(その15)
大介は本当に愛情こまやかで、演技派で嫉妬深くて単純で複雑で・・・・・
本当に素晴らしいわが家の二男坊でした。
でも、時間は残酷なもので、お別れの時が近づいてきました。
1995年の12月も過ぎようとしていたころ、大介の食が細くなってきました。
そして、年が明けると、うつらうつらしてきて、そして食もかなり落ちてきました。
病院に連れて行くと「年だからね。老衰だね。だんだんこんな風に衰えていくんだよ。」と先生がおっしゃいました。
「純血種で男の子で18歳なんて見たことがない。素晴らしいね。」とも。
「すぐにってわけじゃないから」と慰めてもくださいました。
私は生きた気がしなかった。
毎日毎日、お別れがいつ来るのかが怖くて・・・・。
でも、決心したのです。
大介は元気で明るくて歌っている、仕事をしている私が大好きなんだから、仕事もちゃんとしよう、そして、普通に生活しよう。と。
先生はまだまだ時間があるっておっしゃって下さった。
『その日』をちゃんと迎えてあげよう。と私たちは心に決めました。
1996年1月21日は弟夫婦が結婚パーティーをした日です。
結婚式、披露宴は前の年の暮れに挙げましたが、私たちの時と同じで招待しきれなかった方々をお迎えしてパーティーを開きました。
たくさんの方々に祝福されて幸せそうな弟夫婦を見て幸せな気持ちで家に帰ってきました。
大介はうつらうつらしていますが、落ち着いています。
そうして、何と、あまり食べていないのに立派なウンチをしました。
私たちは「スゴイね、大ちゃん、こんなに立派なウンチが出たね。」と褒めました。
私たちは安心してお風呂に入り、幸せな気持ちでベッドルームに戻りました。
間もなく、大介の様子が急変します。
大介は私たちが帰って来るのを待って、息を引き取りました。
二人の腕の中で私たちの愛に包まれての最期でした。
火葬場で係りの方が大介のお骨を見て「立派ですね。何の病気もなかったでしょう。」と言ってくださいました。
本当に親孝行の息子でした。