7月に行うリサイタルに是非、ラヴェルの『魅惑の笛』を歌いたいと思います。
1903年に書かれたこの曲は『シェエラザード』という3曲からなる組曲の2曲目です。
もともとは声とオーケストラのための曲ですが、またまたピアノ伴奏で歌います。
トリスタン・クリングゾルの『シェエラザード』という本から詩を使った。
1曲目 アジア(ものすごく長い曲。いくつもあるクリングゾルの詩の中からわざわざ、こんなにも長いものを取ると言うことは困難を好むラヴェルの性癖のなせる業。私も多少、似たようなところがある。音程が取りにくかったり、困難なリズムがあるとガゼン張り切っちゃう)
2曲目 魅惑の笛(当曲)
3曲目 行きずりの人
この曲は年寄りの妻になっている女性が、恋人の吹いている笛を聞いているという場面。
となりにはみっともない年寄いた主人が眠っている。
恋人の吹く笛の音は狭い路地に静かに響き、彼女の部屋の格子窓を通して聞こえてくる。
彼女はすでに眠っている年老いた主人を見て、目を覚まさせるのを恐れるかのようにppで主人の様子を描写して独り言を言う。
魅惑の笛
夜は柔らかで主人は眠っている 絹のとんがり帽子をかぶり
黄色い長い鼻を白い髭にうずめて。
でも、私はまだ目を覚ましていて 外の笛の音を聞いている
悲しみと喜びがかわるがわる こぼれてくるその音を。
もの悲しくなったり、はすっぱになったりするその歌 それは恋人の奏でる歌
窓に近づくと
音はひとつひとつ 笛から私の頬に飛んでくるかのようだ
不思議な接吻のように