この曲の初めの数小節ほどラヴェルが激しい感情に身を任せたことがあるだろうか?
アウア!アウア!の絶叫と叩きつけるようなピアノの不協和音。
それが鳴りやむとピアノ、チェロ、フルートの各々で決まった音型を繰り返すオスティナートが現れ、島民たちの踊りのリズムが刻まれる。
歌はオスティナートに暗い過去の記憶を重ねながら、島の歴史を語る。
甘い言葉で近寄ってきてだまそうとした白人。彼らと血なまぐさい闘争と殺戮の歴史を。
しかし、白人たちはもういない。天罰が下ったのだ。
我々は自由に生きる。
白人に気を許すな!と歌う。
途中、テンポが速くなったところで聞かれるせわしない低音域のフルートは風雲急を知らせるラッパである。
2、アウア!
アウア!アウア!
岸辺に住む白人には気を許すな。
我々の祖父の時代に白人はこの島にやってきた。
人々は彼らに言った。
ここには土地がありますよ。
あなたたちの妻が耕したらいい。
正しく、善良であって欲しい。
われらの兄弟になってください。
白人どもは約束した。
にもかかわらず、彼らは塹壕(ざんごう)を堀、砦が築かれた。
大砲の口の中には、雷鳴が詰め込まれた。
彼らの司祭たちは、われらの知らない神を押し付けようとした。
そして、最後には、服従と奴隷を説いた。
そんなことなら、死を選ぶ。
殺戮は長くすさまじかった。
だが、彼らが吐き出す雷鳴はわが軍を一気に粉砕したが、彼らは皆殺しにされた。
アウア!白人どもには気を許すな。
われらは見た。より強く、より数の多い新たな暴君どもが、岸辺に自分たちの小屋を建てるのを。
天はわれらのために戦い、彼らの上に、毒を持った雨と嵐を注いだ。
彼らはもういない。
我々は生きる。自由に生きる。
アウア!岸辺の住人たる白人には気を許すな。