「リウマチ手記」
36歳2004年9月1日
36歳2004年9月1日
2003年、8月もあと2日という時、私の身体に小さな異変が起きた。朝起きると、右腕が痺れている。こんな事は、初めてだった。嫌な予感がしたが、「きっと、すぐに治るだろう。」と思いなおす。次の朝は、左腕も痺れを感じたが、どうしたら良いのかわからず、放っておいてしまった。
9月1日の朝、両手の全ての指がむくみ始める。この時、「もしかして、リウマチでは!?」と思い、即座に「リウマチになったら、手足がむくんで痛くなり、そのうち痛みは全身に達する。病院でステロイドを投与され、骨がボロボロになり、人工骨になって、最後は寝たきりに・・・・・」と、以前、健康器具の体験会場で聞いた話を思い出し、ゾッとした。そして、「死ぬ事はないけれど、完治は難しい病」とも聞いていた。
あわてて近所の病院で検査をしたが、検査結果が出るまでの1週間、毎日不安で不安で、生きた心地がしなかった。症状は、あっという間に、どんどん進んでいった。いつも通り近所のスーパーで買い物。帰りには、足がむくんで痛くなり、一歩を踏み出すのが、とてもつらい。ビニール製の買い物袋を持った両手に、ビニールが食い込み、指が痛くてたまらない。歩いて十分もかからない道を、冷や汗をかきながら、何十分もかけて家に帰った。
1週間後の検査結果は、「異常なし」私は、素直にこの結果を喜べなかった。「これは、絶対、リウマチの初期症状だ。」と思っていたからだ。不安は、更に募る。病院からは、痛み止めの塗り薬が処方されたが、「こんな薬で、治るはずがない。」と思い、「とにかく、早く治療しなくては!」と、気持ちばかり焦っていた。
こんな私の様子を見て、姉も協力してくれた。数日後、インターネットで、松本漢方クリニックを見つけ出してくれた。早速姉の家へ、松本漢方クリニックのホームページを見に行く。姉は、松本先生宛に、私の症状をメールで送ってくれた。
松本先生のホームページは、読んでも読んでも終わらず、医療の専門用語が並び、とても難しかった。「この治療なら、治るかもしれない。」と、私なりに理解する事が出来た。患者さんの手記を読むうちに、「先ず、行ってみなければ・・・」と思い、即、夜行バスに乗って、松本漢方クリニックへ向かった。
松本先生に自分の症状を書いた紙を見せると、「5歳の時の鼻炎の治療から、始まっているんや。」と言われる。「ステロイド剤の点鼻薬が、リウマチの原因を作っている。」と言われ、驚いた。自分では、4年前の花粉症の時に飲んだ、セレスタミンという薬が原因だと思っていたからだ。
私は、この薬を止めた次の日から1年間、毎日微熱(37.2度)が出て、だるく、寝たきり生活になっていた。病院の検査では、「全身のリンパ腺が腫れており、体質が変らない限り、治らない。」と言われていた。松本先生は、「花粉症の時に来ていれば、もっと軽く済んだのに。」と言い、「必ず、治してあげるから。」と、握手をしてくださり、診察は終わった。
その後、織田先生の鍼治療を受ける。それまで、足の裏の親指と小指がくっついてしまうのではないかと思うほど、痛かったが、鍼治療後は、とても楽になった。織田先生にお灸のやり方を教えてもらい、針治療院を、自分の家の近所で探して通うように、と言われる。何枚か、患者さんがお灸をしている写真を見せてもらった。手足一面、プツプツと真っ赤なお灸の痕がついている写真や、もぐさを足首一面に置いてある写真を見て、「こんなに出来るだろうか・・・」と不安になった。
その日の夜の夜行バスで、トンボ帰りをし、次の日から、早速治療を始める。煎じ薬は何ともいえない味で、手記にあった「飲み易い」という言葉が信じられなかった。それでも、毎日、4~5番煎じまで飲む。プロテインは5杯という指示が出ていたので、牛乳に入れて飲んだ。プロテインを飲み始めてから、毎日お腹が張って、どうしようもなかった。プロテインの量は、検査結果によっては増えることもあると言われていたので、「5杯でも大変なのに、これ以上増えたらどうしよう。」と憂鬱になった。
薬湯は、家のお風呂では温度が低く、沸かす事が出来なかった為、母が台所で、大きな鍋二つに薬湯を沸かし、毎日十杯お風呂へ運んでくれた。私も体調の良いときは手伝ったが、これはとても大変な仕事だった。時々父も手伝ってくれて、三人で鍋リレー(!?)をした。薬湯へ入った初日は、全身からびっくりするほど垢が出た。この垢は、2・3日間出続けたら治まり、今度は、耳垢と目やにが、同じように2・3日出続けた。
お灸は、毎日、両手足の自分の手が届く所全てに、もぐさをおいて、熱さに耐えた。初日は、8時間もかかってしまった。
一ヶ月に数回、両眼にものもらいが出来たが、お茶のお陰か、薬湯か、その日のうちに治り、この治療の即効性に驚いた。
針治療院も、家の近くで見つける事が出来た。
1週間後の検査結果は、「これから先、リウマチになる数値」と松本先生に言われ、「治療を続けるように」との指示が出た。心配していたプロテインの量は増えず、ホッとした。
<10月>
