復2時間12分

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境港市内には水木しげるロードの標識があり、家族連れが大勢繰り出している。港にはフェリーしらしまが停泊しており、14時過ぎ、バックでフェリーに乗船。前向きに入る車もいるのだが、違いがよく分からず。ただ、最後にバックで入ったほうが先に出られる。フェリーは境水道大橋の下をくぐって外洋へ。津軽海峡フェリーに比べるとだいぶ小さい。

境港は良く晴れていたのに、外洋に出ると大荒れ。船は揺れ、雨が降って視界もなし。最初は空いていた2等客室は航海中はほとんど満員。テーブル・スペースにそのまま陣取るが、寒かった。船は遅れ、17時半に着いたと思ったらまだ隣の島。中ノ島の港には鬼太郎の父と一反もめんの大きな絵。18時半にようやく西郷港に着き、バックで入れた車を最初の2台目くらいで出す。だが、カーナビをまだセットしていなかったので道脇に停車してカーナビ・セット。フェリーの船首側から車がたくさん流れてきていたが、もしかすると船首側にも降口があるのだろうか?(二日後に見た感じでは、昇降口は見当たらなかった。フェリーによって構造が違うのか?)

計画していた大満寺山北東の南谷駐車場を目指すが、ダムを渡った先でなんと通行止め。仕方ないので大回りして反対側の島の東側から南谷駐車場を目指すが、そっちも通行止め(南谷駐車場そのものを工事改修していた)。仕方ない、当初計画の南西の有木登山口にカーナビセット。ところが、島の東側の車道沿いにはもう一つ、トカゲ岩に近い中谷駐車場というのがあり、そこまで登る車道は新しくて走りやすく、しかも駐車場も立派で、トイレに多目的トイレまであった。そこに泊まる。明かりがなかったが、ヘッドランプがある。ところで、南谷駐車場に向かっていた時ににわか雨が降り、中谷駐車場に上がった時はもう止んでいたが、夜中にまた雨が降る。空は曇っていて、翌日は晴れないかもしれないと思う。暗い気分。

当日朝、3時半のアラームで起きて朝食を食べるが、5時になってもまだまっくらで空は曇っているので出発を遅らせる。外が明るくなっているので出かけたのは6時過ぎ。明るくなってみると明るい気分になり元気に歩き始めるが、「工事のため、大満寺山への道は通行止め」という注意書きがあった。ここまで来て大満寺山に登れないのはショック。とりあえず大満寺山に向かう。林の中の遊歩道にはトカゲ岩展望所というのがたくさんあり、そこから尖峰の頂上付近にへばりついている大きなトカゲの姿が見えた。屋久島で見たロケット岩みたいな感じだが、スケールはそれほど大きくない。それでも長さ10mはあるだろう(26mあるそうだ!)。紅葉の林の斜面を南にトラバースしていく道はやがて斜面を登り始め、尾根上に出たところが神原高原。分岐表示を更に南に向かう。樹間に鷲ヶ峰が見えており、そこまではややワイルドな登山道。岩場があり、ハシゴが要所に設置してある。登り切ったところに四等三角点555mと鷲ヶ峰の頂上標識があった。分岐表示があり、東に屏風岩展望所まで行ってみる。そこからは屏風岩の頂上(鷲ヶ峰の最高点560m)が樹間にわずかに見えていたが、そこまでは灌木ヤブと岩の細尾根なので行かず。南にある大満寺山は灌木の間に逆光で見えていた。

鷲ヶ峰からは尾根を下り、この分なら行けそうだと思った頃、行く手から工事の音が聞こえてきた。登山道が横断する林道を工事していて、そこが通行禁止なのか?こんなに朝早いのに工事をやってるのか?などと思いながら不安が増して行くが、南谷駐車場のある林道のところに至ると、果たしてそこではショベルが工事をしており、その手前で登山道は封鎖されていた。工事していなければ通らせてもらおうと思ったが、工事中のところは通りにくい。工事現場を迂回していくことも考えたが、マップを見ると尾根の両側はかなりの斜面(だが、薄ヤブの植林斜面なので、歩けたと思う)なので止め、有木登山口に行くことにし、引き返す。登り返しを見上げると大きな岩。

鷲ヶ峰・三角点峰まで登り返し、神原高原から尾根道をトカゲ岩に向かう。1㎞くらいあったと思うが、アップダウンの少ない歩きやすい道。駐車場への分岐を過ぎてからは登りとなり、急斜面に岩がゴロゴロ並んでいるところまで登ると「トカゲ岩頂上」「トカゲ岩」の分岐があり、まず頂上に向かう。ロープが張ってあるがそれは道順を示すためのもので、岩の間を登っていき、やがて細い岩尾根になっている頂上尾根、そしてトカゲ岩頂上550mに到達。そこは四周が完全に開けているので、隠岐の島の全景を見渡すことができた。見晴らしの点ではここが一番よい展望所だった。南に大満寺山と鷲ヶ峰が逆光の中に見えていた。北には葛尾山(つづら)が立派に見えていたが、ここには登山道はないらしい。隠岐の島は山また山でできていて、その間にところどころ市街地が散在している。その周囲には日本海。海に囲まれた島の上に立っているという実感にひたる。トカゲ岩頂上から下り、今度はトカゲ岩に向かう。岩斜面をトラバースしていった先でトカゲ岩のすぐ下に出る。前脚は斜面と繋がっているが、「後脚は転石が挟まったもの」というのがよくわかる(トカゲ岩の案内に詳細あり)。

