限定能

文中における名詞は、動詞によって表される動作の意味を制限する性質を持ち、これをピース語では限定能と呼びます。動詞を修飾する名詞が増えれば、それだけ動作が行われる状況が限定され、聞き手が想像力を働かせる余地が少なくなります。

 

Pispevida.ピスペヴィーダ(殺された)→殺されたのは誰でも良い

Ciligula pispevida.キリグーラ ピスペヴィーダ(カリグラは殺された)→殺されたのはカリグラでなくてはならない

 

○解除

名詞に接中辞「-ỏd-」を連結させることで、名詞の限定能を解除することができます。

 

Claùdìévクラウディエヴ(クラウディウスが)+接中辞-ỏd-=Cl-od-aùdìévクロダウディエヴ(クラウディウスではなくても良い誰かが)

 

限定能を失った名詞は、動詞が示す動作に直接影響を及ぼすことができなくなります。限定解除の効果は、動詞が動副詞を伴った際に特に大きく現れます。

 

Jisumiì na Tocorozoŭabsa zoveĭa nomeŭa.

ジスーミー ナ トコロゾワプサ ゾヴェーヤ ノメーワ

彼女は所沢で初めて買い物した→「所沢で買い物したこと」が初めてで、他の場所で買い物した経験はある。

Jisumiì na Tocorozadùabsa zoveĭa nomeŭa.

ジスーミー ナ トコロザドワプサ ゾヴェーヤ ノメーワ

彼女は所沢(でなくても良い場所)で初めて買い物した→買い物をした場所が所沢であってもなくても、彼女が買い物したのはこれが初めて。その場所がたまたま所沢だったに過ぎない。

 

限定能の解除を活用することで、動副詞の働きから曖昧さを排除することができます。