腕と足にアトピーの痒みが出てきた。特に夜、身体が温まると、痒くてたまらない。お灸をする時も、痒みが強くなり、大変だった。この痒みは、2・3日続いたが、下痢をして、痒みが止まる症状を、毎月何度もくり返した。
<11月>
松本漢方クリニックで検査。「二つの項目で、数値が下がっている。アレルギーは、36%と小康状態」との事。
<12月>
検査結果が良く、痛みもだいぶなくなってきた。これまで一生懸命治療に取り組んできた反動か、突然、治療が嫌になってしまった。今まで毎日6時間かけてやっていたお灸を、急に止めた。お茶も、毎日4~5番煎じまで飲んでいたが、3番煎じまでしか飲まなくなった。「薬湯には毎日入っているし、プロテインも飲んでいるから、大丈夫だろう。」と高をくくっていた。すると、徐々に痛みが戻ってきた。
手足の指先が、パンチで締め付けられるように痛くなる。ハンマーで丁寧に叩かれているように痛い。夜寝る時に、布団を引き寄せるのもつらく、お風呂で髪を洗おうとしても、腕が上がらない。「このままでは、元に戻ってしまう。」と思い、再びお灸を始める。お茶をたくさん飲むために、ウォーキングも始めた。すると、反応が出たのか、今までにないすごい下痢と吐き気、リンパ腺の痛みも加わり、寝たきりの年末を迎えた。
<2004年1月>
微熱(37°~37.2度)が出始め、だるい日が続くが、お茶を飲むために、出来る限りウォーキングに精を出す。手足の痛みは減ってきたが、時折、足のすねの骨に痛みが走り、電気ショックのようだった。
<2月>
夜になると、ほとんど毎日、微熱が出る。首のリンパ腺が、時々痛んだ。そして、私にとって、もっとも恐怖の花粉症の季節がやってきた。花粉症歴18年。毎年、飲み薬に目薬と点鼻薬の3本立てだったので、今年は、一体どんな症状が出るだろうと、不安に思っていた。が、今年は花粉の飛散量も少なかったせいか、治療のお陰で、あまり症状が出ない。少し鼻がつまる程度で、治ったのかと思うほどで、大喜びだった。
松本先生に、心から感謝していると「どんどん症状を出さないと、駄目だ。」と言われてしまう。悪い症状を出し切らない限り、完治はないと分かりつつも、花粉症の症状が出ないのは、とても嬉しかった。
この月は、もう一つ変化があった。今まであんなに飲みにくかったお茶が、ある朝突然、美味しく感じられた。自分の味覚が変わったのだろうか?これには、とても驚いた。
花粉症も治まったし、お茶も飲みやすくなったし、もっと治療を頑張ろうと思う。
<3月>
少しずつ、寝たきりの日が増えてきた。お灸は痛い所にするだけで、精一杯になる。
<4月>
時折、身体の芯から痒みがあり、「今度こそ、アトピーが出るかもしれない。」と期待するが、下痢をして、痒みが消えてしまう。
次第にだるくなり、今まで必ず1時間以上入っていた薬湯に、1時間入るのが精一杯になる。
<5月>
ついに寝たきりになってしまう。毎日だるくてだるくてたまらない。微熱も、毎日出ていた。身体は、まるで鉛のように重く、寝ても寝ても眠たい。食事とトイレと薬湯に入る以外は、熟睡していた。
お茶もプロテインも、とても苦痛だった。あまりのだるさに、お灸を止める。暫くすると、かかとや手首が痛くなってきたが、放っておいてしまう。時折、身体が痒くなったが、寝たきりでいると、痒さも引っ込み、下痢もしなくなった。週に2回予約を入れていた鍼治療にも行けなくなり、何度もキャンセルした。両親には、「治療をしているのに、どんどん悪くなっているみたいだ。」といわれる。
この月が、この治療を始めて、最もつらい月だった。
<6月>
かかとと手首の痛みがひどくなってきたので、だるさに耐えて、お灸を始める。1週間程毎日お灸をすると、痛みが薄らいできたが、油断は禁物と思い、続けた。すると、次第に起きている時間が長くなってきた。
下旬に、何時もの通り、薬を注文すると、松本先生に「何ヶ月来てないと思ってるんだ!!2ヶ月に一回来ないやつは、もう診ない!!」と激怒される。思えば、昨年の11月から、一度も病院へ行っていない。怒られるのも当然だ。頼んだ薬も届かず、焦ったが、体調が良くなってきていたので、即、松本漢方クリニックへ向かった。
検査結果は、血沈が15と高くなっていた。今まで一生懸命治療してきたのに、検査結果が良くなかったことに、がっくりした。
松本先生は、「今までの薬のリバウンドや。また痛くなると思うけど、今、5歳の鼻炎の頃に戻っているんや。」と言う。今度は、一体どんな反応が待っているのかと思うと、恐ろしくなった。
<7月>
手足の痛みは、少しずつ消え、どんどん体調が良くなってきた。少しずつ、家事も出来るようになり、見違えるようだ。
<8月>
今は、もうお灸はしていないが、自分がリウマチだと忘れてしまう位、痛みが無い。そして、たまに寝たきりになっても、以前よりずっと短く済み、体調の良い日が続いている。
来月で、この治療を始めて1年になるが、完治するまで頑張ろうと思う。
松本先生、織田先生、看護婦さん、皆様、本当に、どうも有難う御座います。