トカゲ岩から下り、車に乗って有木登山口に向かう。隠岐の島の車道は走りやすいがところどころ工事中で交互通行の信号で止まる。メインの道路に出ると交通量も多い。西郷付近まで南下し、そこから南西に左折。畑の中の橋を渡ったところで脇道に右折するが、そこに大満寺山の道標があった。なんとか行けそうだ。だが、その脇道は林に入るとぐんと狭くなり、沢沿いのガードレールなしの狭い舗装路を緊張感いっぱいで進む。舗装路には石ころや折れ枝が積もっていて走りにくいので、自動四駆にして微速前進。終点には狭い駐車場があった。有木登山口の脇の沢はきれいなナメ床。大きな案内図には大満寺山のみならず遊歩道がたくさん記載されていた。道標の方角に進むとそこはナメ床の沢の上。どうやら右岸にあった登山道が崩壊し、流れてしまったらしい。右岸にロープが数本あったが、もはや使い道はない。だがナメ床には水量が少なく、登山道は不要。ナメの上の石の上を歩いてゆき、少し先の右岸の道標のところに上がる。そこからは九十九折りで斜面を登り、その先には横板階段。思ったよりもだいぶ登り、行く手に大満寺の社が見えてくる。

手前にあった社は手前と奥の二つの社があり、神殿風。どちらにも青いシートがかぶせてあって、何神社なのかは分からない。そこから更に北に鐘楼のある広場があり、鐘楼の横には社務所のような建物、奥には本殿らしい大きな建物があったが、崩壊寸前の状態だった。ここまで崩壊していると改修は難しいだろう。社務所の隣には薄いシートをかぶせた小さな長屋の中に石仏がたくさん収められていた。最初からこういうふうに並べられていたのだろうか?それとも参道沿いに並べられていた石仏をここに移したのだろうか。こういう古い寺社が崩壊していくままになっているのをいくつか見たが、なんとか保存してもらいたいと思う。ヨメナの花咲く境内から尾根道に上がり、大満寺山に向かう。地図には寺に寄らないもうひとつの破線が示されていたが、そのもう一つの破線との合流点付近には分岐表示はなかった。もう一つの破線の道はもう無いのかもしれない。

急斜面の九十九折りから東側をトラバースしてゆき、小尾根に上がると乳房杉登山口との分岐表示があり、そこから尾根道を進む。急傾斜はやがて緩くなって頂上稜線に出て、最初に着いたのは南峰590m。そこから岩の散らばる尾根道を進み、ついに大満寺山頂上に到達。そこには水産高校が設置した巨大な方位盤があった。方位盤には地名が刻んであったが、ブエノスアイレスやホンコンとは大きく出たな。ここからはとても見えないはずだが、そのあたりまで海を渡ってやるということか。大きな三角点の角が削れていて何等か分からないが、大きさからいって一等三角点だろう。大満寺山頂上は西と東が開けていて、西には隠岐の島の広い地域、山間にひろがる農地や市街地が良く見えた。東にはもう海が近い。北の鷲ヶ峰がなんとか見えないか、北に下る登山道を少し進んでみたが、樹木に遮られてほとんど見えなかった。ちょっと残念。だが、隠岐の島の最高峰、大満寺山に登れてよかった。満足して頂上を下る。

この日、金峰山の東尾根を下るとき、何ヶ所かで北の樹間に大満寺山を見ることができた。緩い双耳のその頂上は周囲の山々よりも高く、無数にある隠岐の島の山々の中の王者の風格をもっている。

翌日朝、西郷港に行くと、靄の立つ海の向こうからフェリーが入港してくる。そして、再びバックでフェリー乗船。この日はからりと秋晴れで、西郷港を出ると背後に大満寺山がよく見えた。それはもの静かに、真っ青な海と街並みと緑の林の上に、秋晴れの空の下に悠然と佇んでいた。緩い双耳になった丸い頂上が鋭角の台形の上に乗っている。それは島を高いところから見渡していて、私に挨拶してくれているように思えた。ありがとう大満寺山、いい山旅だった。

お寺が崩壊していくのは寂しいが、北のトカゲ岩や鷲ヶ峰、その他にも白島崎など見どころは多く、思い出に残る隠岐の島ツアーだった。

水木しげるロード

フェリーしらしま

境水道大橋

中ノ島港の鬼太郎の父と一反もめん

中谷P

鷲ヶ峰登山コース案内

紅葉

神原高原

鷲ヶ峰・三角点555m

鷲ヶ峰・最高点ピーク560m

樹間の大満寺山

大きな岩

トカゲ岩・頂上とトカゲ岩

トカゲ岩・頂上

鷲ヶ峰山と大満寺山

葛尾山(つづらお)

トカゲ岩

トカゲ岩案内

有木登山口

鐘楼

石仏たち

ヨメナ

頂上稜線に出る

大満寺山頂上

削れた一等三角点

大満寺山(金峰山より)

金峰山の東尾根を下るとき、何ヶ所かで北の樹間に大満寺山を見ることができた。緩い双耳のその頂上は周囲の山々よりも高く、無数にある隠岐の島の山々の中の王者の風格をもっている。

フェリー入港

フェリー乗船

大満寺山(フェリーより、西郷港付近)

大満寺山(フェリーより、西郷港の外)