ピース語は普通の言語と違って受動態(AはBに〇〇される)を基本としています。
自動詞と他動詞の区別は存在せず、動作の主体Aを明示すると他言語の他動詞文、主体Aを明示しないと他言語の自動詞文相当になります。
動作の主体Aは名詞の能格、動作の客体Bは絶対格で表します。
【例】
Poļogĭiţa dutul.
パソコンが壊される/パソコンが壊れる。
Laşu poļogĭiţa dutul.
友達にパソコンが壊される/友達がパソコンを壊す。
poļogĭiţ-a「パソコン」 dutl-「壊れる/壊す」(緩衝母音を入れるとdutul) laş-ø「友達」
〇能動態/能格焦点
他言語の能動態に当たる表現(ピース語では逆受動態または能格焦点とも呼びます)も存在します。
能動態は普通の文章では用いず、主に動詞を形容詞化したときに用います。
能動態では動詞に接中辞「-no-」を付け、動作の主体A(元々能格だった語)を絶対格、客体B(元々絶対格だった語)を分離辞「u」+絶対格で表します。
【例】
Ðamĭoņoļu đobiniħe fagmoşuv.
ツイッターによって生活が不安定化する。
Ðamĭoņoļo u đobiniħe fagmonoşuv.
ツイッターが生活を不安定化させる。
Ðamĭoņoļ-o「ツイッター」 đobiniħ-e「生活」 fagmoşuv-「不安定化する」
形容詞化した動詞では、修飾される名詞が動詞の絶対格と一致する必要があるので、この能動態のような表現を義務的に用いることになります。
【例】
Ĭubis mîb.
食べられる人類。
Ĭubis mînob.
食べる人類。
Ţolaĭţe u ĭubis mînobe.
人類を食べる妖怪。
ĭubis-ø「人類」 mub-「食べる」(mîb-は形容詞化したもの) ţolaĭţ-e「妖怪」
〇他の焦点表現
・動詞に接中辞-ĭo-を付け、与格の名詞を絶対格、絶対格の名詞を分離辞「a」+与格で表すことで動詞を与格焦点にすることができます。
・動詞に接中辞-ăgu-を付け、具格の名詞を絶対格、絶対格の名詞を分離辞「a」+具格で表すことで動詞を具格焦点にすることができます。
・動詞に接中辞-da-を付け、奪格の名詞を絶対格、絶対格の名詞を分離辞「a」+奪格で表すことで動詞を奪格焦点にすることができます。
これらも能格焦点と同じように、主に形容詞化した動詞と共に用います。
他の分離辞+特定の格で表される名詞にもそれぞれ焦点表現があります。