チャイコフスキーの歌曲(1869年)
ハイネの原詩は1827年に出版された『歌の木』の収録されている。
1822年、または1823年の作品。
メーイの訳詩は1858年9月の作。
同じ年に『祖国の子』誌に発表された。
・何故(チャイコフスキー、ロシア語訳:メーイ)
何故春に色あせてしまったのだろう、美しく咲きほこっていた薔薇は?
何故緑の草のかげに青いすみれは黙っているのだろう?
何故こんなに悲しく響くのだろう、空へと駆け上っていく小鳥の歌が?
何故草原にたれこめているのだろう、霧が棺の覆いのように?
何故空の太陽は朝から冬のように冷たく暗いのだろう?
何故、大地のすべてが湿って墓よりも陰気なのだろう?
何故この私はいよいよ憂鬱に、日ごとに病んでゆくのだろう?
何故に、おお、早く教えて、君は僕を捨て、忘れてしまったの?
(ハイネ)