名詞の意味を広げたり限定したりする助詞の一種で、他言語の前置詞にあたるものです。

名詞分離辞を用いることで、場所や時刻、目的地など、格変化だけでは表せない名詞の細かい役割を表すことができます。

名詞分離辞は名詞形容詞副詞の直前に置きます。分離辞の意味を強調したいときなどは、名詞と形容詞に1つずつ付けることもできます。


【例】

Ăe xaçtina vaģima

(正しい信仰と共に)

Xaçtina ăe vaģima.

Ăe xaçtina ăe vaģima.


ăe…名詞分離辞「~と共に」

xaçtin-a…名詞「信仰」

vaģim-…形容詞「正しい」


これらは語順が違いますがいずれも同じ意味になります。



○格支配

名詞分離辞の後ろに来る名詞は決められた格を取ります。1つの格だけを取る分離辞もあれば、2つ以上の格を取りそれぞれが別の意味になるもの、同じ意味で2つ以上の格を取れるものもあります。

よく使う名詞分離辞に次のようなものがあります。


for+絶対格、属格→「~について」

peģ+絶対格、奪格→「~のように」

ran+属格→「~の方向で、(存在動詞とセットで)~には」

ļu+与格→「~の方向へ」

ļu+属格→「~の場所へ」

ģe+与格→「~よりも」

ăe+絶対格、具格→「~と共に」

bex+絶対格、具格→「~無しで」

ler+能格→「~を持って」

pad+具格→「~を通って」

đin+具格→「(繋辞とセットで)~である」

la+具格→「~のために」

na+奪格→「~の場所で」

ĭo+奪格→「~の中で」

se+具格→「~の方向から」

se+奪格→「~の場所から」

do+奪格→「~の時間の中で」

cu+奪格→「~の時刻に」


【例】

Aģobţuv maça la Rizļotabso hana ģeriĭla.

町の住民たちは、預言者のために住居を用意した。

(la+具格→「~のために」)


Râgeluļo na ģegafe vişpu foŗot.

信仰者たちは塹壕で敵を待ち受ける。

(na+奪格→「~の場所で」)


Se ŗeriŗgeģoi telivem.

消防署の方から来ました。

Se+具格→「~の方向から」)


Naşuci ler pusotu ģabisfa.

攻撃機は燃料気化爆弾を搭載して離陸した。

(ler+能格→「~を持って」)