名詞は人、モノ、コト、概念などを表す品詞で、文章の手足となる重要な品詞です。
ピース語の名詞には単数・複数の区別はありません。
名詞は普通、文の始めの方に置きます。
6つの格(てにをは)が存在していて、語尾変化によって名詞がどの格を取っているか分かります。
1.絶対格
動作の主語または直接目的語となる格です。日本語の「~が」に相当します。
2.属格
所有、所属などを表す格です。日本語の「~の」に相当します。
属格の名詞は修飾する名詞の後ろに置きます。
3.与格
動作の間接目的語(動作から影響を受けるもの)を表す格です。日本語の「~に」に相当します。
4.能格
動作の主語となる格です。日本語の「~によって」に相当します。
5.具格
動作に用いられる手段、道具を表す格です。日本語の「~で」に相当します。
6.奪格
動作の起点を表す格です。日本語の「~から」に相当します。
「~のせいで」、「~が原因で」のような意味で使われることもあります。
※普通の言語では動作の主語と目的語をそれぞれ主格(~が)と対格(~を)で表しますが、ピース語では能格と絶対格を使います。
・格変化
名詞の格は語尾の変化によって表します。
実は語尾のパターンは複数ありますが、散文で使う変化パターンは次のものです。
第1変化型(-a)…絶対格-a, -ø 属格-aṿ 与格-i 能格-u 具格-o 奪格-e
第2変化型(-i)…絶対格-i, -ø 属格-a 与格-iṿ 能格-u 具格-o 奪格-e
第3変化型(-u)…絶対格-u, -ø 属格-a 与格-i 能格-uṿ 具格-o 奪格-e
第4変化型(-e)…絶対格-e, -ø 属格-a 与格-i 能格-u 具格-o 奪格-eṿ
第5変化型(-o)…絶対格-o, -ø 属格-a 与格-i 能格-u 具格-oṿ 奪格-e
第6変化型(-ø)…絶対格-ø, -Aṿ 属格-a 与格-i 能格-u 具格-o 奪格-e
※「-ø」は無語尾を表します。どの変化型もだいたい同じですが、「ṿ」の子音が入るものもあります(「ṿ」の下の点は格語尾であることを示していて、発音は普通の「v」と同じです)。
【例】
Ruņađ-a「神が」
Ruņađ-aṿ「神の」
Ruņađ-i「神に」
Ruņađ-u「神によって」
Ruņađ-o「神で」
Ruņađ-e「神から」
※他の語尾パターンはこちらを参照ください。