チャイコフスキーの歌曲(1878年)
トルストーイの詩は1851年の作。この詩に歌われている女性は後にトルストーイの妻になったミルレルである。
トルストーイは1850年か51年に彼女とペテルブルグの仮装舞踏会で出会っている。
騒がしい舞踏会の中で・・(チャイコフスキー)
騒がしい舞踏会の中、ふと、心乱す浮世のむなしい喧噪のなかで、
あなたを見かけた。だが神秘のベールがあなたの姿を覆い隠していた。
ただ、瞳だけが悲しげに見つめていた、だがその声の響きの素晴らしさ、
それは遠い芦笛のよう、ざわめく海の浪のよう。
あなたのほっそりとした姿が、そしてもの思いに沈んだ様子のすべてに
ひかれた。
そして悲しげに響くあなたの笑い声はあの時から私の胸に響いている。
夜も更けた一人ぼっちの時、疲れた私は横になるのが好きだ。
私は悲しげな瞳を見る、私は朗らかな言葉を耳にする。
そして悲しくそのまま私はまどろみに落ち不思議な幻の中で眠る・・・・
私はあなたを愛しているのかどうかわからない、
でも、愛している気がするのだ! (トルストーイ)