ピンカートンはほんのひと時の気まぐれから蝶々さんと結婚式を挙げる。
そして、蝶々さんはアメリカに帰ったまま戻らないピンカートンをもう3年も待っている。彼女にはピンカートンとのあいだに子供もいるのだ。しかし、ピンカートンは子供の存在は知らない。
そして、ついにピンカートンが再び長崎に戻ってきた。
一夜寝ずにピンカートンを待つ蝶々さんのもとに、彼はアメリカ人の妻ケイトを伴って訪れた。
すべてを悟った蝶々さんは、武士の娘として「名誉に生きるにあたわずば、名誉を持ちて死ね。」と自害を決心する。
そこへ坊やが走り寄ってき、彼女は坊やを抱きしめてこのアリアを歌う。
歌い終わると坊やにアメリカと日本の小旗と人形を持たせ、目隠しをさせる。そして、屏風の影で命を絶つ。
(ケイトが蝶々さんを憐みの目で見たのです。それが自害の理由だと思います。ケイトがもっといやな女で「あなた何っ!」という人だったら蝶々さんはきっと自害しなかった。
子供を一人で立派に育ててみせるとがんばれたと思います。雅子の考えでした。)
かわいい坊や
おまえ?おまえ?おまえ?おまえ?
小さい神様!いとしい、いとしいおまえ
ユリとバラの花のような。
お前のけがれない瞳に私が、かわいそうな蝶々が死んでいく姿を見せたくない。
お前は海を越えてあちらに行き、成長したのち、母さんに捨てられたと悲しませたくない。
お前は空から栄光に満ちて授かったものだから。
もう一度母さんの顔をよく見てごらん。よく覚えておくように。
いとしい子、さようなら!!
さあ、遊ぶのよ。